千葉市介護サービス質向上委員会設置条例の
提案理由

2005.9.9
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 発議第9号・千葉市介護サービス質向上委員会設置条例の、提案理由の説明を行います。
 介護保険制度は、これまで行政が、直接責任を負っていた措置制度から、事業者と利用者の契約制度に移行し、行政の責任を後退させるものとなりました。
 そのために、施設サービスの内容や利用者の実態などが、行政で把握が困難になっています。施設間にサービス格差が生まれたり、石川県かほく市で、施設職員が認知症の女性に、石油ファンヒーターでやけどを負わせて、ショック死させる事件や事故などが多発しています。
 市内の施設でも、ベッドから転倒したり、職員対応の苦情など、不安を抱えている家族の声なども伺っています。
 介護職員のミスやトラブルなどは、職員の疲労が限界を超えており、劣悪な労働条件を解消することが、介護の質を向上させる上でも欠かせません。
 千葉市では、現在、介護施設を巡回しながら施設利用者の要望を聞き、施設側に対して働きかけがされています。また、千葉県国民健康保険連合会の中に、介護サービス苦情処理委員会がありますが、これらでは限界があり、十分とはいえません。
 もっと全市的に、すべての施設を対象に検討できる、公的な検討委員会が必要になってきます。行政としての、公的な責任をいかに果たすかが問われています。
 今回の条例の目的は、市内における福祉施設の高齢者・障害者の介護サービスの質向上と、市民が安心して介護サービスが受けられるように、行政が関与・援助していこうとするものです。
 介護の質の問題を各施設まかせにせず、行政が、居宅や施設の介護サービスの苦情を処理し、運営上の改善や介護技術などの質の向上を求め、実施してもらうことが必要となります。
 そのためにも、行政が委員会を設置して

 1、介護サービスの相談苦情の実態把握をすること
 2、サービス提供事業者への改善勧告をすること
 3、良質で公平な介護サービスを提供できるようにすること
 4、介護サービス評価の仕組みの調査研究をすること
 5、その他介護サービスの向上に必要な事項を提案すること

 以上の、5点を審議します。委員会は、介護保険被保険者や保健・医療・福祉従事者・学識経験者などで構成されます。
 この委員会を設置することで、どんな改善が可能になるでしょうか。
 委員会の設置により、財政的な理由から介護サービスが制限されることがないようにします。また、利用者や家族が、より良い介護サービスを受けられるようになり、事業者には質の改善を求めて、社会的責任を果たさせることが可能です。
 さらに、職員の待遇や介護体制を改善するとともに、介護研究・技術向上に努めることができます。
 以上のような、改善につながると思います。
 高齢化社会を迎える中で、安全・安心のまちづくりが求められています。介護サービスの質の向上をはかり、利用者が安心して介護が受けられるように提案するものです。先輩、同僚議員のご賛同をお願いして、提案理由の説明を終わります。