小関としゆき議員の代表質疑への答弁(要旨)

2006.3.2
【鶴岡市長】
○ 「構造改革」と国予算について
 国の構造改革は、小さくて効率的な政府実現へ三位一体改革など、総人件費改革、医療制度改革等を行うもので、中止を求める考えはない。
○ 新年度予算について
 老年者控除廃止や公的年金等控除額縮小など税制改正での影響は把握している。少子高齢化で、世代間・高齢者間の税負担を公平に確保し、社会共通の費用を公平・公正に分かち合うよう論議されて改正されたものだ。新年度予算編成では、第2次5か年計画で、超高齢化社会に向け、市民ニーズの強いソフト施策に配慮した。
 三位一体改革による影響は、国庫補助負担金廃止・縮減と税源移譲等で約7億8000万円のプラスだ。市税と普通交付金税、臨時財政対策債合わせ一般財源総額は、4年間で80億円の減だが、構造改革で国と地方の行財政スリム化が進展した結果である。
 不交付団体になったのは、基準財政需要額を市税を中心とする基準財政収入額が上回ったためだ。市債は、これまで政令市に相応しい都市基盤整備と生活関連施設整備の財源として有効に活用してきた。今後も事業を厳選し抑制を基調とした計画的な市債の活用に努める。
○ 市民福祉予算について
 障害者福祉手当は、家族介護の慰労の意味合いで支給してきたが、支援費制度で移動介護や在宅サービス利用が大幅に伸び、家族介護の負担が軽減され、手当の額が他政令市より高水準なことから見直すことにしたもの。ねたきり老人等の福祉手当は、介護保険サービスの定着で居宅介護サービスが浸透し、家族による介護度合いが軽減した。他政令市は介護保険制度施行時に廃止しており、千葉市でも廃止することにした。現受給者には経過処置を取る。
 厳しい財政状況でも、重点的・効果的に活用し少子化対策や超高齢化社会への対応など、福祉向上に配慮した予算になっている。
○ 教育予算について
 義務教育費の減額は、小学校校舎等買収事業費や小学校新設校建設事業費等の建設関係事業費を減額し、補正予算で新年度実施予定だった耐震補強工事を前倒しした。少人数学級や学校・登下校の安全対策、特別支援教育指導員配置は、前年度と同様に充実している。
 耐震補強工事は、前年同様の予算が確保されている。H21年度までには、全校舎の耐震化を完了させる計画で実施している。
○ 環境予算について
 新年度は、太陽光発電を緑区と美浜区の保健福祉センター、看護師養成施設、泉谷公民館の4施設で導入する。住宅用の太陽光発電設備への助成も引き続き行う。風力発電は、現在、稲毛海浜公園内に10KWの設備を工事中だ。第2次5か年計画でも、新たな施設導入も視野に入れ推進したい。
○ 商工予算について
 商店街の活性化は、「千葉市商業振興方針」で、利用しやすい商店街支援制度に見直した。具体的には、商店街のリーダー、人材育成を目的に「商人にぎわい塾」や地域特性・課題を把握し、活動方針を策定する「商店街プラン作成事業」を実施する。さらに、地元資源を活用した地域連携活動事業や空き店舗活用事業の補助要件・採択件数の拡充、商店街共同施設修繕や電灯料補助の拡充へ見直しを行った。今後も、街づくりの視点に立ち、活性化へ効果的な施策展開を行う。
 千葉市が策定した事業環境整備構想と中小企業支援計画で、市産業振興財団は中小企業支援センター、新事業支援体制の中核的支援機関として事業を展開している。同財団は、中小企業の経営革新や創業支援、新事業創出など各支援機関と連携し各種事業を実施。企業訪問やアンケート調査などで、企業の実態やニーズ把握に努めている。新年度では、定年を迎える団塊世代の経営ノウハウを活用する「企業支援隊」の創設、プライバシーマークの取得支援など市内事業者への支援を拡充していく。
○ 大型開発予算について
 蘇我特定地区などの都市基盤整備は、快適な生活環境の向上や都市機能の増進、雇用創出や税源の涵養につながり、都市再生と地域経済活性化に効果を発揮するもの。
○ 第2次5か年計画について
 計画推進にあたって、より多くの市民に計画内容を知ってもらうために、市政だよりや計画書の概要版、市のホームページを活用した計画のPRに努める。市政出前講座も活用し、直接市民に説明していく。計画の推進では、必要により中間の3年次目に見直しを行う。新5か年計画の見直しは、「緊急性」「重要性」「有効性」等の評価基準で評価し、「前倒し」「先送り」「事業手法変更」に分類した。計画策定時にはなかった事業の具体化などを見直した。第2次5か年計画でも同じ手法で取り組みたい。また、時代潮流に的確に対応するため、「まちづくりの大切な視点」を定め、少子化対策、超高齢社会の対応、ユニバーサルデザインのまちづくり、環境との共生、産業再生・雇用促進を掲げ、必要なものは計画事業に盛り込んでいる。
○ モノレール事業について
 モノレール会社の経営再建策を実施することで、市が会社から無償譲渡される資産に生じるH44年度までの設備更新費用、約93億円のうち県負担金からの充当額を差し引くと、約46億5千万円の負担となる。県は、経営再建策や延伸による県庁前駅舎改築費、延伸区域の県有地無償貸与などの協力を合意し、市の主張が一定程度認められたと判断した。
 市が放棄する債権額は約100億円、県は約104億円となる。既存資本金を1億円まで減資することで、市・県の他に、民間企業の全出資者が保有する株式99%の99億円をモノレール会社に無償譲渡することになる。
 経営再建計画で最大限の経営改善を実施すれば、経営は安定化し、単年度黒字は実現できる。日本政策投資銀行へ借入金を一括償還し、利払いも解消することで資金繰りも好転するので、貸付金の償還は支障なく実行される。
 「モノレール検討調査委員会」で、県・市民対象にアンケート調査を実施した。5万枚配布し、県全体で4300枚、市内で1039枚回収された。結果は、賛成・反対数の比較は困難だが、経営改善や設備の簡略化、ルート変更等の条件で延伸との意見。既開業区間の経営改善・サービス向上に専念をなどの意見があった。
 延伸で、8800人の需要増の見込みは、千葉大病院、市立青葉病院への施設職員、学生、患者、見舞い客はじめ、郷土館や文化施設利用者、沿線居住者数などから需要予測したもの。会社再建策と既開業区間の黒字化とともに、延伸することで更に好転すると考える。
○ 自然災害と防災対策について
 学校体育館の建て替えは、老朽化している屋内運動場を文部科学省の国庫補助要件である耐力度測定を実施し、その結果で計画的に改築事業を進めていく。
 一般住宅の耐震診断件数は、H17年度当初予算件数60件に対し、H18年度予算では136件、耐震改修は同様に16件から30件へ拡充している。今後も制度の周知に努める。
○ 国民保護法について
 国民保護法は、武力攻撃事態から国民の生命・身体・財産を保護し、国民生活への影響を最小にするため、地方公共団体等の責務、避難・救援・武力攻撃災害等への対処などを規定したもので、予算の削除はしない。また、「平和都市宣言」とも矛盾はない。
○ 行政改革について
 今回の計画では職員を一律に削減するものではない。行政需要が増加している分野で必要な部署を増員するなど、適正な人員配置に務め、全体で目標を達成するもの。
 保育需要の増大や多様な保育ニーズに対応するため、民間活力の活用が必要だ。行革の視点からも有効であり、公立保育所のあり方を民間も含め検討していく。職員配置は、従来から適正配置に努めており、正規職員の採用と保育士有資格者の非常勤職員の活用で、保育業務に支障がないようにしていく。
 H18年度中に公共施設の使用料等の統一的基準を策定し、市民生活の影響に配慮しながら適正化に努めていく。
○ 保育所の整備について
 待機児童の解消へ民間活力の活用を含め、保育所の新設・増改築で定員増・定員の変更などを計画的に実施する。第2次5か年計画では、5か所の新設と老朽化対策含め12か所の改築を行う予定だ。
○ 農政について
 新年度の農業後継者対策予算は、H18年度からの第2次5か年計画で、新規就農者の育成・確保を位置づけ事業化した。研修内容の充実や研修奨励金制度の創設など拡充したもの。政令市の中では初めての実施となる。奨励金は基本的には、生活費の補填ではなく、研修期間中の農業の勉強に活用してもらうものだ。
 市内で生産される主要野菜の価格低落で、野菜生産農家が販売収入を得られないとき、補償金を交付し、経営の安定を確保するもの。
 共済準備金は、市70%・生産者20%・JA千葉みらい10%の割合で積み立て、市内市場への共選共販野菜出荷量全体を本事業でカバーし運用している。この事業は、3年ごとに見直し、H18年度から20年度は、特別栽培農産物のコマツナ等4品目を追加、20品目を対象にしている。

【小島助役】
○ 新年度予算について
 土地開発公社の買戻しは、H18年度で新港横戸町整備事業用地、都川総合親水公園整備事業用地、市道誉田町215号線道路改良事業用地、高原千葉村整備事業用地、千葉鎌ヶ谷松戸線道路改良事業用地など、14事業用地32万2465u、取得予定価格18年度末の推定簿価で47億3000万円、16年度末の推定路線価約27億6800万円と比較すると、その差額は約19億6200万円となっている。簿価と路線価の差は、地価が下落する中、事業計画の遅延や事業の見直し等により再取得が遅れ、公社の保有期間が長期化したもの。
○ 指定管理者制度について
 市は、指定管理者から毎年度、事業報告書を提出させ、必要に応じて指導する他、指定管理者はアンケートやモニタリング等の実施で、常に利用者の声を反映させた施設運営を行うことにしており、市民サービス低下はないと考える。
 指定管理者の指定は行政処分であり、請負契約ではなく、地方自治法の兼業禁止規定の適用はなく、選定で施設管理能力や業務遂行体制などを公平・公正に審査した。
 指定管理予定候補者になれなかった外郭団体は、業務量に見合った職員配置や事務事業の見直しを行い、派遣職員の引揚げと団体職員の希望を基に他の外郭団体への移籍斡旋を行うなど雇用確保に努めた。職員の労働条件は、労基法等関係法令の遵守が義務付けられており、適切な対応が図られると考えている。
○ 特殊勤務手当について
 H5年から、廃止も含め特殊勤務手当のあり方等について、労使による協議の場で論議してきた。増額分は2200万円、廃止分は5億7500万円で、差し引き5億5300万円の減額となる。今後も社会状況や他市等の動向も留意し、市民の理解と納得が得られる制度になるよう検討していく。
○ 介護保険制度について
 一般会計からの繰り入れは、介護給付費等に必要な費用の50%は保険料、残り50%は公費で賄われる仕組みで、市町村の一般財源は12.5%と負担割合が定められており、これ以上の繰り入れは考えていない。低所得者がサービスを受けられるよう、収入に応じた3段階の限度額を設定した補足給付が創設され、利用者負担第2段階の人の高額介護サービス費負担上限額が引き下がり、社会福祉法人で利用者負担軽減制度の運用改善がされている。特別養護老人ホームの整備は、本年度末で82人分、H18年度で210人分が竣工予定で、合計2202人分整備される見込みだ。今後の整備は、国の参酌標準や入所希望者の状況から整備目標を設定した、新たな高齢者保健福祉推進計画で整備を進めている。
 地域包括支援センターは、整備にあたり既存の在宅介護支援センターの実績、既存資源の活用の観点で、在宅介護支援センターを運営する法人に委託し、各区2か所ずつ、計12か所設置する。同センターの運営は、地域包括支援センター運営協議会を設置し、中立・公平の確保に努める。センターの設置数は、いきいきプラザやいきいきセンターなどの介護予防拠点施設の分布状況、高齢者人口のバランスを考慮し定めた、日常生活圏域内の各地域包括支援センターの業務量を勘案し、各日常生活圏域に1か所としたもの。
○ 障害者福祉について
 障害者自立支援法では、所得に応じて1ヶ月あたりの負担上限額が設定され、グループホーム等の入居者に個別減免、施設入居者に補足給付や通所施設の食費負担軽減など、低所得者に配慮した軽減措置がある。また、負担上限額を段階的に負担なしまで引き下げる措置もあることから、市独自の軽減措置は考えていない。
 障害福祉計画は、H18年度中に20年度までを第1期として、障害福祉サービスの種類ごとに必要量見込みとその確保策を定めるものだ。国の基準を踏まえ、地域生活への移行や就労支援策等の課題に対応するサービス基盤整備を進める。必要なサービス量は、現在の利用者数を基礎に、サービス提供事業者の新体系への移行希望を確認し、新たに利用が見込まれる精神障害者の地域移行や福祉施設から一般就労への移行などから見込むことにしている。障害者のニーズを把握し、障害者施策推進協議会での審議や障害者団体等の意見も聞くことにしている。
○ 国民健康保険について
 国保事業財政は、保険料と国庫負担金等で賄うのが原則だ。千葉市では、医療費が増嵩する中、被保険者の保険料負担に考慮し、H18年度でも一般会計から法定分以外の繰り入れを行うが、これ以上の増額は考えていない。
 資格証明書交付については、被保険者の事情を区役所窓口の納付相談や職員の臨戸訪問の際、個々に把握し「特別の事情」の有無を調査している。
○ 無料低額宿泊所について
 社会福祉法に基づき、生計困難者に無料か低額な料金で宿泊所を提供する事業で、事業開始後1か月以内に届出すれば良いことになっている。国は、利用者の処遇や施設の設備・運営について指針を策定し、本市でもその趣旨でガイドラインを作っている。定員を「原則として50人を超えない」としたのは、社会福祉事業としての適正性を確保し、利用者の処遇確保を目的としているもので、距離制限や立地規制までは難しい。しかし、2棟目は地元自治会の理解を得ておらず、届出は受理していない。地元自治会と事業者間の話し合いを見守り、事業者には地域住民と良く話し合うよう指導していく。
○ 消防団器具置場の整備について
 当該施設は、建築年数や消防団の機動力強化で小型動力ポンプ付積載車が入る建築物に整備する計画がある。既存施設のトイレ・水道等は、必要性を認識しており整備中だ。

【林助役】
○ 環境行政について
 JFEスチール(株)に対する立入検査は、既に強化しており水質分析・施設確認を含め、今年度は50回を超えて実施している。人員確保は、業務量等を精査し、必要な人員を配置する。
 県・市・市民参加の公害防止協議会の設置は、本来企業自ら社会的責任で説明責任を果たすべきであり、市ではJFEスチールに対し、市民に適切な情報公開や十分な説明を行うよう求めているが、今後も徹底していく。
 旧新港清掃工場の解体は、労働安全衛生法を踏まえ、「廃棄物焼却施設内作業におけるダイオキシン類曝露対策要綱」や「石綿障害予防規則」などの関係法令で周辺環境や作業員の安全対策と解体での廃棄物処理を適正に行っていく。本市では、分別排出後の可燃ごみは焼却処理しているが、焼却時の灰の無害化・資源化を進めるため、焼却灰を溶融処理しスラグ化している。資源循環型社会へスラグの有効活用のためストックヤードを整備したい。
○ 自然災害と防災対策について
 大雪による災害が発生した場合は、台風・豪雨等の風水害に準じた対応を図ることになる。公共施設の除雪対策は、各施設管理者が対応し、通学路は各土木事務所で緊急パトロールを実施し、必要に応じて凍結防止剤を散布している。主要幹線道路は、市と市建設業協議会間で「除雪等作業の協力に関する基本協定」で、業者に出動を要請し、除雪や凍結防止剤散布を実施している。
○ マンション構造計算偽装問題について
 H11年度から指定確認検査機関が建築確認した3階建以上の共同住宅の件数は、約300件で、検査申請者はその1割程度を見込んでいる。検査枠は、今後の申請状況を見ながら検討していく。

【教育長】
○ 子どもの安全について
 千葉市は、「地域の子どもは地域で守る」を基本として、学校・保護者・地域・警察等の関係機関と連携し、「全児童生徒への防犯ブザーの貸与」、千人の郵便局外務職員による「走るセーフティウオッチャー」、地域の方々の「学校セーフティウオッチャー」による見守り活動、「子ども110番の家」の設置等、登下校時の安全確保に努めている。児童の安全を守ることは、優先課題であり、教育委員会は学校・保護者・地域等と協議し通学路の安全確認を行っている。通学路の整備は、関係各課に補修等を依頼しているところだ。
 就学援助の認定は生活保護基準を使用しており、世帯の構成など認定基準額が異なるため保護者の誤解を生むなど課題が多く、目安額は提示していないが、個々の家庭事情を考慮した認定事務を行っている。
 公立の中高一貫教育校は、学校教育法施行規則で「学力検査は行わない」とされている。市立稲毛高校附属中学校では、意欲や適正等を総合的に判断し、入学者の選抜を行う予定だ。受験競争の低年齢化にはつながらない。中高一貫教育は、高校入試の影響を受けず、安定した学校生活を送ることができ、6年間を見通した教育課程で計画的・継続的な教育を展開していくもの。長期にわたり生徒を把握し、個性の伸長と優れた才能の発見につなげられれば充実した6年間を送れることになる。