日本共産党の条例案提出理由説明(中村きみえ議員)

2006.6.8
 発議第4号の提案理由の説明を行います。
 これまでの障害者福祉サービスは、収入に応じた負担方式「応能負担」によって、負担は低く抑えられていたことから、95%の人は、ホームヘルパーや通所施設を無料で利用できました。
 ところが、障害者自立支援法によって、これまで障害者が利用してきたサービスや公費負担医療は、障害者が「利益」を受けるものだとして、その「利益」に応じて負担を求める「応益負担」の考え方が導入されたため、障害者とその家族には大幅な負担増となり、障害が重く制度利用の多い人ほど負担は重くなっています。
 政府は、「低所得対策や激変緩和措置を取った」としていますが、大きな負担となることに変わりはありません。例えば、住民税非課税世帯で年収80万円以下の「低所得」の場合、月額上限は1万5千円だと言いますが、年収80万円以下の人にとっては、これまで無料だったのが年間18万円もの支出増となるのです。これでは、障害者の生活と権利を否定することになります。
 実施を直前に控えた3月には、費用負担増のために先行きを悲観し、母親が無理心中を図るという痛ましい事件も発生しています。
 こうした中、施策の提供主体である市町村が、障害者への負担を軽減するために利用料や医療費に独自に軽減策を設けている自治体が広がっています。
 「きょうさ連」の調査によれば、制度開始時点では、都道府県・政令市・市・区の849自治体中、15%を占める127自治体で減免が実施されています。
 このことは、法律に問題が多いことを示すと同時に、所得が少なく困難な方からは利用料を徴収できない訳ですから、地方自治の本分に基づいて自治体が独自に、障害者の生活を守るため、どうしても取り組まなければならないものであることを示しています。
 千葉市の例を紹介しますが、電動車いすを使い在宅で一人暮らしをしているAさんは1級の障害年金、年間約98万円で暮しています。訪問介護も家事援助、身体介護などで1割の負担で年間約21万円かかり、収入の2割が利用料に消えてしまいます。そのためこれ以上のサービスを我慢しています。視覚障害のあるBさんはガイドヘルパーを受けて外出します。外出するたびに料金を払うのは負担が大きいからと、外出機会を減らし、閉じこもりがちとなっています。これでは健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有するという憲法25条の生存権を侵害するものになっているのではないでしょうか。
 こうした実例から、千葉市として助成等を設けることは必須となっています。今回の提案は、経済的に困難な世帯を対象に、在宅でサービスを利用する方の利用者負担額を横浜市、京都市、広島市、福岡市の政令4市に習い、政令市の中でも進んだ内容で助成するものです。市民税非課税世帯は「負担なし」とし、市民税課税世帯で市民税所得割4万円未満の世帯では、負担上限額を1万8,600円とします。これらの方々への市の助成額は、年間約7,000万円になります。これまでの支援費制度から障害者自立支援法に制度が変わったことで、市の負担額は減少したのですから、実施は可能です。
 障害児・者の暮らしを守る施策として、賛同いただくことをお願いし提案理由といたします。