やなぎだ清議員の代表質問に対する答弁(要旨)

2006.12.7
【鶴岡市長】

○ 税制改定から市民生活を守ることについて

 安倍内閣の税制は、少子・高齢化、グローバル化の中で、活力ある経済社会の構築へ政府税調で議論され答申されたもの。今後国会で検討されると思う。所得税から個人住民税への税源移譲で税率10%フラット化、定率減税廃止、65歳以上の非課税措置廃止経過措置で、市民税への影響額は18年度で284億6200万円、納税者1人当り69,000円だ。個人市民税の影響分35億4000万円を加えた納税者1人当りの影響額は、約77,000円となる。
 国保料・介護保険料の引き上げでは、65歳以上の方の公的年金控除見直しによる影響額は約8億7000万円、激変緩和措置の終了で約1億7000万円保険料が増える。
 「三位一体改革」で約4兆円の国庫補助負担金が減らされ、税源移譲としての3兆円であり、市の歳入が増えるわけではない。 

○ 教育基本法問題について

 当該法案は、国会で集中的に審議する特別委員会で審議されているもの。国民を代表する国会での審議を見守る。 

○ 雇用拡大について

 景気が順調に回復し、職安の有効求人倍率は1.08%と前年同時期と比べ0.08ポイント上昇している。高校卒業予定者の就職内定率は52.4%で昨年同時期比4.5ポイント上昇した。青年の雇用対策は、各自治体・商工会議所・職業訓練学校・職安などの雇用対策推進協議会で企業に働きかけている。

○ 政治倫理条例の制定について

 千葉市は、法律に基づき「資産公開条例」で市長・市議の資産を適正に公開している。プライバシー保護の観点や実効性などの問題があり、政治倫理条例の制定は考えていない。

○ 障害者自立支援法について

 千葉市は、応益負担を基本に軽減策を「激変緩和策」として、来年1月より実施することにした。システム改修が間に合わず、当分の間は償還払いとする。国が利用者負担軽減を検討中であり、それを踏まえてシステム改修を図る。施設運営費は、これまでより報酬が減少する施設には、利用実績の8割を保障する激変緩和策がある。さらに国が拡充を検討しているので、推移を見守りたい。

○ 財政について

 JFE、ハーバーシティにかかわる雇用問題では、派遣会社での法令違反や偽装請負問題は、国の所管事項なので国が指導監督すべきと考える。ホームズ蘇我店が家具とホームセンターで構成していたが、効率化と集客力強化のため衣料や食品等のテナントを入れると聞いている。ハーバーシティ全体の雇用数は2800人で正社員は2割程度、市内雇用は6割程度だ。蘇我特定地区内の税収は、18年度で法人市民税700万円、固定資産税2億2900万円、都市計画税4600万円、事業所得税5400万円、合計3億3600万円を見込んでいる。個人市民税の税額の把握は困難だ。
 市政運営の基本は「人間尊重・市民生活優先」との理念で、まちづくりを進めている。市民福祉の充実・向上、財政の健全化には、将来を見据えた税源の涵養、雇用の場の創出など都市再生に資する事業は必要不可欠で、バランスに配慮した市政運営に努めている。

○ 子育て支援について

 「地域子ども教室推進事業」は、全校を対象に事業を実施している。経費は、1校当り約38万円で、事業実施に支障はない。川崎市で発生したような事故を防止するため、全校に指導員や安全協力員を配置し、児童を見守っている。子どもルームは共働き家庭など留守家庭の概ね10歳未満の児童に、放課後の遊びや生活の場を与える施策だ。H21年度までに全小学校区への設置へ、順次整備・改善していく。地域子ども教室は、地域の大人との交流活動の実施や学習機会の場の提供も検討している。利用時間の延長は必要だと考えており、夕方の1時間、夏休みの長期休業日の朝30分程度拡大し、利用者の負担をお願いしたい。
 保育所は、公立・民間を問わず、法令に基づき一定の水準で保育する役割があり、保育の質に違いはない。保育需要の増大、多様化する保育ニーズに対応するには、民間活力の活用が求められ、行革の観点からも民営化は有効だ。老朽化した公立保育所の改築の際は、民営化も有力な選択肢となるもので引き続き十分検討していく。
 乳幼児医療費助成は、今年8月から就学前児まで拡大したので、さらなる拡大は考えていない。200円の保護者負担は、市民税所得割非課税の場合は無料であり、制度維持には必要なものだ。

○ 国民健康保険について

 人間ドックと脳ドック両方受診しているのはH17年度で約340人いる。同一医療機関で両方受診する場合、検診項目が重複しないよう対応している。重複する検査でも必要な検査であり、調整は難しいと考える。脳ドックの費用は、MRI・MRAの画像検査は必須検診項目であり、医療機関によって検査項目や検査機器が異なり、費用も差が生まれる。
 国保料は、低所得者で一定基準を下回る世帯には、応分の軽減があり被保険者の負担軽減へ、一般会計から法定分以外にも繰り入れている。介護保険料は、保険事業計画で低所得者に配慮した7段階の保険料を設定しており、これ以上の引き下げは考えていない。

○ 環境問題について

 古紙・布類のステーション回収は、市民の協力で10月末で1万3,783t回収・資源化している。H18年度は、3万700tを見込んでいる。千葉市の計画ではH28年度で古紙・布類の再資源化を5万6,000tを目指している。今後は、再生利用・再使用・再生利用の3R(リデユース・リユース・リサイクル)を念頭に、ちばルールの普及・啓発強化を図り、新たにその他プラスチック製容器包装や剪定枝等の再資源化に取り組みたい。徹底したごみ減量・再資源化で焼却処理量を3分の1、10万t削減しH28年度には25万4,000tにする計画で、老朽化した北谷津清掃工場を廃止し2清掃工場体制にする。
 ごみ有料化については、今年5月の市廃棄物減量等推進審議会答申で、循環型社会へ転換するには排出者の市民・事業者の意識変革が重要であり、そのため家庭ごみの有料化が上げられている。家庭ごみの排出量に応じた費用負担の公平化からも有効な手段であり、基本計画に有料化を盛り込んだものだ。

○ 商店街の活性化について

 意欲ある商店街の活性化を支援する立場から、新規に企画・立案しイベントを行う場合は、単年度を基本に補助している。商店街が自治会や各種団体と連携し、実施する「地域連携活動事業」など継続的に補助することで、事業の効果が考えられる事業には複数年の補助を行っている。
 市が策定した「商業振興指針」では、次世代リーダーの人材育成や地域資源の活用など地域に根ざした商業活性化の方向性を示している。後継者不足を解消する目的の「商人にぎわい塾」や商店街の活動計画策定を支援する「商店街プラン作成事業」を実施したほか、「一店逸品創出事業」「チャレンジ活動事業」等の既存事業の補助要件拡充を図っている。補助事業実施後の実績報告や商店街関係者の話では、新規顧客の発掘・販売戦略の改善・地域の連帯感や郷土意識の高揚があるとしており、活性化に寄与していると考える。商店街が独自に駐車場を整備する場合、形態は問わず補助しており、今後も制度の周知徹底を図る。

○ 総合交通ビジョンについて

 ビジョンの骨子は、人口減少や少子高齢社会の到来、都市の活性化と再生、地球環境問題への対応など、交通政策上留意する点は認識すべきと捉えている。基本理念や基本方向に沿って具体施策に位置付け、交通網の基本的ネットワークを示して、効率的・効果的な交通政策の展開を図る指針になるよう策定していく。9月に公表した骨子案は、市民や交通事業者から意見を聞いており、ビジョン素案作成の参考にしている。来年度は、学識経験者や交通事業者、関係行政機関等に公募市民を加えた検討委員会で、ビジョン素案を検討してもらうが、パブリックコメントも予定している。
 モノレール延伸計画の概要は、ホームページに掲載しPRに努めている。これまでの調査から、千葉大南側ルート、延長2キロについて、線形等の都市計画変更のための基本設計を行っている。この計画を基に関係する地元町内会や権利者を対象に説明会の開催やホームページでの公開で、市民から意見を聞いていく。
 コミュニティバスの運行は、市民の身近な公共交通であり、H15年に「バス交通に係る対応方針」として、乗合バスの退出後の不便地域への対応を優先的に図り、カバーできないニーズへの対応で、特性に応じたバスサービス導入を図ることにしている。 

○ 国民保護計画について

 日本の平和と国民の安全を脅かす恐れが発生した場合、生命・身体・財産の保護は国や地方公共団体の使命であり、その旨を計画の冒頭に記述したもの。国民保護法は、武力攻撃事態や大規模テロに備え、被害を最小限にとどめるためのものであり、その趣旨を計画の中に反映させている。
 自衛隊法103条に規定する強制収用等は県知事が行うものであり、執行は県職員が行うものだ。自然災害時の要援護者対応と併せ、支援体制を十分に配慮・検討していく。被害を最小限に食い止めるには避難訓練は必要なものだ。訓練への住民参加は、強制ではなく自発的意思で行われるものだ。政府は、北朝鮮の核問題を6カ国協議を通じての平和的解決や国連総会への決議提出など核兵器廃絶に取り組んでおり、その動向を見守りたい。

【小島助役

○ 雇用拡大について

 市職員の経験や技術継続性確保は、市民サービスに支障ないよう対応していく。また、人事異動は、職員の育成と活用、組織の活性化の観点で3年から5年で能力・適性・本人希望等判断し行っている。

○ 財政について

 入札業者に都市計画法違反がないか調査を進めているところだ。また、入札参加要件に「違反していない者」を追加した。小規模修繕の零細業者への発注では、政令市を調査したが独自の名簿作成は2市、本市と同じ登録制発注は3市で、9市は特別対応していない。物品等入札参加資格名簿に「インテリア・施設の軽微な修繕」を設け、市内業者への優先発注や特定業者に偏らないよう努めている。 

○ 若者や高齢者が集える施設設置について

 8か所ある高齢者スポーツ広場中、グランドゴルフが出来るのは中央区末広、花見川区千種、美浜区高洲の3か所だが、残り3区については、公有地等の未利用地を使用しており、2000平方メートル程度必要なグランドゴルフができる広場に整備するのは難しい。 

○ 市民ゴルフ場コース整備工事について

【林助役】

○ 若者や高齢者が集える施設設置について

 JR千葉西口再開発の一角にスケートボード場の設置は、土地の高度利用で再開発ビル建設を目的にしており、民間活力の活用で事業が動きだしており、設置は出来ない。

○ 水害対策・側溝整備について

 改良が必要な箇所が多く、側溝の安全性や老朽化などを考慮し「5か年計画」では約120kmの改良を行う。
 都市化の進展や集中豪雨の発生で、一旦整備が終わった地域でも浸水被害が発生しているため、優先度の高い地域から施設計画を策定し、既存施設を活用しつつ地域の特性に応じて増補管・バイパス管、貯留管等の対策を推進し、浸透ます等の雨水流出抑制策も合わせて進める計画だ。抜本対策は、実施まで期間と費用が必要であり、当面可能な対策を講ずるなど段階的に整備を実施している。

○ 交差点改良、道路のバリアフリーについて

 駅から公共施設に至る道路のバリアフリー化は、H15年の「道路特定事業計画」で、83路線58.4kmをバリアフリー経路に定めた。この経路では、歩道の段差解消や透水性舗装、視覚障害者誘導用ブロックの敷設などを実施している。今後もH22年完了に向け推進していく。
 改良が必要な交差点は、簡易的な交差点の改良、形状が悪い交差点など13箇所を「5か年計画」内に改良するが、これら交差点では公安委員会と協議し、安全対策を実施していく。主要地方道穴川天戸線の交差点は、H16年度から用地取得に着手、一部用地で暫定改良工事を実施市安全確保に努めている。

○ 大網街道の混雑解消について

 県・県道路公社・市では、料金徴収期間をH25年から10年程度延伸することで料金の値下げを検討している。誉田駅周辺の混雑緩和のため、誉田区間の無料化も含め出来る限り軽減できるよう、未償還金の一部を道路管理者の市が前倒しての負担も検討している。現在、料金や徴収期間の変更について三者と国で協議している。

【教育長】

○ 雇用拡大について

 学校図書館指導員は、学習や読書活動を通じて児童生徒を育成するため「非常勤嘱託職員身分等取扱要綱」で勤務条件を設定している。報酬は、勤務内容や勤務条件等を基に決めており適正な処遇に努めている。

○ 若者や高齢者が集える施設設置について

 現在、各区へのグランドゴルフ場の整備計画はないが、小・中学校の体育施設開放、運動広場、体育施設等で高齢者にも利用してもらっている。

○ いじめについて

 千葉市は「いじめはどの学校でも、どの子どもにも起こり得る問題である」と捉え、児童生徒・教職員・保護者一体で未然防止等に取り組んでいる。いじめの解決に「数値目標」の設定や「人事評価の指標」はなじまないと考える。完全学校週5日制の実施で、多忙感が増したとの現場の声を受け、H16年度から学校二学期制を導入、行事の見直しを行うなど、子どもたちとの触れ合い時間確保に努めている。

○ パワーハラスメントについて

 教職員50人以上対象の調査で、故教諭が新任教務として業務や管理職試験の準備、パソコン操作などの対応への不安から、業務が過重傾向となったことに加え、校長からの恒常的な叱責特に8・30の叱責からストレスカが重なり精神疾患発症の一因となったと推認した。校務・校長の叱責が精神疾患発症や自殺に関係するのかの確認には、さらに詳細な調査と科学的な判断が必要だ。
 教育委員会の責任について、一人の生命が失われもので重く受け止めている。関係者の処分は、慎重に検討のうえ判断したい。二度と起こらないよう、校長のあり方の研修、見識・人格をさらに重視した管理職選考の実施、管理訪問のあり方、新たな相談窓口の設置など検討している。

○ 「日の丸」「君が代」について

 東京地裁判決については、学習指導要領で「日の丸」「君が代」の掲揚や斉唱等を定めているものだが、今後の動向を注視したい。千葉市では、従来より小・中・高・養護学校の卒入学式等で指導要領を100%実施しているので指摘のようなことはない。

○ 就学援助制度について

 毎年4月に就学援助制度に従事する教職員全員に説明会を実施、詳細に説明するとともに制度の周知徹底を図るようにしている。認定には、生活保護基準を使用しており、世帯の年齢構成、認定基準額に差があるので誤解を招くことから目安は出していない。制度の実質的運用を第一に考え、児童生徒や家庭の状況を個々に勘案し、弾力的認定に努めている。保護者への周知は今後工夫していく。 

○ 地域の諸問題について

 旧消防職員寮の「雄飛寮」の跡地利用計画は、地域から要望書が提出され、全庁的な利用要望調査の結果、高齢者施設の整備や公民館駐車場増設の要望を考慮し、関係各課で検討を進め年度内には方向性を決定したい。
 こてはし温水プール利用料の高齢者への減免は、受益者負担の原則や今年度から利用料金制度の導入で設定したことから、直ぐ見直す考えはない。