反対討論(中村きみえ議員)

2008.3.19

写真 日本共産党千葉市議団の中村きみえです。会派を代表して、提案されました議案  61議案中18議案に反対して、発議第1号が否決、請願第1号が不採択されたことへの討論を行います。
 新年度予算は、大変厳しい財政状況のもと、市民のくらしや福祉の分野が切り捨てられています。
 しかし、平成20年度の千葉市予算は、第1に、政府の方針をそのまま受け入れて、後期高齢者医療制度を推進し、第2に、財政難であるにもかかわらず、大型開発優先の市政を相変わらず続けており、第3に、財政難のつけを子どもたちに関わる保育や教育の分野まで、切り捨てようとしています。
 以上の3点から、平成20年度の予算には反対することを表明し、以下、反対する理由や意見を交えて述べさせていただきます。

第1は、後期高齢者医療制度など「構造改革路線」推進の予算となっています。
 後期高齢者医療制度は、75歳以上を現役世代と切り離して、全く独立した医療保険に加入させるもので、国民皆保険制度の国では他に例がありません。
 しかも、厚生労働省の審議会では、75歳以上の後期高齢者は、(1)治療の長期化、複数疾患への罹患が見られる。(2)多くに認知症の問題が見られる。(3)いずれ避けることができない死を迎える。の特性があるとして、高齢者を差別した医療制度を正当化しています。
 それまで家族に扶養され保険料はなかった人も、75歳になったとたんに、独自に保険料を支払うことになります。
 特定健診・特定保健指導も40歳から74歳までが対象で、75歳以上は健診による予防効果を切り捨てられています。
 終末期医療は、4月からの診療報酬改定で、「後期高齢者終末期相談支援料」が新たに設けられ、回復が難しい患者の終末期の診療方針を患者、医師、家族らが話し合えば報酬を与えるというものです。尊厳ある死を迎えるのに年齢は関係ありません。それなのに、お金で死を誘導することは認められません。
 しかも、この制度の導入による医療費の削減見通しは、2015年で2兆円、2025年は5兆円とされており、後期高齢者制度が医療費削減を目的にしていることは明白です。
 全国で515を超える自治体から、中止や見直しを求める意見書が提出されています。戦後、必死に働いてきたお年寄りの長寿を祝わず、安上がりの医療を押し付けようとするもので、制度そのものを撤回するよう、千葉市も国に求めるべきです。
 しかし、千葉市は制度そのものを肯定し、負担増となる人たちへの対策も取りません。

第2は、財政難にもかかわらず、大型開発優先を続ける予算となっています。
 新年度予算は、一般会計3,213億円で前年度比10.1%、360億円の大幅減額で、1946年度の17%カットに次ぐ下げ幅になっています。
 千葉市の予算減額率10.1%は、全国政令市の中でも異常なもので、第2位の京都市が4.5%、3位の大阪市が2.1%、4位の福岡市が1.5%、5位の札幌市が0.5%に比べて、断トツのワースト1なのです。
 また、総務省が発表した「2006年度財政白書」によれば、全国1,800の自治体の中で、赤字になった自治体は25自治体ありますが、この中に千葉市も入っています。
 千葉市の深刻な財政状況は、千葉市固有の原因があることを示しています。
 千葉市の予算で減額になった歳入は、国庫支出金で60億円。基金からの繰入金が40億円。市債は280億円などがあげられます。その原因は、法人税も含め、厳しい市民生活などを反映した税収の伸び悩み、「三位一体改革」などによる国庫支出金や地方交付税の縮減、取り崩す積立金がなくなった、大型開発の莫大な投資で膨れ上がった借金で、実質公債費比率が単年度28.2%になり、市債発行額が大幅に削減したためです。借金残高は、合計1兆3,339億円となり、市民一人当たり145万3,000円になっています。
 歳出削減額の款別内訳を見ますと、土木費185億円減。教育費117億円減。衛生費73億円減。民生費20億円減。商工費8億円減など、市民生活全般にわたる削減となっています。
 予算額が360億円も減り、普通建設事業費が前年比45.5%、333億円も減額になったことに対して、鶴岡市長は「きぼーる、市立千葉高等学校改築、市民ゴルフ場など、大規模建設事業が収束したため」と述べており、新年度だけが大幅な予算削減であるかのような説明でした。
 この説明では、千葉市財政の深刻な危機の実態と、そこに至った原因を明らかにしていません。なぜなら、予算の大幅減額は08年度だけでなく、「財政健全化プラン」によれば、前年度の730億円から新年度397億円に減額した普通建設事業費が、今後5年間減額された水準のままで推移することを示しているからです。
 市債発行額も平成19年度628億円20年度350億円、22年度以降は300億円と半減されたまま推移します。このため、新年度で大幅にカットされた市民生活予算は、今後長期間に渡って減額されたまま続くことになります。長年の大型開発優先が市債発行額を大きく抑制しなければならない原因になっています。今後、長期間にわたって減額される予算の実態を隠すような説明であり、正確に説明責任を果たすよう強く求めます。
 以上のように、全国でも一番深刻な千葉市の財政危機の原因は、長年の大型開発優先にあります。とりわけ、鶴岡市長就任後の7年間は、千葉駅西口再開発事業、蘇我特定地区整備、新港横戸町線整備、中央第6地区再開発、千葉中央港土地区画整理の5事業へ約1,200億円の投資で、そのうち市債が約700億円近くも注ぎ込まれてきたために、借金が膨らんだのです。
 市長は、日本共産党市議団の指摘に対して、反省もせず、責任を取ろうともしません。それどころか大型開発には、新年度予算と前年度繰り越し明許を合計すると、千葉駅西口再開発22億6,109万円、蘇我特定地区整備10億1,300万円、新港横戸町線整備60億9,460万円、合計93億6,869万円が予算化されています。
 その一方、市民生活にかかわる予算は、市長の方針である「行政改革」と「第2次5か年計画」の見直しなどで、大幅にカットされています。
 現在進行中と計画中の10億円以上事業の再検討をするため、行政だけでなく、市民や学識経験者などで構成する「大規模公共事業見直し委員会」を設置する事をかねてより提案してきましたが、すぐにでも設置するべきです。
 「行政改革」によって90億円の効果の中で、経常経費は12.3%、約50億円カットしています。高齢化が進み、「役割を終えた」との視点から、79,277人から敬老祝い金、37,256人から敬老乗車券をなくし、7億1,156万円削減。国民健康保険の葬祭費は7万円から、後期高齢者医療制度と同じ5万円に引き下げ、亡くなった時まで切り捨てています。
 また、基本健康審査を中止し、保険者負担として15億8,900万円の削減を図り、はり・きゅう・マッサージの施設利用助成は、60歳から65歳に支給年齢を引き上げ、おむつ給付事業では一律8,400円の支給を、要支援の方から取り上げて、要介護1〜3は4,000円、4〜5は8,000円に引き下げ、しかも1割の自己負担まで導入します。生活保護を受給せずに必死にがんばっている生活困窮者に支給していた「要保護世帯慰問金事業」も廃止するなど、高齢者や生活弱者への福祉切り捨てが強行されようとしています。
 子育て世代への経済的な支援が叫ばれていながら、幼稚園就園奨励費は一律33,000円だったのに、所得制限を設けて市民税所得割301,000円以上は2万円に補助額を切り下げるのは問題です。
 貧困と格差で苦しむ市民に追い討ちをかけ、子どもへの支援を差別するものです。
 「第2次5か年計画」の見直しは、総事業費4,058億円を2,821億円に圧縮し、今後3年間では2,654億円を1,417億円に半減してしまいました。その結果、市民生活に必要な事業も半分にカットされています。
 主な事業は、保育所の改築、障害者就労支援の拡充、小規模ケアハウスの整備、子どもルームの拡充、コミュニティバスの運行、花見・稲毛・緑区の地区ホールの整備、コミュニティセンターの耐震改修、駅のエレベーター設置、バス停の機能充実、商業活動活性化の促進、商店街環境の整備、地産地消の推進、耐震診断・改修の助成、市営住宅の建て替えや修繕、里山の保全、歩道・生活道路の整備など土木事務所の事業、道路街路整備37路線、雨水浸水対策の推進、下水道の整備、消防団活動体制の充実、救急救命士の養成、校舎の増築・校庭の整備、給食室の改修、小中学校校舎耐震補強、特別支援学級等施設の整備充実、公民館の改築、学校、図書館、公民館等改修などが、削られたり先送りされています。
 以上のように、新年度予算の特徴は、大幅な予算削減で市民生活・福祉を切り下げる一方で、引き続き大型開発には多額の投資を続けることであり、認めるわけにはいきません。
 財政運営上の問題では、第1に道路特定財源について指摘しておきます。
 道路特定財源は、10年間で59兆円を道路建設に使用するものです。東京湾に2本目の横断道路を計画するなど、無駄な道路建設に多額の予算を使うものであり許されません。これを一般財源化すれば、生活道路や福祉教育にも配分されることになり、地方財政を豊かにし、地方分権を促進することにもなります。
 市長は、「道路特定財源が一般財源化されると道路整備が進まず、福祉や教育に重大な支障が出る」と「市政だより」やホームページで宣伝し、モノレールへの広告、土木事務所への大型ポスターの貼り出しで、市民に危機感をあおってきたことは遺憾です。
 また、政府による保育所職員の人件費など、国庫補助支出金の一般財源化については認め、2003年から42項目、総額46億円も減額されたことについては、何等抵抗せず、全面的に受け入れてきたことからみれば、道路特定財源への対応は余りにも異常です。
 千葉市住宅供給公社に対する貸付金、特定有料賃貸住宅空き家に伴う欠損金20億3,000万円に係る請求権の放棄についてですが、議会は市長に対して再三、空家対策の解消策を求めてきたにもかかわらず、結果として住宅供給公社に対して20億円もの請求権を放棄し、税金で穴埋めし、今後も9億円余の支出を予定していることは、市民の納得は得られません。理事長であった鶴岡市長や現理事長の林副市長の責任が問われます。
 千葉県の補助金への対応と幕張メッセ負担金など県事業負担金についてです。
 千葉県から受ける各種補助金で、乳幼児医療費の補助金が1億円受けられるようになったことは一歩前進です。しかし本来、他の自治体と同じように26項目の補助金を受けていれば、14億6,000万円の財源が確保できるのに、千葉市はわずかに2億2,000万円です。県事業負担金、幕張メッセ建設事業負担金は6億8,000万円であり、これまでの支出総額は、1999〜2008年で約97億1,000万円、今後2009〜2030年までの約66億8,000万円は、支出を中止すべきです。港湾整備事業負担金の1億7,200万円、国直轄事業負担金の22億1,000万円は、市の財源を確保する上で、返上することを求めます。
 県に対しては、補助金を他の政令市並みに支出するよう求め、毅然と対応すべきです。
 自主財源の確保についてです。
 県では法人事業税の超過課税について検討していくこととなりました。資本金10億円以上法人市民税制限税率を上限まで課税していくことや道路占用料の適正化をはかり、財源確保の努力をするべきです。

第3は、財政難のつけを子どもの分野にまで押し付ける予算となっています。
 「行政改革」の名のもとに、公立保育所60箇所を30箇所に減らす計画と小中学校を統廃合して大幅に学校数を減らそうとしています。
 公立保育所の数が民間と比べて多いのは、千葉市が公的な保育の保障をし続けてきたことであり、誇れる行政としての仕事をしてきた証です。それを他の政令市並みに切り下げようとする必要はありません。子どもたちが安心して保育を受けられるようにしていくには、保育所を民営化するのではなく、老朽化した保育所を市が建て替え、市の責任で保育を実施すべきです。
 さらに、学校の統廃合計画も、市民への十分な情報提供や議論の場を保障せずに進めるのではなく、中止すべきです。子どもたちの成長に欠かせない保育や教育の分野にまで、財政の困難を持ち込んで切り捨てようとするのは許せません。
 以上のように、市民の生活に直結するくらし・福祉・教育が切り下げられた予算となったことがわかります。鶴岡市長就任後7年間、大型開発を最優先してきた結果、引き起こした深刻な財政危機の原因を認めて反省しようとせず、市民に転嫁することは許せません。
 貧困と格差が社会問題化していながら自治体としてそれを直視し、改善のための手立ては何らされておりません。それどころか、市債の発行を抑えて市民福祉と両立できて満足がいく予算だと主張するのは市民感覚とは程遠いものです。到底認めることはできません。
 先に日本共産党市議団が提案した動議に沿って、市民生活優先の予算に組み替えることを要求します。
 続いて、各部局の問題点や意見を述べさせていただきます。

まず、総務行政です。
 第2次5か年計画の予算規模の大幅な縮小と団塊世代の大量退職によってこれまでの職員の技術の継承なども含めた再任用のあり方がますます重要な課題となっていきます。事務部門だけでなく、技術系の職員の効果的な再任用の対応を図るべきです。また、予算が大幅に削減されて仕事量が減るもとで、職員の適正配置を強く求めておきます。
 職員の残業実態についても改善されたとは言いがたいものです。昨年4月から12月までで月平均30時間以上の残業が545人、月平均100時間以上が3人います。職員の過労によるメンタルな病気を増やさないようにするには長時間労働を食い止める手立てを計っていく必要があります。

企画行政についてです。
 アナログ放送からデジタル放送に移行する2011年7月までに、国は、デジタル受信機の1億台普及を掲げていますが、現在の普及台数は目標の2割程度です。千葉市でもデジタル放送が届かない地域もあります。低所得者層や高齢者、障害者など社会的弱者への対策が求められています。このままデジタル化を進めていくことになれば、千葉市でもテレビ難民が出てしまいます。デジタル放送計画の見直しを政府に求めるべきです。また、高齢者世帯に対して、「今のテレビは見られなくなる」などの不安をあおり、無理やり契約を迫る事例があるだけに、地上波デジタル放送について、市民へ十分に説明を果たさなければなりません。

次に、財政局についてです。
 4月から入札・契約制度の改善を図るとのことですが、電子入札に参加できる業者が限定されることがないよう留意すべきです。発注については事業に応じて市内限定などの条件をつけ、市内中小業者にも公平、公正に仕事が確保できるようにすることがひいては、市内経済の活性化につながると思います。業者の体力に合わせて、仕事を適正に確保できるような手立てが求められます。低入札制度については、労災なども多く、労賃への保障や手抜き工事がされないかなどあらゆる面での検証が必要になります。第3者による入札について検討できる委員会設置をすべきです。

次に、市民行政についてです。
 平和行政は、戦後の世代が圧倒的に多くなり実体験を聞く機会が大変重要です。このことを強調したにもかかわらず、平成19年度1,011万円より172万円も削減され、839万3千円しか計上されていません。創意工夫が求められます。
 消費生活センターでは、多重債務などへの対応と予防も含めた取り組みをさらに強化していくことが求められます。
 文化芸術振興計画は、パブコメは3件。市民とともに関係者の声も聞きながら芸術の拠点となる場所や人材の確保が重要です。地元のニューフィル千葉への資金面での支援を行なうべきです。
 また、市民の利便性向上のためにも区役所の土日開庁も、年に一度でなく回数を増やして市民の期待にこたえるべきです。
 若者の雇用の不安定化が社会問題になっています。就職支援、労働相談などの充実が求められていますが、200万円では極めて不十分です。
 格差と貧困のおおもとには、雇用問題があります。労働者派遣法の原則自由化のもとで、日雇い派遣労働者は、モノのように扱われ、雇用の不安定化や劣悪な条件のもとに置かれています。一方で、正規雇用は、長時間・過密労働を強いられ、メンタルヘルスの問題も起こっています。若者の就職支援事業を新たに設置したことは、一定の評価するものですが、千葉市の労働対策を抜本的に強めるためにも、雇用対策室などを設置して、市内の雇用実態を把握することが求められています。こうした社会情勢の変化に的確に対応するためにも、労働対策事業の増額が必要です。

次に、保健福祉行政についてです。
 妊婦健診が、2回から5回に増えることは一定の前進です。厚生労働省は、出産まで14回程度の受診が望ましいとしています。長生村では第2子まで10回、第3子以降は14回まで行政が負担する計画です。千葉市でも無料での健診をさらに増やすことが必要です。
 私どもは国民健康保険証の取り上げについてかねてより再三議会ごとに質問し、条例提案もし、国保を考える会のみなさんとも市との交渉を行ってきました。
 国民健康保険料滞納者からの保険証取り上げは16,412件あり、今議会で医療費助成対象の子どもや障害者・母子家庭から保険証は取り上げないことになったのは一歩前進です。しかし、まだ多くの市民が保険証を取り上げられています。資格証明書の発行は中止し、一般会計から国保への繰入を政令市並みに実施し、1世帯当たり1万円引き下げるべきです。また、国民健康保険による基本健康診査は無料にすべきです。
 中国製ギョーザ食中毒事件では、日本の食料の60%が輸入されているもとで、その検査体制には問題があります。特に、冷凍食品はほとんど検査がされず、食べているのが現状です。
 今度の事件は、千葉市の初期段階で、病院、保健所、食品衛生センター、そして保健福祉局の対応に問題がありました。2度とこのような事態を起こしてはなりません。
 市民の食の安全・安心を確保するためにも、食品衛生監視員を増員し、「千葉市食の安全条例」をつくるべきです。
 乳幼児医療費についてです。子育て世代では乳幼児医療費の年齢引き上げが切実な願いです。
 どこの自治体で乳幼児医療費の助成が、どこまで進んでいるのかどうか、インターネットを見ますと、不動産業者が情報として、行政の乳幼児医療費助成を入院、通院所得制限ありなしなどを提供しているほどです。子育て世代がどこに住まいを置くのかの決め手となる指標に掲げられているのです。
 せめて小学校3年生まで段階的に年齢の引き上げをして子育て支援の充実を図るべきです。
 救急医療についてです。千葉市でも、救急医療で受入を10回以上拒否されたケースが、2007年度で137件ありました。その主な要因は、医師・看護師不足など医療体制の不備によるものです。事態の改善に取り組むべきです。
 次に、公立病院のあり方についてです。総務省は08年度中に「改革プラン」の策定を求める通知を出しました。今日深刻な医師不足や患者負担の押し付けがすすみ地域医療の危機的状況が叫ばれています。地方公営企業法の全部適用が求められ「企業体」の性格が強まります。そして独立行政法人への第一歩となります。
 自治体病院は、地域の実情に応じて高度医療、産科医療、小児医療、救急医療などの不採算医療を担う重要な役割を果たしています。
 医療法では「国及び地方公共団体は・・・国民に対して良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制が確保されるように努めなければならない」とされています。
 財政的には経営が赤字でも、地域医療を提供するためにも必要な経費であり公費でまかなわれるものです。また「採算性」を基準にした議論は問題です。
 両病院会計は、市民に対して自治体病院としての役割、医療内容、経営状態を明らかにして理解を得ることです。
 いのちは平等です、その役割を果たす両市立病院は市民の期待にこたえるべきであり議会はそのことを応援すべきではないでしょうか。
 保育所や子どもルームの待機児童解消には、新年度での施設の増設・整備は圧倒的に不足しています。
 特別養護老人ホームの待機者は1,700人いますが、新年度予算は2施設でショートステイも入れて120人しか入所できず、小規模特養ホームは、2か所58人を、第2次5か年計画の見直しで、1か所29人に縮小。これでは特養に入りたいとの願いに応えることはできません。待機者を解消する上でも、施設を増やすべきです。

次に、環境行政についてです。
 地球温暖化対策は待ったなしです。しかし環境保全対策費は前年度より1,466万円も減額されています。
 2010年度までの削減目標は、2000年比で6%の削減です。この予算で、本当に目標が達成できるのでしょうか。
 JFEはじめ、事業者の温室効果ガス削減目標を出させ、達成するために行政指導を行うこと。新エネルギーの導入では、太陽光発電補助金予算を増やし、バイオマスエネルギーや風力発電、小型水力発電などの開発に取り組みこと。森林保全と緑化に本腰を入れて取り組むべきです。
 ごみ減量についてですが、10年間で焼却ごみを3分の1に削減する計画ですが、これを達成するには市民の協力を得なければなりません。市民への協力をわかり易く周知すること。分別を増やし、特に家庭から排出される生ごみを回収して、堆肥化を進め、事業所や大型店舗から排出される事業系ごみは、発生者責任を明確にし、自ら処理するよう指導すべきです。

次に、経済農政についてです。
 商工振興費138億円のうち、金融対策と企業立地、コンベンション対策費を除くと4億7千万円しか残りません。商店街活性化対策費はわずかにもかかわらず、前年度事業が増えましたが、予算は180万円減額。商店街環境整備も約150万の減額です。これでは到底、商店街の活性化にはつながりません。予算の増額をすべきです。
 日本共産党はこのたび農業再生プランを発表いたしました。今、農業に求められているのは、39%の食料自給率を当面50%まで向上させること、そのためには持続可能な農業経営を目指し、価格保障、所得保障制度を確立し、家族経営を維持するとともに大規模農家も含む担い手の育成が求められています。多くの関係者から反響があります。
 農業に対する予算が毎年減らされています。コメの価格が暴落し、稲作農家の時給は256円と異常な低労賃です. これでは千葉市の農業を育成できません。地産地消の拡大で、学校給食は地場産農産物の使用を徹底するべきです。農業者と消費者の共同を広げ、地域農業の再生を推進するよう求めるものです。
 農業後継者対策費を増やし実際に収入が上がるように補助制度を作るべきです。
 企業立地については、千葉県議会では、補助金のない群馬県や茨城県の企業立地のほうが、補助金を出している千葉県より今年度比2.2倍のペースで進んでおり、補助金が大企業への掴み金(つかみがね)にすぎず、根拠がないという指摘もあります。企業立地のあり方を検討すべきではないでしょうか。

次に、都市行政についてです。
 市長は大型開発の事業見直しを求めても、「雇用の創出や税源の涵養」と毎回、版で押したような答弁ですが、蘇我地区の雇用は8割が不安定な雇用で、40億円の税収見込みも、07年度は3億4,000万円と見込み額の10分の1以下で経済波及効果も程遠いものとなっております。費用対効果の面から見ても市民生活を削って急ぐべきものではないものです。
 住宅政策について市民参加で政策の見直しをすることが求められていますが、住宅政策審議会には市民は自治会代表のみです。住宅政策をめぐっては、マンションが無秩序に建設され、計画的なまちづくりが早急に求められます。しかし、新年度予算では高さ制限やマンション規制する条例などが制定されず、地域での混乱が避けられない事態です。一刻も早くまちづくり条例の制定が求められます。
 市営住宅の整備については、千葉市住宅マスタープランに9,000戸の目標を掲げていましたが、千葉市内の住宅ストックが過大であるという理由から、目標数値が政策に掲げられなくなりました。応募倍率も20倍を超えていることから、多くの市民が入居を希望しています。6年間応募し続けた78歳の女性は、入居できずにとうとうアパートの立ち退きを迫られて困り果てています。こういう人たちを市は放置してよいのでしょうか。
 昨日、一般質問で他の議員から「民業を圧迫するから市営住宅は新規に造らなくてよい、民間住宅を活用すべきだ」とのニュアンスの意見が出されていました。これは実態を見ていない意見だと思います。民間住宅では、生活保護を受けていることや高齢者の一人世帯、単身世帯というだけで入居を断わられる実態があります。
 5回以上申し込んでも入れない市民がいます。現在の入居可能戸数は、08年1月末で323戸しかなく、入居希望に応えられていないのが現実です。
 また、市営住宅の入居基準が見直しされる予定です。これでは更なる住宅困窮者を生みかねません。「住まいは人権」です。市営住宅を質・量とも整備して、市民が安心して住生活を送れるようにするべきです。
 特有賃の空家解消に高齢者・障害者・母子家庭など入居対象を広げるよう求めておきます。
 UR賃貸住宅が再生・再編方針のもとで、全国的に5万戸削減する計画となっています。千葉市には、UR賃貸住宅が約3万戸あり、市営住宅への入居基準を満たしている世帯のセーフティネットの役割を果たしています。
 UR賃貸住宅の役割が、千葉市住生活基本計画(案)に、位置づけられていることもあり、国に対して、住民の意見と市議会での意見書採択を踏まえて、UR賃貸住宅の存続と、居住者の生活の安定が図られるよう求めるべきです。
 防災拠点施設という蘇我スポーツ公園は災害時に対応できる施設ではなく、むしろ危険です。271億円をかけて行うべきではありません。
 身近な公園のリフレッシュ推進事業についてです。
 千葉市の都市公園等は、約1,000箇所あり、老朽化が進んでいることから、市民の憩いの場で、災害時の避難所ともなる公園の改修や整備が待たれています。2次5か年計画では、遊具更新が185箇所だったのが、見直し後では142箇所と43箇所も減っています。また再整備が必要とする公園についても、2箇所にとどまるなど、身近な公園のリフレッシュが遅れてしまいます。一方で、蘇我スポーツ公園は、多額の税金を注いで整備し、市民に身近な公園の整備は後まわしになっています。健康遊具も備えた身近な公園を整備すべきです。
 モノレールの延伸についても、調査の予算が6,800万円計上されています。利用者の人数の根拠もきちんと示さず、撤去よりも延伸のほうが財政上まだましだとの議論で、莫大な税金を投入してさらに延伸させる必要性があるのでしょうか。
 市民参加で情報公開する中で、収支の見通し、必要性など、モノレールの延伸について再検討すべきです。
 駅にエレベーターの設置は、一昨年JR幕張駅にと全会一致で採択されましたが、予算化されません。モノレールみつわ台駅も設計にとどまり、建設が延期されました。早急に設置をすべきです。

次に消防行政についてです。
 女性の救急救命士がいないのは政令市で千葉市のみです。搬送する患者の半数は女性ですし、男女平等と女性が働き続ける職場として都の消防庁では救急救命士が大きな役割を果たしているそうです。養成には6年ほどかかり、職員採用に当たっては系統的に採用して女性の救急救命士を大幅に増員できるような対策が求められます。

次に、建設行政についてです。
 新年度は81億円も削減し、前年度比29.7%の減額です。そのうち、生活関連道路維持管理等の予算は、56億5,943万円で、前年度比12億円もの減です。
 そのため、身近な道路整備が要望どおりに進まず、不便を来たします。市内業者に仕事を確保していくためにも抜本的な予算の増額が不可欠です。
 自転車対策は、環境、健康面でもますます取り組みの強化が求められます。放置自転車対策の充実と歩行者自転車の走行空間を分離し、安全で快適な環境整備を推進することが必要です。

次に、下水道行政についてです。
 事業費が平成20年から22年まで791億円から50.6%の400億円になります。職員は12名減員となるとのことです。
 2007年問題でベテラン職員の退職など技術の継承などおおきな課題になります。また下水管のリニューアルもあり下水道行政のあり方が厳しく問われます。
 そこで公共下水道のあり方委員会を設置して市民の参加と理解で千葉市の公共下水道の問題点を明らかにして改革を進めるべきです。

次に、水道行政についてです。
 新年度の霞ヶ浦開発事業負担金5億6,200万円と房総導水路建設事業負担金は6億4,800万円であわせて12億1,000万円、全体の総事業費187億3,800万円となり、過大な負担であり参画は認められません。節水がすすむ中、高い水道料金は値下げをすべきです。
 「これからの千葉県内水道について」(提言)が県内水道経営検討委員会より出されています。この提言についても水道事業の長い歴史があり、その経過を踏まえて県、市町村、企業団、水道関係者、議員、住民など関係者が参加して自由な討議を情報公開の中で行うべきです。
 水道事業は自治体と住民に多大な影響を持ちます、健全な水道事業のために慎重に将来ビジョンを確立することを求めておきます。

次に教育行政についてです。
 新年度予算では、117億円の減額です。学校施設関係では、災害時の避難場所となる学校体育館の耐震改修は「建て替えで対応する」ということでしたが、131棟ある体育館の改修を2009年度から2015年度までに改修することになり、一歩前進です。しかし、いつ発生するかわからない大災害に備え、耐震改修をもっと早めるべきです。
 「より良い教育環境の整備」「教育の質の充実」を名目に、学校適正配置を進めようとしています。しかし、日本教育学会の研究では、人間的成長や学力の向上にとって、「学校規模の標準は、1クラス20人程度とするのがよい」としています。
 いま、教育問題では不登校・いじめなどによって「教育相談」が増えています。これらの問題に応えることが「より良い教育環境」であり「教育の質の充実」への方向ではないでしょうか。そのためにも、いま求められているのは、子ども達に目が行き届く、少人数学級の実現です。市が独自に講師の採用を図り学力向上、教員の過重負担を軽減することが重要です。
 学校財務関係では、特色ある学校づくり推進のための予算は確保されました。しかし、教材教具の整備費が約2億円も削減され、学校現場での運営がますます厳しくなります。直接、子どもたちに関わる教材や、毎日の学習、学校生活に必要とされる備品などに不足が生じることはあってはなりません。教育内容の充実を図り、子どもたちの教育を保障するために、十分な予算配分がされるべきです。
 小中学校へのエアコン設置を要望しましたが、教育委員会は「エアコンを設置するとCO2の削減に逆行する、ヒートアイランドになる、体力がつかない」との答弁で耳も傾けませんでした。これは驚くべき答弁です。市立稲毛高校にはエアコンが設置されています。
 市川市ではエアコン設置が決定しています。全国的にもエアコン設置は大きな流れです。快適な教育条件の整備は子ども権利条約にもうたわれています。
 何も地球温暖化に反するから設置しないとの答弁は子どもの権利を無視する発言ではないでしょうか。強く反省を求めます。
 図書館指導員について、日本共産党市議団は今までも、小中学校すべてに各校配置を求めてきました。しかし、新年度は、中学校に配置を強化して、その分、小学校に図書館指導員の方が来る日が減ってしまいます。小学校にも、中学校にもそれぞれに各校配置し、指導員の待遇改善もあわせて図ることを求めます。

発議第1号・千葉市孤独死防止条例が否決されたことについてです。
 市内で、誰にも看取られず生涯を終える方が、県営、市営住宅、URの住宅だけでも昨年度29人おられました。対策協議会を設置して、先進的な自治体や地域組織の例を研究し、不幸な事態をなくしていくための施策展開が重要です。
 自民党や公明党の議員も「いい提案だ」「趣旨は賛成だ」としながらも反対し、市民ネットワークと無所属議員のみの賛成で、否決されたのは極めて残念です。
 今後、深刻な孤独死に対するすみやかな行政の対応を求めます。

請願第1号・作草部幼稚園の存続を求める請願が不採択となりました。
 幼稚園は、未来をになう子ども達を長年にわたって地域で支えていく大切な存在で、これからの地域子育て支援に欠かせない施設です。父母はこの地域になくなってしまったら、どこの幼稚園に通えばいいのか困る。マンションも近くにあり、地元に幼稚園が必要だと存続を求めていました。しかし、継続審議の意見が出されて採決した結果、継続審議と否決同数となり、委員長の否決で不採択となったことは、父母のみなさんや2,826名から寄せられた「存続を求める」願いを聞いてもらえなかったことは、実に遺憾です。

市民ゴルフ場問題では、
 今回議案として上程されていた、市民ゴルフ場の指定管理者の指定が取り下げられました。議案が撤回されるのは千葉市としては、33年ぶりでした。これは、「指定管理者」の選定に問題があったことによるものです。
 マスコミは、千葉市の選定方法に問題があったように報道されていますが、市民に対し、何が問題だったのか、再発防止策をいかに講じるのかについて、情報を公開し、市としての説明責任をキチンと果たすべきです。

最後に、市民参加条例について申し上げます。
 市民参加条例について、日本共産党市議団は2002年12月に「千葉市市民参画条例」を提案しましたように、早期実現が望まれていたことです。しかし提案された条例には二つの問題点があります。
 問題点の一つは条例提案までの手続きについてです。市民参加と言う条例の性格からしても市民や関係者の意見を十分聞いた上で提案するのが当然です。しかし市民意見の集約はパブリックコメントがわずか11人の意見しかありません。議会に対しては条例案を提案するずっと以前から意見を交換して、粘り強く一致点を見出だし、提案した時は全会一致で可決されるように努力することが望まれたわけです。この手続きをしないまま提案したことは、市民参加条例の基本的なあり方に反するもので、さらに議会軽視そのものであります。
 問題点の二つは条例の実効性であり、原案の問題点は、市政に参加・協働する権利を明確にすること。市長の責務を明記すること。直接市民の意思を問う場合の住民投票を実施出来るようにすること。などの修正が必要です。また市民意見の集約はパブリックコメント中心でなく多様な方法を加えるべきです。提案された条例では、市民の声は聞くけれど、市の決めた方針は変えること無く押しつけるための、「アリバイ的」条例になる懸念があります。以上大きく2点が反対の理由です。
 これに対して市民ネットワークと共産党市議団が共同提案した修正案は、市民の定義を追加し施策に市民意見が述べられること、市民・市・議会の連携を追加したほか、市民の権利を加え、市の説明責任を明記、議会の責務と役割と重要な政策に対する住民投票の実施を追加しました。この修正案が委員会で否決されたことは残念です。
 ただいま本会議に上程された市民ネット、共産党の修正案に議員各位のご賛同をお願い致します。
 なお、今議会で条例に対する修正案が3会派から提出されて、委員会審査が3時間にも及んだことは、市民参加条例は深い議論が必要であること、議会が真剣に取り組んでいること、併せて議会の活性化が進んでいることなどが示されたことであり、評価されることだと思います。