中村きみえ議員の反対討論

2007.6.22
 議案第96号〜98号、101号、103号、105号、107号に反対し、発議第6号が否決され、請願第2号、請願第3号が不採択されたことに対し、討論を行います。

 議案第96〜98号・101・103号は中央第六地区の財産の取得についてです。
 今回提案された子育て施設、保健福祉施設、科学館、中小企業支援の施設は、市民にとって必要な施設ばかりだと思います。しかし、今なぜ再開発ビルに多額の費用をかける必要があるのか、疑問のある方は多いのではないでしょうか。
 そもそも中央第六地区市街地再開発は、旧扇屋ジャスコから5,028平方メートルを135億7,300万円で平成5年に購入しましたが、事業は大幅に遅れ、年間6億5千万円の利息を払い、合計で63億8千万円にまで及んでいます。
 用地費は、元利合計で199億5千万円。整備費、補助金を加えると、総事業費は約432億8,500万円に膨れ上がってきたのです。
 しかも今回の議案で、総事業費が約432億円、市債償還利子116億円、維持管理費は30年間で357億円となり、合計で905億円という多額の費用となることが明らかになりました。
 千葉市は、冷え込んだ中心市街地の活性化対策として、今回の第六地区再開発事業を行うと、華々しくこの事業を打ち上げていますが、市民要望には耳を傾けず、地元商店街などとの十分な合意のないまま進めてきたものです。
 中央第六地区再開発は、千葉市主導の第1種再開発事業であり、保留床を売却し、採算を独自に行うものですが、民間事業者の参入が少なく、土地や保留床の85%を千葉市が負担せざるを得なくなったものです。
 この再開発事業は、「経営困難に陥った扇屋ジャスコの救済」といわれ、目的不明の土地購入からはじまったものであり、日本共産党市議団は、当初から「利用計画がないまま、多額の税金を投入した無駄で不透明な支出であり、市は責任を認めて直ちに是正をするよう」一貫して求めてまいりました。
 なぜ、この場所に子ども交流館、子育て支援館、科学館、ビジネス支援センター、中央区保健福祉センターを設置しなければならないのか、明確な説明がありません。保健下水常任委員会で自民党の議員も、「もともと入るものがなく、むりやり当てはめたいきさつがある」との発言がありました。このような無責任な事業に、多額の税金を投入することが、本当に必要だというのでしょうか。
 私ども日本共産党市議団は、このビルに入る公的な施設それぞれの役割を否定するものではありません。しかし「きぼーる」へ、まとめて入れることには、いろんな問題があります。子ども交流館や子ども支援館は、待ち望んだ施設ですが、わが党はかねてから、子ども交流館を拠点に1か所設置するよりも、身近な各区に児童館を設置するよう求めてきました。
 保健福祉センターが11・12階に設置されることは、利用者の利便性を無視しています。中央区役所から分離し、高層ビルに高齢者、障害者の利用を強いるのは、あまりにも配慮が足りません。駐車場も保健福祉センター利用者以外は全て有料となり、利用者が気軽に利用できるものにはなっていません。
 また、多額の事業費が千葉市財政に深刻な影響を及ぼしています。今議会では、財政問題での危機感を求める質問が相次ぎました。千葉市の実質公債比率が23%で、公債費負担適正化計画の策定が求められ、地方債発行が制限され、国との協議制になる18%という数字をはるかに上回る深刻な財政状況だということは、皆さんもご承知の通りです。今議会で財政局長は「大都市にふさわしい基盤整備を行ってきた」と説明していますが、その主な原因は、千葉市が中央第6地区をはじめ大型開発を優先させたために、財政を圧迫し、公債費を増大させたことは火を見るより明らかです。
 市の厳しい財政事情を無視した事業について、旧扇屋ジャスコ跡地購入の時点から一貫してただし、計画の見直しを求めてきたのが日本共産党市議団です。
 しかし当局は、私どもの見直し提案を無視して再開発を進め、全国的に「ハコモノ」が批判されている中で建設したのです。その結果、借金で財政危機を一層深刻にしたことは、厳しく批判されなければなりません。
 また「きぼーる」とその施設へ、多額の税金を投資したことに見合う効果が期待できる施設ではないということを申し上げておきたいと思います。

 議案第105号・千葉市立千葉高等学校改築外溝工事の工事請負契約についてです。
 今回の落札金額は、低入札調査基準額を9万3千円下回り、率で言えば、0.02%です。今までの低入札価格調査対象案件のうち、落札率の中で価格に一番近いものは、1.71%ですから、今回の0.02%は極めて不自然なものとなっています。
 入札の日に契約課長が決定する調査基準価格が、事前にもれた疑いがあり問題です。しかも、今回の土木舗装工事3件中、3件とも小梛組が落札しています。小梛組の公共事業受注については議会でも問題になり、市当局が自民党幹部の議員に申し入れまでしたことが生かされているとは思えません。身近な公共事業は地元の中小企業が参加でき、地域の経済活性化におおいに役立つものですが、偏った落札のあり方は認められません。

 議案第107号・都市計画道路新港横戸町線京成電鉄千葉線交差部工事その7の工事委託契約についてです。
 新港横戸町線は、当初20メートルの幅員を最大52メートルにまで広げたため、地域住民への環境被害や道路による街の分断が起こり、関係住民が納得しないまま工事がすすんでいます。
 また、2.6キロメートルの短い地域高規格道路に総事業費700億円もかける、1mあたり2千万円の整備事業ですが、これによる穴川インターから市役所までの短縮は、わずか4分というものです。この道路整備を優先して行わなければならない理由は乏しく、住民合意が不十分なままであり、費用対効果の面から考えても認められません。

 発議第6号・千葉市子どもを虐待から守る条例の制定についてです。
 児童虐待防止法が改正されたことは、先に提案理由で説明いたしましたが、児童福祉法、母子保健法に基づいて、千葉市が日夜わかたず尽力されていることは承知しております。しかし、現在のマンパワーで、現実に起こっている子どもたちの虐待をなくしていくには不十分であり、解決のためには、既存の法整備の枠内だけでは限界があるというのが、実態ではないでしょうか。
 虐待問題は、家族連鎖やドメスティックバイオレンスをはじめ、複雑多岐にわたります。乳幼児健診での保健師の対応は、母子保健法で定められた枠内であり、虐待の早期発見を網羅できるものではありません。
 就学前の子どもから保険証を取り上げてしまうことも、子どもが病気になった場合に手遅れとなる危険性をはらみ、これも子どもを虐待から守るという条例の理念から考えれば、当然改善しなければならないものになります。
 常任委員会では、自民党、公明党、民主党の議員が「法で網羅されているから」などと反対し、不採択としたのは極めて遺憾です。

 請願第2号・国民健康保険料の引き下げを求める請願についてです。
 国保料が高すぎて「払いたくても払えない」と、千葉市では加入世帯の約2割が滞納しています。千葉市は、平成18年度当初で約1万世帯に、窓口での10割負担を強いる資格証明書を発行しています。そのため、医療費負担を気にして受診抑制し、手遅れになるケースが千葉市内でも発生しています。
 そもそも、国保会計は1984年からのたび重なる法律の改悪で、国庫負担率の引き下げを行い、市への支出は50%から35%へと引き下げられてきました。そのしわ寄せが市民負担となり、保険料は倍増しているのです。
 市が一般会計からの繰り入れを増やせば、国保料を引き下げることができます。そうすれば、滞納世帯も減少し、市民の暮らしも健康も守ることができます。
 ところが、この請願には、日本共産党以外の自民、公明、民主、市民ネット、無所属のすべての議員が反対しました。いま苦しんでいる市民の切実な願いや実態をしっかりと見ることが必要ではないでしょうか。

 請願第3号の1、障害児者への「応益負担」を中止させ、切実な願いの実現を求める請願についてです。
 多くの反対の声をよそに自民・公明政府によって強行された「障害者自立支援法」が昨年4月、施行されました。しかし、危惧していた通り「応益負担」による大変な困難が広がりました。昨年の6月議会に日本共産党市議団は、利用料の軽減を求める条例を提案しました。また、障害の重い人ほど負担が増える問題では、昨年の12月議会や今年の3月議会でも批判の声があがり、改善が求められていました。
 そして、関係者の強い要望を受けて、国も千葉市も利用料の軽減策に踏み切ることになったのです。しかし、利用料の軽減策も生保以外では、半額を超えた分のみとどまるもので、なお一層の軽減策が必要です。
 請願では、小規模作業所すなわちワークホーム等への支援の継続も求めています。
 さらに、医療費の現物給付化も喫緊の課題です。
 しかし、民主党議員は「利用料について減免措置が行われているから仕方がない」、現物給付化についても「しばらく様子を見たい」と反対し、公明党議員は「応益負担を応能にはできない」と反対しました。自民党議員も「食費は医療でも取られている」などと反対したのは極めて残念です。

 請願第3号の2、障害児の切実な願いである教育条件の整備に関する請願についてです。
 障害児には豊かな教育を受ける権利がありますが、千葉市では障害児が普通学級に在籍していても、担任の教職員が一人で担当しなければなりません。
 障害児担当の指導員が市全体で16名配置されましたが、これではまったく不十分です。「豊かな教育を」保障するには、マンパワーの確保がどうしても必要です。
 また、障害児学校の入学者が増え、プレハブ施設での生活を余儀なくされています。きめ細かな対応をしていくには、請願にあるように県へ要望するだけではなく、市独自でも改善することが求められています。
 自民党は「現状より条件は良くなっている」として不採択を主張し、公明党は「早期教育が大切」だからと不採択を表明したことは、大変遺憾です。

以上、申し上げて討論を終わります。