日本共産党提出の意見書

平成18年第3回定例会
Y1

(提出年月日)平成18年8月31日
(提出会派名)日本共産党千葉市議会議員団

高齢者・低所得者に負担の重い庶民大増税の中止を求める意見書(案)

 小泉内閣のもとで、「社会的格差」の広がりが大きな問題となっている。全国の生活保護世帯が100万世帯を超え、「貯蓄ゼロ」世帯は4世帯に1世帯に迫り、単身世帯では「貯蓄ゼロ」が4割を超えている。また、就学援助の受給率も12.8%となり、かつてない最悪の事態となっている。
 こうした事態にもかかわらず、政府は「税制改革」と称して、老年者控除の廃止、公的年金等控除の縮小を強行し、定率減税については半減され、来年には廃止することとしている。高齢者・低所得者を初め庶民に容赦なく所得税・住民税増税を押しつけ、それに連動して、国民健康保険料や介護保険料も引き上がり、大幅な負担増となっているのである。
 空前の利益を上げている大企業への減税や高額所得者優遇の減税には手をつけず、年々所得が減少している庶民に増税を求めるのでは、格差拡大に拍車をかけることになり、地域経済にも多大な影響を与えることは必至である。
 よって、本市議会は国に対し、税の基本である応能負担の原則に基づき、高齢者・低所得者に負担の重い庶民大増税は中止するよう下記の事項について強く求めるものである。


1 給与所得控除の縮小、配偶者控除や特定扶養控除の廃止など、庶民大増税は行わないこと。
2 大企業や高額所得者優遇の減税をやめ、能力に応じ公平に課税すること。
3 所得が低い人ほど負担が重くなる消費税率の引き上げはやめること。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

平成18年  月  日

千 葉 市 議 会


平成18年第3回定例会
Y2

(提出年月日)平成18年8月31日
(提出会派名)日本共産党千葉市議会議員団

「乳幼児医療費無料化制度」を国の制度として創設するよう求める意見書(案)

 我が国の合計特殊出生率は、2005年で1.25となり、5年連続で過去最低を更新し、人口を維持するのに必要な2.08を大きく下回る深刻な事態となっている。現在の少子化の進行は、日本社会の基盤を揺るがすものであり、将来の労働力や社会保障にも重大な影響を及ぼすことになることから、効果的で抜本的な少子化対策を政治の責任として実施することが求められている。
 このような中で、国の制度がないため、すべての都道府県及びほとんどの市区町村では、子育て家庭を経済的に援助する乳幼児・児童医療費助成制度が実施されてきている。
 児童期までの年代は病気にかかりやすく、アトピー性皮膚炎・小児ぜんそくなど長期の療養を要する病気も増加しており、早期発見・早期治療、治療の継続を確保する上で、医療費の助成制度は極めて重要な役割を担っているものである。
 しかしながら、市区町村の制度の内容には格差があり、年々拡大する傾向にあることから、全国どこにいても、安心して子供を産み育てることができるよう、国の制度として確立すべきである。
 よって、本市議会は国に対し、乳幼児に対する医療費無料化制度を国の制度として創設するよう求めるものである。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

平成18年  月  日

千 葉 市 議 会


平成18年第3回定例会
Y3

(提出年月日)平成18年8月31日
(提出会派名)日本共産党千葉市議会議員団

郵政公社の集配局廃止再編計画の撤回を求める意見書(案)

 日本郵政公社は、2007年10月の完全民営化を前に、全国の集配局約4,700局のうちの2割以上に当たる1,048局を無集配局とする再編合理化を行うとし、順次実施しようとしている。
 無集配局とされる1,048局の大半は、離島や中山間地、過疎地の郵便局であり、地域住民の日常生活に必要不可欠な郵便物の集配や金融サービスなど、生活基盤サービスを提供するにとどまらず、安心・安全なまちづくりに貢献するとともに、地域住民の交流の場としても活用されている。地域から若者が減少し、高齢化が急速に進む中で、地域の郵便局の存在はますます重要となっているのである。
 採算性のみを重視した、この再編計画が実施されると、郵便物の配達にとどまらず、貯金や保険、「ひまわりサービス」など現在の郵便局のサービスが低下することにもつながり、地域経済に与える打撃は極めて大きい。
 このような地域の実情と住民の声を無視した無謀な計画は、非現実的・非合理的であり、真の行政改革にも逆行するものと言わざるを得ない。
 また、竹中郵政民営化担当相は、昨年の郵政国会で「過疎地においてはもちろん現状を維持する」、「特に過疎地の郵便局はきっちりと間違いなく維持される」と繰り返し、国民に約束したものであり、今回の集配局廃止再編計画は到底認めることはできない。
 よって、本市議会は国に対し、下記の事項の実現を強く求めるものである。


1 地域住民の合意と納得を得ない集配局の廃止再編は行わないこと。
2 離島や僻地、中山間地の郵便局を維持し、現在の集配局機能を存続させること。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

平成18年  月  日

千 葉 市 議 会


平成18年第3回定例会
Y4

(提出年月日)平成18年8月31日
(提出会派名)日本共産党千葉市議会議員団

障害者自立支援法の抜本的見直しを求める意見書(案)

 今年4月からスタートした障害者自立支援法は、福祉サービスにかかる利用料の負担がこれまでの応能負担から、原則1割負担の応益負担に変更され、障害者とその家族には大幅な負担増となり、サービスの利用を中止する障害者が続出している。
 通所施設では、無料だった利用料負担が月二、三万円(食費含む)になる場合があり、工賃収入をはるかに上回る利用料の支払いで、働く意欲をなくして施設利用を断念し家に閉じこもるなどの事例が起きている。また、施設への報酬が激減し、施設の存続が危ぶまれる事態も発生している。
 こうした中で、厚生労働省が6月下旬に実施した自治体アンケート調査では、半数を超す都道府県から、利用料負担増による退所者・利用抑制の事態が生まれていると報告されており、深刻な状況が裏づけられている。
 今年10月からは、新たに補装具・障害児施設の利用料への応益負担導入や障害程度区分の認定とそれに基づく支給決定、地域生活支援事業が開始されるが、サービスの後退や市町村格差のさらなる拡大が懸念されている。
 よって、本市議会は国に対し、障害者自立支援法の抜本的な見直しを行うよう強く求めるものである。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

平成18年  月  日

千 葉 市 議 会


平成18年第3回定例会
Y5

(提出年月日)平成18年8月31日
(提出会派名)日本共産党千葉市議会議員団

介護保険制度の改善を求める意見書(案)

 介護保険制度は2000年にスタートし、6年目を迎え、本年4月に見直しが行われた。しかし、制度の基本理念である「介護の社会化」、「選択性のあるサービス」からすれば、多くの問題が残されていると言わざるを得ない。特に、介護保険事業を賄う財源は、保険者である地方自治体と被保険者である市民に重くのしかかり、大変厳しいものがある。
 これまでに本市では、第1号被保険者の保険料を二度にわたって値上げしてきている。制度発足時、国は50%分の25%を負担するとしていたが、実際には、本市の場合で見ると、2005年度実績で調整交付金1.41%を含む国庫支出金総額は21.41%、2006年度予算見込みでの国庫支出金総額は、20.97%にとどまっているのである。
 介護保険料が高い最大の理由は、介護保険導入時に公的介護の費用に占める国庫負担の割合を50%から25%へ縮小したことにあり、これを計画的に元に戻すことが必要である。当面、介護保険の給付費に占める国庫負担金を25%、調整交付金を含む国庫補助金を5%とし、国庫支出金の合計を30%以上にすることである。
 よって、本市議会は国に対し、介護保険事業財源の国庫負担割合を30%以上にするよう強く求めるものである。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

平成18年  月  日

千 葉 市 議 会


平成18年第3回定例会
Y6

(提出年月日)平成18年8月31日
(提出会派名)日本共産党千葉市議会議員団

国民投票法案の撤回を求める意見書(案)

 さきの国会会期末に自民党・公明党、民主党がそれぞれ提出し、継続審議となっている国民投票法案は、憲法改正のための手続法案であり、憲法第9条を「日本を海外で戦争できる国に」つくりかえるねらいと一体になった法案である。
 憲法が制定されて60年間、国民は憲法の平和主義と民主主義を強く支持し、その憲法を変える手続を必要とせず、国会で取り上げられたことは一度もなかったのである。現在、国会内では「改憲派」が多数を占めてはいても、国民の圧倒的多数は憲法第9条を改憲し「戦争できる国に」なることなど望んでいないことは、各種の世論調査でも明らかである。にもかかわらず、憲法改正のための手続法案だけを先取り的に成立させるやり方は、決して通用するものではない。
 提出された法案も危険な内容であり、「改憲勢力」が多数を占める現状では、「改憲に有利な仕組みになる」との懸念が、すでに各界から出されている。「憲法第9条を変え、戦争できる国に」のねらいを覆い隠したまま、いかに「公正・中立に定める」と言っても、国民の共感は得られるものではない。
 よって、本市議会は国に対し、憲法改正の手続法案である「国民投票法案」の撤回を強く求めるものである。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

平成18年  月  日

千 葉 市 議 会


平成18年第3回定例会
Y7

(提出年月日)平成18年8月31日
(提出会派名)日本共産党千葉市議会議員団

WTO(世界貿易機関)農業交渉に関する意見書(案)

 貿易の一層の自由化を目指す、WTO(世界貿易機関)のドーハ・ラウンド交渉は、主要国・地域の閣僚会合が決裂したことで、当面の交渉は暗礁に乗り上げている。
 WTO農業交渉は、輸出国や輸入国、先進国や途上国の利害が複雑に絡み合っていることから、再開の見通しは「不透明状態」と言われている。
 WTO発足後の10年間で、輸出向けの低コスト・工業的農業が拡大し、輸出大国と多国籍企業は大きな利益を得る一方、輸出大国も含めた中小農家は窮地に陥り、途上国の多くで食料自給率が低下したとともに食の安全や環境悪化が問題となっている。日本でも、米を含めた農産物の輸入が急増し、農業と農家は深刻な打撃を受け、食料自給率は低下するばかりである。
 21世紀の世界は、人口の増加や地球環境の悪化により、食料需給の逼迫が懸念されている。今こそ、目先の利益ではなく、各国の条件を踏まえた持続可能な農業生産の発展と、食料主権を保障する貿易ルールを確立することが求められている。
 よって、本市議会は国に対し、日本と世界の「食」と「農」を守り発展させるよう下記の事項について強く求めるものである。


1 効率化・大規模化の追求ではなく、農業の多面的機能を重視した支援策を講じて、消費者へ安全・安心な農産物を供給すること。
2 各国の条件に応じた食料・農業政策を自主的に決定する権利・食料主権を確立し、持続可能な農業生産の発展と自給率向上へ、各国とともに力を合わせること。
3 各国の自主的な食料・農業政策を尊重した、農産物貿易ルールを確立するために努力すること。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

平成18年  月  日

千 葉 市 議 会


平成18年第3回定例会
Y8

(提出年月日)平成18年8月31日
(提出会派名)日本共産党千葉市議会議員団

教育基本法改正案の撤回を求める意見書(案)

 政府が提出した教育基本法改正案に対し、「慎重に」という国民世論を反映し、さきの通常国会では継続審議となっている。
 改正案は、国会審議を通じて、憲法に背反する二つの大問題が明らかになった。1点目は、改正案が、憲法第19条で保障する思想・良心の自由を踏みにじっている点である。「教育の目標」として、「国を愛する態度」など20もの「徳目」を法律で決め、その「目的の達成」を義務づけ、子供たちに強制しようとしているのである。2点目は、改正案が、教育基本法第10条の「教育は、不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接に責任を負って行われるべきものである」との部分から「国民全体に対し直接に責任を負って」という文言を削り、「この法律及び他の法律の定めるところにより」と書きかえている。つまり、政府・文部科学省の裁量で、行政による教育内容への国家的介入を合法化しようとするものである。
 教育基本法は、憲法の国民主権の原理が貫かれているものである。また、教育は、一人一人の子供が主権者としての「人格の完成」を目指して行われるべきであり、未来社会のあり方は、このような教育によって成長した未来の世代の判断にゆだねるというのが、教育基本法の考えである。
 改正案の「国策に従う人間づくり」を求める考え方は、憲法に相反するものであり、国民が求めているのは、憲法と教育基本法を生かした教育の改革なのである。
 よって、本市議会は国に対し、教育基本法改正案の撤回を強く求めるものである。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

平成18年  月  日

千 葉 市 議 会


平成18年第3回定例会
Y9

(提出年月日)平成18年8月31日
(提出会派名)日本共産党千葉市議会議員団

介護保険制度における軽度者が利用する福祉用具貸与の継続を求める意見書(案)

 改正介護保険法で、「介護予防」を目的に、軽度者(要介護1、要支援1・2)に対する車いす・特殊寝台などの福祉用具の貸与が、原則として保険対象外になったことにより、本年10月からはすべて受けられないことになる。この改正によって、本市では、車いすで約600人、特殊寝台で約1,400人の高齢者が利用できなくなり、日常生活の中で、どうしても必要な場合は、10月から全額自己負担でレンタルするか購入することになるのである。
 本市でも「電動ベッド(特殊寝台)が使えないと起き上がるのが難しく、寝たきりになる心配がある」、「車いすがなければ通院できず、買い物にも行けなくなる」、「このままでは、これまでの生活が維持できなくなる」との深刻な声が続出している。
 介護保険料やサービス利用料が引き上げられ、さらに日常生活に必要なものまで取り上げられるようでは、軽度者の「介護予防」に到底つながるものではない。
 よって、本市議会は国に対し、介護保険制度における軽度者が利用する福祉用具貸与の継続を強く求めるものである。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

平成18年  月  日

千 葉 市 議 会