小関としゆき議員の討論

2005.12.15
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 日本共産党の小関としゆきです。党市議団を代表して議案第198号、第199号、第200号、第203号に反対するとともに、発議第14号が否決され、請願第7号、第9号、第10号が不採択となったことに対し、討論を行います。

はじめに、議案第198号・千葉市市税条例の一部改正についてです。
 この議案は、地方税法の改正により、高齢者に対する個人市民税の非課税措置が廃止され、市民負担を段階的に行う経過措置として提案されたものですが、これは、市民税が非課税だった9,000人の高齢者が、ゼロから、市民税9,980万円、県民税5,480万円、合計1億5,460万円もの増税となってしまうものです。
 また、この非課税措置の廃止によって、介護保険料の引き上げ、高額介護サービス費や特別養護老人ホーム利用者の介護サービス費や負担額の引き上げになり、国民健康保険の高額療養費や入院時の食事負担額にも影響がでてきます。
 その他、68歳・69歳の老人医療費助成制度から1,200人が除外され、予防接種や骨粗しょう症検診、胃がん検診などの自己負担が増加し、市営住宅の家賃等にも影響が出ることになります。
 日本共産党は、地方税法の改正には国会でも「不公平税制を拡大するもの」と反対しましたが、公的年金の控除引き下げ、老年者控除の廃止などの強行で、高齢者の暮らしはますます厳しくなり、「高齢者いじめ」とも言われている中で、これに拍車をかけるような市税条例の改正は、認めるわけにいきません。

次は、議案第199号・千葉市国民保護対策本部及び千葉市緊急対処事態対策本部条例、議案第200号・千葉市国民保護協議会条例についてです。
 反対理由の第1は、この条例は「国民保護法」に基づくもので、その大本には、アメリカの引き起こす戦争に日本が一体となって参加する「武力攻撃事態法」があるからです。
 武力攻撃事態法第2条で、「武力攻撃事態」には「武力攻撃予測事態」も含まれ、その「武力攻撃予測事態」とは、武力攻撃事態に至っていないが、事態が緊迫し武力攻撃が予測に至った事態のことだと規定し、第22条の中では、アメリカ軍や自衛隊が実施する行動が円滑かつ効果的に実施されるための措置を行うとしています。
 また、第5条で「地方自治体の責務」「国民の協力」が明記され、従わない場合の罰則が規定されています。
 つまり、他国の攻撃を直接受けていなくても、政府の判断で「有事体制」に国民・地方自治体・民間企業を動員することができ、アメリカの引き起こす戦争が円滑・効果的に行えるよう自衛隊も日本国民も動員できるよう「罰則」を決めたのが「武力攻撃事態法」です。この具体化である、今回の条例は、到底認めることができません。

 反対の第2の理由は、この条例に基づく千葉市の計画は、市民の保護ではなく、市民を戦争に強制的に動員するのが目的になるからです。
 地方自治体は「国民保護計画」の作成が義務付けられて、「国民保護法」に基づき、病院・学校・公民館などの施設をアメリカ軍や自衛隊に提供したり、指定公共機関とされた医療・運輸・マスコミなども計画づくりが課せられています。
 千葉市は、コンサルタントに依頼するとしていますが、千葉市が作成する「保護計画」には、町内自治会・消防団・自主防災組織などが動員され、平時から「国民保護体制」つまり、有事体制に組み込まれていくことになります。
 「国民保護法」の下では、政府の判断で、市民の避難・救援より軍事が優先され、米軍や自衛隊の軍事物資の輸送、負傷兵の治療が優先されることになります。
 消防や救急は独自の判断では行動できず、本来市民の生命や財産を守る任務は制限されることになります。
 市の職員は、自らの信念と良心から「戦争に協力できない」と拒否した場合は、罰則を受け、職を失うことになります。
 このように、「国民保護」の名目で、市民を強制的に戦争に動員し、拒めば罪となる条例には、断じて反対です。
 反対の第3の理由は、この条例の制定が、憲法9条や千葉市平和都市宣言と矛盾するからです。
 航空機やミサイルの攻撃、テロなどから「国民を保護するため」と言いますが、政府の決めた「国民保護に関する基本指針」でさえ、「直接脅威の可能性は低下」といっており、主な想定は、「日本の安全のためには、アメリカに協力して国際テロや大量破壊兵器の脅威と戦うため海外まで出かけること」であり、アメリカの言いなりに、自衛隊をイラクに派兵したように、どこへでも出動させ、地方自治体や民間企業、国民及びその財産を強制的に動員しようとするものです。
 これは、憲法が規定する基本的人権の尊重や恒久平和を希求し、戦争を放棄した憲法9条に反するものであり、核兵器廃絶と恒久平和を願い制定した「千葉市平和都市宣言」とも矛盾するものであります。

次に、議案第203号・千葉マリンスタジアム設置管理条例の一部改正についてです。
 これは、今まで、株式会社千葉マリンスタジアムが管理運営してきたものを、指定管理者制度に移行するというものです。
 指定管理者制度の選定には、公募と非公募がありますが、千葉マリンスタジアムを非公募とした理由は、「施設の設置経緯や管理、利用実態等に関し固有の事情があり、現在管理を委託している団体や地元町内会等を指定管理者とする施設」として「マリンスタジアムを位置づけた」としています。そして、この選定を千葉市、株式会社マリンスタジアム、ロッテ球団の三者で協議しています。
 指定管理者の指定手続きは、「管理業務を行うことができると認める法人その他の団体をその申請によって議会の議決を経て、指定管理者として指定する」となっているにもかかわらず、マスコミで、議案が議会に提案される以前から、ロッテ球団に決定されたかのように報道されています。このようなことは、今後の非公募による指定管理者の選定に問題を残すことになり、認めることは出来ません。
 1に、千葉市、株式会社マリンスタジアム、ロッテ球団の三者での協議は、極めて不透明であり、情報公開・説明責任に反している。
 2に、次回の定例会で提案するといいながら、すでに新聞報道される事実があることは、議会の軽視である。
 3に、非公募による指定管理者の選定基準が曖昧である。
 以上のような問題点があることを指摘しておきます。

次に、補正予算・幸町第三小学校のアスベスト除去に伴う対応についてです。
 S49年に開校したこの学校は、当時、マンション建設業者が効果的な開発を進めるために、マンションの建設と一緒に学校を建設したものを、千葉市教育委員会が買い取ったものです。しかし、この学校は、当時市が建設した他の学校よりも、アスベスト含有吹付け面積は広大で、約4,100平方メートルにも及び、全ての教室にアスベスト含有材が吹付けられているのは、幸町第三小学校だけです。
 また、政府が示したアスベスト含有率は1%未満と規制しているのに、この学校の天井からは3〜11%の高濃度で検出されており、健康被害への不安は極めて深刻です。市は、このアスベスト除去工事を行うために、工事期間中、幸町第三小学校の子どもたちを第二小学校に通学させることになります。これは、児童の安全に万全を期すための当然の対応です。しかし、児童生徒や卒業生の健康を守る対策と児童の登下校における対策については十分とは言えません。その問題点を指摘し、早急な改善を求めるものです。
 1に、幸町第三小学校に在校した児童生徒全てに、情報を提供する必要があるにもかかわらず、在校生だけが対象の説明となっていることです。
 2に、アスベスト被害への不安を払拭するために、健康診断を行うことは市の責務であるにもかかわらず、実施しようとしないこと。
 3に、児童生徒の登下校に対し、親の不安は大きいにもかかわらず、スクールバスや安全員の配置など市独自の対策を取らず、地域のボランティアの拡大だけで対応しようとしていること。
以上のような問題があります。市民の願いに応えて、ただちに改善するよう強く求めておきます。

次は、請願第7号・国民健康保険制度の改善、充実を求める請願についてです。
 今日、所得格差が大きく広がる中で、国保料の支払いがままならず、保険料の滞納世帯が急増しています。千葉市は、こうした世帯の実態をつかむことなく、病院窓口で10割負担となる資格証明書や短期保険証を大量に発行しています。
 また、医療制度改正によって自己負担が増え、医療費が払えないために、病気になっても受診を控える市民が増加しています。病気は軽いうちに医者にかかれば治るものを、結局、重症化させ医療費の増大を招くことにもつながります。
 この請願は、こうした実態を直視し、心の通った健康保険制度にするために、資格証明書や短期保険証の一律発行を止めること。医療費一部負担金の減免及び猶予にかかわる本市の要綱を利用しやすくすることなどを求めたものです。
 しかし、深刻な実態には目を向けず、「国保財政の上から」とか「国の方針だから」などと、市民の健康を守る立場に立つことなく、日本共産党以外の全会派が反対し、不採択になったことは大変遺憾です。

次は、請願9号・乳幼児医療費無料制度の拡充と見直しについての請願についてです。
 子育て支援事業の一つとして、政令市をはじめ全国の市町村で進んでいる乳幼児医療費制度の拡充は、年々広がっています。
 本市は、現在4歳未満児が対象ですが、子育て世代からは、その年齢の引き上げと200円の手数料を廃止することが強く求められています。
 保健下水委員会では、乳幼児医療費助成度の拡充は子育て支援には欠かせないのに、「国が行うべきこと」とか「国の動向を見る」などの理由で、これもわが党以外の全会派の反対で不採択となりました。
 子育て支援に本気で取り組むよう、乳幼児医療費の無料制度拡充を、市議会としても積極的に働きかけるべきです。

次は、請願第10号・就学援助制度の拡充を求める請願についてです。
 長期に及ぶ不況のもとで、子どもを育てる親の教育費負担は、年々重くなり、生活費に占める割合が大きくなっています。このことが、少子化を進める大きな要因にもなっています。憲法では「国民は等しく教育を受ける権利を有する」「義務教育はこれを無償とする」と規定し、国はそのため経済的な困難があっても義務教育を受けられるよう、就学援助制度を設けています。現在、全国の受給率平均は12.8%であり、政令市平均は13.5%ですが、千葉市では7.42%と極めて低い状況となっています。今回の請願は、この制度が、経済的な困難をかかえている家庭に対し、その内容を分かりやすく知らせるとともに、現状の制度を維持し、申請窓口の拡大を求めたものです。他市では、制度を分かりやすくするために、収入の基準を示したり、区役所や教育委員会でも受け付けるようになっています。
 千葉市では、給食費未納家庭が増加していますが、この制度を経済的な困難をかかえている全ての家庭に、十分知らせることは、教育委員会の責務だと言えます。
 経済教育委員会の日本共産党以外の会派は、「現在の千葉市の就学援助制度は、願意を満たしているから反対」としましたが、千葉市の制度は、政令市や全国と比較しても十分ではなく、経済的に困難な家庭が増えているもとで提出された市民の願いに対して、実態さえつかもうとせずに不採択にしたことは、市民生活をかえり見ない態度であると強く指摘しておきます。

次に、発議第14号水道水源保護条例についてです。
 この条例は、水道法第2条の規定に基づき、水道水源を守り、周辺の清潔保持に関しての水源保護施策を講じることで、市民に安全な水を確保し、生命及び健康を守ることが目的となっています。
 常任委員会では、「本市の水源の現状から、水源の保護を図ることは難しい」ことや「農薬を使っていないゴルフ場を入れる根拠がない」という意見がありましたが、この条例は、産廃処理施設などから水道水源を保護するための条例です。
 しかし、現在の産廃処理法では、産廃処理施設の設置に際し、地域住民への説明義務はありません。千葉市では、300メートル以内の住民への説明・調整のみとなっていて、極めて不十分なものです。
 他の県議会では、県外からの産廃持込を規制する条例を作ろうとした際に、国からの許可が下りなかった例もあるなど、現在の産廃処理法では、法規制の限界があるため、水道水源を守る立場で水源保護地域を指定し、水質汚濁防止法施行規則の規定によって、有害物質を規制することが必要であり、そのための条例提案でした。
 委員会では、「ゴルフ場の農薬については3%規定、5%規定の条例で守られており、対象にしなくてもよい」との議論もありましたが、千葉県では、H16年度の「ゴルフ場使用農薬に係る水質調査結果」で、8か所のゴルフ場から農薬成分が検出されています。
 違法な状況が起こってからでは遅いわけで、行政は、市民の生命と健康を守るために、予防原則の立場から規制することが必要だということを指摘しておきます。
 以上で討論を終わります。