ふくなが洋議員の一般質問に対する答弁(要旨)

2007.10.1

○ 指定管理者・PFI事業について
 千葉市では、指定管理者が破綻した場合、協定により市に対し損害賠償義務を負うことになる。また、指定管理者には、市民の平等な利用の確保と安定的な施設管理能力がある者を選定し、月次報告で指定管理者の収支状況等をモニタリングしており、市が損害を被る場合はない。想定しなかった問題も生じていない。
 想定外の黒字や赤字が出た場合の対応は、公の施設の設置目的を損なうことなく、市民に平等な利用が担保され、市が直接管理することでコストやサービス面の効果があれば、指定管理者が収益を上げても問題はない。指定管理委託料の額は、実績を踏まえ3年で見直すことにしており、適切に対応していく。
 市のホームページで指定管理者の事業内容や収支状況等を公開し、施設の管理・運営状況を理解してもらうよう努めている。 

○ 自殺防止・孤独死対策について
 過去10年間の自殺した職員数は、H9年度1人、H10年度2人、H11年度0、H12・13年度各2人、H14年度3人、H15・16・17年度各2人、H18年度3人となっている。自殺の背景・原因は、健康・仕事・家庭の問題などが考えられ、精神疾患で休職した経緯がある職員もいた。そのため、心の健康管理研修会を年2回実施したほか、ストレス簡易調査票を全職員に配布し、管理監督者への対応マニュアル配布など、未然防止・早期発見に役立つ対策を講じている。精神科医等による「こころと体の健康相談」を週2回開設し、悩み事の相談に応じている。 

○ 指定管理者・PFI事業について
 消費生活センターの5年間の運営状況は、消費生活センター・計量検査所複合施設PFI特定事業で、公共複合施設維持管理業務と特定計量器定期検査業務の適正な執行の確保へモニタリングを実施しており、これまで問題なく運営されている。
 ちばシティ消費生活ピーエフアイサービス社の決算に関する情報公開は、これまでPFI特定事業の透明性の確保の見地でモニタリング結果を公表している。その中で、同社に関する監査報告書と業務実施報告書・貸借対照表の要旨の公表は、同社と協議し検討する。
 暮らしのプラザは、公共複合施設と民間施設で構成されており、民間施設部分はPFI特定事業に影響を及ぼさないよう経営リスク分離し運営されているので、民間施設部分のテナントの動向はPFI特定事業に影響を及ぼすことはない。

○ 指定管理者・PFI事業について
 PFI事業に、応札可能な事業者のほとんどが指名停止措置を受ける事態は想定していなかった。千葉市では、PFI事業者の選定のあたり、学識経験者など外部の委員8名で構成するPFI事業審査委員会で厳正に審査しているので、千葉市ではこのような不正事案は起こらないと考える。今回の贈収賄事件はPFI事業だから起きたものではないが、今後も公平性と透明性確保に努める。
 PFI事業者の施設管理・運営状況は市政情報室などで公開しているが、さらに詳細な経理情報の公開は、企業情報との関係もあり、事業者と協議していきたい。

○ 水道事業のあり方について
 県内水道経営検討委員会の提言は、経営参画の形態や市の財政負担等が具体的に示されていないので、現時点で見解を示すのは困難だ。今年度から、県内のリーディングケースで九十九里地域、南房総地域の用水供給事業体の統合を検討し始めており、その協議状況を注視していきたい。水道事業見直しの検討課題4点は、千葉県が検討すべきものと考える。
 水道事業体の統合にあたっては、市民が負担する水道料への影響や、市の経営参加による負担割合、県と市の役割分担などが提示されておらず、市として提言への見解は示せない。

○ 自殺問題について
 H18年度の厚生労働省の人口動態調査では、千葉市の人口10万人に対する自殺者数は、19.7人で、政令市では大阪市の26.9人が最も高く、平均は21.3人であり、横浜市・さいたま市・川崎市に次いで低い値だ。千葉市には自殺原因の統計はないが、H18年の警察庁の全国統計では、健康問題、経済問題、家庭問題の順となっている。背景には失業、倒産、多重債務、長時間労働などの社会的要因などさまざまな要因がある。予防対策は、こころの健康センター等の市の関係各部署で、相談に応じる体制があるほか、自殺対策基本法施行等で今年3月、庁内関係課からなる「自殺対策庁内連絡会議」を設置し、連携して取り組む体制を整備した。
 国には、地方公共団体が実施する施策に必要な財政措置を講じるよう要望した。日本経済団体連合会など4つの経済団体に対し、傘下の各事業者が自殺対策推進のため、「過度な時間外労働時間の縮減」「職場環境等の把握と改善」など所要の措置を講じるよう要望した。国は、H20年度予算概算要求に、自殺対策関連予算の拡充をはかっている。
 千葉市は、県自殺対策絡会議に参加していたが、今年6月政府が策定した「自殺総合対策大綱」で、地方公共団体の役割が示されたので、千葉市でも協議会の設置を検討していく。

○ 孤独死問題について
 高齢化や核家族化の進展で、千葉市でも一人暮らしの高齢者が増加し、孤独死が増加傾向にある。公営住宅では、H17年度25件、18年度で29件、19年8月末では18件との報告を受けている。高齢者が誰にも看取られず亡くなることは、大変痛ましいことだ。防止策は、緊急通報装置、あんしん電話、配食サービスで、一人暮らしの高齢者の安否確認に努めているが、公的サービスに加え、地域での見守りが重要だと考えている。H40年代に中高層の公団住宅や戸建の大規模分譲団地が整備され、地域に高齢者が多く居住しており、地域特性を踏まえた孤独死対策が必要と考えている。中高層団地では、高齢化を踏まえ入居者が持つ諸問題を解決するために、幸町団地・花見川団地など4団地の入居者代表と整備主体の都市再生機構や市の関係課で協議会を今年5月に立ち上げたところだ。戸建住宅では、市内で最も高齢化率が高い大宮団地を対象に、今年度「高齢化に対応した福祉サービスのあり方」をテーマに、淑徳大学と共同研究事業を実施している。都市部の典型的な2種類の居住形態から、それに応じた効果的な孤独死防止対策を検討している。

○ 生活保護について
 辞退届けは、任意の意志に基づくことが必要であり、被保護者へ強制的に提出させることがあってはならないと考える。昨年、全国知事会と全国市長会が設置した「新たなセーフティネット検討会」で、生活保護制度を検討した結果、セーフティネットを守ることを前提に、自立を促進する仕組みを提案したものだ。この有期制は、引きつづき議論されているものであり、その動向を見守って行きたい。
 リバースモーゲージ制度は、一定の居住用不動産を有する要保護の高齢者世帯に、当該不動産を担保に生活資金を貸付け、自立を支援し、あわせて生活保護の適正化を図る有効な制度だ。千葉市の実態は、現在適用した事例はないが、今後実施にあたっては生活保護法に基づき他法他施策の活用として運用していく。
 老齢加算は、国の専門委員会で検討され、老齢加算を含めた生活保護費は一般の低所得高齢者世帯の消費支出額と比較し高いので、適正な水準にするため廃止したものだ。生活保護を受けている高齢者世帯は、生活状況に応じて必要な保護を行っている。
 母子加算の廃止は、生保を受給する母子家庭と受けていない母子家庭との公平を図り、自立を促進するためにH19年度から3年間で廃止するものだ。現行に代わるものとして、就労している場合や職業訓練を受けている母子世帯に「ひとり親世帯就労促進費」が創られ、適切な見直しだったと考える。母子家庭の生活実態は、H18年度に生保を受けている母子世帯は597世帯で、非保護世帯全体の7.3%を占め、その概ね半数が就労している。
 生活保護制度の運用は、真に生活に困っている者に速やかに必要な給付を行うとともに、保護を受ける必要のない者が不正に受給しないようにするのが重要で、保護の受給件数の的確な把握やきめ細かな処遇の確保など、適正実施を推進していく必要があると考える。
 千葉市の保護率は、H14年度8.6‰、H15年度10.0‰、H16年度11.1‰、H17年度12.1‰、H18年度12.9‰となっている。H18年度で政令市15市中、低いほうから5番目だ。
 千葉市の保護の特徴は、人口の高齢化を反映し、高齢者世帯の割合が最も高いほか、今年3月に策定した「ホームレスの自立の支援等に関する指針」で、新たな無料低額宿泊所の届出は受理してないが、それまでの同所を利用する被保護者が増えていた。

○ 自転車管理業務委託について
 受託者が下請け企業と契約を結び、受託者による管理が行われており、法的に問題はない。「丸投げ」でも、社員は下請け企業の正社員となっているので不利益が生じることはない。市内で、他に同様の委託事業は建設局管轄にはないが、他のことは知らない。
 契約委託では、一括した受けは認めていない。

○ 電磁波について
 一部の疫学研究では、超低周波の電磁波による長期的なリスクとして、高圧送電線の近くで小児白血病が倍増するとの研究結果が報告されている。しかし、今年6月のWHO報告では、否定はしていないが、動物実験などから因果関係と見なすほど強くはないとされている。市としては、今後のWHOの動向を注視したい。携帯電話への対応は、今年4月に総務省が公表した「生体電磁環境研究推進委員会」報告書で、現時点では電波防護指針値を超えなければ、健康に悪影響を及ぼすという証拠はなかったとしている。市は、今後も国の「電波の安全性評価」の関する研究等を注視していく。国の関係機関は、パンフレットやホームページなどで電磁波の健康への影響や知識などを広く国民に周知している。市としては、電磁は問題は市固有の問題ではないので、国に対して健康への影響に関する調査・研究を行い、結果を逐次国民に情報を提供するよう要望している。

○ 排ガス汚染対策について
 千葉市の道路沿線の大気環境の実態は、自動車排出ガス測定局の測定結果によると、H18年度は、二酸化窒素が7局中6局で環境基準を達成。浮遊粒子状物質は全局で環境基準を達成している。千葉市は既に、自動車NOx・PM法による対策地域に指定されているが、今回の改正で対策地域内の大気汚染が特に著しく、対策の計画的実施が必要な地区を、県知事が関係市町村長の意見を聴いて重点対策地区に指定するもの。市としての状況を踏まえ、必要に応じて県に指定の働きかけをしていきたい。国への要望は、大都市会議・政令市会議・八都県市首脳会議などを通じて要望するとともに、市独自でも要望してきているが、引きつづき要望していく。
 東京大気汚染裁判での和解成立は、国・道路管理者・メーカーはもとより、自動車を使用する一般国民の社会責任を問うものとなっている。その観点から、自動車の使用による環境問題への対策の充実を図って生きたい。市内の未認定者掘り起しや救済の前段として、環境省が幹線道路沿線での局地的大気汚染と呼吸器疾患との因果関係の解明を目的に、疫学調査「そらプロジェクト」を実施しており、千葉市も協力いている。調査はH22年度中に評価されることになっており、結果を注視していく。

○ 水道事業のあり方について
 他のナチュラルウオーターの製造は、比較的規模の大きな事業体で、水のPRや備蓄用として製造・販売例があり、千葉市の地下水をナチュラルウオーターとして事業化するには、製造単価が大きく、輸送タンクや製造用ラインの洗浄に多量の水が必要で課題が多いので、他の事業体の実態を調査研究していきたい。

○ 新港学校給食センターについて
 今回の事業延期で、H22年4月からの供用開始のスケジュールに遅れが出るが、できるだけ早く中学生に給食が提供できるよう、関係部局と協議していく。
 計画が遅れるのは想定外だったが、予定通り進めた場合は運営のリスクが高くなり、入札価格も高くなることが予想されるので、延期は適切な選択だった。
 大宮学校給食センターのSPC代表は大手企業だが、落札基準で地元企業の活用を促したので、構成企業に歯地元業者も入っている。新港学校給食センターでも同様に考えている。