小関としゆき議員の一般質問

2005.9.29
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1.新エネルギーの取り組みについて
 言うまでもなくエネルギーシステムは、人間社会の根幹であり、持続可能な発展をめざすためには、新エネルギーを軸とする効率的なエネルギーへの転換が必要であり、地球温暖化防止の点でも重要かつ緊急の課題です。しかし、日本は原子力発電中心のエネルギー政策のもとで、先進的ヨーロッパの国々から比べると、新エネルギー導入の目標はあまりにも低く、現行のエネルギー需給見通しでも2000年度の1.1%から2010年までにわずか3%にするというものです。しかも大半が廃棄物発電などに依存するもので、予算も原子力関係予算の半分にも満たないものです。
 日本のエネルギー供給の半分は石油であり、ほぼ100%輸入に頼っています。その石油の埋蔵量は限られており、あと約80年で枯渇すると専門家は推計しています。
 こうした方向のもとで、新エネルギーの本格的活用の計画を早急に持って着実に進めていくことが求められています。そこで、千葉市の新エネルギーに対しての取り組みについて伺います。
 第1に太陽光発電についてです。千葉市で唯一実施している新エネルギーをさらに拡充するという点では、まだまだ不十分です。
 1つは、公共施設への設置についてですが、2004年度末で14か所、今年度は3か所の設置となっています。2000年に策定した新エネルギービジョンの計画の進捗状況はどうなっているでしょうか。また、今後、公共施設に設置する計画について伺います。
 2つは、一般住宅への設置に対する国の助成制度についてです。2004年度末までに181件、今年度は50件の予定ですが、国の補助金が1kW当たり04年度では、45,000円だった額が05年度には20,000円に減額され、さらに千葉市の補助金も90,000円から45,000円に減額されました。これでは地球温暖化対策に逆行するものです。助成制度を千葉市はもとより、国に対しても元にもどすように、国に求めるべきです。
 3つは、市独自の助成制度についてです。太陽光発電設置に対する市民の関心は高く、今年度の設置希望者は73件あったとのことです。しかし、助成対象は50件です。漏れた方に対して市独自でも助成金を出し援助すべきです。
 第2に風力発電についてです。
 近年最も進んだ電源です。風力発電は政府の目標として2010年までに300万キロワットに上方修正した新エネルギーです。昨年の第1回定例会の質問で、千葉市の開発にむけて調査、検討するとのことでした。調査は行われたのでしょうか。そしてどのように検討されたのか、具体的にお答え下さい。
 第3にバイオマスエネルギーについてです。
 家畜ふん尿広域発酵処理施設の整備を取りやめたために、今後、導入の計画はないとのことですが、乳牛育成牧場のふん尿でバイオマスエネルギーはできないのでしょうか、研究すべきです。お答え下さい。
 第4に小型水力発電についてです。
 自然エネルギーのなかでも安定性があり、小川の流れや農業用水、上水道場で減圧された水圧や下水処理場からの放流水の落差を利用するなどの発電を取り組んでいる自治体もあります。小型水力発電の研究も行うべきです。お答え下さい。

2.地球温暖化対策について
 地球温暖化は年々進行しています。2001年の国連環境計画と世界気象機関が共同で設けた国際機関「気候変動に関する政府間パネル」は地球の平均気温はこの100年で0.6℃上昇したと発表しました。また、このまま何も対策をとらなければ、今世紀末には地球の平均気温が最大で5.8℃上がり、海水温の上昇による熱膨張や氷河の融解などで海水面も最大88cm上がると予測されています。また、温暖化が進むと干ばつや豪雨などの異常気象も頻発すると言われています。気象庁によると今年は世界的に気温が高く、アメリカの西部の中部では7月から猛暑に襲われ、フェニックスでは連日45℃以上になり11人が死亡、パキスタンのサルコーダでは6月23日に49℃と猛烈な暑さになりました。アメリカでは最大級のハリケーンが連続的に上陸し、ニューオリンズなどに大惨事をもたらし、日本でも台風14号の影響で、宮崎県南郷村(なんごうそん)では降り始めからの雨量が月間平均雨量の2.9倍となる1,321mmの豪雨を記録し、九州、中国、四国地方などで死者・行方不明29人(9月21日現在、消防庁)などの被害をもたらしました。
 温暖化の原因は、人間の活動によって排出される二酸化炭素などの温室効果ガスの大気中濃度の増加によるものです。このまま温室効果ガスの濃度が上昇し続けると、日本はどうなるのか。国立環境研究所や東京大学の研究チームは、スーパーコンピューター「地球シミュレーター」を使い、二酸化炭素の大気中濃度が21世紀末に現在の1.9倍になった場合の変化を計算したところ、夏の平均気温は4.2℃上昇し、真夏日の日数も約70日増加すると予測しています。このことによって、日本列島のどこかで6月〜8月に1日100ミリを超える豪雨の発生数も倍増します。これら熱波や干ばつ、洪水など地球温暖化に関係するとされる、異常気象の増加に伴い、経済的損失も40年で10倍になると指摘しています。このように地球温暖化は数々の悪影響をもたらします。対策は待ったなしです。地球の未来を守る取り組みが求められています。
 以下、千葉市の温暖化防止に対する取り組みについて伺います。
 第1は、昨年3月に作成した「千葉市地球温暖化対策地域推進計画」について伺います。この計画の基本方針では、市民・事業者・市の各主体がそれぞれの役割に応じて、実行可能な取り組みを着実に推進することを目指すとしています。
 1つは、この方針に基づき、市民は環境家計簿を活用し、各家庭での毎月の(電気、ガス、ガソリン、水道、ゴミ)などの排出量を記録し、約2,500戸の家庭が温暖化防止の取り組みを行っています。また、事業者も(地球環境保全協定)を結んで、温暖化防止に取り組んでいるようですが、その取り組みでどのような効果があったのでしょうか伺います。
 2つは、温室効果ガス排出量の削減効果を各部門ごとに設定していますが、現在の排出量はどうなっているのでしょうか。部門ごとにお答え下さい。
 3つは、地球温暖化対策地域協議会を設置し、具体的な対策を示した「温暖化アクションプラン」を策定し推進するとしていますが、地域協議会は設置されているのか、構成メンバーには専門家と市民が入っているのでしょうか。
 4つは、温暖化防止取り組みの視点を5つあげ、省エネルギー機器などの普及に補助金や資金融資などを支援するとしていますが、太陽光発電以外の機器とはどういうものが対象でしょうか。また、その計画について伺います。
 5つは、市内の緑地保全についてです。
 地球上の森林が減少し、温暖化にも大きく影響していることが指摘されています。千葉市でも緑地が年々減少し、95年〜04年の10年間で民有地だけでも36.7ヘクタールもの保存樹林が減少していることは、憂慮しなければならない事態です。市・県・国の公有林の保存はもちろん、民有地も地権者と協議相談し市が買い取りも視野に入れ緑地保存に取り組むべきです。
 第2はこの夏、千葉市でも省エネルギーの取り組みとして、「クールビズ」キャンペーンを実施しました。その効果はどうだったでしょうか。「クールビズ」に続き、環境省は8月22日、秋や冬にオフィスの暖房を抑えて、さらなる省エネにするために、新キャンペーン「ウォームビズ」を10月1日から始めると発表しました。ウォームは英語で「暖かい」の意味です。男女問わず温室20度で、快適に仕事ができる服装が対象でニット製品の重ね着、ベストや保温性の高い下着の着用など想定しています。
 同省は、1℃温度を変える際の二酸化炭素の排出量が、冷房より暖房の方が4倍多いと説明しています。千葉市でもこの「ウォームビズ」を実施すべきです。見解を伺います。
 第3は、1昨年10月1日から実施されましたディーゼル車の排ガス規制が実施されて約2年になりました。この間の排ガスの達成状況はどうなっているでしょうか。この排ガス規制を国は2輪車にも適用するようメーカーに義務づけています。千葉市の2輪車の排ガス規制の計画はあるのでしょうか。

3.地震災害対策についてです。
 この問題については、先日のわが党の木田議員の代表質疑、また前回の私の一般質問でも伺いました。その後、7月23日には関東地方でマグニチュード6.0、さらに東北地方を中心に東日本の広い範囲でマグニチュード7.2の地震と、昨年から今年にかけてマグニチュード7級の地震が相次いで発生しています。7月23日の地震では、首都圏1都3県で39人のケガ、8月16日の地震では91人がケガするという被害がありました。このように連続して発生している地震は、日本列島が地震の活動期に入っていることをあらためて印象づけました。特に、「切迫性」が指摘される首都圏の直下型地震の場合、最悪で阪神大震災の2倍、死者は約11,000人と想定され、被害総額は112兆にもなると試算されています。地震に対する防災対策は、「待ったなし」の課題です。以下、千葉市の地震に対する防災対策について、さらに詳細について伺います。
 第1は、千葉の被害想定でありますが、災害の発生を前提に被害規模に応じた応急対策が準備されなければなりません。想定はあくまで想定でありますが、想定を前提に最大被害想定を行い、予防・応急・復興対策を考え、事態の深刻性を明らかにしなければなりません。こうした実態を明らかにしていくことを避けての防災対策は後追いとなり、被害をのがれることはできません。
 千葉市内で震度6以上の大地震が発生した場合の被害予想について伺います。
 第2は、地域防災計画には震度6以上の大地震発生時に、市職員の活動体制の基準、情報の収集、連絡体制、対策本部を中心とした通信連絡系統図が示されていますが、これに基づく訓練は行われているのでしょうか。
 第3は、災害に備えた地域防災訓練の取り組みについてです。
 各地域に防災組織があり、役員さんが中心になり、災害時における訓練なども苦労しながら行われています。しかし、その訓練に参加する市民が少なく大地震が発生した時、どうすればよいかなどの知識がないために被災する例が阪神大震災の教訓です。千葉市で防災訓練に参加しているのは何パーセントで、参加するための手立てはどのようにしているでしょうか。
 第4は、自主防災組織についてです。
 自主防災組織つくりは、町内会単位で773組織され、地域コミュニティーも含め、防災活動に取り組んでいるようですが、近年は防災訓練に参加する市民が減少しています。自主防災組織のない町内会はあるのでしょうか。それへの対策計画はどうなっているのでしょうか。
 第5は、市民災害時の避難誘導についてです。
 東京都では、避難所までの誘導案内を道路に設置してあり、避難所がどこにあるのかわかりやすくなっています。千葉市でも実施すべきです。
 第6は、避難所の設置についてです。
 避難場所が遠方にあり、そこに行き着くまでに被災するという事態がこれまでの大地震でありました。避難場所、避難所の設置については、情報の取得など被災後の地域拠点として避難所設置が大きな役割を果たします。千葉市内の避難場所、避難所は地域によっては身近になく、遠方まで行かなければなりません。避難場所、避難所の設置改善を急いで行うべきです。
 第7は、木造住宅の耐進診断と改修対策についてですが、国土交通省の推計では、全国の全住宅数約4,700万戸の約25%、約1,150万戸が耐震性を有していないと推計しています。これは、1981年以前に建築した住宅の約65.3%にあたります。
 千葉市の耐震性を有しないと予想される戸数は何戸あり、その住宅に対する診断と改修に対する対策の計画を立てられているでしょうか。
 第8は、防災マップについてです。
 前議会でも市民にとって防災マップの重要性について指摘しました。この間、市民のみなさんに「千葉市防災マップが自宅にありますか。見たことありますか」と尋ねても、ほとんどの方は、「わからない」「見たことがない」とのことでした。
 現在の防災マップでは、避難場所がわかりづらいので改善し、早急に作成し、全世帯と事業所に配布すべきです。
 第9は、帰宅困難者に対する対策についてです。
 7月23日首都圏を襲った地震は、巨大地震ではありませんでしたが、東京、千葉、神奈川などで交通機関を長時間に渡って麻痺させました。夜になっても復旧せず、電車を降りて徒歩で帰宅するという人もいました。
 もし、これがマグニチュード7級の首都圏直下型地震の場合だったら、帰宅困難者が約650万人に及ぶと予測されています。毎年8都県市の防災対策では、この問題に対して、どのような話し合いがされているのでしょうか。
 第10は液状化対策についてです。
 美浜区は、全域が浅瀬を埋め立てた人工の陸地で大部分が住宅地です。県の「防災地図」では、ほぼ全域が液状化懸念地域とされ、「危険度A」に分類されています。この対策はどのようになっているのでしょうか。

4.モノレール駅へのエスカレーター・エレベーター設置について
 この問題は都市モノレール建設当時から、わが党が再三に渡って要望してきたところです。モノレール天台駅近くに住む女性の方は、車イスのためにモノレールに乗れず、千葉駅まではタクシーで行って、JRを利用しているとのことです。「一日も早く、モノレール駅にエスカレーター、エレベーターの設置を」と訴えています。また、町内自治会からも、この要望署名が出されています。ようやく、エレベーターが第2次5か年計画で設置されるようですが、市民の要望にそって伺います。
 第1は、設置に当たってのスケジュールですが、現在、モノレールのエレベーター未設置駅は10駅あります。市民からも1日も早い設置が求められているわけですから、すべての駅に早急に設置するべきです。
 第2は、車イスを自分で操作できない場合、介助者が必要になりますので、設置に当たっては、介護者が身動きできるスペースを確保するべきです。
 以上、2点を伺います。


<2回目の質問>

1.新エネルギーの取り組みについて
 自然エネルギーを本腰を入れて取り組んだ場合、どのくらいの可能性があるのか、NEDO(新エネルギー産業技術総合開発機構)は2000年に自然エネルギーの発電能力可能量と実際の利用発電量を比較しています。それによると太陽エネルギーで現在使用しているエネルギーの6億倍、風力で2万倍、バイオマスで6万倍、水力で17倍のエネルギーが存在すると試算しています。自然エネルギーの本格活用は、多方面に渡って大きな可能性を持っています。
 1つは、太陽光発電についてです。
 公共施設への設置は、建替えや新築だけにしか設置を考えていないのでしょうか。既存の施設にも計画的に設置すべきです。また、一般住宅への補助については、来年度で国の助成が廃止されるとのことでした。これは、地球温暖化対策(京都議定書)を放棄するものです。国に助成金の復活を強く求めることと、新エネルギービジョンでは、住宅用太陽光発電への補助の上乗せも検討するとしているわけですから、その方向で進めるべきです。見解を伺います。
 2つは、風力発電についてです。
 第2次5か年計画でようやく、この事業に着手するようです。大いに研究し、実現に向けて取り組んでいただきたい。
 3つは、バイオマスエネルギーですが、家畜ふん尿広域発酵処理施設計画は、2次5か年計画にもありません。施設整備について、再度計画の検討をすべきです。乳牛育成牧場のバイオマスエネルギーについては、十分な発酵の効果が期待できないとのことですが、稲ワラ等を混ぜるなど工夫すれば可能だと思います。その取り組みを求めます。お答え下さい。

2.地球温暖化対策について
 京都市や滋賀県東近江市では、事業者・市民から回収したてんぷら油の廃油をバイオディーゼル燃料(BDF)に加工して、ゴミ収集車や循環バスの燃料として活用しています。BDFは、硫黄酸化物を出さず、黒煙は軽油の3分の1以下、しかも排出される二酸化炭素は植物が成長するときに吸収されたものであるために、国際的には二酸化炭素の収支はゼロとみなされており、地球温暖化防止にもつながります。全国的にも注目されつつあり、千葉市でも調査・研究に着手してはどうでしょうか。

3.地震災害対策について
 1つは、被害予想についてですが、震度6以上の地震が発生した場合、死傷者が34,500人、罹災者が217,400人など甚大な被害を想定しているわけですから、防災対策を行う上で、過去の災害と教訓に千葉市の被害予測も踏まえ、建物、道路、ガス、上下水道、海岸等の耐震診断図を作成することが必要です。そのためには、専門家の協力とともに地域をよく知っている住民の参加が欠かせません。平常時から、行政と住民との理解と協力、協働の体制が整っていれば、事前対策が具体化し、災害時にも効果があがる、その重要な役割は地方自治体が担っていると専門家は言っています。
 2つは、大地震発生時の市職員の体制についてです。
 情報の収集、連絡体制、対策本部を中心にした系統図があり、万全の体制をとっているといっていますが、マニュアルに基づいての職員の訓練は行われていると言っても、毎年、職員の約22%しか参加していないようです。いざ大地震が発生した時に、その業務体制が十分に取れなかったのが阪神大震災、新潟中越地震の教訓です。緊急時にその体制を機能させるのは、平常からの教訓です。訓練等を通じて、完成度を上げていくことが求められています。見解を伺います。
 3つは、市民災害時の避難についてです。特に、高齢者、障害者に対する救済は、大きな課題です。大地震が発生した時の高齢者、障害者の方々への対応などは、特別に考える必要があります。実際のとりくみにあたっては、災害の事前、事後を含めて、要援助者を把握することです。そして、自主防災組織のみなさんとよく議論し、援助される本人の納得はもちろん、自治体担当者やボランティアなどの援護者が共通の認識をもつことが大切です。東京板橋区では、これらをもとに「要援助希望カード」による申請をはじめています。千葉市でも実施すべきです。
 4つは、木造住宅の耐震診断と改修についてです。
 災害から市民の生命と財産を守る上で、生活の基本である住宅の安全化対策は最も重要なことです。阪神大震災における人的被害(死者)の約85%は、住宅の倒壊などが原因であり、また、被災後の生活回復にとって、住宅再建が最も困難な課題でした。
 国、地方自治体が耐震化の必要性を十分に市民に周知する対策が弱いと同時に、市民が自ら住宅の危険度合を判断することは困難なことであり、多額の費用がかかることからも耐震改修対策は遅れています。千葉市でも、耐震性を有しないと予測される住宅が2万戸もあるとの答弁でしたが、その戸数からいっても、耐震改修は極めて遅れていると言わなければなりません。市が耐震化の重要性を市民に広く周知徹底するとともに、現行の耐震診断・改修の助成制度では、あまりにも助成枠が狭すぎるので、市の予算を大幅に増額し、診断・改修テンポを早めるべきです。
 また、密集市街地や緊急輸送道路沿いの住宅については、耐震化をとくに急ぐべきです。