佐々木ゆうき議員の反対討論

2007.9.18

 日本共産党千葉市議団の佐々木ゆうきです。会派を代表して、議案第108号、110号、117号、122号、131号について反対し、請願第4号、6号が不採択になったことについて、請願第5号について採択を求め、討論をおこないます。

議案第110号・千葉市下水道事業会計補正予算についてです。
 これは、業務の効率化とコスト縮減をために、包括的民間委託を導入するものです。
これまでも民間委託が進められ、さらに民間委託を進めることは、問題があるといわざるを得ません。
 その理由は、コスト縮減を理由に安易に民間へ委託することやコストが低いことで業者を決めていき、市の責任が曖昧にはならないのか。また、水質検査など法定検査はきちんと行われるのか。3年契約になると緊張感が薄れ、他市では業者との馴れ合いの可能性があると心配されています。さらに、民間委託が進むと議会のチェックや市民の監視が難しくなるなどが、問題点として指摘されるところです。
 以上の観点から賛成することはできません。

議案第108号・平成19年度千葉市一般会計補正予算・自転車整理手数料
議案第117号・千葉市自転車等の放置防止に関する条例の一部改正についてです。

 自転車の整理料を、駐輪場の利便性に応じて傾斜をつけることは必要です。放置自転車対策もすすむと思われます。しかし、問題点は整理料の値上げです。今まで700円であった整理料が最高で1,800円、利用者の約6割が値上がりとなり、市の試算でも約9,000万円の負担増となります。
 格差社会のひろがり、生活が厳しい中で、市民への負担増は抑えるべきだと考えます。上限を700円にし、駅から離れるにつれて、整理料に傾斜をつけて安くしていくことを求めます。市は自転車を整理する費用を整理料でまかないたいといいますが、7月現在で約6万1,000台、6万1,000人の市民が利用している駐輪場の整理費用をすべて受益者負担でまかなうことは問題があります。今までも市の税金で運営をすすめてきた経緯があります。
 自転車が果たしている環境面、健康面で市民を応援していくことも大事であります。駐輪場の整理や整備は、鉄道事業者などにも要請をして協力を求めていくことが必要です。他都市の駐輪場を利用している千葉市民もいる関係から、千葉市以外からの利用者に対しての整理料の徴収についても1.5倍の金額ではなく、現在の整理料の料金設定でいくことを求めます。
 以上の理由から補正予算と条例には賛成することはできません。

議案第122号・千葉市都市公園条例の一部改正についてです。
 この条例は、新たに有料公園施設として、千葉市蘇我スポーツ公園に多目的広場を加えるというものです。この蘇我スポーツ公園の目的は、蘇我臨海開発整備基本構想で位置づけられ、平成13年に新たに蘇我特定地区整備計画において、防災拠点機能を併せ持つ運動公園と位置づけ、総額350億円の事業費を投入して建設を進めようとしています。
 この公園は、「広域の防災拠点として位置づけられ、港、病院に近い」こと、「道路のすぐ脇にある」ことなどを掲げ「妥当だ」「関東大震災では、火災旋風がおこり、その際に広い空地が必要」との説明がありました。しかし、工場の近くに防災拠点として位置づけられることは問題です。隣接地で工場が稼動している場所に、防災拠点だからと安心して避難する市民がいるでしょうか。
 今回の多目的広場は、フクダ電子アリーナが指定管理者になるということですが、サッカー場では2,300万円の赤字を出し、来場者も40万4千人の計画が31万2千人と大幅に下回っています。千葉市は、赤字の補填はしないといいますが、経営的に安定できるのか疑問です。
 環境面でも、蘇我地区内で六価クロムが検出され、ふさわしい場所とは言えません。
 千葉市は、このスポーツ公園にテニスコートまでは設置するが、あとは検討すると答弁していましたが、千葉市が深刻な財政危機に陥っているときに、急いで公園建設を進めるべきではありません。

議案第131号・議決事件の一部変更についてです。
 議案として出された背景に、工事にかかる資材、鉄筋やコンクリート等の資材価格の値上がりで、請負代金額が変更とありましたが、資材それぞれの価格の上昇率は鉄筋が17.5%、生コンは8.5%であると説明がされました。また、建設発生土の搬出先が蘇我臨海地区から若葉区中田町に変わったことで、運搬経費が約683万円増額となり、全体で1711万円の増額であります。
 この議案は、平成18年第2回定例会で議決されたもので、同年5月の新港横戸町線6工区ボックス整備工事の入札で、大本・高田JVが65.10%の低入札価格で落札されたことが、議案質疑と一般質問で指摘されました。
 その時の当局の説明は、「千葉市の低入札価格調査マニュアルで契約内容に適合した履行がされないおそれがあるか否かについて審査がされ、具体的な調査項目では、その価格による入札した理由、入札価格の内訳、手持ち資材の状況など11項目」で審査がされていると答弁。また、「その結果、資材の大量取引によるコストダウンと施工および安全管理にかかる費用については、技術力を駆使するなどで設計内容に合致した目的物の完成は可能であるとの結論が得られ、最低入札者を落札者と決定した」との答弁がされております。コストダウンを掲げていながら、1年間で契約金額を変更するのは納得できません。低入札価格の落札に対して、それをおぎなったのではないかとの疑問の声が関係者からあがっています。
 さらに、建設発生土の運搬についてですが、蘇我臨海地区へ運搬先を決定しておきながら、わずか1年間で変更されることも問題で、最初の計画が甘かったと言えます。中田町のごみ処分場跡地への運搬は1日50台、合計で約1,700台が往来するということです。処分場跡地への道には通学路もあり、子どもの安全確保は十分なのか。環境への配慮があるのか。周辺の住民の理解が得られるかなどの課題が残されたままです。以上指摘したように今回の議案にはいくつかの問題点があります。
 また、日本共産党千葉市議団は、新港横戸町線の建設について、700億円もの多額の税金が投入され、財政を圧迫している大きな要因である。建設にあたっては、周辺住民の理解が十分得られないまま進めている問題などを、繰り返し議会で取り上げてきました。よってこの議案には賛成することはできません。

請願第4号・千葉市議会政務調査費の交付に関する条例の改正を求める請願についてです。
 政務調査費は、地方自治法に基づき、自治体が議員や会派に支給する調査研究のための経費です。議員一人当たり1ヶ月30万円、市議会全体では年間1億9,440万円という多額の交付金です。
 各地で、政務調査費の使い道についての不正使用疑惑が報道されており、千葉市でも市民から詳細を公開するよう求められていました。今回、市民オンブズから領収書添付も含めた支出詳細の公開を求める請願が出されたものです。
 わが党は、以前から政務調査費の詳細を自主的に公開しながら、議会の情報公開を求めて毎年申し入れを行ってきたところです。
 幹事長会議では、政務調査費は1円から領収書を付け、すべて公開する条例を9月議会に提出する確認がされています。
 請願内容は、幹事長会議での確認と同じ内容のものです。しかし、自民党は「請願によって動かされるものではない」「請願者は議員を説得する努力が必要だ」と反対。公明党も「採択の必要はない」と反対。民主党議員は「評価する」としながらも反対。
 議会で全く同じ内容が実現しようとしているにもかかわらず、市民から出された請願を不採択にするのは矛盾しています。

請願第5号・妊産婦健康診査の無料受診回数を増やすことを求める請願についてです。
 これは、保健下水委員会では可否同数となり、委員長決済で採択送付となりました。
 厚生労働省は昨年、「5回の無料化が必要」と自治体に通知をしており、全国の自治体で妊婦健診の補助が前進しています。
 「一気に2回から5回は厳しい、まず1回か2回増やすことが必要」との公明党の反対意見がありました。言うように2回増やせば4回になります。請願の5回とはどう違うのでしょうか。これは「ためにする反対」ではないでしょうか。
 「国の予算がない、千葉市はがんばっているから5回は採択できない」と自民党からの反対もありました。
 しかし、5回にすると1億6,000万円費用は増えますが、この金額は、民主党から「財政は厳しいが1億6,000万円は千葉市においては捻出できる金額であり少子化対策が求められている」との意見が出されました。私たちも同感です。ここにこそ、優先して予算を回すことが求められています。
 保健下水委員会で採択されたことを重く受け止めて、本会議での採択を強く求めるものです。

請願第6号・こども医療費無料化制度の拡充と制度の見直しについてです。
 千葉市では、乳幼児医療費助成制度が小学校就学前まで拡充されました。これは、子育て中の若年世帯から大変喜ばれています。全国的には、東京都をはじめ小学校卒業まで引き上げる自治体が増えています。
 200円の自己負担についても、長期にわたれば経済的な負担が重くなることから、完全無料が望まれます。
 請願に反対する意見では「ある程度負担があったほうが良い」とか「しばらく様子を見てから」などがありました。
 子どもたちの健やかな成長と、若い世代の子育ての支援は最優先して行うべきものであり、反対すべきものではありません。
 国は子どもの窓口負担を軽減している自治体に対して「国庫補助金の減額調整」の名でペナルティを課しています。この6年間で金額は、約381億円に上ることが、厚生労働省のまとめで明らかになりました。
 国の制裁は直ちにやめるべきです。そして、国が全国共通の子どもの医療費助成制度を1日も早く確立することをこの際求めておきます。
 以上で討論を終わります。