ふくなが洋議員の代表質疑に対する答弁(要旨)

2007.2.23
【鶴岡市長】

○ 国施策への態度について

 国の予算は、成長力の強化を図り、地域経済活性化や再チャレンジ可能な社会を目指して編成されたもので新成長経済移行期の重要な予算だ。
 少子高齢化、グローバル化が進む中、持続的経済社会の活性化を図るため「成長力強化」「財政健全化」「健康で安心できる社会実現」の相互の目標実現へ出された税制改革案であり、国政の場で論議されるものだ。定率減税は、H11年度に景気対策で導入されたもの。現在の経済状況は大幅に改善されたので、目的を果たしたと判断し廃止されたものだ。
 道州制は、社会経済情勢の変化から広域的な行政課題が増大したことから、国と地方の関係を再構築しようとするものだが、議論は緒に就いたばかりで、今後国民的論議が必要だ。地方分権が進み、地方の自主性・自立性が高まり、住民福祉向上につながるよう注視していく。

○ 千葉市新年度予算について

 予算編成では、蘇我特定地区など継続事業の推進や、限られた財源を効果的に活用し少子化対策・安全安心なまちづくりなど、市民生活に身近な各種施策の充実に努めた。
 中央第6地区の事業は、都市機能の増進・雇用創出、税源の涵養、中心市街地の活性化に十分な効果を発揮するものだ。公共施設全体の維持管理費経費は、年間約4億5千万円予定している。
 蘇我臨海開発では、ハーバーシティで当初予測以上の来店者があり、テナント数が増えて雇用数も予想の2,300人を上回る2,800人に拡大している。この地区内には、商業施設や業務機能などの集積が計画され、更に正規雇用拡大につながると考える。ハーバーシティOP後の調査では、中心市街地への影響はそれほど大きくなく、むしろ千葉駅周辺大型店のリニューアルが進み、中心市街地にプラス影響が出たとの意見もある。引き続き千葉都心・蘇我副都心が互いに相乗効果を発揮するよう、民間事業者と調整を進めていく。工場跡地の遊休化した空間を段階的に市民に活用され、サッカー場やハーバーシティは多くに人で賑わっている。今後、業務機能や居住機能の集積が進めば、周辺市街地に活性化を誘発することになるので、着実に整備を進めていく。
 都市基盤整備は、都市機能の向上に加え雇用創出や税源の涵養、都市の再生と地域経済活性化に資するものだから、今後も計画的に推進していく。
 企業立地促進費では、企業が進出すれば工場建設から生産原材料の調達、輸送、従業員の消費活動など経済活動に直接・間接的に発生し、経済効果は大きいものがある。税収も企業立地助成を開始したH12年度から18年度で、進出企業の納入した固定資産税や都市計画税等の額は、法人市民税を含めると7億1,600万円で、助成額2億9,800万円を上回っている。地元雇用はH12年度末現在で、10社が進出し520人の雇用があり、千葉市民は250人となっている。千葉市に立地する企業には地元雇用を要請し、一定の効果が出ているもので、今後も雇用創出に努める。また、雇用面だけではなく消費や税収の増大、市内産業との連携など効果は大きいものがあり、一層の促進に努める。
 日常生活に密着した側溝の新設・改良、交通安全施設等の整備は、予算の範囲内で創意工夫をこらし、コスト縮減を図り、効果的・計画的に進め、市民要望に応えていく。工事の発注は地元業者優先に努めていく。
 公共工事の発注は、従来から「法律」に基づき、可能な限り地元中小企業者の優先指名を基本としてきた。H17年度の官公需発注は、大型下水道工事2件発注した影響で、中小企業向けが減少したものだ。引き続き、地元業者では困難な工事を除き地元中小企業の受注機会の確保に努める。
 市債・債務負担行為は、政令市にふさわしい都市基盤と市民生活密着の関連施設整備を進めるため、市債や債務負担行為を有効に活用してきた。今後も事業を厳選し、将来の財政負担を見極めて計画的・効果的に活用していく。
 実質公債費比率は、千葉市は高い水準にあることは十分認識している。計画的に低減するよう公債費負担適正化計画を策定中で、国との協議を経て今年度中にまとめる。金融機関の自治体評価は、実質公債費比率だけでなく財政基盤や財政体質を含め総合的な評価であり、昨年実施の個別条件交渉方式での市場公募債発行では、同時期に発行した他団体と遜色ない評価だった。今後も投資家向け広報活動等を行い市場の高い評価を得られるよう財政構造健全化に努める。
 市民からの市税を最大限に活用し、様々な施策で還元することが肝要で、その観点から新年度予算を編成した。しっかりした将来展望で、市民福祉の向上に資する施策充実に努める。
 障害者自立支援法での利用者負担軽減は、国が軽減策として負担上限月額を原則、国基準の1/4に引き下げ、事業者への激変緩和措置で収入が減少した施設に、従来報酬の90%保障などを講じるので、その推移を見たい。市の利用者負担の激変緩和措置は、国の特別対策の対象外のグループホームやケアホーム入居者等に係る障害福祉サービス等の利用、補装具、日常生活用具での激変緩和措置を講じていく。

○ 第2次5か年計画について

 計画には、福祉施策はもとより生活道路や下水・排水施設整備、ごみや環境問題対策など市民生活密着事業を多く位置づけている。新年度予算でも、その計画を的確に盛り込んでいる。これまでも毎年度、当初予算編成時と決算時に進捗状況を公表し、市民に計画推進に関し知らせているし、議会でも審議されていることだ。「2次5計」は、必要に応じて3年次目に見直しを行うが、見直しの基本的な考え方も公表し、的確に対応していく。

○ 公正な税務行政について

 監査委員の登用は、「人格が高潔で普通地方公共団体の財産管理、事業の経営管理その他行政運営に関し優れた見識を有する者から選任する」としており、最適任者を選考している。

○ 財政について

 限られた財源を効果的に活用するため、市民や議会の要望等を勘案しながら「2次5計」に基づき、必要性・緊急性の観点で事業を厳選したものだ。財政状況の分析や財政課題・展望など、グラフや図表で「千葉市の財政状況」を策定する作業を進め、今年度末には公表の予定だ。千葉市はH18年度から不交付団体になったが、主要因は市税収入が伸びたもので、市の市税構成比を勘案すると夕張市のような状況にはならず、引き続ききめ細かな市民サービスの提供は可能だ。夕張市の財政破綻は、地域特性での社会的要因もあるが、財政運営の見極めの不十分さが大きいと考えている。H19年度からの新たな繰り上げ償還制度は、まだ国から詳細が示されておらず、本市が対象になる場合は積極的に活用したい。
 入札については、H17年度に等級の各付けに使用する主管点数の見直しを行い、市と災害防止協定を締結している建設業協会等に加入した場合の加点など、地元に貢献する業者の優遇措置を講じている。契約制度の改善では、地元中小企業育成や技術習得目的の特定建設工事共同企業体の発注金額を引き下げている。本年度より導入した制限付一般競争入札でも、入札参加資格要件設定に際し、地域要件を付して出来るだけ地元業者が入札参加できるよう条件の緩和を行うなど、受注機会確保に配慮している。

○ 国民保護法の問題について

 国民保護法の「核攻撃対処」は、核攻撃などの武力攻撃事態が発生した場合、適切な対応で被害の軽減が可能であり、現場での初動的な応急措置としてNBC攻撃での災害への対処を記述したもの。国民保護計画は、国民保護措置を実施する上で、関係機関が適切に連携し、市民の生命・財産を保護し、被害を最小限にとどめるために定めたもので、国の強制力が一方的に働く仕組みではなく、憲法の平和原則を否定したり思想教育につながるものではない。これまで、戦争遺跡バスツアー、千葉空襲写真パネル展開催など、戦争の悲惨さと平和の尊さを知ってもらう機会を設けてきた。今後も関係機関の協力を得て、平和啓発事業に取り組んでいく。

○ 保健福祉行政について

 後期高齢者医療の特定健診・特定保健指導は、高齢者医療確保法で後期高齢者の生活習慣改善での疾病予防より、生活の質の確保や介護予防が重要だとし、健診や保健指導は任意事業とされた。県後期医療広域連合では、健診や保健指導、健康教育など後期高齢者の健康保持増進事業のあり方を検討している。広域連合議会の議員は、この制度が医療制度改革での新たな制度であり、運営に各地域の意見を反映する必要性から、各市町村議会から議員1人ずつで56人となったもの。後期高齢者の診療報酬は、心身の特性にふさわしい医療を提供できるよう、新たな診療報酬体系を国の審議会で「特別部会」が設けられ検討されている。
 児童相談所の予算は、一時保護所の環境向上を目指した増改築を実施するため、2月補正に所要の経費を計上した。H19年度予算では、児童虐待など要保護児童を乳児院や児童養護施設に一時保護する委託費を増額した。人員は、児童福祉司をH16年度から毎年1人ずつ増員し、心理判定員もH18年4月に2名増員など、児童虐待に対応するための増員を図っている。組織の整備は、H14年4月に虐待対策班を設置、H15年4月には虐待対策係に昇格させた。千葉市児童虐待及びDV防止連絡協議会を毎年開催し、児童虐待の発生予防や早期発見・早期対応への共通認識を持ち、緊密な連携を図っている。11月の児童虐待防止推進月間には、市政だよりへの掲載、パンフの配布などで広報・啓発している。乳幼児健診や育児相談等の場で、育児不安や育児ストレスが見られた家庭には、保健師等が育児支援家庭訪問を実施し、カウンセリングが必要な場合は、心理士の個別相談を行っており、虐待の未然防止に努める。

○ 環境行政について

 地球温暖化対策では、自然エネルギーの導入、公共交通機関の利用促進、緑化などについて庁舎内の関係部局で連携し、施策の推進に努めている。
 自然エネルギービジョンにより、普及啓発や環境教育の視点で、学校など公共施設への太陽光発電や公園等への小型風力発電など、自然エネルギーの率先導入に努めている。H19年度には、大型風力発電施設の設備に向け、風況調査を実施する。今後、バイオマスなど新たな自然エネルギーの技術向上等を見極め、千葉市の特性や地域経済の視点から導入の可能性を検討していく。

○ 経済農政について

 直売所機能をもつ都市農業の交流センター整備は、いずみグリーンビレッジ事業で地産地消の観点から、下田地区の地元で取れた新鮮な農産物を提供するレストランや農産物の直売機能を持った拠点施設をH20年秋オープンめざし整備している。

○ 千葉駅ビルの建替えについて

 JR東日本から、建物が老朽化したので補強・建替えを検討していると聞いている。建替えの場合は、市民にとって良い計画になるよう、駅の機能向上、駅周辺の歩行者の回遊性向上等を関係者と協議していく。
 西口再開発事業については、事業協力者の助言・提言を受け、H19年度中に管理処分の認可取得、特定建築者の公募・決定を行い、A棟再開発ビルはH21年度の完成を目指している。駅ビルの建替えの場合は、駅周辺の利便性向上の効果が西口地区にも及ぶことが必要だと考える。

○ 都市モノレールについて

 都市モノレール(株)の中間決算では、会社再建を実施したことでH18年度は黒字化の見通しだと報告されている。県庁前で止まっている1号線を市立青葉病院まで延伸すれば、利用者の増加が見込まれ、会社経営にプラスになると調査で明らかになった。高齢化社会を迎え、沿線の大病院や文化施設へのアクセスとして、また環境問題にも対応した公共交通の役割強化として、延伸は必要である。都市モノレール(株)は、安全で信頼され、便利で快適な運輸サービスの安定的な供給を行い、地域密着の交通産業として自立することを目標とし、経営再建に取り組んでいる。
 市としても、市民の足として安全・安心、安定した運行の確保を第一と考え、モノレール事業を進めていく。

○ 水道行政について

 県内水道経営検討委員会の提言は、県内水道の統合・広域化の基本的な考え方と実現への手順を示すもの。地理的条件の違いや水源確保の負担等の運営基盤に地域格差があるなど、統合・広域化には課題が多いと考える。今後、この提言で経営参画や財政負担等を県や関係自治体と協議し、本市の水道行政のあり方を検討していく。

○ 教育行政について

 教育委員会の委員には、市民の教育に対する関心・要望が多岐・多様化する中で、議会の同意の下で保護者を含めた各分野・職業の方を任命し、それぞれの立場から活発に質疑や議論が交わされ、教育委員会制度の趣旨で適切に運営されている。

○ 平和行政について

 憲法が掲げる平和主義の基本理念が、戦後の日本の平和を築く上で、大きな役割を果たしてきたものと考えている。

【小島助役】

○ 新行政改革推進計画について

 地方自治体の行政運営は、「住民の福祉の増進を図ること」が最も大切な責務であり、サービスの受け手の立場に立った「市民視点」や、納税者の納得を得られる「納税者視点」を重視し、受益者負担の公平性確保にも留意して質の高い公共サービス実現に取り組んでいる。新行政改革大綱や新行政改革推進計画では、民間機能の活用を「行政責任の確保、市民サービスの維持向上、個人情報保護」の観点等から、優れた民間機能が活用できる場合に計画的に活用するとしており、民営化万能論ではない。市場化テストでは、民間事業者の創意工夫を反映できる業務への導入は、有効な手段の一つと認識しており、国や他自治体の動向を見て適切に対応していく。
 老人医療費助成制度は、医療制度改革で昨年10月に70歳以上の現役並み所得を有する高齢者の自己負担を3割に、またH20年4月から70歳から74歳の高齢者の低所得者と一般所得者の自己負担が2割に変更される。そこで高齢者世代間の自己負担の均衡を図る必要があり、市独自の助成制度を廃止することにした。
 千葉市はこれまで、職員の意識改革と事務の改善のため「職員提案制度」を実施。優秀な提案には市長が表彰し、内容を全庁的に共有することで職員の自主的な取り組みの推進と市民サービス向上に努めてきた。
 市税徴収については、徴収対策本部でH21年度までの徴収率目標を決め、電子収納やコンビニ収納を実施など納税者の利便性と納付機会の拡充に努めている。さらに、財産調査や不動産等の差押えなど滞納整理事務を的確に執行し、H19年度からはインターネット公売も実施している。今後も、徴収率向上に鋭意取り組んでいく。
 保育料等は、所得水準と行政サービスでの受益を勘案し、適正な料金設定を行っている。したがって、未納者・滞納者に対しては、市税同様の納付督促や滞納処分などの徴収対策を強めていく。 

○ 公正な税務行政について

 税務部で、聞き取りや文書など出来る限りの調査を行ったが、粉飾決算を指示した職員は確認できなかった。この調査結果や個別外部監査で指摘された33項目の措置状況は総務委員会に報告し、説明責任を果たしてきた。また、税務部内の調査では不自然な徴収率の事実は確認できなかった。包括外部監査は、土地の管理、補助金の執行、公営企業の管理、財政援助団体の財務事務などをテーマに公認会計士による監査を実施。消費税の課税仕入時期、公有財産の取得に係る償還金の税額控除の取扱、減価償却資産の償却可能限度額などの解釈誤り、退職給与引当金の未計上や滞留債権に係る貸倒処理など、専門的見地から指摘を受けた。こうした指摘に、基本方針や改善計画を策定の上、計画的・具体的に指摘事項の改善に努めた結果、納税額の削減、減価償却費や貸倒引当金繰入額の計上など、関係法令の合規性確保、職員の専門知識習得の成果を上げ、行政運営の効率化にも寄与している。

○ 消費者行政について

 消費生活センターの相談業務の拡充は、相談時間を1時間拡大し、10時からの相談開始を9時からとし、相談員は1日当り6人で実施しているが、週5日間のうち2日間は7人体制で対応していく。今後も消費者啓発や相談業務の充実など、実効ある施策を推進していく。

○ 保健福祉行政について

 ペット霊園の設置は、現在規制する法令がない。先日、ペットの火葬施設を規制する条例を制定した事例があることを知った。今後、調査研究したい。
 国民健康保険証は、保険料納期限を1年以上経過して滞納している場合、納付相談に応じ納付意思が確認できれば、保険証を交付することになっている。
 介護ベッドの購入やレンタルへの助成では、国が介護保険の福祉用具貸与の扱いを見直し、特殊寝台などの給付要件を緩和するので、現行の貸与基準に該当しない場合でも、疾病等で福祉用具が必要だと医師が判断すれば特殊寝台の貸与は可能となるので、市独自の補助は考えていない。
 あんしんケアセンターは、要支援1・2の方対象の新予防給付ケアプラン作成業務量の増加が見込まれ、新年度では各センターのプラン作成見込数に応じて委託料を加算することにした。また、センター設置数は、「いきいきプラザ」「いきいきセンター」などの介護予防拠点施設の分布状況を考慮し、日常生活圏域に1箇所としたものだ。
 事業者の情報公開制度での手数料の軽減については、千葉県がホームページで公開をはじめたが、事業者が負担する手数料は独自に条例で定めており、国は都道府県に対し手数料の引き下げを要請したと聞いている。
 健診・保健指導を効率的に行うために、基本健康診査を高齢者の医療の確保に関する法律で、メタボリックシンドロームに着目した特定健診として、国保をはじめ医療保険者が実施することになる。
 中央保健福祉センターは、「キボール」に設置される複数の公共施設の中にあり、円滑に移動できるようテーマカラーを設け、案内サインにカラーを用いて誘導する。加えて保健福祉センターには、専用エレベーター2基設置し、利便性をはかる。緑保健福祉センターは、区役所からも的確に案内し、保健福祉に関する簡易な届出は受付る窓口を区役所内に作る。各保健福祉センターでは、保健と福祉に関する申請に必要な「住民票の写し」「市・県民税課税証明書」を保健福祉センター内で取得できる利便性を図る。美浜保健福祉センターの西側外壁は、壁の圧迫感を減らし住宅への西日の照り返しに配慮して「後退色」にしたもの。実施中の外講・植栽工事で、施設全体の調和が取れるよう工夫していく。
 ポストポリオ問題では、国が安全性・有効性が高い不活化ポリオワクチンの早期導入と高い接種率を保持できるよう、3種混合ワクチンと混合ワクチンが望ましいとの提言がされ、国内での開発と臨床実験が行われている。昨年4月から医療保険でのリハビリに算定日数上限が設けられたが、日数上限が過ぎても医師の判断でリハビリの継続が可能となっている。国は昨年12月、リハビリの見直しについて関係機関へ通知している。2次感染については、本市では出生時・接種時に保護者へ「予防接種の手引き」、協力医療機関には「予防接種ガイドライン」を配布し、ポリオの説明とワクチンの副作用、2次感染の説明を掲載し周知を図っている。車イスの交付は、1人につき原則1台だが、身体障害者・児の障害状況を勘案し、職業や教育上必要と認めた場合は日常生活用と仕事用または学校用の2台支給している。生活保護制度では、「事業」や「自立」に効果的と認めた場合や障害者の通勤用、通院・通所用など一定の要件で車の保有を認めている。

○ 生活保護について

 母子加算の見直しは、国で検討されたもの。母子加算を含めた生活保護費は、一般の母子世帯と比較し高く、加算は妥当ではないと結論が出たもの。来年度から、3年間で段階的に廃止されるが、「ひとり親世帯就労促進費」が支給される。生保を受けていない世帯との公平性と母子世帯の自立を促す観点で行うものだ。生保の申請は、相談者の生活実態を把握し、将来の生活設計をサポートする必要があり、面接した上で手続きを行う必要がある。生活保護制度で最低生活が保障されており、H17年度限りで慰問金は廃止した。リバースモーゲージ制度は、社会的公平の観点から一定の資産を有する者は、その資産を活用すべきとして新年度から「長期生活支援資金制度」が創設された。実施主体は県社会福祉協議会で、具体的実施手法の検討中であり、結果を踏まえ対応していく。

○ 市立青葉病院の運営について

 青葉病院は、小児科20床、産婦人科30床を配し、小児科医3名、産婦人科医4名配置して、地域の医療需要に応えている。夜間の産科救急医療体制として、海浜病院の新生児科等と密接に連携し、青葉病院と役割分担や病診連携の推進で公立病院の役割を果たしていく。
 耳鼻咽喉科は、常勤医師1名、非常勤医師1名の診療体制だが、4月から両医師が他医療機関へ転出を希望しており、耳鼻咽喉科の医師欠員の恐れがあり、関係方面に依頼し常勤医師の確保に勤め、診療への影響を最小限にとどめたい。病院駐車場は、外来患者と病院職員の共用だが外来患者が増加し車が道路に滞ることがあるため、外来患者用駐車場を旧市立病院に整備し対応している。さらに、利便性を図るため3月から旧市立病院に職員駐車場を整備し、病院内駐車場の外来患者用スペースを確保する。

○ 消防行政について

 H18年4月1日現在の整備目標では、配置すべき消防署所数、救助隊の配置数、消防職員の総数で若干目標を満たしていないが、他の政令市と比較し遜色ない状況だ。国の整備指針は目標であり、市民サービスが低下しない程度に充実していく。
 カラオケボックスの安全対策は、兵庫県宝塚市でのカラオケボックス火災に伴い、直ちに市内40店舗の一斉立入検査を実施したが、29店舗に何らかの法令違反が判明した。主な違反内容は、防火対象物定期点検未報告、消防訓練の未実施、防火管理者の未選任などだ。これら違反事項には改善指導を徹底し、改善されない場合は是正命令を視野に、防火安全対策を進める。
 住宅用火災警報器の設置効果は、総務省消防庁調べによると、H17年中の焼死者の発生状況で警報機設置の場合は、無い場合の1/3程度に減少する統計が出ている。千葉市内でも警報機が作動し大事に至らなかった事例が2件報告されている。消防局では、高齢者世帯への住宅防火訪問指導や町内自治会ごとに担当職員を決め設置普及を図る。また、安心して購入できるよう情報提供を行うなど促進方策を展開している。

【林助役】

○ 市民行政について

 椿森陸橋交差点の歩行者横断通路に設置する監視カメラは、録画式のもので、1週間サイクルで上書きする機種だ。施設の管理や歩行者の安全確保が目的で、道路管理者が設置するもので市民を監視するものではない。プライバシーの保護に関し、カメラ作動中との表示を分りやすい場所に設置し、撮影された映像は千葉市個人情報保護条例での運用基準を作り運用する。
 ペット霊園の看板は、市野外広告物条例で指導していく。建築物などの規制は、地区計画等の活用を検討していく。
 市営住宅には現在61世帯の車イス使用者世帯向け住宅に入居していて、うち2戸は単身者が入居している。今後、車椅子使用の単身者向け住宅建設については、需要動向を見て研究していく。

○ 都市行政について

 市営住宅の建替えは数が多く、5か年計画で進めているが、建設に際し耐震性はもとより環境に配慮し、再生資材の使用や太陽光設備の導入、敷地内・住戸内のバリアフリー化に努めている。子育て世代の入居は、H17・H18年度に特定優良賃貸住宅を一部市営住宅化し3団地・66戸を若年世帯向けに供給した。サポート体制の確立では、今回建替えた仁戸名町団地に緊急通報システムを設置し、生活援助員のサービスを受けられるシルバーハウジングを30戸建設した。当団地の成果を見て、市営住宅の暮らしの環境づくりをすすめていく。
 千葉市内のホテル・マンションでの耐震強度が偽装された物件はない。耐震診断・改修助成では、今後策定する予定の耐震改修促進計画で検討していく。共用部分のバリアフリー化、省エネ化を含むリフォーム工事への支援策は、分譲マンション改良工事資金利子補給制度を実施している。アスベスト除去に対する支援策は、既存建築物吹付けアスベスト対策助成を行っている。団地・マンションの再生は1つの課題であり、マンション管理組合へ支援制度の周知に努めていく。

○ 道路整備について

 私道の整備については、本市の「私道整備の助成に関する要綱」で、公道から公道へ通り抜ける場合は工事費の8/10、行き止まりの場合は6/10を限度に助成することになっている。H14年度に私道の幅員要件を緩和しているので、助成率の見直しは考えていない。

○ 下水道行政について

 下水道事業の推進には多額の費用が必要で、下水道料金や税金で市民に負担してもらっており、広報活動を行うのは必要不可欠だ。毎年9月10日の「下水道の日」にあわせ、中央公園で「下水道フェア」を開催。また処理場やポンプ場の見学会、区民まつり等で下水道コーナーの出展など下水道経営のしくみをリーフレットにし配布するなど、PR活動を行っている。3月には「水だより下水道・河川」を創刊し、町内自治会等へ配布予定だ。

【教育長】

○ 全国一斉学力テストについて

 文部科学省の実施計画では、全国的な義務教育の機会均等と水準向上へ児童生徒の学力・学習状況を把握・分析し、教育の結果を検証して改善を図ることを目的としている。参加する教育委員会や学校は、全国的状況から自らの結果を把握し、指導改善の機会にととらえている。文科省の結果の公表は、市町村や学校名は明らかにしないとしており、学校間の序列化や過度の競争にはつながらないよう配慮するとしている。この調査での個人情報は、目的の範囲内で厳格に使用されると聞いており、民間企業の参画や固有名詞の記入などは問題ないと考える。

○ 教育委員会のあり方について

 会議の公開は教育委員会の説明責任を果たす上で重要だと認識している。本市は、従前から人事や個人情報を含むもの、公開すれば教育行政の公正・円滑な運営に支障が出る恐れがある場合を除き、原則公開としている。会議日程の告知を行い、会議録は市政情報室に置き、ホームページに掲載するなど会議の審議過程の公開性と透明性に努めている。重要な計画の策定や施策の実施に際しては、アンケートや意識調査を行い結果は委員に報告し、会議で協議することにしている。教育委員が学校等教育機関を訪問し、子どもたちや教職員、市民の意見や意識をとらえる機会を設けるなど、委員自身が各活動や生活の中で保護者・市民などから得た意見・情報を基に、会議で幅広く協議し、教育行政に反映するよう勤めている。国でも議論しており、千葉市でも指導主事等の専門的職員の適正配置と研修等で資質向上に努めている。人間尊重の教育を基調に、小学校低学年、高学年と中学生向けに、市独自の人権尊重学習資料を作成し「児童の権利に関する条約」を指導している。また、自他の人権や自分の生き方を見つめる機会に、道徳等の学習資料としても役立てている。教職員定数は県教育委員会が定めており、生徒指導が困難な学校への加配や少人数指導加配・児童生徒支援加配、各課題に応じた教員加配を実施しているが、さらに拡充を県へ要望していく。市独自に少人数学習教員配置事業を小学3年まで拡大し、生活や学習の基礎基本の定着を図り、きめ細かな指導充実に努めている。

○ 中高一貫教育の問題について

 生徒・保護者等の多様な教育ニーズに応え6年間の一貫した教育課程で学ぶ機会を選択できるようにし、稲毛高校の先進的な英語教育・国際理解教育の実績を生かし、国際人を育成する目的で導入したもの。

○ 就学援助について

 就学援助認定は、生活保護基準を使用しており、世帯の年齢構成等で認定基準額に差があり、誤解が生じやすいので収入基準は提示していないが、全保護者に配布する「就学援助のお知らせ」に、援助額の記載や留意事項を追加し、分りやすく改訂した。今回、新たに「お知らせ」「申請書」を英語、中国語、韓国・朝鮮語、スペイン語、ポルトガル語の5か国語版を作成し、外国籍の方も理解できるよう工夫している。

○ 図書館の資料購入費について

 図書資料の閲覧・貸出は市民の図書館サービスの重要な要素だ。H19年度予算案では、資料費は1億7,640万円計上しており、市民1人当り189円であり政令市中では上位にある。
 現在の蔵書数は約187万5千冊で、H19年度は年間約5万1千冊の購入を見込んでいるので後退とは考えていない。