ふくなが洋議員の一般質問に対する答弁(要旨)

2007.6.21
【都市局長】

○ 南部蘇我土地区画整理組合の問題について
 当該区画整理事業は、都市計画決定された地域の一部で、スプロール化を防止し、良好な市街地形成を図るため、地元地権者が組合を立ち上げ、約39.7haを整備してきたもの。破綻した大きな要因は、バブル崩壊後の全国的な地価の大幅な下落で、保留地処分が進まなくなったからだ。これまで、千葉市は事業者から年1回、前年度の事業報告や当該年度の事業予定などのヒアリングを実施した。また、事業計画の変更には事前協議が必要であり、組合事業の状況を把握しながら指導・助言してきた。全体事業費は約161億7千万円で、このうち千葉市の支出は、都市計画道路蘇我町線整備に伴う補助金等で、約82億円になっている。事業に要する費用は、施行者である組合が負担することになっており、経費が不足の場合は組合員からの徴収が認められている。そこで、経営再建のため賦課金徴収に踏み切ったものだ。事態の打開には、再減歩の方法と賦課金徴収の方法があるが、この事業はH15年度末に工事は概成しており、賦課金以外の方法は困難だ。
 千葉市の他の組合の状況は、外に2地区が施行中で、うち稲毛北土地区画整理事業は、すでに換地処分され近々解散認可申請を受ける予定だが、H17年度の再減歩で資金計画の均衡をはかり事業の悪化に対処している。
 住民への説明は、組合として経営再建策として賦課金導入に至った事態等を説明会で事前に説明している。組合事業に必要な経費は組合員の負担となる。銀行などの連帯保証人は、当時の組合理事がなっている。公費負担については、組合設立認可前に、各公共施設管理者と事前協議し負担等を決めてある。組合事業だから、まず組合で処理すべきで、その上で市としての収束に向けた指導助言をしていく。ゼネコンとの関係では、組合との業務代行契約を取り交わし、事業リスクを負っているので、事業破綻とは無関係だ。

○ 土気東土地区画整理組合について
 設立の目的は、JR外房線土気駅からの徒歩圏である立地条件の良さと周辺の開発動向を受け、急激な都市化が予想されたので、無秩序なスプロール化を防ぎ、公共施設の整備改善を行う計画的な市街地めざし、地元地権者が組合を立ち上げたもの。事業認可はH10年2月19日で、施行面積は約85ha、区域は緑区土気町、小食土町の各一部で、期間はH9年度からH22年度まで、総事業費は約217億7千万円だ。当初の理事長は飯高治雄氏で、H15年3月から花沢和彦氏だ。
 事業への指導は、土地区画整理法第123条・125条に基づき指導している。公的資金導入は、事業地内の都市計画決定された都市計画道路等の整備に要する費用を補助している。減歩率は当初、約55%だったが、再減歩を実施し6%増の約61%となった。
 土気高校のグラウンド3割削減については、長期の地価の下落で保留地処分金収入が減少し、H17年には資金計画を見直して土気高校を含め、全体の再減歩を実施したものだ。土気高校の減歩率は、当初の16.8%から30.8%になっている。施行者は、公立の高校であることを考慮し、減少分を保留地として買い戻す案を提示したが、県教育委員会は、買戻しせず再減歩に応じることを決めたもの。組合と千葉県が協議し方針を決めたものであり、千葉市が関与するものではない。

○ 子どもの安全な環境について
 市内の子どもの遊ぶ公園の遊具は、安全性を配慮した国の統一基準の「遊具の安全に関する基準案」を用いている。また、公園の計画段階から地域住民とともに、安全かつ子どもたちの創造力が発揮できる遊び場の検討もしている。
 千葉動物公園の遊戯施設の安全性は、12機種全てを毎日の始業点検と月1回の定期点検を行っている。法定点検の規定がないバッテリーカー以外の11機種は、年1回の建築基準法での法定点検を行っている。さらに6機種は、JIS規格で定めた点検を実施している。点検の中で車軸に負荷がある機種は、非破壊検査等を実施し、安全管理に努めている。バッテリーカーも自主的に年1回点検している。遊具メーカーも「製造物責任法」や「都市公園における遊具の安全に関する指針」に基づいて製造されている。設置後の安全点検は、各公園緑地事務所が適宜安全パトロールを行い、破損状況や油切れ等を確認し、応急処置や修繕して安全に使用できるよう努めている。

【建設局長】

○ 南部蘇我土地区画整理組合の問題について
 蘇我町線は、市の東南部地区のおゆみ野や土気方面の市街地開発で、交通量の増加が見込まれ、内陸部と臨海部を結ぶスムーズな交通の流れを確保するために建設したもの。工事に伴う家屋の被害補償は、工事終了後に家屋調査を行ないH16年度に補償契約を結んでいる。環境問題も、騒音対策で遮音壁を設置し、全ての事業が完成している。

【市民局長】

○ 多重債務者の実態について
 消費者金融各社が加入する全国信用情報センター連合会のデータでは、地域別内訳が公表されておらず、市内の多重債務者数を把握するのは困難だ。市の消費生活センターがH18年度に受け付けた多重債務の相談件数は373件だ。救済システムとしては、千葉県社会福祉協議会で、低所得世帯に対し、各種貸付制度を実施している。市の消費生活センターは、相談者に貸付制度の案内を行い、多重債務の被害者の会など支援組織とも情報交換し、セーフティネットとしての支援策を調査研究していきたい。多重債務の相談窓口は、市消費生活センターで行っているが、今後庁内関係部局との連携について検討を進めていく。消費生活センターで相談を受けた際は、丁寧に聞き取りしながら、過払い金の仕組みなどを説明し解決方法等の助言を行っている。また、ヤミ金など違法業者への注意を喚起し、悪質な取立てなどの被害を受けた場合は、警察に通報するよう促している。

【保健福祉局長】

○ ペット火葬場等の設置について
 市内で飼育されているペットについては、犬以外登録制度がないため把握されていない。犬はH18年度末で、約4万5千頭が狂犬病予防法で登録されているが、実際は登録されずに飼育している犬がかなりいると思われる。ペットにかける費用は、総務省統計局のH16年の家計調査年報によると、千葉市の1世帯あたりの支出は、年間1万9,600円で、県庁所在地別では全国1位となっている。市内のペット霊園は、稲毛区に1施設、若葉区に2施設、緑区に2施設の計5施設ある。うち1施設で火葬場を併設しており3施設の霊園内に焼却炉を設けてある。現在、緑区平山町に計画中のペット霊園が2か所ある。現在、ペット霊園やペット火葬場等の規制を行う、具体的な規制手法や内容を検討中だ。適正なルール作りは事業者が定めることだと認識している。

○ ワークホームについて
 2つのワークホームでの不正問題の背景と対応は、ワークホーム制度が障害者自身やその家族などが運営できるよう配慮し、運営に関する基準が緩やかだったことで、制度を悪用されものと考える。今後は、今年7月以降全ワークホームに立入調査するとともに、調査結果を踏まえ必要に応じ設置運営要綱や補助金交付要綱の見直しをしたい。市内の32か所のワークホームでは、障害者や家族などが運営主体となり、家庭的な雰囲気で軽作業などの活動を行っており、企業で働くのが困難な障害者の働く場としての機能の他、日常的な相談支援や仲間作り支援、社会経験の場作りなどの機能を果たしている。今後の方向性は、障害者自立支援法の施行でワークホームも障害福祉サービス事業所や地域活動支援センターに移行を進めることになり、運営基盤の安定化には、法定の事業所へ移行することが望ましいが、移行が困難なワークホームもあり、制度は継続することになる。ワークホームは、利用者の障害の状況やニーズに応じて様々な作業や活動を行っており、障害者の福祉的就労や日中の居場所、活動の場の確保、障害者の社会参加の促進のため、今後も援助していく。H18年度の調査では、地域活動支援センターなどへ移行せず現状のまま運営するワークホームは20か所以上ある実態を踏まえ、制度は存続させていく。
 福祉事務所では、相談があれば設置場所や連絡先などの情報提供しており、希望があれば問合せや紹介も行なっている。ワークホームや授産施設で製作された製品や請負業務を紹介するカタログをつくり、庁内配布し利用を呼びかけている。

○ 高齢者ホームについて
 市内の高齢者ホームは、今年4月現在で養護老人ホーム2施設130人分、特別養護老人ホームが30施設で2,202人分、介護老人保健施設が20施設1,874人分、ケアハウスが15施設で650人分、経費老人ホームA型が3施設で200人分、グループホームが75か所1,189人分、有料老人ホームが75か所2,334人分となっている。利用料や施設基準は、介護保険法や老人福祉法で定められており、特に有料老人ホームは、施設整備の事業者負担分から算出した額が入居一時金として必要になる。無届の施設は、今年3月の千葉県の調査で市内に19施設ある。
 これまで、市内の高齢者ホーム内で虐待と確認できた事例はない。施設への実地指導で、入所者処遇の観点から虐待防止、身体拘束禁止に向けた取り組みを指導している。昨年4月の高齢者虐待防止法施行を受け、市は今年5月に作成した虐待防止マニュアルを各施設へ配布し、市内の施設長等との会議で、虐待防止をテーマに研修を実施するなど虐待防止の体制作りに努めている。身体拘束の実態は、転落防止でベッド柵の設置や車イスのベルト使用等の事例はあるが、国の要綱による身体拘束防止へ検討委員会を設置の指導を行う。
 入居者の意見を聞くシステム作りでは、グループホームなどの地域密着型サービスで、入居者やその家族を含めた運営推進会議を2か月に1回開催し意見を聴取する。有料老人ホームは、県の指導指針で運営懇談会を年2回程度実施し意見聴取して、それぞれ施設運営に反映することにしている。また第三者委員は、社会福祉法の規定に基づいて、相談窓口は介護保険法等の運営基準で、それぞれ設置されている。要望・苦情のポストは多くの施設で設置されている。
 職員の待遇問題では、職員配置や施設基準等が介護保険法や老人福祉法で定められており、実地指導で確認し、問題があれば指導している。介護現場で働く人の労働条件の改善は、介護報酬とも関連し介護保険財政に影響を及ぼすものだ。介護報酬の見直しは、事業者や施設の実態を把握し、サービス提供が円滑・適正に行われるよう大都市民生主管局長会議として国に要望している。
 介護で働く人の実態は、厚労省のH17年度の調査で、ホームヘルパーでは全労働者平均年収が453万円に対し約260万円で、離職率も18%と高くなっており、この分野の労働環境は厳しいものとなっている。そこで厚労省は、改善策として能力に応じた賃金体系の導入を事業者に提案している。
 第三者のチェック機能では、市の実地指導の他に介護相談員の派遣も行っている。また、グループホームには外部評価が義務付けられている。

○ コムスン問題について
 介護サービス事業者コムスンについては、市内にコムスン経営の施設は、有料老人ホームと認知症高齢者のグループホームがある。有料老人ホームは3施設ありH18年5月に花見川区畑町に定員65人で開設した「コムスンのきらめき新検見川」、H18年6月に稲毛区園生町に定員45人で開設した「コムスンのきらめき稲毛」、H18年11月に中央区長洲2丁目に定員50人で開設した「コムスンのきらめき本千葉」だ。グループホームは市内に5か所で、H15年10月稲毛区稲毛町に開設した定員27人の「コムスンのほほえみ稲毛」、H15年11月若葉区都賀4丁目に開設した定員18人の「コムスンのほほえみ都賀」、H16年4月に中央区村田町に開設した定員18人の「コムスンのほほえみ千葉浜野」、H17年5月に中央区長洲2丁目に開設した定員18人の「コムスンのほほえみ本千葉」がある。コムスンへの苦情は、これまでに事業所の理解不足や説明不足によるサービス提供内容などに関する苦情はあったが、人員基準違反など指定取り消し事由に該当するものはなかった。厚生労働省は、コムスンに対して7月末を目途に、現利用者が他の事業者のサービス利用へ円滑に移行できるよう、事業移行計画の策定を求めている。また、策定された事業移行計画のうち、各事業所の計画は各事業所担当地域を所轄する市町村に提出されるので、市としては内容を確認し、確実に履行されるよう指導する。コムスン以外で問題となっている事業者は、現状では把握していない。
 今回の不正の背景は、コムスンの法令遵守意識が薄かったこと、H18年4月の介護保険法改正まで、不祥事を起こした事業者でも指定を拒否できなかったこと、事業所指定の効力に期限がないことが悪用されたものと考える。介護報酬の返還は、個別のケースで不適切な請求があったため返還を求めることにした。相談窓口は、本庁の介護保険課に置き、ホームページでお知らせしている。介護サービスの質向上へ、千葉市はH12年度に「介護保険運営協議会」を設置し、質向上へ審議するとともに、介護相談員の派遣事業の実施や区役所での苦情相談体制の確立など施策を講じ、必要に応じて監査を実施している。

○ 多重債務問題について
 国保料滞納者への多重債務相談事業は、新たな収納対策のモデルとして、都道府県単位の国保連合会が国の補助を受けて実施するもの。千葉県国保連合会も八街市と協力して実施することになっている。事業の内容は、保険者の納付相談の中で、滞納者が多重債務者と分ったら、本人の了承のもとで弁護士等の専門家と連携して、消費者金融等から過払い金を回収し、国保料滞納分に充てるもの。千葉市は、同モデル事業の実施状況を注視し、納付相談に生かして生きたい。

【保健福祉局次長】

○ 感染症対策について
 H18年度の全国的なHIV感染者は952人、発症者は406人で合計1,358人と過去最高になっている。感染経路は、同性間の性的接触が63.4%と多く、年齢別では依然として20歳代から30歳代が68%を占めている。市内の状況は、H18年度の感染者は6人、発症者は5人で計11人、年齢別では30歳代6人、40歳代2人、50歳代2人、70歳代1人となっている。市の対策は、保健所での抗体検査、相談の実施、高校での専門カウンセラーによる講習会の実施、市政だより・ホームページ・駅前情報ボックスでのリーフの配布、街頭キャンペーンなど啓発活動に努めている。HIV検査は、保健所で毎月第2・第4火曜日の午後1時から3時半まで、第4火曜日の午後6時から8時まで匿名で実施している。また、強化月間の6月・12月は第2火曜日も夜間検査を実施する体制の強化を図った。その他、専門カウンセラーの講習会、エイズ予防パンフの配布を行い啓発に努めている。
 はしか(麻疹)の流行原因と背景については、今年の流行が10代の占める割合が多くなっており、ワクチン接種を受けているのに抗体が弱かったことが指摘されている。ワクチン接種率の上昇で自然に感染する人が少なくなり、自然感染より免疫増強効果が得られなくなり、それで麻疹への免疫力が減少したことも背景にあると考える。予防接種法で昨年度から、1歳・2歳までの第1期と小学校入学前の1年間の第2期の2回接種となったが、未接種者の救済措置で市独自に2歳以上から6歳未満までは、全額公費負担で実施している。その他、任意接種の奨励に努めている。H18年度の接種率は、第1期は99%、第2期は88%となっている。医師会や教育委員会と連携し、麻疹のサーベイランスによる情報の収集分析を強化し、市民への情報提供と注意喚起を行っている。今年度の集団発生に対しては、教育委員会との連携で未接種・未罹患者の希望者に公費での緊急予防注射を行った。今後も予防接種の勧奨やサーベイランス強化を図る。
 肺炎球菌ワクチンの評価では、肺炎球菌は一般の肺炎の3分の1程度を占め、高齢者が感染すると重篤化しやすい感染症とされており、ワクチンで免疫を獲得することは有効だとされているが、厚労省は「予防接種に関する検討会」で、有効性・安全性・費用対効果等の研究が行われているところであり、引き続きその動向を注視したい。

【教育次長】

○ 子どもの権利条約について
 「子ども会」の組織率は、小学校がH18年度で10.7%の5,543人、一番高い時でS61年度の62.0%46,969人となっている。加入率の低下は、少子高齢化による児童数の減少や女性の就労機会の拡大で、指導者不足などが関係していると思われる。H18年度の育成連絡会加盟団体数は177団体だが、この他に町内会や集合住宅等ごとに組織され他団体や子ども会があり、青少年の健全育成や親睦を図る目的に独自の活動を展開し、それぞれの役割を果たしている。「子ども会」は、異年齢集団での仲間活動や遊びを通して、社会の一員として必要な知識や態度を学び心身の成長・発達を促すことを目的に組織されたもので、子どもたちに様々な体験活動等を提供している。地域の教育力向上が求められている現在、役割は一層重要となっており、今後も団体の自主性を尊重しながら育成・支援を進めていく。
 自転車通学を許可している小学校1校、中学校8校のうち8校が安全のためヘルメットの着用を義務付けている。1校は任意扱いとなっている。
 学校に設置されている遊具は、日常的に教職員が状況を把握するとともに、月1回安全点検表で定期点検を実施している。また、専門業者の保守点検を隔年で実施しているので、安全性は確保されている。学校の芝生化は、H13年度から先進事例を調査し、現地視察や施工方法、芝の種類、維持管手法の検討などを実施してきた。しかし、施工費・維持管理費、芝生の養生期間中は使用制限などの課題が多く、実現に至っていない。
 学校施設の耐震診断結果の公表は、耐震改修促進計画協議会で検討していく。柏台小の事故原因は、鉄筋のサビで膨れ上がったため、モルタル部分が剥離し落下したもの。今回の件で、全ての学校に対し外壁の劣化しやすい部位を示し、点検調査を実施した。この調査報告をもとに再度現場を確認し、専門業者による点検補修を実施したい。