中村きみえ議員の反対討論

2006.12.14
写真 議案第186号・千葉市一般会計補正予算中、千葉県後期高齢者医療広域連合等負担金について、および議案第195号・千葉県後期高齢者医療広域連合の設置に関する協議についてです。

 広域連合という形態は、全県一体で、しかも議会議員は各市町村1名ずつということで、事実上、都道府県や市町村に変わる新たな行政主体となる恐れがあります。
 広域連合の議員は、議員や首長による間接選挙で決定し、住民自治は広域連合に届かない仕組みであり、現行の地方自治体の機能を空洞化させるもので、到底認められません。 
 また、この制度は、75歳以上の高齢者を、現在加入している国民健康保険や組合健保などから切り離し、後期高齢者だけを被保険者とする独立した医療保険制度で、保険料徴収は年金天引きとなり、年金生活者には大幅な負担増となります。
 また、保険料が払えない人には、短期保険証や資格証明書の発行が義務付けられ、受診抑制や病院にかかれない高齢者が増えることが危惧されます。誰もが、受診可能としてきた「国民皆保険制度」からの大きな逸脱であり、認められるものではありません。

 議案第187号・市税条例一部改正についてです。

 これは、住民税の負担が5%から10%へと個人住民税のフラット化で、約41万4,000人が295億円の負担増になり、65歳以上の非課税措置の廃止に伴う経過措置で、約1万2,000人が約4,500万円の影響を受け、さらに定率減税の全廃で約41万4,000人が約26億円の負担増となるものです。
 市、県民税の負担割合では、市税が53億円、県税は193億円と千葉市には約2割、県は8割を占めていて、市税は県民税の4分の1にすぎません。
 増税によって、障害者の自立支援医療費支給事業や児童福祉法にもとづく保育事業、幼稚園の就園奨励費補助事業などで市民サービスが影響を受けることになります。
 今回の改正に対して、わが党議員団の他はすべて賛成し、可決されたことは、遺憾です。

 議案第188号・千葉市下水道条例の一部改正についてです。

 今回の改定の一部は、単身世帯や高齢者世帯の少量使用者に対して、これまで定額賦課とされていたものから、使用した分の賦課に変更するものであり、評価するものです。しかし、その他の部分は、下水道事業の経費負担は「汚水私費の原則」に基づくとして、維持管理費や減価償却費と企業債償還利息の資本費を使用料で賄うとした考え方のもとに、3年毎に値上げするものです。
 そもそも、公共下水道という市民の大半が恩恵を受けているものに対し、基盤整備の分まで下水使用料として賦課することは、公共の名になじみません。
 また、普及率は向上していますが、一方で接続率は遅々として進まない状況です。接続するために、接続する世帯に助成金を引き上げていくことや、市営住宅の建て替え待たずに接続していく手法も進めなくてはなりません。
 そして、今回の改定の中で、大口使用者に対しては、平均改定率以下としていることは問題です。使用に応じて賦課が高くなる仕組みを作らなければ、節水効果が期待できないばかりか、一般家庭への負担が強まることになります。
 度重なる増税で、市民のくらしが大変になっている今、これら多くの問題をかかえた下水道料金の値上げは中止すべきです。

 議案第189号・千葉市廃棄物の適正処理及び再利用等に関する条例の一部改正についてです。

 事業系ごみの手数料を値上げする内容となっていますが、値上げをしても減量にはつながりません。資源ごみの分別をさせる回収ルートについても、体制を整えなければ排出量の削減にはつながりません。さらに、粗大ごみの値上げも行われることで、不法投棄の増加が懸念されます。
 年々、不法投棄するトン数は減少していても、件数では平成13年度の2,700件が平成17年度には4,000件へと増加しており、さらに拍車をかけることにつながるのではないでしょうか。

 議案第191号・千葉市農業集落排水処理施設条例の一部改正についても、下水道条例と同様に負担増の提案であり、認められません。

 議案第194号・公有水面の埋立てについてです。

 これは、千葉県施行の千葉市中央区中央港1丁目地先公有水面を埋め立てるものです。埋め立て費用は38億円で、半分の19億円を国が負担し、残り19億円の5分の1を千葉県が負担、千葉市が5分の4の約15億円を負担する内容です。
 本来、港湾管理者である千葉県が法的にも全額負担すべきものです。「千葉県の財政状況では、いつになるかわからない」として千葉市が15億円も負担するのは、市民の理解は得られません。このような多額の負担は認められないものです。

 議案第200号・工事請負契約の市民ゴルフ場コース整備工事についてです。

 第3回定例会で提案されたこの議案が否決されたのは、入札参加業者を十分に調査せず実施したことにあり、二度と繰り返さないようにすることが求められます。
 落札率が53.71%と前回からさらに低い契約金額で、適正な工事や安全性、下請業者の不利益になるなどの問題はないか。労働者の労働条件が保障されるのかどうかの疑念を抱かざるを得ません。
 
 議案第201号・蘇我スポーツ公園区域内既存施設除却工事の工事請負契約は、議案第186号補正予算と関連があります。
 この除却工事は、本来この用地を提供するJFEが更地にして、市に譲渡すべきであり、国や市が工事費を負担するのは不可解であり、賛成するわけにはいきません。また、この工事請負の入札が31.21%という異例の低価格での入札であり、下請業者へのしわ寄せや賃金が適正に支払われるかなど、今後の適正な指導が必要です。

 請願第8号・障害者の福祉・医療サービスの利用に対する「定率(応益)負担」の中止を求める請願についてです。

 障害者への福祉・医療サービスが、これまでの収入に応じた負担から定率1割負担となり、障害者やその家族がサービスを断念したり、預貯金を取り崩すなど、その生活を変更せざるを得ない事態が生じています。
 そもそも、障害者が生きていく上で必要なサービスを受けることを「利益」と考えることが間違っています。
 千葉市の第2次5か年計画でめざす「障害のある人もない人も共に暮らせる社会を実現する」というのなら、この請願が求めている「定率負担を応能負担にすること」が必要です。自民党からは「法律の主旨から言って無理」、公明党からは「応益負担が原則」との発言がありました。しかし、自治体独自の軽減策が広まる中にあって、大変冷たい対応であり、社会の流れに逆行するものと言わざるを得ません。賛成少数だったことは残念です。

 請願第9号・国民健康保険制度の改善・充実を求める請願についてです。

 この請願は、高すぎる国民健康保険料のため、払いたくても払えない人達に、病院窓口10割負担となる資格証明書発行がされている中で、せめて高齢者や乳幼児の公費負担の対象者には、特別の事情を適用し発行しないよう求めたものです。
 もともと、公費負担としたのは、このような人たちは罹患率が高く、早期の治療が必要だからです。
 市民の健康を守るのは自治体の仕事であり、お金がなくて病院にかかれないという高齢者や乳幼児は、まず救済すべきです。請願が否決されたことは遺憾です。

 請願第10号・モントルー市訪問に市長と同伴した市長夫人の旅費返還を求める請願についてです。

 総務委員会が、この請願を反対多数で不採択にしたことは遺憾であります。願意は、鶴岡啓一千葉市長が10月24日から7日間、スイス・モントルー市へ姉妹友好都市10周年記念行事参加のため、表敬訪問した際に同伴した市長夫人の旅費返還を求めたものです。訪問団は合計6名で、市長夫人も公費で同行し、1人当たりの旅費は約126万円です。請願は、「財政危機のもとで、市民感情に配慮して市長は夫人同伴を遠慮すべきだった」「他の政令市では夫人同伴の事例は少なく、同伴した場合でも市長の私費で負担をしている」として、市長夫人の旅費返還を求めたものです。
 請願審査の中で、総務局は「夫人同伴は欧米では常識、同伴したことによってより丁寧な国際交流をした」と説明がありました。
 請願に反対した、公明党は「公費の支出に当たっては条例に基づいた適正な支出であり航空運賃も節約されている」、新政五月会は「姉妹都市提携10周年の節目に、友好親善と総合理解の一層の推進がはかられたことは高く評価する。夫人同伴は国際交流における社会通念上必要であった。旅費の返還は論外であり、全く賛成できない」と発言しました。自民党は「審査の過程で議論された内容を今後に生かすこと」と述べました。 
 日本共産党市議団は請願に賛成し、「夫人を同伴しなくても国際交流はできる」こと。また、「市は財政危機を理由に市民生活を削っている中で、市長夫人の同伴経費126万円の公費支出は、市民の理解が得られない」「今年度の庶民大増税で多くの市民が住民税の負担増で苦しんでいる。住民税非課税から課税となったため、高齢者のインフルエンザ予防接種が無料から1,000円になった。下水道使用料の減免を受けていた障害者や寝たきり高齢者の料金が年間1万円近くも負担が増えた事態を、前年通りに軽減するための経費は約86万円である。市長夫人の同伴経費126万円を返して市民福祉に使うよう」求めました。
 また、10月13日付の新聞報道で「夫妻での招待状があり、国際儀礼に従って同伴を決めた」と言う当局の発言は、事実と違うことが明らかになりました。
 千葉市とモントルー市で事前に交換した文書を精査すると、2006年6月9日に千葉市側からモントルー市当ての文書で「公式訪問団の受け入れにつきましても、正式な招待の文書を頂きたく存じますので、よろしくお取り計らいのほどお願い申し上げます」と書いてあります。
 これに対して、7月28日にモントルー市側から回答がきて、「正式にご招待するために訪問団のメンバーの名簿が必要となります。サルブィ市長からの正式な招待状は、来週月曜日にお送りすることになるでしょう。」以上の通り、招待状を催促したのは、千葉市だったのが事実経過です。
 鶴岡市長は、来年度の予算編成について「私が市長就任した中で最も厳しい予算編成になる」と述べたと聞いています。そのため、市民生活の各分野で支出削減が予想されるわけですが、そんな時に市長は、国際交流だといって「夫人同伴」の旅費を市民の税金で支出することは、とても市民の理解は得られないでしょう。
 それに、鶴岡市長の「夫人同伴」は、2002年ヒュ−ストン市訪問で、同伴した1人当たりの経費120万円に続いて2回目であり、国際交流の在り方そのものが問われる問題です。
 日本共産党市議団は、「モントルー市訪問に市長と同伴した市長夫人の旅費返還を求める」請願の採択送付を重ねて求めます。

 発議12号、千葉市学校給食補助金の交付に関する条例についてです。

 今日、経済格差が広がり経済的に困窮して、給食費を支払う余裕がない家庭が増えているとの新聞報道があります。
 中には「払う必要がない」として払わない家庭もあり、全国で給食費滞納額18億円とも報道されて、文部学省も実態調査に入りました。
 私どもは、現在、就学援助事業が行われていることを踏まえ、それにプラスして子どもの虐待、外国籍の保護者など、複雑な教育環境の現実にかんがみ、子どもの権利を保障し、保護者の経済的負担を軽減しようと提案しました。
 経済教育委員会では、他会派から「現行の制度で救済できているから反対」との意見がありました。確かに、千葉市は就学援助の基準である所得基準は、政令市で2番目に高く規定されていますが、就学援助認定者数は7.3%で、15政令市中14番目です。政令市平均16.8%の半分以下という実態は、千葉市の運用のあり方に問題があると言わざるを得ません。この提案は、現行の規定では救済できない世帯を救済するものです。子どもの権利を守る点から、是非とも必要な条例と考えますが、他会派すべてが条例制定に反対との対応はとても残念です。
 しかし、教育委員会においては、就学援助を受けやすくするためにも委員会で指摘があったように、実態にあった運用へ早急な改善をはかるよう求めておきます。
 以上、述べて討論を終わります。