ふくなが洋議員の一般質問に対する答弁(要旨)

2006.12.13
【財政局長】

○ わかりやすい財政について

 昨年度策定の財政健全化プランの取り組みで、冊子「千葉市の財政状況」を作成することにした。今年度末公表に向けグラフや図表を用いるよう進めている。市民の視点で簡素で効率的な市政運営へ行革に取り組んでいる。その基本定期考えを示した「新行革大綱」をパブリックコメント等で策定し、具体化への「新行革推進計画」でも、取り組み内容、進捗状況、財政的効果等をHPや市政だよりで公表に努めている。課の事業内容を的確に表し、市民に分りやすく伝わるような呼称にしているが、さらに親しみやすい呼称設定に努める。財政用語の解説や指標の計算式、他政令市との比較分析、施策別のコスト計算などの掲載を検討している。本市職員数は4/1現在、7,749人で15政令市中13番目だ。企業会計を除く人口1万人当たりの普通会計職員数は、72.1人で、15政令市中8番目の平均レベルだ。1人あたりの平均残業時間は、全庁平均では13.1時間で、政令市比較で平均レベルだが、加重な時間外勤務は職員の健康に影響があるので縮減をはかっていく。

○ わかりやすい税務行政について

 事務改善は、調停額の増減には財務会計システムと税務オンラインシステムから出力された帳票と照合する。毎月作成の市税調停収納状況報告月報の採決や公文書管理規則での文書保管期間を改善した。年内には作成される事務処理マニュアルで、適正な事務の執行に務める。不正処理再発防止策は、税務オンラインシステム等の出力帳票の適正管理のため文書管理台帳を作成。システム改修は今年度末までに完了させる。決算事務・税務統計作成には、事務処理マニュアルを周知徹底し職員の意識改革・公務員倫理研修を図っていく。徴収対策本部や市税徴収対策班で、徴収率向上と滞納繰越額の縮減に努めている。今年4月からマルチペイメントネットワークシステムを活用し、電子収納やコンビニ収納の導入で納付機会の充実を図っている。滞納繰越額縮減は、速やかに実態調査や財産調査等を実施し、担税力を見極めて差押や処分停止を行っている。徴収率1%増で、H17年決算ベースで約18億円となり、94.3%の場合はH17年度と比較し税収増は約100億円となる。H19年から滞納繰越額縮減のための有効な手段であるインターネット公売を予定するほか、21年度目標の94.3%達成へ努力する。
 滞納繰越額の差異の原因は、既に報告どおり、理由不明の減額調停が行われていたため「収納率の維持を目的に滞納繰越額の操作が行われていたものと推認した」だ。

【総務局長】

○ 外郭団体について

 外郭団体役員に市の退職者が27人就任しており、外郭団体への補助金は、公益性・必要性等でH17年度は約23億8,800万円交付した。プロパー職員は、団体の自主的・自立的な経営促進へ職員の能力・適性に応じ、管理職への登用を推進し18人登用している。改善点は、社会経済情勢の変化の中で、外郭団体個々の存在意義を明確にし、経営の自主性・自立性を高め独立採算の確立が重要だ。

○ 長時間の残業について

 長時間の時間外勤務は、職員の心身・健康に悪影響を及ぼすので、改善すべきだ。昨年7月より「時間外勤務等縮減対策」を策定し、全庁的に縮減に努め改善を図っているが、月平均45時間超の職員数は昨年度と同程度おり、一層縮減に努める必要がある。なお、長時間の時間外勤務を行った職員には希望に応じて、産業医の面接指導を実施したり、業務の改善勧告を行い職員の健康対策にも取り組んでいる。国派遣の職員の給与は千葉市が支給し、公務災害補償も身分は市職員であり地方公務員災害補償基金で補償することになる。職員数、時間外勤務時間数は、政令市比較で平均レベルだが、職員の過重負担にならないよう努める。職員間の業務量のばらつき解消は、局長・区長の権限で流動配置できる制度があり、一層効果的に機能するよう努める。

○ 裁判員制度について

 裁判員制度は、国民が刑事裁判に参加することで、裁判が身近で分りやすくなり、司法への信頼向上につながるもの。当制度の円滑な導入には、市民が制度の目的や内容を理解し、参加意識を持つことが重要である。市としては、裁判所の要請に応じて、広報用パンフレットやポスターを区役所等の市民向け窓口に備え、制度全国フォーラム開催等を市政だよりに掲載、制度の周知に努めている。

【経済農政局長】

○ 外郭団体について

 (株)千葉経済開発公社のH17年度の決算では、配当率10%、配当金額400万円。(株)千葉ショッピングセンターの配当率は10%、配当金額は200万円で、両社とも経営は順調だ。
 ショッピングセンターや経済開発公社の配当金が毎年同額で推移しているのは、両社とも経常利益や次年度以降の経営見通しを踏まえ、株主総会で決定しているもの。また、両社の営業報告書は、株主総会へ提出のため、ショッピングセンターは単独で作成し、経済開発公社は報告書と他の議案を合わせて作成しているもので、報告書自体に差異はない。

【都市局長】

○ 外郭団体について

 千葉都市モノレール(株)は、今年3月の市・県・会社の3者での「和解」後、累積損失の解消と単年度黒字化実現へ会社再建に取り組んできた。その結果、11月14日の取締役会での上期決算報告では、経常利益が約2億900万円、税引前の純利益で約1億8,000万円となり、黒字化の見通しが付いたが、配当はない。今後の見通しは、上期の決算状況から概ね計画通りの収支が見込まれており、収入の増加と支出削減へ経営努力を求めていく。
 (株)千葉マリンスタジアムは、H17年度ロッテマリンズが優勝したことで経営状況は順調だ。配当率は5%、配当金は462万2,500円だ。

○ 環境にやさしいまちづくりについて 

 緑地・公園整備では、既存樹林の保全活用、透水性素材での園路舗装、ソーラー電気での照明設備、水飲みや手洗いの自閉水栓、トイレの自動水洗装置、透水性排水施設の設置をニーズに沿って実施してきている。動物園では剪定枝をチップ化し、排出された糞と混合し肥料化して園内で利用している。

【保健福祉局次長】

○ 包括外部監査について

 社会福祉事業団の事務処理に関し、適切な意見・指摘があったと認識している。外部監査人からの指摘事項は、真摯に受け止め、速やかに改善措置を講じている。直ちに改善が困難な項目も社会福祉事業団とその対応を調査し進捗を図っている。全国市民オンブズマン連絡会議の報告書は同会議の活動を通じての見解だ。 

○ 保護司制度について

 保護司は、民間人としての柔軟性と地域の実情に通じている特性を活かし、裁判所の決定で保護観察になった人を社会復帰に必要な指導・助言している。更生保護活動は、保護監察官の他、保護司など民間ボランティアによる懸命な努力で、貢献していると評価している。千葉市では、保護司の定員に対し93%の充足率であり、増員に協力し毎年の「街頭PR活動」や「市民のつどい」を通じて理解を広めるようにしている。市長は、更生保護施設を運営する「千葉県帰性会」の理事だ。財政的支援は、H18年度で市保護司会連絡協議会へ99万4千円、「同女性会連絡協議会」に8万7千円、法律扶助協会千葉県支部に10万円補助し、県更生保護助成協会に254万7千円の負担金を交付している。今年11月に千葉市で開催された「県更生保護大会」に助成金30万円交付している。
 更生保護女性会は、S40年に結成され、H8年に6区で組織化し会員は220人だ。活動内容は、保護司と連携し、女性の立場から地域社会の犯罪・非行の未然防止へ啓発活動を行い、青少年の健全育成を助け、犯罪者・非行少年の更生に協力。「社会を明るくする運動」はじめ、犯罪要望活動や県帰性会を支援し日曜生活品の作成・寄贈を行っている。今後は、子どもが被害者になる事件を予防するためPTAや地域住民との連携の強化が必要だ。

○ 子どもの権利条約について 

 H14年3月作成の「児童虐待の対応マニュアル」で虐待の防止、早期発見・早期対応を全庁的に取り組んでいる。福祉事務所でも家庭相談員がH17年度で、述べ1,823件相談を受けている。全国の児童虐待の状況は、3万4,472件で、前年度比1,064件3.2%増加している。千葉県では、1,238件で前年度比121件10.8%増加している。千葉市のこの5年間の相談対応数は、H13年度217件、H14年度153件、H15年度108件、H16年度213件、H17年度257件だ。
 虐待の内容は、H17年度で、ネグレクト105件、身体的虐待75件、心理的虐待73件、性的虐待4件だ。H14年度までは身体的虐待が多い傾向だったが、H15年度以降はネグレクトや心理的虐待も多くなっている。虐待を受けた子どもへの援助は、児童相談所の一時保護所へ措置し対応するほか、在宅の場合も定期的に来所させるなど専門職が計画的に指導・支援している。
 保育所、保健センターなどの関係機関、団体に「子どもからのSOS」を配布し、連携をはかり、「育児ストレス相談」、4ヶ月健診未受診者を対象に「育児支援家庭訪問」、保健所や若葉保健福祉センターで実施している「マザーアンドチャイルドグループ」など各種施策で児童虐待防止に努めている。虐待防止条例の制定については、既に制定している他市の運用状況や他自治体の動向を見守りたい。
 児童相談所は、H14年度に児童虐待の初期調査する職員を増員。16・17年度にも児童福祉司を1名づつ増員。18年度は児童福祉司1名、心理判定員2名増進した。今年度、一時保護所の増改築実施設計費を計上した。 

【市民局長】

○ 日本司法支援センターについて 

 「法テラス」は、法的トラブルで困っている市民に、国・地方公共団体・弁護士会・司法書士会などの相談窓口を紹介、一定の条件下での無料法律相談や裁判費用・弁護士費用の立替えなどを行う。千葉市は、「法テラス」スタートにあたり、千葉地方事務所開設の準備会に参画し、事務所確保に協力した。開設後は、主要な事業が法的トラブルで困っている方に相談窓口の情報を提供することであり、市の相談事業の情報を提供している。

○ 環境アセスメントについて 

 パブリックコメントは、施策案の内容を市民に理解しやすくし、意見提出をしやすくすることは、パブリックコメント制度を運用する上で重要だ。各局でパブリックコメントを実施する際は、事前の協議等を通じ公表資料を充実させていく。

○ 都市災害対策について 
 千葉市での局地的豪雨の原因は、積乱雲が急激に発達したものだが、いくつかの要因が重なるので特定は困難だ。一般的には地表と上空の温度差が原因とされ、7〜8月は上空に寒気が流れ込んだ場合。秋口は、積乱雲が上空の気温が下がる夜に、さらに発達した場合などがある。

【環境局長】

○ 戦略的環境アセスメントについて 

 戦略的環境アセスメントは、事業計画段階から環境への影響配慮を行う制度で、意義のある施策だ。具体化は、国が「ガイドライン」作成の検討を行っており、市としては、国や他市の動向を情報収集し、調査研究に努める。千葉市の環境影響評価条例は、環境アセス実施前の事前配慮制度を定め、民間事業も含め事業計画段階で環境配慮を求めている。環境省がH17年3月に公表した「わかりやすい方法書」に基づいて事業者に周知し、わかりやすい方法書等の策定へ必要な私道に努めたい。

○ 都市災害対策について 

 クールアイランド対策は、都市内部の緑地や河川が周辺の熱を下げる効果を促進するものであり、ヒートアイランド対策として進めているもの。千葉市では、ヒートアイランド現象が見られるので、対策を総合的に推進するため、昨年度「市ヒートアオランド対策方針」を策定した。この方針で、人口排熱量の低減、緑地の推進、水面確保など地表面被覆の改善、都市形態の改善に関した緒施策を関係部局と連携し進めていく。

【下水道局長】

○ 都市災害対策について 

 都市化の進展で、雨水浸透面の減少や突発的な集中豪雨で、一旦整備が完了した地域でも浸水被害が発生している。長期的視点では、市全体の雨水整備水準の引き上げが必要であり、優先度の高い地域から雨水施設計画を策定しているが、長い期間と膨大な費用が必要となる。そこで、当面の対策として、中央区大森町で準用河川生実川の改修に併せ、バイパス管など既存施設を活用しつつ、雨水間整備を進めている。また、学校の校庭を活用し貯留施設等の雨水流出抑制対策も進めていく計画だ。千葉駅や蘇我駅周辺の市街地では、過去に度々大きな被害が出ているため、整備水準を引き上げる対策で、先行的に中央雨水1号貯留幹線や宮崎雨水貯留幹線事業を実施している。市全域の下水道計画区域内では、各家庭で設置する雨水貯留、浸透ます等に設置補助金を交付し、雨水流出抑制、地下水涵養を進めている。

【教育次長】

○ 子どもの権利条約について 

 千葉市は、人間尊重の教育を基調に小学校低学年、高学年、中学生向けに市独自の人権尊重教育学習資料などを用いて「児童の権利に関する条約」について指導している。今後も家庭・地域と連携し全教育活動を通して、人権尊重教育に取り組み、いじめなどの問題解決に努める。
 文科省のいじめ自殺の緊急調査は、都道府県教育委員会を対象に実施されたもので、千葉市は対象になっていない。千葉市のいじめ・不登校状況と自殺と思われる事例では、H17年度のいじめ件数が小中学校併せて141件で、内容はひやかし・からかいなどの不適切な言動、暴力行為、仲間はずれなどだ。不登校は713人で、主な理由は情緒的混乱、無気力、複合的な理由によるものだ。教師と子ども、教師間での同様の問題は、一部不注意な言動などの相談はあったが、特に深刻なケースはなかった。学校のスクールハラスメント、パワーハラスメントの実態は、定義・基準が明確ではないが、コミュニケーション不足から発生していると報告されているが、適切に指導し対応するよう努めている。
 学習塾に通う実態は、全市的な調査は実施していないが、H16年度の指定都市教育研究所連盟の共同研究で、教育センターが実施した抽出調査では、小学校4年で48.0%、6年生で43.9%、中学2年生で52.9%の児童生徒が塾に通っている。学力の相関についての調査は行っていないが、子どもたちの学力形成には、多様な条件が複雑に関わっていると思われ、判断は難しいと思う。
 塾には、学年で異なるが多くの子どもが通っている現状があり、子どもたちに確かな学力や豊かな心など「生きる力」の育成の観点で、さらに調査研究を行っていく。