ふくなが洋議員の予算に対する反対討論

2006.3.10
 日本共産党市議団を代表して96議案中、25議案に反対して発議第1号が否決され請願第1号が不採択になったことに対して討論を行います。

 第1は、小泉構造改革・三位一体改革の影響と市長の対応についてです。
 新年度予算は、小泉内閣が進める「三位一体」改革の最終年度の予算であり、4年間の全体像で明らかになったことは、憲法が保障する国民の権利に対する、国の財政責任の後退と地方への支出の大幅削減でした。
 そのため千葉市財政も、4年間で国庫補助負担金の減額と、普通交付税・臨時対策債の合計から所得譲与税の増額を差し引くと、合計で122億8,100万円もの影響を受けています。
 地方六団体は、「平成18年度地方財政対策についての共同声明」で「平成16年度から平成18年度までに総額5兆円もの地方交付税の削減が行われることになり、地方にとってはきわめて厳しい財政運営を強いられるとともに、住民の行政ニーズにきめ細かく対応することが困難となる事態も懸念される」と批判しています。
 しかし、鶴岡市長は「昭和25年にシャープ勧告に基づいて国・地方の税制ができて以来、所得税が個人住民税に3兆円もの税源委譲が行われたという、これだけの地方自治にとってプラスになる改正は行われて参りませんでした。これが、何よりの評価すべき点だと考えております」と高く評価しました。
 しかし、三位一体改革で国庫補助負担金は4兆9,000億円、普通交付税は5兆1,000億円削減され、国から地方への支出合計は、10兆円が削減となり3兆円が増額で差し差し引き7兆円の大幅削減となっています。
 市長は、9年ぶりに不交付団体になったことに対し新聞報道で「名誉なこと赤飯を炊いても良い」と発言していますが、財源不足を基金からの繰り入れ・借り入れで補い、さらに三位一体改革の影響で普通交付税不交付団体になったのです。
 そのために今後4年間の三位一体改革で91億円の減収、交付税措置として新年度予算の算入額の317億円が不交付となり、地方道路譲与税も平成19年度は、3億3,000万円減額されることになります。
 鶴岡市長が地方財政の大削減である「三位一体改革」について評価することは、認められません。

 第2は、格差社会から市民生活をまもる予算についてです
 予算は一般会計3,323億円で、対前年度比93億円1.2%の減額です。
 格差社会が進行する中で、地方自治体の役割は大きくなっています。少子高齢化対策では、市民運動とわが党が要望してきた乳幼児医療費助成が、就学前まで所得制限無しで無料化が進んだことは評価できます。
 しかし、そのために高齢者福祉手当を廃止し、障害者福祉手当は半額近くになり、生活保護世帯への慰問金が廃止され、集団健康診断の有料化等で負担増は14億円になります。
 市税収入は、対前年度比で50億円の増です。これは個人市民税の定率減税の縮減、老年者控除の廃止など市民の増税分約35億円を含みます。
 これら35億円の市民増税の予算は、まず市民の暮らし福祉予算委に回すべきです。
今日、マスコミでも格差社会がもたらす悲惨な状況が報道されています。
 千葉市でも、直近の5年間で生活保護世帯は1.75倍、小中学校の就学援助受給者は1.4倍にもなっています。総務省全国消費実態調査でも、年間収入のジニ係数が、1999年と2004年を比較すると0.301から0.308になり、格差の拡大が示されています。
 にもかかわらず、市民の厳しい生活状況に対して、高齢者福祉・障害者福祉予算は、前年度比13億4,000万円も減額になっていることを認めず、教育費は対前年度比46億200万円、12.1%の減額で、義務教育費が27億円減額され耐震補強工事予算を削っていることは認められません。
 環境保全部の予算は10億7,959万円で、対前年度比約20%の減額で、一般会計の0.3%しかなく、環境の世紀にはふさわしくない予算です。
 商工費は毎年減らされ、5年前に比べて3分の1になっています。商工振興費85億円の中で、千葉市内商店街に直接支援する活性化対策費は2,047万円しかなく、効果ある施策を実施することも出来ません。
 格差社会を認めず、市民の暮しに背を向ける鶴岡市長の態度は許されません。

 第3は、千葉市の大型開発と借金財政の問題です。
 市債・債務負担行為・全会計の合計と返済利子を加えた、いわゆる千葉市の借金の合計は今年、1兆3,622億800万円となり、市民一人当たり147万円になります。
 公債発行残高は、平成7年度3,872億円から平成16年度6,597億円になり10年間で約2倍に膨らんでいることは、いかに大型開発予算が膨らんでいるかを示しています。
 4月から地方債の自由発行が認められ、実質公債比率が18%未満の自治体は許可制から事前協議制になりますが、千葉市の実質公債比率は19.5%であるため、対象外になることも問題といわざるを得ません。
 中立的な立場で、市民の利益のために大型開発や10億円以上の大規模公共事業の見直しを大胆に進めるべきですが、大型開発の見直しには目をつむったままです。
 千葉市の借金は、見通しのない蘇我臨海開発、中央第6地区市街地再開発、千葉中央港土地区画整理事業、千葉駅西口市街地再開発、新港横戸町線などに、これまで平成13年から16年までに667億円もつぎ込み、さらにこの5事業に、鶴岡市長の1期目で319億円もつぎ込こみ、今年は約103億円予算化しています。このことで、さらに財政状況は悪化しています。
 これら、千葉市の多額の借金に対し、健全性、効率性、公正性の視点からメスを入れて、納税者である市民に説明責任を果たすべきです。
 千葉市は、外郭団体の土地開発公社を、2006年度から約10年かけて廃止する方針を明らかにしました。
 バブル崩壊後、長期にわたり保有する「塩漬け土地」の発生を生み、需要も減少するなかでは、先行取得事業の市直営化が求められます。
 しかし、土地開発公社の廃止は、そう簡単にはいきません。開発公社の保有地は、04年度までに41万4,256平方メートルで5年以上保有している「塩漬け土地」は、23万3,719平方メートルです。
 簿価は357億6,700万円。路線価は104億5,200万円です。簿価と路線価の差は253億1,500万円にもなります。
 JR千葉駅西口再開発では、来年度から「特定施設建築物制度」による事業が開始されます。再開発用地は372億円で買収され、その内訳は、千葉市が305億円、土地開発公社が67億円でした。この土地が民間に移った時点で簿価から時価となり、土地価格は10分の1の37億円となります。そうなれば、差額の約330億円は市税からつぎ込まれることになります。
 さらに、中央第6地区市街地再開発では、旧扇屋ジャスコから5,028平方メートルを135億7,300万円で購入しました。しかし、事業の遅れで10年間にわたり年間6億500万円の利息を払い続け、合計利息は65億円、土地価格と合わせれば200億円になります。
 この土地の推定価格は現在13億5,000万円ですから、これもその差額187億円が市民の税金で賄うことになります。
 これだけでも、合計すれば517億円となり、市民に多大な税負担を押し付けることになるのです。無駄な大型公共事業を大胆に見直し、千葉市の責任を明確にしたうえで、土地開発公社の廃止は行うべきです。

 第5は、千葉市新行政改革推進計画、財政健全化プランについてです。
 千葉市は今年の2月に、新行政改革推進計画と財政健全化プランを発表しました。
 新行政改革推進計画を改定し、これまで以上に行政改革に取り組み、「市民視点」「納税者視点」を重視するとしています。果たしてそうなっているでしょうか。
 本当の意味で市民が主役になっていません。
 それは、小泉首相の諮問機関である経済財政諮問会議が2004年9月に出した「日本の21世紀ビジョンに関する報告書」では、「豊かな公、小さな官」として、「小さくて効率的な政府の下で、公共サービスは豊かになる」「国と地方の関係を見直し、道州制を実現する」としています。
 この流れは、新自由主義、格差社会をさらに広げ、弱肉強食の国づくりを目指すものであり、財界主導の戦略に従うわけには行きません。
 千葉市の「行革」も財政健全化プランも、「日本の21世紀ビジョン」の方向に歩調を合わせている問題があります。
 財政健全化プランは、平成18年から21年度までの収支不足を950億円と見込んでその確保のために受益者負担の適正化、公共料金の値上げ、無料施設の有料化などを進めようとしています。
 市民に多大な犠牲を押し付ける「行革」や財政健全化は、納税者である市民参加・市民の合意を得て進めなければならないものです。
 市民がどのような取り組みを選択するかは、市民が最後に判断するものであり、市民の創意と工夫、そして納得のもとで進めるべき課題です。
 行政主体の「行革や財政健全化」は、市民との矛盾をさらに拡げます。市民主権の立場で再検討を求めるものです。

 第6は、指定管理者制度の問題です。
 これは、行政サービスのあり方の根本にかかわる問題です。
 そして何より、指定管理者になって市民の利益やサービスが向上するのかどうかが問われます。便利になることは市民の願いであり、その要望に応えるものでなければなりません。働く人たちの雇用の安定化も図られなければなりません。
 また、教育や文化事業、救急医療、重症心身障害者施設などは、そもそも指定管理者制度にはなじまないことがはっきりしました。
 さらに議会質問で、民間事業者の場合、議会の関与が事実上できないことが明らかになったのは重大な問題です。
 首長や議員、その他の関係者、特定団体の経営する会社法人などは、多く情報・権力をもつであり、指定感謝への応募について問題がないとの姿勢は公正・透明性を欠くことになります。
 今回、残る公共施設103施設の指定管理者が提案されました。千葉市は、管理委託料が、前年度82億8,209万から76億2,454万円になり、6億5,754万円減額になったと説明しています。
 予算が削られて「良し」とすることなく、公正・透明性を確保するために市民サービス向上監視委員会の設置を求めます。

 第7は、国民保護法の問題です
 政府が、有事の際の住民の避難方法を示した「市町村国民保護モデル計画」の素案は、「弾道ミサイル攻撃」「ゲリラ・特殊部隊による攻撃」「着上進行」であり、全国の自治体担当者から、「荒唐無稽な想定で、どこへ避難したらいいかも分からず計画の作りようがない」との声が上がっています。
 私たちは、国立市の上原君子市長が「自治能力を発揮することが重要、非現実的な想定で全く予測できない他国からの侵略に対してまで計画はいらない、災害弱者を守る計画こそ必要」と述べていることを紹介して、千葉市でも自治能力を発揮して、政府の計画押しつけに従うのは止めるよう求めました。
 しかし、市長は「押しつけとは考えていない」と答え、政府の方針どおり実施するとしていることは極めて遺憾です。
 また、3月7日に富浦町で実施された、千葉県との共催による「全国瞬時情報システム」の実験と避難訓練に、授業中の小学生を参加させたことが「子どもたちを戦争訓練に動員するもので許せない」と批判の声が上がっています。
 日本共産党が、「千葉市も小学生を動員するのか」と質問したところ、「災害弱者として避難訓練に参加させる」と答弁していることは許せません。
 戦後の平和教育の根幹を揺るがす重大問題であり、答弁の撤回を強く要求します。なお、党市議団の国民保護法への態度に対して、「思想信条から反対している」との指摘がありましたが、全くの的はずれです。
 私どもは、二度と戦争はしない誓った日本国憲法と千葉市平和都市宣言に沿って、市民の平和を守るために、アメリカの起こす戦争に協力させられる「国民保護計画」に反対していることを申し上げます。

 第8は、モノレール事業についてです。
 会社再建については、公共交通機関としてモノレールの存続は必要なので賛成します。問題は、貸付金や資本金を放棄することによる損失や、会社施設の一部の譲渡を市が受けることによって、施設更新費用などが膨らむこと。県から支出される「手切れ金」のほとんどをモノレール会社に貸し付けることは、資金の使途が違い、また返済の見込みに不安があることです。
 和解については反対です。千葉県がモノレール事業から撤退することは、将来に渡って千葉市の負担が増え続けることであり、県が55年協定を破棄することに、あれほど強く反対していた鶴岡市長が「賛成」したことは、市民への背信行為です。
 延伸計画については、利用者見込みと黒字になるという説明が曖昧で、賛成できません。当局は「利用者見込みを調査した」と言いますが、それは3年前のアンケートであり、青葉病院関係者の調査もしていないなど、信憑性に欠けています。
日本共産党は、緊急アンケートを実施し1,700人から回答があり、引き続き届いています。賛成・反対とともに様々な意見が寄せられています。公共交通機関の在り方が問われ、多額の予算を使う事業であり、「延伸ありき」でなく、市民の声を広く聞くべきです。

 次に各部局ごとの問題点を指摘します。
 まず、財政局についてです。
 公共事業は中小企業発注が65.7%ですが、もっと発注率を引き上げて地域経済活性を図ることを求めます。また、防衛施設庁官制談合事件で、契約の透明性・競争性が改めて問われ、落札率95%以上は談合だと指摘されています。
 千葉市も公正取引委員会から、独占禁止法違反で多数の業者が談合で摘発され処分を受けましたが、最近の契約は落札率が高く、95%以上はざらであります。公正な契約が実施されるよう一層の改善を求めておきます。

 つぎに、総務局についてです。
 姉妹友好都市の3都市2か国へ、費用約1,600万円で表敬訪問する記念行事予定されていますが、財政状況が厳しく、市民への負担増を押しつけている中で、市民の理解が得られる事業なのか問われます。訪問団の縮小・市長及び議長夫人同伴の中止や、旅費の節約、訪問中止も、視野に入れて、再検討することを求めます。

 企画調整局についてです。
 その1は、第2次5か年計画についてです。
 総事業費が前計画の3分の2、4,000億円余に減額されている中で、福祉・環境・地域経済などの事業費は、3分の1近くに減らされていることを昨年12月議会で指摘し、増額を求めてきましたが、是正されていないことは遺憾であります。
 街づくりの基本を「業務核都市」「3都心づくり」中心から、市民生活優先・格差社会の下で苦しむ市民に、光を当てる街づくりへと転換することを重ねて提案します。そのためにも「市民参加の計画」を徹底し、計画策定前だけでなく、執行中にも市民の声を聞いて必要な見直しを行うべきです。
 その2は、総合交通ビジョンについてです。
 今までの交通計画で、いつも欠落しているのは、交通機関の利用者と交通機関で働く人達の声を聞かずに策定していることです。そのたため、過去に千葉駅前広場の改修で、障害者用タクシープールが平面に無い、全国でもまれな欠陥駅と指摘されました。総合交通ビジョン素案およびビジョン策定の過程で、利用者・障害者・高齢者・交通機関で働く人を含め、市民参加を徹底すべきです。

 市民局についてです。
 「地域防犯計画」が提案されました。安全安心の街づくりは市民共通の願いであり、行政の努力と警察との協力や、地域防犯組織の強化は必要なことですが、行き過ぎがあるとプライパシーが侵害され、監視社会へと進んでしまうので、慎重な対応を求めます。
 雇用情勢は引き続き厳しく、市長も認めているとおり、正規職員の募集はわずかしかありません。相談事業を充実させ、先進都市に学んで、若者の雇用を推進させることを求めます。あわせて、高齢者の仕事確保について担当の所管と協力し、シルバー人材センターへの委託事業の増加を図るべきです。

 保健福祉局についてです。
 障害者自立支援法は4月実施となます。50年来、「応能負担」だった障害者福祉が「応益負担」とされました。千葉市では、これまで無料だった障害の重い人、所得の低い人で1割負担になる方は1,100人にものぼります。横浜市、京都市など他の自治体では、低所得者の負担軽減のために、減免策を予算化していますが、千葉市は一貫して、減免策を実施しようとしません。施設の待機者も7年・10年待ちでありながら、障害児予算を3億円余もカットするのでは、障害者の自立は進みません。
 介護保険については、保険料の値上げと同時に、介護施設の居住費・食費の利用者負担は大きな問題です。介護サービスが削減されていないか実態調査を行い、先進市のような負担軽減策を設けることが必要です。
 地域包括センターは、各区2か所・計12か所とのことですが、福祉・医療・介護の連携を担当する拠点なのですから、より細かな支援ができるよう実態に合わせて増設することが必要です。
 特別養護老人ホームは、1,800人を超える待機者を解消するためには、国の参酌基準ではなく、実情に即した整備計画に切り換えることを強く求めます。
国民健康保険の資格証明書の発行は、病気にかかった市民を病院から引き離すものであり、発行は中止すべきです。
 保育所の整備では、築30年以上が40か所ありながら、第2次5年計画では12か所だけの整備であり、老朽化への対策は不十分です。
 改築にあたっては、公設保育所の民営化も検討されていますが、経費削減で、保育の質の低下が懸念されます。引き続き、公立保育所として運営すべきです。待機者対策も3月1日現在で897人おり、5か所の新設では間に合いません。
 子どもルームは、60人以上の施設が75%占めており、1人あたりの広さは2uと狭く、保育所の基準よりも低い水準です。子どもルームにも設置基準を設け、大規模化したルームの早期分割を求めます。

 環境局についてです。
 JFEスチールの有害物質の違法排水、排水の自社データの改ざん問題は、本当に解決されたとはいえません。分かりやすい情報公開、市民参加が不十分です。JFEスチールがコンプライアンスまもり、市民参加の「公害防止協議会」を設置すべきです。
 地球温暖化対策では、ごみの発生抑制をすすめ、清掃工場の2工場体制に向かうべきです。そして地球温暖化に反するプラスチックの焼却は止めるべきです。
 市内の違法廃棄物の実態は、24件・3万550トンにもなります。速やかに対応するためにも千葉市独自の条例を制定して自然環境を守るべきです。
 事業所ごみの減量については、目標値がないため、千葉市の減量計画が遅れる要因となっています。事業所も一体となった取り組みが必要です。
 溶融スラグのストックヤード建設については、溶融スラグは、ダイオキシン類はもとより、重金属などを含んでいます。これらが道路や住宅建材に使われるようですが、健康被害や地下水への浸透などが危惧されます。決して安全なものではないことを認識すべきです。あくまで、ごみ発生の抑制に力を注ぐよう求めます。

 経済農政局についてです。
 市内の商店街や中小業者の実態は、倒産や閉店に歯止めがかからず、「景気は緩やかに回復」とする政府認識と大きく乖離しています。こうした中、千葉市の商工振興予算は、企業立地や金融対策を除けば年々減額され、従来どおりのアンケートや要望待ちの姿勢では、効果的な振興策は生まれません。悉皆調査で要望を掘り起こし、その中から施設展開を図るべきです。
 また、街場の仕事を増やし地域経済の活性化を図るために、経済部が各局と連携することが必要です。例えば、都市局では住宅リフォーム助成制度の創設や、老朽化した市営住宅のサッシや畳・トイレの改善、福祉局では高齢者・障害者の介護施設を建設し、障害者が作った製品を市の記念行事で利用すること。
 建設局では道路のバリアフリー化を促進し、教育委員会では、地元農産物の活用など、全庁あげて雇用と仕事確保のための連携が必要です。
 企業立地策には、多額の費用をかけながら、若者の雇用や正規雇用人数が条件とされていないのは問題であり、義務付けるよう強く求めます。

 都市局についてです。
 その1は、建築行政についてです。
 市営住宅2月の応募数は、一般31倍・単身28倍・高齢者5倍と、申し込んでも入居できない深刻な事態です。建て替えや「空き屋」住宅の募集を増やすべきです。
 耐震診断と耐震改修助成については、評価できますが、対象となる昭和56年以前に建設された木造住宅は52,000戸もあり、このままでは大地震が来た時に大きな被害が出てしまいます。対象市民に積極的に働きかけることを急ぐべきです。
 その2は、花のあふれる街づくりについてです。
 上からの押しつけではなく、市民が日頃から望んでいる花づくりに、行政が協力していくスタンスと、芝桜公園など花の名所を市民ぐるみで作っていくことを提案するものです。

 建設局についてです。
 土木費では、側溝新設、改良、交通安全施設で、昨年度よりも約25億円削減されています。市民に身近な生活密着型事業は、経済波及効果につながるものであり、減額どころか充実すべきです。
 子どもや高齢者、障害者が地域で安心して住み続けられるよう、点字ブロックの充実、段差解消などバリアーフリー化の充実を図ることです。

 下水道局についてです。
 汚水処理普及率が96.7%に到達し、千葉市の下水道行政は大きな区切りを迎えて、新しい展開に進むことになりました。今後は、雨水処理・浸水対策が重点になるとのことですが、雨水貯留幹線のように多額の投資が必要で、溜まった水を海に流してしまう事業は必要最小限に押さえ、雨が降った上流だけでなく、河川・下水路の途中で溜めて、そのまま地下水に涵養するする水量を増やすことが必要です。
 下水道の接続は、市民の住宅とともに公共施設も急がねばなりません。
 下水道会計が、多額の借金を抱えていることを踏まえ、経費を節減しながら、より効果的な施策展開に創意工夫を凝らすことを提案しておきます。

 消防局についてです。
 消防力の指針に沿って、不足している146名の職員を順次増員して、体制強化と若い消防力を増やしていくことが急がれています。

 教育委員会についてです。
 経済的格差が子どもたちの学ぶ環境を阻害しています。全国で、就学援助を受ける児童が増え続けていますが、千葉市では7.4%と政令市平均の13.5%にも及びません。これは千葉市が、利用できる収入目安の表示を「混乱するから」拒否しているからではないでしょうか。多くの政令市で実施しているように、必要な家庭が就学援助を受けられるよう、目安を公表すべきです。
 高校生・大学生が、経済的理由で進学を断念したり、学費をアルバイトでまかなう状況があります。学ぶ意欲を少しでも支援するために、他の政令市に学んで、市独自に奨学金制度を実施すべきです。
 子どもの安全の問題では、安全員の配置や各小学校区ごとに子どもたちに関わる事件の状況を把握しながら、対策の具体化を図っていくことが重要です。
 中高一貫教育が市立稲毛高校で実施されますが、子どもたちを早期に過度な受験競争に落とし込むことになるのではないでしょうか。
 なにより、全ての子どもが「わかる授業」となるように、市独自に35人学級を実現するため予算を注ぐべきです。

 次は、発議第1号・千葉市社会福祉法人等による介護保険サービスに係る利用者負担の軽減に関する条例の制定についてです。
 昨年の10月から、特別養護老人ホームなどの施設入所者・在宅の通所サービスなど、利用者に新たに食事・居住費の負担が押し付けられました。これまで、介護サービスを受けていた、特に低所得の方には大幅な負担増となり、これまでのサービスが受けられなくなります。こうした方たちに対して、千葉市独自の軽減策を行うとするものです。
 「補足給付がされているから必要ない」「千葉市が軽減額1億6,430万円負担するのはいかがなものか」などの反対理由で、わが党以外すべて反対で否決されたことは極めて残念です。
 「補足給付」は、改定で居住費・食費の負担増が、あまりにも大きなものであるため、政府も極めて不十分ながら低所得者対策を設けたものであり、それでも負担が増える約2,000人の方々に対して、利用料の軽減を求めたものです。
 弱者に対する利用料の軽減は、優先して行うことが地方自治体の仕事ではないでしょうか。

 最後は、請願第1号・ごみ集積所の原状回復を求める請願についてです。
 これは、市の共有財産であるゴミステーションを、特定の個人が、自治会長を通したにせよ、関係する周辺住民の同意なしに、ごみステーションの場所を変更したことに対し、行政側に原状回復を求めたものです。
 しかし、行政側が、地域住民の意向を十分汲み取って対応したとは言えず、当事者間での話し合いや解決が困難なため、監査請求を提出し、今回の請願にまで至っているのです。それが不採択となったのは遺憾です。