日本共産党提出の意見書

　１月３０日に発覚した中国産冷凍ギョーザによる薬物中毒事件は、被害が全国に広がっており、国民の食の安全に対し大きな衝撃を与えている。

　日本の食料自給率は３９％で、食料の６割以上を輸入に依存しているにもかかわらず、輸入食品の検疫体制は極めて貧弱なものとなっている。１９９５年の食品衛生法の改定により、それまでの｢違反のおそれがある食品は一律に検査し、結果が出るまでは輸入を認めない｣との規定が削除された。これは、「過剰規制だ」として、「安全が確認されるまでとめ置く」方式から、流通させながらの「モニタリング検査」に変更されたのである。このことは、輸入食品を国民が食べてから検査結果が判明する体制であり、「食の安全」より「輸入者の利益」を優先したと言わざるを得ないものである。

　さらに、全国約３０カ所ある検疫所で検査に当たる食品衛生監視員はわずか３３４人であり、年間２００万件近くある輸入食品のうち検査できるのは、およそ１０％程度で、残りの９０％近くは「素通り」状態となっているのが現状である。

　国民に食の安全を保障するのは政府の責任である。輸入食品に頼らず国内食料自給率の向上を図る施策とともに、輸入食品の検査体制を抜本的に強化することが必要である。

　よって、本市議会は国に対し、輸入食品の安全を確保するため、下記の事項について早急に実施するよう強く求めるものである。

　以上、地方自治法第９９条の規定により意見書を提出する。

　今国会では、道路整備に使途を限定した道路特定財源のあり方が論議されている。道路特定財源は、約５０年前、まだ国道や都道府県道の舗装率が５％程度だった時期に、「整備が急務だ」との理由から「臨時措置法」として始まったものだが、すでに舗装率が９７％を超えた現在、道路特定財源を続ける理由は存在しない。

　政府はこれまで、財政危機と言いながら巨額の税金を投入し、むだな道路をつくり続けた結果、国民の批判を受けることとなった。そこで、小泉元首相も安倍前首相も国会で、道路特定財源の一般財源化を明言し、公約せざるを得なかったが、いずれも結局は道路特定財源を温存し、必要のない道路建設を続けたのである。

　福田自民・公明内閣も一般財源化に取り組むとしているが、「新年度予算の約３兆３千億円の道路特定財源のうち一般財源は１千９百億円のみ」、「一般財源化した分は翌年の道路財源にする」など、「一般財源化」を言いながら道路特定財源を温存しようとする手法は許されるものではない。また、「道路中期計画」の１０年間で５９兆円の計画についても、その計画性・必要性が説明できない道路建設計画であり、浪費のための計画であることが国会論議の中で明らかにされている。

　今、深刻な貧困と格差の広がりや生活必需品の値上がりが続くもとでは、ガソリンの暫定税率を廃止し、道路特定財源を一般財源化して、社会保障や福祉、生活密着型公共投資や環境対策などに使うことが求められているのである。

　よって、本市議会は国に対し、道路特定財源をやめ一般財源化するよう強く求めるものである。

　以上、地方自治法第９９条の規定により意見書を提出する。

パトリオット（ＰＡＣ３）配備及び移動訓練を実施しないよう求める意見書（案）

　自民党・公明党政府は、アメリカの先制攻撃戦略を支えるための「弾道ミサイル防衛計画」を進めている。これは、「日本を守る」ものではなく、アメリカを標的にした弾道ミサイルを撃ち落とす「アメリカ防衛」の憲法違反の計画であるということが、米政府高官の発言でも明らかにされている。

　１発７億円とも言われるミサイル１６発を搭載した「ＰＡＣ３」は、自衛隊入間基地・習志野基地に配備され、今後も米軍基地周辺を中心に配備を進める計画である。

　政府は、新年度予算案にこの「ミサイル防衛」関連経費として１,７１４億円を計上したが、これまでにつぎ込んだ税金は７,３４７億円に達しており、２０１１年度までに１兆円を費やす計画となっているのである。

　しかもこの「ＰＡＣ３」のミサイルは、射程距離２０�qとされており、有効な迎撃体制を構築するには、「ハリネズミのように多数の基地に配備しなければ迎撃することは不可能」と石破茂衆議院議員（現防衛大臣）も指摘するほど不確実な「ミサイル防衛」システムなのである。したがって、自衛隊基地だけの配備では不十分であり、どこからでも発射できるよう高射隊を編成し、移動展開する部隊が必要となる。

　防衛省が今年の１月１４・１５日に行った、東京・新宿御苑での発射候補地調査が１６日に報道されたが、晴海ふ頭やお台場海浜公園なども候補地として挙がっており、住民には公表されずひそかに準備が進められているのである。

　千葉県でも、自衛隊習志野基地周辺自治体の公園や運動場などが候補地になる危険性があり、しかも「軍事作戦上」情報は公開されず「移動訓練」が行われるものと考えられている。

　このような危険で、憲法上も許されない「アメリカを守る」ための「弾道ミサイル防衛」は断じて許されるものではない。

　よって、本市議会は国に対し、パトリオット（ＰＡＣ３）配備及び移動訓練を実施しないよう強く求めるものである。

　以上、地方自治法第９９条の規定により意見書を提出する。

　昨年４月１７日、長崎市長選挙の期間中に、候補者が銃撃され死亡するという凶悪な事件が起こった。動機は何であれ、民主主義の象徴である選挙の候補者を銃撃し、殺害したテロ行為に国民は強く憤るとともに、再発防止を願ったのである。

　しかしながら、その後も１１月８日には武雄市で、入院中の市民が暴力団員に拳銃で射殺される事件が発生し、また１２月１４日には、佐世保市のスイミングスクールで散弾銃を乱射し、２名が死亡、子供２名を含む６名にけがを負わせる事件が起こっている。

　このような事件が発生するたびに、国民が安全で安心して生活できる社会の実現を願い、暴力の撲滅や銃器犯罪の追放を求めてきたところであるが、昨今の銃器犯罪等が一般の市民社会にも広がっていることは重大な問題である。政府関係機関は総力を挙げ、銃器の流通など事件の真相究明を徹底するとともに、暴力団の撲滅も含めた取り組みを強化することが求められている。

　よって、本市議会は国に対し、相次いだ銃器犯罪が二度と起きないよう、厳正な銃刀法（銃砲刀剣類所持等取締法）の執行を行い、銃器犯罪を根絶するよう強く求めるものである。

　以上、地方自治法第９９条の規定により意見書を提出する。

　政府は本年４月より、７５歳以上の高齢者を対象に「後期高齢者医療制度」を創設するとしている。この制度は、高齢者への過酷な負担と医療内容を制限することが大きな特徴である。

　具体的には、現在、扶養家族となっていて、保険料を負担していない人も含め、７５歳以上のすべての高齢者から保険料（平均年額７６,５００円、千葉県後期高齢者医療広域連合試算）を徴収し、年金から保険料を天引きする。

　さらに、保険料を払えない人からは保険証を取り上げ、医療を受けられなくする。一方で、受けられる医療を制限し差別する「別建て診療報酬」を設ける、などとなっており、｢長生きにペナルティーを課すのか｣、「高齢者を邪魔者扱いしている」など、強い批判が出されている。

　そもそも、病気になりがちな高齢者の医療については、長年の社会貢献にふさわしく国と企業が財政負担し、高齢者が支払える範囲で十分な医療が受けられるようにすべきである。これらはヨーロッパ諸国では常識であり、高齢者に高負担と差別医療を押しつけている国はどこにもないのである。

　これに対し、制度の運営に当たる複数の広域連合からも緊急の見直し要請が出され、政府も「一時的・部分的凍結」などの措置を余儀なくされるほど、問題の多い制度であることが明らかになっている。また、５００を超える地方議会でも、廃止または大幅な変更を求める意見書が政府へ提出されている状況である。

　よって、本市議会は国に対し、後期高齢者医療制度の実施を中止・撤回するよう強く求めるものである。

　以上、地方自治法第９９条の規定により意見書を提出する。

繰り返される米兵の凶悪犯罪に強く抗議し基地撤去を求める決議（案）

　沖縄でまた、米兵により女子生徒への暴行事件が起こされた。今回の事件は、１９９５年に起きた米兵による少女暴行事件の再来である。沖縄県民はもとより、日本全国の怒りを呼び起こした少女暴行事件以後、米軍は「犯罪を繰り返さない」、「綱紀粛正や軍人教育に取り組む」と釈明したが、この間も事件や事故はなくならず、再び痛ましい事件が起こったのである。

　基地を押しつけられ、日常的に戦闘機の爆音や墜落の危機にさらされるばかりか、女性や子供が安心して日常生活ができない事態が存在することは、絶対に許されるものではない。

　日本のみならず、米軍基地があるフィリピンや韓国でも米兵による犯罪は繰り返されているのであり、結局米軍基地がある以上は、米兵による犯罪はなくならないのである。しかも沖縄には、戦争の際の「殴り込み部隊」と言われる海兵隊が置かれており、いつ戦場に送り込まれるかわからない兵士は、いつも精神的に追い詰められ、不安にさらされていると指摘されている。また沖縄では、新兵に「アメリカは血を流して沖縄を占領した」と教育されており、「占領者」の意識が強いと言われているなど、沖縄での凶悪犯罪に拍車をかけるような米軍の事情が存在するのである。

　襲われた女子生徒の恐怖は想像を絶するものがある。二度と米兵が「犯罪を繰り返さない」ための保障は、沖縄県民の悲願でもある米軍基地を撤去することである。

　よって、本市議会はこのような事件が二度と起きないよう、繰り返される米兵の凶悪犯罪に強く抗議し、基地撤去を強く求めるものである。

　以上、決議する。