条例案に対する提案理由説明

○ もりた真弓議員の条例提案理由説明

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 日本共産党千葉市議団のもりた真弓です。
 発議第1号・千葉市高齢者孤独死対策会議の設置に関する条例の制定について、提案理由の説明を行ないます。
 ひとり暮らしで誰にも知られずに、ひっそりと自宅で息を引きとる孤独死の状態で、何日もそのまま放置され、近隣の住民が異変に気付いてようやく発見されるということが、都市部でも地方でも激増しています。
 家族の形態や住民の意識・暮し方が変わる中で、以前のような地域社会の支え合いの力が、ほとんど機能しなくなってきています。今後、日本では急激な勢いで人口が減ると同時に、高齢化が加速することになります。国立社会保障・人口問題研究所の「日本の世帯数の将来推計」によれば、世帯主が65歳以上の世帯のうち、ひとり暮らしの世帯は、2005年の28.9%から2015年には32.2%になり、2025年には36.9%に増加するとされています。高齢世帯のうち3割から4割が、ひとり暮らしになる計算です。千葉市では昨年6月の調査で、ひとり暮らしの高齢者が19,710人おられます。高齢者お二人で暮す方は、29,486世帯で58,972人、合計すると78,682人となりますが、2006年度の実績で、孤独死対策としての緊急通報装置利用者は1,794人、安心電話は791人、配食サービス利用者は624人にとどまっています。
 地域コミュニティの崩壊も孤独死を増加させている要因といわれています。特に、OECD加盟21カ国の中で、日本人男性は「世界一孤独だ」とする調査結果があります。「友人や同僚と業務以外で外出したり、サークル活動などに参加したことがあるか」との問いに、「一度もない」「ほとんどない」との回答が16.7%で、2番目は「チェコ人」の9.7%を大きく引き離しています。
 社会とのつながりを失い、生き甲斐を失い、ひとり暮らしとなった男性が「むなしさ」を紛らわすために、過度の飲酒に陥ったり、高齢化による健康問題も加わると孤独死を招く条件がそろってしまいます。
 また、暮らしや健康に困難をかかえていても、「こんな状態になったのは自分が悪いから」と思い込み、「困っている」「助けてほしい」と声を出しにくい現状もあります。社会的に「自己責任論」が強調される風潮の中で、ますます助けを求めづらくなっている背景も孤独死を生む要因となっています。
 この間、市内でも孤独死防止の取り組みが始まっています。大宮台自治会では、団地内で配達・訪問している事業者や地域住民による「大宮台団地見守りネットワーク」を組織し、ひとり暮らしの高齢者や日常生活に不安を抱えている高齢者世帯へ「大宮台団地あんしんカード」を提出してもらうことで、事件・事故・火災・災害等の緊急事態に、速やかに対応できるようにしています。
 また、ごみ出しが困難な高齢者のための小学生による「ごみ出しボランティア」が、自治会を中心に取り組まれています。公団住宅でも、入居者代表とUR都市機構や市の関係者が協議し、「あんしん登録カード」「あんしんコール」の実施も進んでいます。
 松戸市の常盤平団地をはじめ、孤独死問題に取り組んでいる先進地域の取り組みの経験からも、民生委員や社会福祉協議会だけで孤独死問題に取り組むには難しく、自治会や地域住民、NPOなどの連携が不可欠だといわれています。
 千葉市でも、高齢者が安心して長生きできるよう、孤独死防止のための調査・研究を進め、関係機関や地域の代表、地元商工業者などによる連携体制づくりの推進が求められています。この条例は、「千葉市高齢者孤独死対策会議」を設置して、問題の改善を図ることを目的としています。
 みなさんのご賛同をお願いいたしまして、提案理由説明を終わります。