日本共産党が提出した意見書・決議

平成18年第2回定例会
Y1

(提出年月日)平成18年6月1日
(提出会派名)日本共産党千葉市議会議員団

教育基本法改正案の撤回を求める意見書(案)

 政府は、今国会に教育基本法の改正案を提出したが、国会会期が残り少ない中で、十分な国民的論議のないまま、強引に成立を図るべきではない。

 多くのマスコミも、政府案の特徴は「教育の目標」に「愛国心」を加え、行政による教育への介入の危険性があると指摘しており、父母や教師からは、「拙速すぎる」、「憲法改悪と連動したもの」などといった、強い不安や疑問の声が出ているのである。

 戦前、「忠君愛国」のスローガンのもと、「日本は神の国」、「天皇のために命を奉げよ」と教え、国民を侵略戦争に駆り立てた痛苦の反省から、教育は政府、政党、その他どのような勢力にも左右されずに行われるべきものとして、現在の教育基本法は制定されたものである。

 ところが、改正案では、その時々の政府が決める「教育振興基本計画」どおりの教育を求め、「愛国心」や「徳目」を教育の目的とし、その「達成」を学校と教員に義務づけようとしているのである。

 また、与党からは、児童虐待、いじめ、校内暴力、不登校や学級崩壊の多発、ニートやフリーターの増加、さらにはライブドア事件や耐震偽装事件までもが教育基本法に問題があるかのように説明されている。しかし、これらは小泉「改革」によるモラルもルールもない「弱肉強食」、「勝ち組・負け組」の競争社会がもたらしたものであり、「国連・子どもの権利委員会」も勧告するほどの「競争と管理」の教育に子供たちが置かれるなど、教育基本法に反する教育行政にこそ原因があるのである。

 今、国民が願っていることは、政治・学校・父母などが力を合わせて、教育現場の荒廃、学力の問題、経済力による教育格差問題などを根本から解決することである。

 そのためには、一人一人の子供を大切にする行き届いた教育が求められており、少人数学級の実現や経済的・社会的格差をなくし、だれもが等しく教育を受けることができるよう保障することである。

 よって、本市議会は国に対し、教育基本法改正案の撤回を強く求めるものである。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

平成18年  月  日

千 葉 市 議 会


平成18年第2回定例会
Y2

 (提出年月日)平成18年6月1日
 (提出会派名)日本共産党千葉市議会議員団

「共謀罪」新設法案の撤回を求める意見書(案)

 今国会において、政府がこれまで国民の強い批判から何度も廃案になった「共謀罪」新設法案(犯罪の国際化及び組織化並びに情報処理の高度化に対処するための刑法等の一部を改正する法律案)を、強引な運営のもとで成立させようとしていることは、重大な問題である。

 「共謀罪」については、国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約が締結されたことから、我が国においても新設が必要であるとの政府の説明である。しかし、条約は、国境を越えた犯罪の防止を「自国の国内法に従って」整備することを求めているのであり、現代版「治安維持法」と言われる「共謀罪」の新設などは、求めていないのである。

 犯罪が実行されなくても、話し合っただけで罪となり処罰される「共謀罪」は、戦前の「治安維持法」と同じく「警察国家」、「監視社会」の到来を招くおそれがあり、各方面からその危険性が指摘されており、日本ペンクラブも「共謀罪新設法案に反対」する声明を発表し、「自由と民主を言明し、公明を唱える政党・政治家こそが率先して反対すべきである」と強く批判している法案なのである。

 また、与党は「国民の不安を払拭する」として法案の一部を修正したり、「誤解」だと言いわけしても、捜査当局の恣意的判断で「犯罪」にできる「共謀罪」の本質は変わらないものであり、日本弁護士連合会も「共謀罪与党修正案についての会長声明」を発表したのに続き、法務省の「共謀罪に対する御懸念について」とする説明に対しても、何ら「あいまいさは払拭されていません」と厳しく反論・批判しているのである。

 今、憲法や教育基本法改悪の動きと合わせて、「共謀罪」の新設が持ち出されていることは、日本を再び「もの言えぬ国」に導くものと言わざるを得ない。

 よって、本市議会は国に対し、現代版「治安維持法」である「共謀罪」の新設法案を撤回するよう強く求めるものである。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

平成18年  月  日

千 葉 市 議 会

平成18年第2回定例会
Y3

 (提出年月日)平成18年6月1日
 (提出会派名)日本共産党千葉市議会議員団

3兆円とも言われる在日米軍再編経費の負担はやめるよう求める意見書(案)

 沖縄市、岩国市の市長選挙や旧岩国市の住民投票で明確に示された、米軍基地再編・強化に対する「ノー」の審判を受けとめることなく、日米安全保障協議委員会は、在日米軍再編の「最終報告」を発表し、基地再編を強行しようとしている。

 地元住民の意思よりも米国との合意を優先するのは、憲法の地方自治原則を踏みにじるものであり、国民・住民の基本的人権を侵害するものである。

 そもそも米軍再編とは、米国国防総省の「米国国防計画見直し」でも明らかなように、米国が世界中のどこにでも、いつでも先制攻撃戦争を開始できるよう整備し直すものであり、日本の防衛とは無関係に、日本の基地と自衛隊を米国の先制攻撃態勢に組み込もうとするものである。このように危険な米国の戦争政策である米軍再編に、いわれのない3兆円もの巨額の税金を投入することなど、とても国民は納得できるものではない。朝日新聞の世論調査でも「グアム移転費負担に納得できない」が78%を占めるなど、強い批判が出ているのは当然のことである。

 よって、本市議会は国に対し、理不尽な3兆円とも言われる在日米軍再編経費の負担はやめるよう強く求めるものである。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

平成18年  月  日

千 葉 市 議 会


平成18年第2回定例会
Y4

 (提出年月日)平成18年6月1日
 (提出会派名)日本共産党千葉市議会議員団

安全で安心な医療・看護のために看護職員不足の緊急対策を求める意見書(案)

 医療事故をなくし、安全・安心で行き届いた医療・看護を実現するためには、医療従事者がゆとりと誇りを持って働き続けられる職場づくりが不可欠である。

 しかし、医療現場は、医師や看護師不足から、かつてない厳しい事態となっており、医療事故の危険性も高まっている。

 看護師は、諸外国と比べても極端に少ない人員配置のもとで、仕事に追われ、患者のための十分な看護が提供できずに悩み、疲れ果てた末の離職者が後を絶たず大きな問題となっている。

 今求められているのは、限界状態にある看護師の労働条件の改善や医師・看護師を充足する医療供給体制の充実、診療報酬で財政的な「安全・安心のコスト保障」を行うことである。

 よって、本市議会は国に対し、安全で安心な医療・看護を実現するため、下記の緊急対策を講ずるよう強く求めるものである。


1 安全で行き届いた医療・看護を保障するため、看護師を大幅に増やすこと。

2 看護職員の実質的な配置基準を「夜間は患者10人に対して1人以上、日勤時は患者4人に対して1人以上」とするなど、抜本的な改善を図ること。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

平成18年  月  日

千 葉 市 議 会


平成18年第2回定例会
Y5

 (提出年月日)平成18年6月1日
 (提出会派名)日本共産党千葉市議会議員団

公的保険制度を破壊する医療制度「改革」の撤回を求める意見書(案)

 医療制度「改革」の中身は、高齢者や重症者に情け容赦ない自己負担の増加と医療の切り捨てを図るものであり、許されるものではない。

 今年10月から、70歳以上で「現役並みの所得」の高齢者は、窓口負担が2割から3割に引き上げられ、療養病床の食費・居住費が保険から外されることになっている。その上、さらに平成20年度からは「高齢者医療制度」が新設され、75歳以上のすべての高齢者から、年間約6万円の保険料を年金から「天引き」し、滞納すれば保険証を取り上げることになるのでは、医療機関から高齢者を遠ざけ、必要な医療が受けられない事態となるのは明らかである。

 また、療養病床を6年間で23万床削減するとしているが、この病床には、もともと「受け入れ先がないために退院が不可能な状況にある多くの高齢者」が入院しているのである。それにもかかわらず、政府は、「入院患者の追い出しにはならない」と説明するが、特別養護老人ホームへの待機者が38万人を超える中、療養病床にすら入れない状況で、多くの高齢者が行き場をなくしてしまうこととなり、許されるものではない。

 さらに、保険のきかない「混合診療」の拡大は、高額の医療費を払えない人にとっては、満足な治療が受けられないことを意味するのである。

 これらが実施されれば、貧富の格差が命の格差を生み、高齢者や先進医療を必要とする重病・重症患者、低所得者の医療機会は奪われることになり、日本医師会などの参加する「国民医療推進協議会」が取り組んだ患者負担増反対署名に1,718万人もの国民が応じたほど重大な問題なのである。

 よって、本市議会は国に対し、「必要な医療はすべて保険で行う」という公的保険の原則を守り、医療制度「改革」を撤回するよう強く求めるものである。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

平成18年  月  日

千 葉 市 議 会

平成18年第2回定例会
Y6

 (提出年月日)平成18年6月1日
 (提出会派名)日本共産党千葉市議会議員団

地方交付税制度の財源保障機能を堅持し、その充実を求める意見書(案)

 現在、経済財政諮問会議は、2010年代初頭までにプライマリーバランス(基礎的財政収支)の黒字化を目指すとし、「歳出・歳入一体改革」を議論している。

 与謝野金融・経済財政政策担当大臣が提出した中間とりまとめでも、その「歳出削減」の一環として「歳出の大胆な削減、基準財政需要の見直し、現在の基準を見直すことによる不交付団体数の増加を始めとする地方交付税制度の改革等を加速する」としている。また、竹中総務大臣は、プライマリーバランス改善のために「地方交付税は最大6兆円の削減が可能」(3月29日、経済財政諮問会議)と試算したが、この歳出削減については、間もなく策定される「骨太方針2006」の中に反映されることになる。

 地方交付税は、地方団体共有の固有財源であり、国の借金のツケ回しとして、しかも地方の代表者を入れずに「改革」することは許されないことである。そもそも地方交付税制度は、憲法で地方自治体に保障された「財産を管理し、事務を処理し、及び行政を執行する」ことを実現するためのものであり、その削減は住民の暮らしや福祉のためのサービスを切り捨てるものである。地方の事務の中で国が義務づけているものは、消防や保育など住民の暮らしに密接にかかわるものである。国が義務づけているのなら、その財源保障機能を堅持すべきである。地方交付税は、地方自治体と住民サービスの命綱とも言うべきものである。

 よって、本市議会は国に対し、下記の事項について強く求めるものである。


1 地方交付税制度は、財源保障機能と財政調整機能をあわせ持つ制度として充実させること。

2 国の財政の歳出削減の一環として、地方団体共有の固有財源である地方交付税を一方的に削減することはやめること。

3 決定のプロセスに地方の代表者の参加を保障し、「法定率」の引き上げを含め地方交付税の充実を図ること。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

平成18年  月  日

千 葉 市 議 会


平成18年第2回定例会
Y7

 (提出年月日)平成18年6月1日
 (提出会派名)日本共産党千葉市議会議員団

核兵器廃絶の国際協定締結を求める決議(案)

 間もなく被爆61年を迎えようとしている。一瞬にして多くの命を奪い、広島・長崎の2つの都市を壊滅させた核戦争の惨禍は、人類が核兵器とは絶対に共存できないことを示したものである。ところが、今なお2万数千発もの核兵器が、人類の生存を脅かし続けている。人類を核破局から救い、非核・平和の世界を実現する上で、核兵器の全面禁止・廃絶が唯一の方法であり、代案はない。

 昨年12月の国連総会は、核兵器廃絶の約束実行を求める決議を153対5の大差で採択した。ドイツ・ベルギーなどNATO諸国では、国民の間にも自治体の間にも、配備された核兵器を撤去しようとする動きが広がっている。

 しかし、核保有国は、核兵器廃絶の「明確な約束」を実行しないばかりか、一部の核保有国では、「核兵器やその他の大量破壊兵器拡散の危険」を口実に、核兵器の使用を含む先制攻撃戦略に公然と踏み出すなど、核兵器廃絶の合意に背を向け続けている。

 そこで、今秋の国連総会では、核兵器廃絶の「明確な約束」の速やかな実行のために、核兵器の使用・実験・研究・開発・生産・配備・貯蔵などの一切を禁止する「核兵器廃絶国際協定」を締結することが求められている。

 よって、本市議会は、唯一の被爆国である日本政府がイニシアチブを発揮して、核兵器廃絶の国際協定締結のため、関係諸外国へ積極的に働きかけるよう求めるものである。

 以上、決議する。

平成18年  月  日

千 葉 市 議 会

平成18年第2回定例会
Y8

 (提出年月日)平成18年6月1日
 (提出会派名)日本共産党千葉市議会議員団

米国産牛肉の拙速な輸入再開は行わず、BSE(牛海綿状脳症)の万全な対策を求める意見書(案)

 日本政府は、昨年12月12日に米国・カナダ産牛肉の輸入再開を決定したが、本年1月20日、米国から輸入された牛肉から、BSE(牛海綿状脳症)の病原体が蓄積しやすい特定危険部位である脊柱の混入が明らかになり、再び輸入が停止されている。

 米国産牛肉は、検査体制や特定危険部位の除去、肉骨粉の飼料への使用などの飼料規制、生産・流通履歴が不明確であるなど、日本に比べてBSE対策は極めて不十分なままである。

 ところが、5月に開催された日米の専門家会合では、6月に開催する「国民との意見交換会」の結果を踏まえ「米側と輸入手続再開のための措置を行う」ことで合意し、輸入再開に向けた動きが強まっている。

 米国のBSE検査体制は、世界から大きく立ちおくれており、このまま輸入再開を急ぐことは、国民に不安を広げるばかりである。米国産牛肉にも全頭検査や危険部位の除去を義務づけるなど、国民の信頼を回復させることが重要である。

 よって、本市議会は国に対し、米国産牛肉の拙速な輸入再開は行わず、BSEの万全な対策を図るよう、下記の事項について強く求めるものである。


1 米国産牛肉の輸入再開の検討に当たっては、肉骨粉の飼料としての使用禁止、屠畜される牛の全頭検査の義務づけ、生産・流通履歴をたどるトレーサビリティ制度の確立を前提条件とすること。また、特定危険部位の除去では、日本と同様に全月齢の牛を対象とすること。

2 輸入時の検査体制を強化し、最大限の検査を行うこと。

3 消費者の選択権を確保し、食の安全を実現するため、牛肉を使用した食品すべてに原料・原産地の表示を義務づけること。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

平成18年  月  日

千 葉 市 議 会