野本信正議員の一般質問

2005.10.4
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 アスベスト被害への対策の基本について、代表質疑で明らかにしました。千葉市はこの間「アスベスト問題対策会議」などを立ち上げ、健康相談や市有建築物対策などに努力してきました。アスベスト被害をここまで広げた責任は、危険を知りながら野放しにしてきた政府にありますが、市民の命と健康を守るため地方自治体は、最大限の対策をしなければなりません

 第1は、市有建築物の対策を急ぎ、利用者の安全を保障することについてです。
 この間千葉市は、市有建築物の吹き付けアスベスト等を含む恐れのある施設を調査し、9月2日中間報告を行いました。409施設中105施設について、アスベストの有無を判定するための成分分析が必要と判明し、この中で6施設がアスベスト有りとの結果が出ました。
 その一の「療育センタ−」は、プレイルームや階段および体育室などの天井や壁の、広い範囲にアスベストを含有する、吹き付けがされている事が分かりました。
 療育センタ−は障害者が通園し、療育相談などをしていますが、S56年竣工から24年間、障害者と関係者がアスベストを含む施設の中で、過ごしてきたことになります。通園期間が4年とか6年なので、障害者のみなさんと家族は、この間アスベストの影響を受けた可能性があり、健康への被害が懸念されます。
 「中央CCセンタ−と幕張CCセンタ−」についてですが、中央CCセンタ−体育館機械室天井とプール機械室天井に、アスベストを含む製品が吹き付けられていることが明らかになっています。中央CCセンタ−は、49年にオープンして以来31年を経過していますが、通常機械室に出入りする職員や技術員などの健康への被害が心配されます。
 「高原千葉村」についてですが、高原千葉村は、市民ロッジ・一階ホール天井、青少年自然の家・体育館天井と機械室に、アスベストを含む製品が吹き付けられていました。青少年自然の家はS50年、市民ロッジはS53年オープンなので、30年と27年が経過しています。この間訪れた小中学校の生徒と市民は、最近のデータでは、年間2万5,000〜3万人、当初はもっと多かったので、大変な数に上っています。
 とりわけ、青少年自然の家体育館は、毎年2万人からの子どもたちが思い切り遊び、思い切り深呼吸する場所なので心配され、また、職員も市役所の様に定期的な異動はなく、現地採用で長期間の勤務になっています。

 質問しますが

 1に、療育センター、中央CCセンタ−と幕張CCセンター、高原千葉村のアスベストを含む製品が吹き付けられている実態について、場所・面積・吹き付けてある製品名・アスベスト含有率・飛散の危険性などについて。
 2に、各施設の利用者数、療育センターのルームは、0歳から就学まで6年間通園していますが、他の施設でも長期間利用している市民の実態、そして、長期に勤務している職員の実態について。
 3に、利用者の健康調査と、必要な対象者の健康診断を実施する必要がありますが、どのようにするのか。
 4に、長期勤務の職員や中央CCセンター機械室を担当している技術員の、健康診断も必要ですがどうか。
 5に、各施設の安全を確保するための当面の対策と、アスベストを含む製品の完全除去することが求められていますが、見通しについて。
 6に、アスベスト含有の分析についてです。千葉市は、市有建築物の分析を、クリソタイル分析に広く用いられている、X線回析で行っているようです。しかし、X線回析を用いた分析法では確認できなかったものが、微分熱重量法(DTG)によってノンアスベスト製品にも、相当量のアスベストの含有が確認されています。
 千葉市は、X線回析だけでなくDTGも活用していますか。いなければ、活用して危険な製品使用の実態をより明らかにすべきです。
 以上、答弁を求めます。

 第2は、アスベスト関係施設の解体工事から市民の健康を守る問題についてです。
 大気汚汚染防止法「特定粉じん排出等作業実施届出」は、対象耐火建築物の延べ面積500u以上、特定建築材料の使用面積の合計が50u以上であり、千葉市では、それ以下は規制外となっています。
 私は、今年第1回定例会の質問で、東京都環境保全条例のように、解体床延べ面積80u以上に、特定建築材料の使用面積の合計15u以上に、千葉市も実施することを提案しました。それは、解体面積が少なくても、粉塵が飛び散り、被害が広がる危険性があるからです。その後、先進都市では、様々な基準や規制をつくり、住民の健康を守るために努力しています。千葉市も国の基準のままでなく、独自の努力をすべきと思いますが、どうか。

 第3は、特定粉じん発生施設設置工場周辺住民の健康対策についてです。
 兵庫県尼崎市は、周辺住民にまでアスベスト被害がひろがっているクボタ神崎工場跡地周辺住民を対象に、健康診断を行っています。千葉市では、花見川区幕張に市内唯一の特定粉じん発生施設設置工場であった、旧三菱セメント建材(株)がありましたが、昭和36年5月から石綿スレートなどを製造し、H4年5月工場を廃止しています。クボタ工場の健康被害でも明らかのように、従業員とその家族はもとより、周辺住民への被害も心配されます。
 幕張に住んでいる、旧三菱セメント建材元従業員のお話では、毎日ブレーキライニングにヤスリをかけていたため、「口の中はザラザラ」「咳は出て大変だった」「知り合いの一人はアスベスト被害と関係の深いじん肺の治療を受け、健康管理手帳を支給されている」とのことでした。
 最近、三菱マテリアル建材(株)から、元従業員に健康診断を受けるよう手紙が来ているそうですが、元従業員と家族は会社が把握できますが、工場周辺住民は何の連絡もされないまま放置されています。
 現在、旧三菱セメント建材(株)跡地は、マンションが立ち並び、工場が操業していた当時から住んでいる住民もいますが、引っ越ししてしまっている住民もいます。
 1に、千葉市は、兵庫県尼崎市で行っているように、旧三菱セメント建材(株)周辺住民に対して、健康診断を行うよう提案します。
 2に、そして、アスベスト被害が発症している場合には、三菱マテリアル建材(株)が救済するよう求めるべきと思いますがどうか。奈良県王子町の「ニチアス」は、王子町工場周辺住民の被害者に対して、見舞金と弔慰金を支払う事を決めています。
 3に、周辺住民で、転居した人を探すのは大変だと思いますが、当時の状況は把握できるし、市政だよりやインターネットで呼び掛けたり、マスコミにも協力してもらい可能な限りの努力をすべきではないか。

 第4の質問は、千葉市内建設業従事者への対策についてです。
 建設業に従事する関係者の多くが、アスベスト曝露されている実態を直視し、市内42,000人といわれている建設従事者、および家族に健康調査を周知し援助する事が急がれています。
 建築材に多く使われてきた、アスベストを扱った多くの建設業関係者は、建設現場でアスベストの吹き付け、アスベストの電動工具による切断、アスベストが吹き付けられた場所での仕事、解体工事などでアスベストの粉塵を吸い込む被害を受けています。しかし、その実態は把握されていません。
 建設業関係者は、現場を渡り歩き、仕事とアスベストとの因果関係が掴みにくいことも原因しています。7月下旬、千葉土建一般労働組合が千葉県内25,000人の組合員を調査し、1996年以降で6人が死亡している事が分かりました。
 死因は肺癌3人、中皮腫2人、石綿肺1人だったと報告されています。また、アスベストが付着した作業着を洗濯した家族が発症した事例もあります。

 質問しますが

 1に、市内42,000人の建設業従事者と、その家族のアスベスト被害を把握するため、建設業関係団体や組合などと協力して、実態調査を進めることを提案します。
 2に、建設業従事者とその家族からの、アスベスト被害についての専門的な健康診断希望者に対して、千葉市も、青葉・海浜の両市立病院を受け皿にして、協力するよう求めますが、どうか。

 第5は、アスベスト除去への助成についてです。
 アスベスト除去には、費用負担は多額になり、中小企業や解体工事に関わる関係者への支援が必要となっています。資金がなければアスベストの除去が進まず、市民の被害が広がる心配が出てきます。代表質疑で、林助役は「国が考えているようなのでその動向を見極めていきたい」と答弁しました。
 しかし、その後アスベスト問題は一気に社会問題となり、市民の関心も高まり、アスベストの除去を真剣に考える人も増えているので、応援の手を差し伸べることが必要ですし、先進都市では新しい取り組みを始めています。
 東京都千代田区は、9月議会で補正予算を組み、中小企業対策として、中小企業の店舗・事務所のアスベスト調査、除去工事への一千万円までの融資、区民住宅対策として、アスベストに関する調査費用の1/2、上限10万円の助成、アスベスト除去工事費用の1/2、上限30万円の助成などを行うことにしました。
 千葉市も先進事例を参考にしたり、市民の動向を把握しながら検討すべきと、再度提案しますが、どうか。

 第6は、解体工事に関わる関係者への支援についてです。
 町場の解体工事を行う業者は、小規模であったり、一人親方などが圧倒的に多く、解体に従事する際に必要な防護服や集塵機付き工具をはじめ、安全作業を行うためには多額の費用を要します。これら解体工事に関わる関係者への助成を行う制度を考えるべきと思いますが、どうか。


(2回目の質問)

 第1の質問は、市有建築物の対策についてです。
 利用者の健康調査は、「特別の方法ではやらない」「市民への対応と同じ」、関係施設の職員は「対策会議」の検討結果をふまえて適切に対応するとの答弁でした。
 1に、「療育センター」の平均通園年数は、1年11か月というが、すぎの子ルームは2歳から6歳まで4年間過ごしている障害児もいる。大人よりアスベスト被害を受けやすい児童で、しかも障害を持っている人達がアスベスト含有施設で、長期間過ごしていたことについて、特別に健康診断する必要がないとの結論をなぜ出せるのか伺いたい。園児の健康を心から心配する気持ちがあれば、入園していた過去の園児と現在の園児の健康診断は速やかに実施すべきだが、重ねて答弁を求めます。
 2に、長期勤務の職員は、「高原千葉村」で平均勤務年数19.3年と、少なく見せるのに苦労しているようだが、実態は33年1人、31年8人います。
「療育センタ−」には、創設以来23年勤務している職員が3名います。ただちに健康診断が必要ですがどうか。
 3に、各施設とも吹き付けアスベスト除去など、安全対策早急に行うとの答弁だが、療育センタ−施設利用が不安であることは、障害者行政に大きな影響が出てしまう。
 「高原千葉村」市民ロッジ・一階ホール、いわゆる玄関口が使用禁止で、利用者は仮設階段で2〜3回に上り、車椅子利用者はエレベーターが使えないため、職員が苦労して対応している。
 幕張CCセンターも含めて、「早急に」とはいつごろまでか。必要な予算はどのくらいか。12月議会の補正予算では、使用が相当先になってしまうが、緊急に予算措置をして、ただちに実施すべきだが、どんな予算措置をするのか。
 4に、アスベスト含有の分析について、微分熱重量法(DTG)による分析はしないとの答弁でした。それではX線回析を用いた分析法では、確認できなかった製品にアスベストが含有されている危険性を平気で見過ごすということか。H16年7月2日、労働基準局長通達を把握していないのか。


 第2の質問は、アスベスト関係施設の解体工事から市民の健康を守る問題についてです。
 「特定粉じん排出等作業実施届け出」要項の、延べ床面積500u以上、特定建築材料の使用面積の50u以上しか規制しない。
 1に、それ以下の面積の解体で、被害が出ても「千葉市は感知しない」ということなるが、そういうことか。
 2に、東京渋谷区は、アスベスト関係施設の解体工事に独自の条例を準備し、来年1月施行します。工事発注者は事前の届け出をする。吹き付けアスベストや保温材使用のはどんな狭い面積でも対象になる。事前手続きを行わなかった場合、区長は工事停止命令と名前の公表。文京区でも進められています。全国で先進例がどんどん出てきているのだから、調査研究はただちにすべきだがどうか。
 3に、千葉市も国の基準のままでなく独自の努力すべきと重ねて求める。

 第3は、旧三菱セメント建材跡地周辺住民と、千葉市内建設業従事者への対策について質問したところ、いずれも「その対策は行わない」との冷たい答弁についてです。

 質問します。

 1に、アスベスト健康被害は今後10万人からの死亡者が出るといわれているので、患者の数は恐らくその数倍、数十万人になると予想されています。
 これは、あの緩慢な殺人といわれた、大気汚染公害などによる公害病認定患者が、11万74人であったことと比べても、その数倍規模の被害が予測される史上最大・最悪の公害問題であることが指摘されている。
 アスベスト健康被害に取り組む千葉市は、「史上最大・最悪の公害問題」にふさわしい対策が必要ですが、その認識があるのか。
 2に、アスベスト健康被害を最も受けているのが、旧三菱セメント建材など特定粉じん発生施設設置工場の重議員とその家族および周辺住民です。
 もう一つがアスベスト消費量の90%が建設材で、それを加工したり解体している建設業従事者でありその家族です。
 それなのに千葉市は、健康被害を最も受けている市民への対策を、なぜ実施する必要がないと思っているのか聞きたい。すぐに心を入れ替えて対策を実施すべきだが

 その1、旧三菱セメント建材置工場跡地周辺住民の健康対策について。
 私は10月2日幕張5丁目の旧三菱セメント建材跡地周辺で、工場が稼働していた当時から住んでおられる住民をお尋ねして話を聞いてきました。
 Aさん、工場は三好石綿の頃からブロック塀に囲まれていた。三菱セメント建材になってからは自動車部品も作るようになり忙しくなったようだ。
 Bさん、工場から石綿を含んだと思われる真っ白いドロドロした排水が道路の排水溝に流れ出していた。それが乾いてとんだ可能性はあると私は思った。
 Cさん、工場にはタンクが2つあって、南風がふくと白い泡が飛んで来て家中真っ白になり、それが乾くと庭中に白い粉がたまり、窓ガラスの白い粉を吹くのも大変だった。H4年の工場閉鎖まで続いた。祖母はひどい喘息で苦しんでなくなった。今の世帯主も喘息で治療中である。
 Dさん、アスベスト被害が社会問題になるまで何とも思わなかったが、今は気になるので市役所が健康診断などをやってほしい。
 この他、自分は年をとっているが、子どもたちは生まれ育ち盛りを20年以上もここで過ごしているので心配だ。
 1に、私が短時間で10数件を訪問しただけで、こんなに大事な問題を把握できた。これに対する当局の感想を聞きたい。
 2に、千葉市は、周辺住民の声を聞き取りにいってないのはなぜか。現地に足も運ばないで、住民の声も聞かないで「周辺住民から要求が出ていないので対策は取らない」の答弁は撤回すべきではないか。
 3に、他都市では、兵庫県尼崎市・クボタ、佐賀県鳥栖市、旧日本ユタニットパイプの取り組みがあります。千葉市は、周辺住民の声を聞き取り、必要な対策を行うべきではないか重ねて答弁を求めます。
 その2は、千葉市内建設業従事者への対策についてです。
 日本共産党市議団は、市内建設業従事者にたいして緊急アンケートを実施した。
 1に、緊急アンケートの結果についてどう思うか見解をうかがいたい。
 2に、建設業団体や組合と相談することまで拒否するのは、余りにも冷たい答弁だ。
アスベスト健康被害を最も受けている市内建設業従事者とその家族に対して、関係団体との相談し対策を実施するよう重ねて問う。
 3に、両市立病院出の検診についてです。労災病院へ照会するだけ。アスベスト疾患センター全国22病院しかない。労災病院は県内は元より関東近県からも集中している。健康診断の料金は5,390円だ。
 千葉市民の命と健康守るためには、当面、両市立病院で検診しそのエックス線写真を専門病院で見てもらうことから始めて、専門的な医師も育成して行くことが必要だ。
積極的な対応を求めるがどうか。