佐々木ゆうき議員の一般質問

2008.3.13

写真1、住生活と住環境の整備について伺います。
 まずはじめに、UR賃貸住宅削減問題についてです。
 UR都市再生機構は、77万戸の住宅を抱えています。昨年12月26日に、「UR賃貸住宅ストック再生・再編方針」を出し、全面建て替えや一部建て替え、団地の集約化などで、住戸数を削減する方向です。
 千葉市は東京への通勤圏内にあり、大規模な賃貸住宅を抱えています。1960年代後半から1970年代に建設されたUR団地は全国で43万戸あり、その入居世帯のうち年収400万円未満の世帯は53.2%を占めています。UR団地は現在、公営住宅に入居資格がありながら入居できない高齢者や子育て世帯にとって、住宅セーフティーネットとしての役割を果たしています。
 千葉市にある公的賃貸住宅のうち67%、約3万戸は、UR団地が占めています。UR都市再生機構は、3年後を目途(もくと)に民営化が検討され、市民から「さらに住宅戸数の削減がされるのでは」と、不安の声があがっています。
 格差と貧困がひろがるもとで、千葉市は、住宅の確保が難しい低所得者や高齢者、障害者のための居住の安定を確保することが求められており、UR都市機構などの賃貸住宅事業主体との連携が必要となっています。そこで伺います。
 1つは、UR都市機構賃貸住宅の再生・再編方針について、千葉市はどのような見解をお持ちですか?
 2つは、UR都市機構の賃貸住宅の存続を、昨年の議会での意見書採択を尊重し、国に求めていくべきだと考えますが、どうですか。
 以上、お答え下さい

 次に、千葉市住宅政策審議会について伺います。
 住宅は、「衣食住」の中に位置付けられているように、人間が生活していく上で重要な要素の一つです。ところが、格差と貧困の広がりの中で、「ホームレス」や「ネットカフェ難民」などと言われる住宅困窮者が生まれています。まさに、住宅問題は、現在の重要課題となっています。そこで伺います。
 1つは、千葉市住宅政策審議会は、どういった性格の審議会ですか。
 2つは、千葉市住宅政策審議会の構成員を明らかにしてください。
 以上、お答え下さい。

 次に、市営住宅についてです。
 2001年に策定した「千葉市住宅マスタープラン」では、2015年度までのストック目標を9,000戸に設定しています。ところが、今回、発表された「千葉市住生活基本計画」(案)では、その目標数が示されていません。
 「市住生活基本計画」(案)は、「市住宅マスタープラン」の精神を継承し、策定されたとしていますが、市営住宅の目標が継承されていないのは問題です。
 また、市営住宅の応募倍率の平均は2007年度、24.37倍となっています。多くの市民が市営住宅への入居を切実に求めています。
 そこで伺います。
 1つは、なぜ「市住生活基本計画」(案)に、2015年度までの市営住宅のストック目標9,000戸が明記されていないのでしょうか。
 2つは、市民の市営住宅への入居要望にどのように応えていくのか、うかがいます。
 以上、お答えください。

 次に、分譲マンションの耐震改修と液状化対策についてです。
 千葉市には、分譲マンションが約8万戸あり、うち1970年代から1980年代に建てられた、5階建ての団地型分譲マンションは約35%、2万8,000戸あります。美浜区では約3万戸のうち、団地型分譲マンションは、約1万3,000戸です。いま、団地型分譲マンションなどで老朽化がすすんでいます。住み慣れた団地やマンションに住み続けたいというのが、居住者の願いであり、そのためにも自然災害や、特に地震から住環境を守っていくことが求められています。
 地震の被害を最小限にとどめるために、耐震診断・改修の助成制度をつくり、充実させる自治体も増えています。
 美浜区は、1996年度の「千葉市直下型地震対策調査」の液状化に係る調査で「危険度大」という結果が出ています。市内の埋立て面積は33.88平方キロメートルで、市域面積の8分の1を占めています。1987年の千葉県東方沖地震では、液状化現象の発生のほとんどが美浜区で、発生場所も団地が密集する地域となっています。
 市民の安全を確保するために、地盤の改良や建物の耐震対策など、液状化対策を早急にすすめることが求められていると思います。そこで伺います。
 1つは、マンションの耐震改修助成制度についてです。2006年 議会で、わが党の小関議員が、「マンションの耐震診断助成制度はあるが、改修の助成制度はないので、つくるよう」求めたところ、「耐震改修促進計画で検討する」とのことでした。今回、「千葉市耐震改修促進計画」(案)が発表され、「マンション耐震改修助成制度」については、「検討する」となっています。地震はいつ起こるかわかりません。「検討」ではなく、「促進計画」にしっかりと制度として盛り込むよう求めますが、見解を伺います。
 2つは、美浜区は特に、地盤が軟弱なために、液状化の心配があります。団地・マンションの建て替え等にあわせて、千葉市は、管理組合に対し、地盤の改良のための助成を設け、安全・安心の住環境を将来に渡って保障すべきだと考えますがどうか。
 3つは、地震災害後の避難所となる公園や学校などの公共施設については、優先的に地盤改良をすすめるべきと考えますが、どうか。
 以上、お答えください。

2、高等教育の学費負担軽減策について
 次に、高等教育の学費負担軽減策についてです。独立行政法人・日本学生支援機構の無利子奨学金を受けられない大学入学予定の高校生が10万人にのぼることが明らかになっています。政府の2008年度予算(案)では、有利子奨学金の枠を7万4千人増やす一方で、無利子奨学金の枠は1,000人増とほぼ横ばいとなっています。無利子奨学金の貸与基準を満たし、申請する高校生が毎年増えています。
 2006年度には、9万8,595人から2008年度分は13万887人に急増しています。こうした背景には、低所得者層の拡大があります。
 また、大学の初年度納付金は、国立で82万円、私立で131万円となっており、世界から見ても異常な高学費となっています。大学進学率は、2005年度で51.5%となり、2人に1人が大学・短大に進学しています。
 千葉市内の大学の奨学金制度の状況は、20万〜30万円の貸付、特待生については学費が免除というのが一般的ですが、実際に受けられる枠は、学生数のわずか数%にすぎません。しかしながら、経済的理由で学費の納入が困難な学生に対して、給付または貸与という形で、学生にとって必要な制度です。
 先日、大学生Aさんから話を聞きました。Aさんは薬学部で、年間200万円の学費を納めるために、日本学生支援機構の有利子の奨学金を毎月12万円借りて、残りの60万円をアルバイトでつくり、学費に充てているといいます。「奨学金がなければ、自分が学びたいことが学べなかった。大学からそのままアルバイト先に、夏休みなどの長期休暇は、毎日アルバイトをして、何とかやりくりしています。しかし、有利子なので、卒業後に返済するのに何年かかるか、心配です。」と話します。
 学生時代に奨学金を受けて、現在は、福祉施設で働くBさんは、当時借りていた奨学金が約240万円、教育ローンで約200万円。毎月少ない収入から5万円以上返さなくてはならず、返済完了まで10年もかかり、「本当なら給料が入るのが楽しみのはずが、給料日が楽しくない」と話します。
 政令市の奨学金制度は、17市中9市で実施しており、新潟市では年間40万円を115人に無利子で貸与し、北九州市も同様の制度で215人に貸与しています。神戸市では、自宅通学者に1万5千円、自宅外通学者には2万円を給付しています。
 県内では浦安市が、同じ世帯に2人の対象者がいる場合には、所得の上限を1,200万円までとし、奨学金を貸与しています。そこで伺います。
 1つは、格差社会の広がりの中で、学生生活の障害ともなっている大学の高学費について、どのような見解をお持ちですか。
 2つに、千葉市内にある千葉大学、私立大学・短大と協力して、大学生の生活実態や意識調査等に取り組んではどうですか。
 3つは、千葉市独自の奨学金制度を創設して、市内に住む大学生が安心して、大学生活を送れるよう支援すべきと考えますが、いかがですか。

3、「学校適正配置」について
 「学校適正配置」について伺います。
 美浜区では、5つの地区に分けた地元説明会が終わり、一部の地域では地元代表協議会が始まっています。
 私はすべての地区の説明会に参加しました。保護者や住民の方からは、「学校が統合され、クラスの人数が増え、目が行き届くのか」「小規模校でも音楽などの専科教員は配置すべきだ」「地域の発展にとって学校の存在は重要だ」「地域を越えて子どもが通っていることに違和感がある」など、多様な意見や疑問、不安の声が出されました。このことから言えることは、「学校適正配置」の必要性を含め、慎重に議論することです。私は今回、大規模校を含めた「学校適正配置」について取り上げます。
 大規模校の「適正配置」については、「近隣する学校との通学区域の調整による適正配置」という文言のみで、具体的な内容が示されていません。
 前回の議会でも取り上げましたが、中央区問屋町ではマンションの増加に伴い、子どもたちは学区外の美浜区幸町第3小学校に通学を余儀なくされ、そのために幸3小は22学級となり、大規模化へと進んでいます。また、若葉区桜木町では宅地開発が進み、桜木小学校は1学年5学級もある、合計30学級の大規模校となっています。
 桜木小学校では、音楽室、理科室、家庭科室などの専科教室、図書室、コンピューター室、体育館、プールでの授業は人数が多く、落ち着かない状況だそうです。また、運動場は狭く、児童が自由に遊べるスペースが限られています。これではストレスを抱える児童が増えるのではないでしょうか。
 小規模校については、先日のわが会派の小関議員の代表質疑で、「少人数学級を否定するものではない」「小規模校についても、教育の機会均等の考えのもとで、対応している」と答弁しました。しかし、結論は、少人数学級の方針が位置づいていない「学校適正配置実施方針」に基づいて、「適正規模の学校がより望ましい」「適正配置は必要だ」と、規定通りの方針を進める立場を表明しました。そこで伺います。
 1つは、適正規模についてです。昨年の11月、財務省の財政制度等審議会は、2008年度予算編成の建議で、「学校規模の最適化」を掲げ、「児童一人当りのランニングコストを3割効率化できる」と強調し、昨年12月の教育再生会議第三次報告書でも、「学校の適正配置を進める」ため「国は望ましい学校規模を示す」「国は、統廃合を推進する市町村を支援する」という方針を示しています。
 千葉市の「学校適正配置実施方針」で掲げている「適正規模」も、こうした国の方針を根拠に、具体化されたのでしょうか。
 2つは、大規模校の問題についてです。美浜区の地元説明会では、大規模校の適正配置を同時に取り組んでいると答弁しています。大規模校の問題解消に向けて、具体的にどのような取り組みをしているのでしょうか。
 3つに、「教育の機会均等の考えのもとで対応する」と言うのなら、保護者の要求も強いのですから、小規模校にも、市独自に専科教員を配置するべきだと考えますが、どうですか。
 4つに、学校適正配置実施方針では、「地域の活性化」が掲げられていますが、地域の活性化とは、具体的に何であるのか、示していただきたい。
 5つに、適正配置実施方針のスケジュールでは08年度に、花見川地区と若葉区千城台地区で着手するとなっていますが、見通しはどうなっているのでしょうか。
 以上、お答え下さい。

<2回目>

 UR賃貸住宅削減問題について伺います。
 私は、UR都市機構の再生・再編方針の見解を求めましたが、「入居者の居住の安定を図ることが重要」とだけの答弁でした。再生・再編方針は2018年度までに、既存のストックを約8万戸削減し、建て替えによって約3万戸を供給するものとなっています。千葉市内では、千葉幸町団地で一部建て替え、稲毛海岸駅前のコーポレート稲毛海岸が土地所有者への譲渡と返還となっています。居住者にとっては重大な問題であり、昨年の9月議会では、UR都市機構の賃貸住宅削減問題に対し、意見書のなかでも、こうした措置は、「居住の安定を脅かし、居住者を不安に陥れるもの」と記され、居住の安定の施策拡充を求め、全会一致で採択されました。ところが、市の答弁では、重大な問題として認識されておりません。
 そこで、千葉市は、UR賃貸住宅の削減問題は、住民にとって重大な問題として認識するのが千葉市の責務です。お答え下さい。
 また、国に「家賃制度など、入居者に配慮するよう求める」とありますが、こうした認識では、国に居住の安定を求めることはできません。UR都市機構から出された方針は、削減計画が中心になっています。同時に、千葉市が作成中の住生活基本計画(案)にも、UR賃貸住宅を住宅セーフティーネットとして位置づけられており、国に削減ではなく、存続を求めるべきですが、見解を伺います。

 次は、千葉市住宅政策審議会についてです。
 答弁では、住宅政策審議会は、公的住宅から民間住宅まで、千葉市全体の住宅政策を扱っています。しかし、審議会の構成員には、公営住宅や民間住宅の代表がほとんどいません。
 そこで伺います。住宅政策審議会の構成員に、公営住宅やUR住宅、民間分譲マンションなどの居住者の代表を入れ、居住者の声が反映される審議会にするべきだと考えますが、どうですか。

 次は、市営住宅についてです。
 答弁では、世帯数よりも住宅数が多いという前提のもとに、公営住宅を「量の拡大から質の向上へと大きく転換する」と言っておりますが、格差社会のもとで、入りたくても入れないから、住宅ストックが過剰になっているのです。だから市営住宅への応募が増えているのではないでしょうか。「住宅困窮者のセーフティーネットを構築する」というのであれば、公営住宅を増やすべきではないですか。
 そこで伺います。
 1つは、低廉な家賃を基本にしながら、市営住宅を質とともに、量も増やすべきではないですか。
 2つは、特優賃住宅の空き室を市営住宅に転換して、空き室解消に取り組むべきです。

 次に、マンションの耐震改修と液状化についてです
 マンションの耐震改修助成制度は、「どのような支援制度が適切なのか、検討していく」としています。一方で、マンションが多い美浜区の液状化対策では、「建物の安全性を優先に」と答弁しております。そうであれば、マンション耐震改修助成制度をしっかりと、耐震改修促進計画に盛り込むべきだと考えますが、どうですか。

 次に、高等教育の学費負担軽減策について伺います。
 私は、学費の決定方法を聞いたのではなく、高い学費や奨学金の返済で苦しんでいる学生と父母がいることについて、教育委員会は、どう認識しているのか聞いたのですが、明確な答弁がありません。もう一度、認識を伺います。
 日本は、異常に高い学費となっています。しかし、世界の流れは、学費の無償化です。国際人権社会権規約で、「高等教育は、無償教育の漸進的な導入により、能力に応じ、すべてのものに対して均等に機会を与えるものとすること」と明記しています。政府は学費の無償化を留保し、これに対し国連社会権規約委員会は留保撤回の勧告を出していますが、いまだに留保し続けています。経済的な理由で、高等教育を受けられないことはあってはならないと思います。各種奨学金制度があっても受けられない学生は多数います。また有利子の奨学金を受けた学生は、卒業してから苦労しています。これからの千葉市を支え、貢献する人材を育てるためにも、ぜひ千葉市の奨学金制度を創設するよう、改めて伺います。

 最後に、学校適正配置について伺います。
 1つに、「適正規模」の根拠が全く示されておりません。このような根拠の示し方で、市民は納得できません。説明会でも「何をもって適正規模なのか」との意見が数多く出されています。
 改めて聞きますが、学校適正配置は、「児童一人当たりのランニングコストを3割効率化できる」という立場を踏まえたものなのでしょうか。
 2つに、大規模校については、「通学区域調整委員会」に諮りながら解消していくとありますが、大規模校の解消は、学区の調整だけではできません。現時点でも、学区と地域のコミュニティーに整合性がなく、保護者や住民からも不安や不満の声が出されています。大規模化の回避であっても、根本的な解決にはなりません。
 小規模校を認め、新設校の建設を位置付けるべきだと考えますが、教育委員会の見解を伺います。
 3つに、専科教員の配置については、配置をするためには、適正配置が必要であると迫るのは問題です。本来、教育の機会均等というのであれば、小規模校であっても専科教員を配置するのが前提ではないでしょうか。愛知県犬山市では、市費で講師や非常勤講師を雇用し、教員が子どもたちの学力を保障するために力を入れられるような体制をつくっています。千葉市もこうした努力をすることが求められます。県の基準で配置できないところは、市が独自に専科教員を配置することを、改めて求めます。
 4つに、地域の活性化については、「運動会や各種発表会などが活発」になり、「跡施設の活用等で、地域コミュニティーの活性化が期待できる」という答弁ですが、地域の活性化の本質の問題ではありません。学校がなくなるデメリットを補うことはできません。私が参加した説明会で、ある若い女性が言っておりましたが、「私には、まだ子どもはいませんが、近くに小学校があるから、近くのマンションに引っ越してきたのです。もし、学校がなくなってしまったら、ここに引っ越してきた理由がなくなってしまいます」という切実な声でした。学校があってこそ、子どもを産み育てようとなりますし、地域に子どもがいてこそ、地域の活性化につながります。
 学校適正配置・統廃合の理由の中に、地域の活性化を入れるべきではないと考えますが、教育委員会の見解を伺って、2回目の質問とします。