日本共産党提出の意見書

平成19年第4回定例会
Y1

 (提出年月日)平成19年11月21日
 (提出会派名)日本共産党千葉市議会議員団

後期高齢者医療制度の中止・撤回を求める意見書(案)

 政府は来年4月から、75歳以上の高齢者を対象に「後期高齢者医療制度」を創設することとしている。この制度は、高齢者への過酷な負担と医療内容を制限することが大きな特徴である。
 具体的には、現在、扶養家族となっていて、保険料を負担していない人も含め、75歳以上のすべての高齢者から保険料(平均年額76,500円、千葉県後期高齢者医療広域連合試算)を徴収し、年金から保険料を天引きする。
 さらに、保険料を払えない人からは保険証を取り上げ、医療を受けられなくする。一方で、受けられる医療を制限し差別する「別建て診療報酬」を設ける、などとなっており、「長生きにペナルティーを課すのか」、「高齢者を邪魔者扱いしている」など、強い批判が出されている。
 そもそも、病気になりがちな高齢者の医療については、長年の社会貢献にふさわしく国と企業が財政負担し、高齢者が支払える範囲で十分な医療が受けられるようにすべきである。これらはヨーロッパ諸国では常識であり、高齢者に高負担と差別医療を押しつけている国はどこにもないのである。
 これに対し、制度の運営に当たる複数の広域連合からも緊急の見直し要請が出され、政府も「一時的・部分的凍結」などの措置を余儀なくされるほど、問題の多い制度であることが明らかになっている。
 よって、本市議会は国に対し、後期高齢者医療制度の実施を中止・撤回するよう強く求めるものである。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 平成19年  月  日

千 葉 市 議 会


平成19年第4回定例会
Y2

 (提出年月日)平成19年11月21日
 (提出会派名)日本共産党千葉市議会議員団

障害者自立支援法の抜本的見直しを求める意見書(案)

 昨年4月より障害者自立支援法が施行され、多くの関係者が懸念していた問題点が現実のものとなっている。「応益負担」の導入によって、障害者は過酷な負担増を強いられ、現在の生活と将来について深刻な不安を与えているのである。
 厚生労働省の調査でも、施設利用を中止せざるを得なくなった人は、全国で1,625名に上るという実態が明らかにされている。また、報酬単価の引き下げと日額支払い方式への変更によって、施設経営が困難になったことから、職員の労働条件の引き下げによる人手不足の深刻化などを招き、障害者支援体制の維持すらできなくなる事態になっているのである。政府は昨年12月、「特別対策」を講じたものの根本的な解決にはなっておらず、自立支援法の抜本的な見直しは急務となっているのである。
 よって、本市議会は国に対し、下記の事項について早急に実施するよう強く求めるものである。


1 福祉サービス及び自立支援医療での応益負担制度は、直ちに撤回すること。
2 自立支援施設の報酬単価引き上げと日額支払い方式を月額支払い方式に戻すこと。
3 地域活動支援センターへの補助基準を大幅に引き上げ、希望する小規模作業所が義務的経費の諸事業に移行できるよう要件を緩和するなどの措置を講ずること。
4 地域生活支援事業に対し、実費の2分の1を国が負担する仕組みにすること。
5 障害程度区分の判定について、認定基準・認定手続きを見直し、児童に対する障害程度区分は導入しないこと。
6 「精神障害者退院支援施設」の導入は、中止すること。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 平成19年  月  日

千 葉 市 議 会


平成19年第4回定例会
Y3

 (提出年月日)平成19年11月21日
 (提出会派名)日本共産党千葉市議会議員団

教科書検定意見の撤回と記述回復を求める意見書(案)

 文部科学省の教科書検定によって、2008年度から使用する高校教科書から、沖縄戦について「日本軍に集団で自決を強いられた」、「日本軍によって集団自決に追い込まれた」などの記述が削除された問題は、沖縄県民の心を踏みにじり、国民の平和への願いに背を向けたものとして、強い怒りの声が沸き起こっている。
 11万人以上が参加した9月29日の沖縄県民大会でも、日本軍の強制を削除した検定意見の撤回と記述の回復を県民の総意として強く求めている。
 第二次世界大戦末期の沖縄戦において日本軍は、軍人も民間人も区別なく戦場に動員し「玉砕」を迫って「いざとなったら死ぬように」と手りゅう弾を配ったのは、沖縄戦の体験者の証言からも明らかであり、消すことのできない歴史的事実である。
 沖縄戦の教科書記述をめぐっては、1981年度の教科書から「日本軍の住民虐殺」の記述が削除された際にも、島ぐるみの抗議行動が起こり、文部省(当時)は是正に追い込まれているが、「筆舌に尽くしがたい苦しみを味わわれた沖縄県民の方々の心の痛手ということに十分な配慮がなされなければならない」、「十分配慮した検定を行うつもり」(1982年9月16日、参議院決算委員会での小川平二文相答弁)と表明せざるを得なかったのである。
 にもかかわらず今回は、文部科学省の調査官自身が教科用図書検定調査審議会に「誤解する表現」との意見書を持ち込み、検定意見を出させたなどの経緯が明らかにされており、文部科学省による「政治的介入」だとの批判は免れないものとなっている。
 よって、本市議会は国に対し、沖縄戦についての教科書検定意見は撤回し、記述の回復を図るよう強く求めるものである。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 平成19年  月  日

千 葉 市 議 会


平成19年第4回定例会
Y4

 (提出年月日)平成19年11月21日
 (提出会派名)日本共産党千葉市議会議員団

守屋武昌前防衛事務次官の防衛行政をめぐる疑惑解明を求める意見書(案)

 守屋武昌前防衛事務次官に対する、軍需商社山田洋行の元専務による過剰接待が明るみに出たことから、年間9千億円もの巨大な軍事利権をめぐる「政・軍・財」の癒着構造にメスを入れ疑惑を解明することで、防衛行政から不正とむだ遣いをなくせとの声が高まっている。
 国会証人喚問では、守屋氏と元専務のつき合いは23年前から始まり、ゴルフ接待は12年間で2百回以上、かけマージャンや飲食の接待、夫人への贈り物など、ただならぬ関係だったことを認めたが、この間に山田洋行は、大手と肩を並べる防衛庁の「Aランク納入業者」にまで成長したのである。
 守屋氏の「長年の友人に甘えた」との弁明では、根深い癒着ぶりはとても説明できるものではない。山田洋行が防衛庁への装備品納入で、多額の水増し請求をしながら処分を免れた問題や自衛隊の次期輸送機のエンジン納入で山田洋行から独立した元専務の会社に受注させようとした疑惑には、口を閉ざしたままである。さらに、元専務の飲食接待の場には複数の政治家が同席し、その中には久間元防衛大臣や現職閣僚である額賀財務大臣もいたとの証言もあるなど、解明すべき重大問題はまだ残されたままである。
 よって、本市議会は国に対し、証人喚問で一層深まった守屋氏の防衛行政をめぐる疑惑を徹底的に解明するよう強く求めるものである。
  以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 平成19年  月  日

千 葉 市 議 会


平成19年第4回定例会
Y5

 (提出年月日)平成19年12月4日
 (提出会派名)日本共産党千葉市議会議員団、市民ネットワーク

「新テロ特措法案」の廃案と旧法下での海上自衛隊の活動についての情報開示を

求める意見書(案)

 テロ特措法(旧法)が11月2日午前0時で失効したことにより、インド洋で米艦船などに給油支援活動を行っていた海上自衛隊は、活動を中止し撤退することになった。政府与党は、一刻も早い給油活動の再開のため「新テロ特措法案」を提出したが、「憲法違反だ」、「武力ではテロをなくせない」などの国民の批判や疑問に答えたものにはなっていない。政府が、幾ら「海上阻止活動への支援」だと言い張っても、給油を受けた米軍はアフガニスタン攻撃やイラク作戦にも参加しているのであり、罪のない一般市民や子供たちの命を奪っている武力行使と一体化した日本の給油・給水活動は、明らかな憲法違反であり、絶対に認められるものではない。
 また、旧法下における海上自衛隊の給油活動は「国連安保理決議1776」で評価されている「OEF(自由の不朽作戦)・MIO(海上阻止活動)」ではなく、実質的には「MSO(海上治安活動)」であったことや、イラク戦争に向かう米空母キティホークに間接的に給油した事実を防衛省が隠ぺいしていたことなど、シビリアンコントロールの原則がほとんど機能していなかったことが明らかになっている。
 アフガニスタンへの報復戦争が始まって6年間、テロはなくなるどころか拡大するばかりである。また、現地で人道復興支援に当たっている赤十字国際委員会や日本国際ボランティアセンターによれば、戦闘が激化したことにより立ち入りが不可能な地域が増え、「人道復興支援の実施を困難にしている」状況であり、戦争を続けていては事態の改善もテロの温床もなくせないことは明らかである。
 今、アフガニスタンのカルザイ大統領は「平和と和解のプロセス」として、反政府勢力のタリバンとの交渉に踏み出しており、国連事務総長も「政治的対話の推進」を呼びかけている。
 この時期に、日本政府に求められていることは、「新テロ特措法」による戦争支援ではなく、和平の動きを後押しする、平和憲法に基づいた外交的努力なのである。
 一方、福祉、医療等国民生活に直結する分野への歳出削減が強化される中、税金の使われ方という点でも給油活動の再開は認められるものではない。
 よって、本市議会は国に対し、「新テロ特措法案」の廃案と旧法下での海上自衛隊の活動についての情報開示を強く求めるものである。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

平成19年  月  日

千 葉 市 議 会


平成19年第4回定例会
Y6

 (提出年月日)平成19年12月4日
 (提出会派名)公明党千葉市議会議員団、日本共産党千葉市議会議員団

原爆症認定制度の改善を求める意見書(案)

 原爆症認定訴訟が各地方裁判所で行われ、一部原告の訴えを認める判決が出された。判決は、厚生労働省が審査に当たり採用している原因確率を形式的に適用するのではなく、被爆時の状況や、被爆後の急性症状などを総合的に判断し救済を認める内容である。
 国内には約25万2,000人の被爆者がおりその多くが、がんなど原子爆弾による放射線が原因と思われる重い疾病を発病し、日々病気と闘いながら不安な毎日を送っている。
 しかし、厚生労働省は、こうした被爆者の原爆症認定申請を却下し、かかる裁判において原爆症と認定すべきとする判決を受けても控訴し、結果として認定を拒んでいる。被爆から62年余が経過し被爆者も高齢となり、原告が裁判中に亡くなるなど、救済には一刻の猶予も許されない状況である。
 よって、本市議会は国に対し、被爆者援護法の趣旨並びに司法判断等を踏まえ原爆症認定制度を被害の実態に即した制度に早急に改めることを強く要望するものである。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 平成19年  月  日

千 葉 市 議 会


平成19年第4回定例会
Y7

 (提出年月日)平成19年11月21日
 (提出会派名)日本共産党千葉市議会議員団

最低保障年金制度の実現を求める意見書(案)

 「消えた年金」、「宙に浮いた年金」問題は、年金制度そのものへの不信を深めるとともに、非正規雇用の拡大などによる所得の減少が続く状況のもとで、2006年度の国民年金実質納付率が49.0%にまで低下したことが、社会保険庁の発表で明らかになった。
 このままでは、現在100万人を超えるといわれる無年金者は、今後さらに増加し深刻な事態になると指摘されているのである。また、国民年金だけで暮らす約900万人の平均受給月額は4万7,000円にしかすぎず、今でさえ苦しい暮らしを余儀なくされている。にもかかわらず、今後、増税や医療制度「改革」による負担増が予想され、大変な不安に襲われており、高齢者の生活を保障する社会保障としての公的年金制度が、その役割を果たせなくなっていることは重大な問題である。
 国民に大きな不信を与えている「消えた年金」、「宙に浮いた年金」問題については、国の責任において「一人も残さず、一刻も早い解決」を行い、年金への信頼の回復を図るとともに、生存権を守るため、かねて国連社会権規約委員会が日本政府に勧告し、全国市長会も要望している年金の最低額を保障する「最低保障年金制度」を導入するべきである。
 よって、本市議会は国に対し、公的年金制度が社会保障としての役割を果たすため、最低保障年金制度を一日も早く実現するよう強く求めるものである。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

平成19年  月  日

千 葉 市 議 会


平成19年第4回定例会
Y8

 (提出年月日)平成19年12月4日
 (提出会派名)民主党千葉市議会議員団、日本共産党千葉市議会議員団

日豪EPA(経済連携協定)締結交渉に関する意見書(案)

 本年4月から開始された日豪EPA(経済連携協定)締結交渉において、今後、オーストラリア政府は、我が国に対して、農産物も含む関税の全面的な撤廃を強く求めてくると見られている。
 このオーストラリア政府の要求を受け入れ、農産物の輸入関税が撤廃されることになれば、我が国の農業が壊滅的な打撃を受けることは必至であり、政府の試算でも、小麦、牛肉、乳製品、砂糖といった輸入額の多い4品目で約8,000億円もの直接的な打撃を受けるとされている。
 さらには、関連産業や地域経済への悪影響や、国土や環境の保全といった農業の持つ多面的機能、食料自給率等、その影響は我が国の社会全体に大きく波及することが懸念されており、躍動し賑わいを生む産業を展開する千葉市においても、首都圏という大消費地に立地するという特性を生かした都市型農業の健全な発展に大きな影響が及ぶと見込まれる。
 また、ここ数年の干ばつにより、オーストラリアの農業生産条件は極めて不安定なものであり、このような気象災害等による影響を受けやすいという状況に依存することは、国民の生活に不可欠な食料を安定的に供給するという我が国の食料安全保障を危うくする結果を招きかねない。
 よって、本市議会は国に対し、日豪EPA締結交渉に当たり、下記の事項が実現されるよう強く要望するものである。


1 日豪EPA交渉に当たっては、米、小麦、牛肉、乳製品、砂糖などの農林水産物の重要品目を交渉品目から除外するなど、例外措置を確保すること。
2 WTO交渉における従来の主張から譲歩することは、他の国々からも同様の措置を求められることにつながりかねないため、これまでの主張に基づいた交渉を継続すること。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

平成19年  月  日

千 葉 市 議 会