小関としゆき議員の代表質疑に対する答弁(要旨)

【鶴岡市長】

○ 国の政治方針への対応について
 国のH20年度予算は、歳出改革を軌道に乗せる上で、重要な予算だと理解している。消費税は国政の場で議論されるものだ。道路特定財源では、道路の維持管理・整備に必要な財源を確保し、地方自治体への配分を引き上げることが重要だと考える。 

○ 千葉県との関係について
 昨年11月、県単独補助金の是正を県に申し入れ、協議してきた。その結果、一部補助金は復元したが、今後も市民の不利益にならないよう、さらに協議を進めていく。幕張メッセ負担金は、千葉市への経済波及効果等を勘案し、H9年に覚書を締結している。今後も協議しながら受益の範囲内で負担を決めていく。

○ 千葉市の新年度予算について
 予算総額が大きく減ったのは、中央第6地区などの大規模事業が完了し、財政健全化の取り組みで市債発行額を抑え、事業の重点化を図ったから。「予算の姿と自己採点」については、厳しい財政状況のもとでも学校・保育所の耐震化、幼稚園での預かり保育の充実、歩道改良や駅舎のエレベーター設置など、身近な各種施策に対応し、市債発行の減少など財政健全化への取組が両立でき、満足できる予算だったから言ったこと。
 福祉施策の見直しは、制度創設時の時代背景の変化や目的と実態の乖離があり、他事業での代替が可能であり、他事業との整合性から敬老祝い金と乗車券の事業を見直した。
 国保料の限度額引き上げは、低所得者や中間所得者に配慮した財源確保であり、法令改正に基づき支援金分の限度額を合わせて59万円にした。健康度測定事業の料金改定は、標準コースと総合コースの手数料を診療報酬点数で算定した。特定健診の自己負担は、対象が40歳以上の国保加入者であり、40歳未満の加入者との公平性の観点から有料化するものだが、健診実施率向上への影響を考え、最小限に抑えるため特定健診のみ500円徴収することにした。有料化しなければ、保険料に転嫁されることになる。
 蘇我特定地区開発は都市基盤整備であり、生活環境向上や都市機能増進、雇用創出や税源涵養につながり、都市再生と地域経済活性化に大きな効果を発揮するもの。
 県事業負担金や国直轄事業負担金は、県や国と協議し負担しているものであり、中止できない。
 新年度予算は、市税徴収率の向上や広告料収入など自主財源の確保に努め、限られた財源を重点的・効率的に活用し、少子高齢化対策や安全安心のまちづくり、市民生活の質的向上へ配慮した予算になっている。
 第2次5か年計画の見直しでは、全部先送りとなった村田雨水ポンプ場は、当面、雨水排水量の増加は見込めず、生実川改修は国道357の整備状況から、支川都川改修は放流先の都川整備の進捗に合わせたものだ。障害者からの要望のバス運行情報は、総合交通ビジョンの策定の中で検討する。一部先送りした学校の大規模改修は、落下の危険がある外壁塗装や内部改修を優先したもの。市営住宅建替え・改修は、事業の進捗状況を踏まえたもの。生活道路・歩道・側溝整備は、先送りしても一定の事業費は確保している。
 住宅の耐震改修補助は、所有者の事故責任による安全確保が原則だが、できる限り支援する観点で、実績を見て助成戸数を決めた。
 各事業を十分精査し、財政環境の中でも市民生活に影響が出ないよう配慮したものであり、これ以上の見直しは考えていない。

○ 2007年問題と職員の適正配置について
 職場の大量退職でもOJT等で技術の継承はされているが、再任用制度の活用で、これまでの知識・経験の継承に努めている。予算や事業量の減少があり、業務量を精査し簡素・効率的で質の高い市民サービスが提供できるよう、職員配置に努めている。組織の活性化へ風通しの良い職場作りを推進し、職員のモチベーション向上を図っていく。

○ 市民参加・協働条例について
 条例案は、市民参加・協働の推進への市民の責務や取り組みを課しており、「市民の権利」規定は必要ない。「市長の責務」は、「市の責務」として市民参加・協働の機会を提供し、市民や職員の理解促進などを規定しており、市長は市の事務全般を統轄する立場なので、これらの責務を果たすことになる。住民投票制度は、対象事項・選挙で選ばれた長や議会との関係・投票結果の拘束力など、様々な議論があり、この条例にはなじまない。

○ 後期高齢者医療制度について
 本制度は、老人医療費を中心に国民医療費が増大する中で、現役世代と高齢者世代間の負担を分け、医療制度を持続可能とするために創設したもの。後期高齢者医療制度は、災害などで著しい損害を受けた場合など特別な事情を除き、法令で保険証の返還を求め、短期保険証や資格証明書の発行を義務付けている。保険料の減免は、広域連合で運用基準を検討しているところだ。
 この制度は、後期高齢者対象の新たな医療制度であり、事前の周知は重要だ。民生委員を通じ、全世帯にパンフレットを配布。市政だよりや市ホームページに掲載。自治会回覧、各区での説明会を実施している。今月は、市政だよりの特集号発行と広域連合が対象者へ広域連合だよりを郵送する。国もテレビ・新聞を活用した政府広報が予定されている。広域連合は低所得者の基準を下回る世帯に、応益分保険料軽減・減免制度を設けており、市独自の救済制度は考えていない。

○ 安心して受けられる医療制度について
 救急の際の医療機関の選定は、患者の状態に最適の医療機関を選び交渉しているが、アルコール中毒患者や救急常習者など特定の事例では、交渉件数が10件を超える状況になっている。医師不足は、両市立病院も民間も卒後臨床研修医や後期臨床研修医を受け入れて、医師を養成し、定着することで医師の充足が図れると考える。看護師は、市の看護専門学校を設置し、就学資金を貸与して、市内での看護師充足を図っている。
 青葉病院の耳鼻咽喉科は、勤務医師の欠損で外来は診療を縮小し、入院診療を休止しており、海浜病院との連携で患者に対応している。また、関係機関にも医師派遣を強く要望している。
 妊産婦健診の公費負担回数拡充は、県内自治体が統一実施を図るよう、県や医師会などの関係機関と健診項目・健診料・5回以内での公費負担を調整したものであり、全ての健診の無料化は考えていない。

○ 中国産ギョーザ薬物事件の対応と食の安全について
 行政の対応が遅れたのは、保健所の閉庁時の対応、病院と保健所の不充分な連携、ちばコープの情報提供の不手際があったから。そこで、閉庁時でも電話が受けられるよう改善し、食中毒の疑いの届出を徹底し、ちばコープへは的確な情報提供を指導した。
 千葉市食中毒処理要領で、窓口での対応や検査依頼品の取り扱い、健康相談のあり方を見直した。保健所食品衛生課と食品衛生検査所を統合し、食品安全化を設置する。食品行政の一元化で食品衛生監視体制を強化する。千葉市は、食の安全に関する施策を総合的に推進する「食の安全連絡協議会」を設置しており、ここで食の安全安心を確保していく。千葉県に本市を含めた「食の安全安心の確保に関する条例」があり、独自の条例制定は考えていない。 

○ 地球温暖化対策について
 温室効果ガス排出量実態調査では、家庭部門や業務部門が増加傾向にあり、「ちばし環境宣言」への参加募集や地球環境保全協会の締結など省エネ行動実践の啓発を行なう。焼却ごみ3分の1削減の取り組みでは、清掃工場の温室効果ガス排出量は半減すると見込んでいる。温暖化対策としても重要であり、積極的に進めていく。事業者へは、省エネ法に基づく取り組みや地球温暖化対策地域協議会への参画などを通じて、温暖化対策を進めている。国は、事業者の取り組みを強化するため、年内に「地球温暖化対策の推進に関する法律」を改正するが、市としては動向を注視したい。緑地は、二酸化炭素の吸収源、貯蔵庫としての役割、ヒートアイランド減少の緩和など温暖化防止効果が期待できるので、市民の協力で市民緑地などの施策推進と都市緑地整備・保全を進める。さらに、屋上緑化や壁面緑化も開発業者に働きかけていく。住宅用太陽光発電設備費補助は前年度同様34件の補助を予定している。バイオマスの利活用は、生ごみのバイオガス化処理の検討や剪定枝の循環システム構築の事業を進めている。今後も風力発電などの新エネルギー導入施策の拡充は、国や他都市の状況を勘案しながら検討していく。

○ ごみの減量について
 焼却ごみ3分の1削減の根拠は、ごみ減量の「ちばルール」の普及・拡大、発生抑制・再使用で、ごみを作らない環境づくりを推進し、古紙・布類の再資源化の拡充、プラスティック製容器包装の分別収集、再資源化推進など、徹底した分別で焼却ごみ削減を進め、H28年度までに焼却ごみ10万tの削減を目指す。目標達成には市民・事業者・行政の協働と各種施策を積極的展開する。現在、「焼却ごみ削減10万tチャレンジ1000」として、全町内自治会に説明会を実施し、区役所・コミュニティセンターなどに雑紙を展示。分別方法をわかり易くPRし、ごみの減量と再資源化の徹底を呼びかけている。
 本市は、一部地域で生ごみ処理機設置管理事業による堆肥化を行っているが、堆肥を利用できない地域もあり、限界がある。市としては、バイオガス化処理に向けたモデル事業に取り組んでいる。千葉市廃棄物適正処理及び再利用等の条例で、事業用建築物所有者は、再利用の促進などで事業系廃棄物の減量と適正処理が規定されている。同条例と規則では、大規模小売店舗を含む事業用大規模建築物所有者に廃棄物の減量に関する計画書作成と提出を義務付け、立入調査を行なうなど減量へ指導している。

○ 千葉市の農業について
 農業の担い手育成・確保の観点から、農業後継者対策資金利子補給や農業経営体育成セミナー受講者への助成を実施している。新たに、定年退職世代の農業後継者を対象に研修制度に取り組む。就農後は、生産性の高い農業経営確立へ各種補助制度が活用できるよう支援していく。新規就農研修生への奨励金は、生活費の補填ではなく勉強の費用であり増額はしない。実地研修期間中は、トラクターなど農業機械の無償貸し出しや、市・農家のアドバイス等の支援を行なっていく。帰農者支援は、農家出身者で農地を所有する団塊世代退職者を対象に、農政センターで基礎的な農業知識や栽培実習研修を行い円滑に就農できるよう支援し、後継者を育成していく。
 品目横断的経営安定化対策は、H20年度から「水田経営所得安定対策」に名称変更し、これまで4ha以上の面積要件が市町村の判断で緩和できるように見直された。千葉市は、新しい対策の動向を見ながら対応していく。H18年度策定の「千葉市地産地消推進指針」により、生産者認定証の普及やシンボルマークの活用など、地産地消キャンペーンを通じて拡大を図っていく。遊休農地は、土地所有者の意向を踏まえ、市民が気軽に農業と親しむ市民農園など実情に即した利活用を推進していく。

【林副市長】

○ 中小業者の支援について
 金融対策事業費の増額や商店街活性化への「実践・元気商店街手引書」作成など、厳しい財政のもとで、効果的な施策展開に取り組んでいる。地元業者への発注は、「中小企業の受注機会の確保」の法律に基づき、可能な限り受注機会の確保に努めている。資金融資制度は、創業者への支援の拡充、取扱金融機関の拡大など、利用者の利便性向上を図り、16億円増額し融資枠を拡大するなど拡充を図った。

○ 交通問題について
 厳しい収支見通しから、「市民視点」「納税者視点」に立ち、財源を重点的・効果的に配分した結果、新年度予算では、モノレール千葉みなと駅と穴川駅の2駅整備となった。しかし、第2次5か年計画中の全駅へのエレベーター設置目標は変わってはいない。
 バスの行き先案内は、高齢者・障害者の円滑な移動を促進する「バリアフリー新法」で定められている、車外用放送設備設置が定められているので、運転手の音声案内の実施を事業者に要望していく。バス停周辺の点字ブロック設置は、道路特定事業計画で定められている経路は、歩道上に点字ブロックを設置することになっている。稲毛駅出入口の段差解消は、バリアフリー新法での段差解消目標年次のH22年までに整備されるようJRに要望していく。
 コミュニティバスの導入目的は、交通不便地域の解消、高齢者への外出支援、公共施設へのアクセス向上にある。乗合バスの退出による「交通不便地域」解消の地域は、必要に応じて検討していく。

○ 住宅行政について
 宮野木第1団地第二期計画は、「2次5計」の中で、H21年度に基本設計、H22年度に実施設計を予定している。既存住宅の整備は、現場調査等により優先度を考慮して効率的な整備に努める。
 特優賃住宅の請求権放棄問題は、住宅供給公社を管理主体に、賃貸住宅の一括借上方式で管理供給を行い、千葉市の住宅政策を補完する役割を果たしてきたのが特優賃住宅だが、社会経済情勢の変化等で空き家が生まれ、公社は欠損金を抱える結果となっている。そこで、特優賃の継続と入居者の安定を図るため貸付金の請求権を放棄することにした。赤字の処理は適正に行なっている。優良な賃貸住宅を供給する事業であり、市の住宅政策上重要なものである。従って、公社が努力しても生じる欠損金は、単年度補助金で支援していく。特優賃事業は、中堅ファミリー借家世帯の居住水準の向上へ、良質な賃貸住宅を供給してきたもので、2,500世帯が利用した。現在も845世帯が入居しており成果を挙げている。入居者の安定と事業の継続を図ることから権利放棄する。
 中高層建築条例は、建築主等へ計画の事前公開や必要な手続きに関して定めている。事前手続きを通じた行政指導で、紛争の未然防止と迅速な解決を図るというもの。今後も可能な限り、住民説明会を行うよう指導に努めて行く。

○ 生活道路の整備について
 建設局全体の予算は、前年比で70%だが、市民生活に密着した道路舗装や側溝の新設・改良、安全・安心のまちづくりに係る橋梁の補修は、前年度比の90%は確保されている。歩道の段差解消予算は前年度を上回っている。今後も創意・工夫し、効果的な事業を進めていく。

【藤代副市長】

○ 防災対策について
 液状化による危険性の調査はしていないが、H20年度に地震ハザードマップの作成を予定している。その中で、地域の「土地震度マップ」と地震の建物被害や液状化被害の危険性を示した「建物被害マップ」を区ごとに作成していく。液状化対策の計画では、建築物や土木施設構造物、地価埋設物の液状化対策工法を示している。

○ 地域防犯灯について
 町内自治会に属さない地域の防犯灯設置は、通学路で防犯上必要な箇所、自治会と自治会を結ぶ道路で犯罪・事故発生の恐れがある箇所は、自治会等が維持管理する前提で設置費用全額を補助している。

○ 国民健康保険について
 受診機会の確保と子育て・障害者の自立支援の観点から、乳幼児医療費助成や心身障害者医療費助成など、市の単独事業として実施している医療費助成の対象者には、今年4月より保険証を交付することにした。国保料は、低所得者で基準を下回る世帯には、応益分の軽減や被保険者の負担軽減のため一般会計から法定分以外の繰入を行なっており、これ以上の繰入はしない。葬祭費は、後期高齢者医療制度の葬祭費が5万円なので、均衡を図るため国保も5万円に改定したもの。他の政令市では、全て5万円以下に改定されている。

○ 保育所の民営化問題について
 「公立保育所のあり方」案の説明会は、市民や保護者を対象に開催。周知は「市政だより」やホームページに掲載。公立・民間の全保育所への掲示を考えている。説明会では、「あり方」案の策定趣旨や公立保育所の位置づけ・機能を、資料を使い説明する。質疑時間を設け市民の理解が得られるよう情報を提供し、丁寧に説明していく。現在「あり方」案は、社会福祉審議会で審議しており、今後専門分科会に臨時委員として、公募等で保護者・市民・保育士を加え、広く議論していくので、保育所ごとの説明会は開催しない。「あり方」案は、市の保育施策の基本方針を定めるものであり、専門分科会に審議を依頼しているものだ。策定後、具体的に民営化を実施する場合は、民営化対象保育所の保護者には説明会を十分時間を確保して理解を求めていく。引継ぎの際も保護者・運営法人・市の三者で話し合う機会を設け、共通理解の下で実施していく。
 限られた財源の中で、多様な保育サービスの充実、待機児童の解消のためには、効率的・効果的な保育所運営が必要であり、民間の活用も選択肢となる。公立も民間も保育の質に差はない。民営化の際は、保育所の運営主体を社会福祉法人等に限定し、選考委員会で優良な法人を選定する。民営化後も市が責任を持って指導監督・支援を行ない、保育の質の確保を図る。1か月間実施したパブコメでも民間保育園の保護者から、安心して子どもを預けている。公立に劣るとは思わない。との意見が寄せられている。公立・認可の保育園はそれぞれ、保育指針で保育を実践し人間の絆を築いて来ている。

【教育長】

○ 防災対策について
 小中学校の体育館は、H17年度に全ての窓ガラスを強化ガラスに交換し、地震の際の落下物対策を実施した。H18年度は、旧耐震基準で建設した131棟の耐震優先度調査を実施した。この調査に基づき、耐震改修促進計画の期間内のH27年度までに耐震化を完了予定だ。

○ 学校適正配置について
 学校の教育環境は規模で大きく変わる。例えば、適正規模になればクラス替えができる。教員配置も増置教員が配置され、グループ学習や少人数指導など、きめ細かな指導が可能となる。中学の部活動も、より多様な活動が展開でき、様々な学校行事が活性化するなど教育環境や教育の充実が図られることになる。小規模校の問題は、クラス替えができないため友人関係の広がりが難しく、総合的な学習時間の内容が制限され、教科や行事の集団編成が困難、などがある。
 適正配置の趣旨は、小規模校の問題を解消し、充実した教育環境を創造していくものだ。小規模校を卒業した児童生徒の調査はしていないが、適正規模の中学に入学した生徒からは、友達が増えたなどの声がある。教育の機会均等は、公平な教育環境の上で成り立つものだ。小規模校はこのような考えから対応するものだ。学校や地域単位の説明は、保護者や地域の要望等で個別説明会を実施してきている。今後もきめ細かく対応していく。アンケートは、地元代表者協議会で必要に応じて検討していくことになる。

○ 私立幼稚園就園奨励費補助について
 H20年度は、市単独事業分を見直し、所得の高い区分に係る補助単価を引き下げるが、国庫補助事業分は補助単価を引き上げ、同時就園条件を緩和し、制度の拡充を図った。教材費助成での預かり保育加算を増額し、子育て支援の充実に努めている。