小関としゆき議員の一般質問

2008.6.16

1、農政についてうかがいます
写真  第1は、千葉市の農業育生についてです。
 日本の食料と農業は、深刻な危機に直面しています。今日の危機的状況を作り出したのは、自民党農政のもとで食料輸入自由化が行なわれ、国内生産を縮小し、アメリカや財界・大企業いいなりに、国民の食料を際限なく海外に依存する策を取り続けた結果、わが国の食料自給率は、世界の先進国に類のない39%にまで低落してしまいました。
 千葉市の農業はどうでしょうか。農地の減少は1985年から2005年の20年間で水田476ha、畑1214haも減少し、農業就業戸数は4,982戸から2,910戸へと2,072戸の減少です。就農者は23,593人が7,642人と15,951人も減少し、年齢層も60歳以上が05年度で40%となっています。耕作地の放棄面積は177haで、これは2005年までの統計ですから、さらに危機的状況は進行していると思われます。
 この間、何軒かの農家を訪ねて要望や意見を伺いました。コメを作っている農家では、「農協に出荷しても60kgで14,000円にしかならないから、自ら販路を見つけスーパーなどに卸している。それでも16,000円ぐらいだ。共同でコメ作りをやっているが、個人ではとてもやっていけない」と言っています。また、いちご農家では、「市の就農支援制度を利用して青年が研修に来ているが、もっと多くの人が就農できるよう制度を改善してほしい」と言っていました。花卉農家も「このままでは日本の農家はだめになる」と不安を語っていました。どこでも、「行政はもっと農家を訪問し、実態をありのままに見るべきだ。今は世界的に食料不足が言われているときだから農業を再生するチャンスではないのか」など、率直な意見を聞くことができました。
 千葉市の農業は、広大な優良農地を有しており、コメ・野菜・果樹・畜産など豊富で新鮮・安全な農産物を市民に供給してきています。また、広大な農地は豪雨を吸収し都市災害を防ぐ重要な役割を果たしています。さらには、地球温暖化防止に大きく貢献するなど、千葉市民にとって安全・安心な食料の提供と環境保全になくてはならない存在です。
 千葉市内の家族経営による小規模農家も含め、希望を持って農業に取り組めるよううかがいます。
 1は、千葉市の農業が果たしている役割について、市はどのように認識しているのか。希望を持てる農業にするためには何が必要だと考えるのか、うかがいます。

 2は、06年の米価は60kg14,826円で、生産費の16,824円を2,000円下回りました。この米価で得られた農家の1時間あたりの労働報酬は、わずか256円です。これではコメを作る農家はなくなってしまいます。
 例えば、10アール当たり1万円の所得補償を行なえば、「不足払い」分と合わせて60kg18,000円の増収になります。千葉市は、国に価格保障および所得補償制度をつくるよう求めるとともに、千葉市は率先して保障制度を実施するよう求めます。

 3は、原油の高騰による農業経営への影響はどのように表れているのか。それによる、市民生活への波及はどうか。

 4は、新規就農者への支援は、現在の制度では06年から07年で6名しかいません。これでは、就農者は広がりません。現在の支援費5万円を15万円に引き上げることを求めます。

 5は、千葉市は20品目の野菜の価格保障はありますが、麦・大豆などにも補償品目を広げるべきだがどうか。また、農家が安心して農業に取り組めるように、保障金額の増額もすべきですがどうか。

 6は、学校給食への地元農産物使用をさらに増やすことが必要です。仮に、学校給食に米飯を1週間で1食増やすことで、年間約225tの米の消費量が増えることになります。地産地消を広げることは、フードマイレージの観点からも重要であり、学校給食に積極的に活用するよう求めます。

 7は、10月にオープンする交流センターで、米粉を利用したパンや菓子、シチューづくりなどを行なうよう提案するが、どうか。

 第2は、食の安全についてです。
 中国製冷凍ギョウザ中毒事件をはじめ、食品の産地・品質の偽装、添加物表示違反、賞味期限の改ざんなど、食の安全を大きく揺るがす事態が続発し、輸入食品からの残留農薬検出、消費者には見えない遺伝子組み換え食品の横行、BSE牛肉の不安など「食の安全」は、国民全体の関心の的となっています。
 しかし、膨大な輸入食品のうち、港や空港で検査されるのはわずか10%です。冷凍食品はほとんど検査されていません。
 3月議会でも検査体制の強化について伺いましたが、「保健所食品衛生課と食品衛生検査所を統合し、食品安全課を設置して食品衛生監視体制を強化する」とのことでした。そこでうかがいます。
 1は、冷凍ギョウザ事件の経過、原因、対策、教訓について明らかにしてください。

 2は、これまでの検査体制はどのように強化されたのでしょうか。4月以降、監視員はどれだけ増員され、検査対象はどれだけ増えたのか、その成果をうかがいます。

 3は、現在、千葉市内に入ってくる輸入食品の原産国表示は義務づけられているのか。表示の義務づけを国に求めるべきです。

 4は、秋田や北海道で、白鳥から鳥インフルエンザが検出され、養鶏場などに緊張が走りました。
 千葉市内にはどれだけの養鶏場があり、何羽飼育されているのか。どのような検査体制がとられているのか。千葉市の鳥インフルエンザ対策についてうかがいます。
 また、市内で野鳥の死骸が見つかった場合、市民がすべき対処方法をうかがいます。

 5は、市民の食の安全・安心を確保するために、名古屋市では食品等の生産から販売に至る各段階で監視・指導・検査をはじめ、法令及び条例に基づく必要な措置や啓発等を行なうとする「食の安全条例」を制定しています。
 冷凍ギョウザ中毒事件で全国に注目された千葉市でこそ、「食の安全条例」の制定を再度求めます。

2、地球温暖化対策について
 7月に行なわれる洞爺湖サミットの主要な議題は、世界の食料不足と地球温暖化対策になるといわれています。日本は、議長国としての姿勢が問われています。
 EU(欧州連合)の地球変動に対する危機感は大変なものがあります。ドイツでは2050年までに80%削減することをめざし、中期目標として2020年までに40%削減の法制化を進めています。「気候変動問題の解決は、産業界の果たす役割が決定的だ」との認識です。
 しかし日本は、結果として「削減できなくてもやむを得ない」というのが政府の立場であり、日本経団連の反対で中期目標が決められていません。
 日本では、産業界の温室効果ガス排出が80%を超えている現状があるにもかかわらず、削減目標を示せないのは、地球温暖化対策に背を向けていると言わざるを得ません。うかがいます。
 1は、千葉市の温室効果ガス削減目標は、2000年度から2010年度までに6%削減する計画でしたが、2004年度までの結果は70万2千トン(3.9%)増えています。特に、産業・業務部門は合計約60万トン、全体の約85%を占めています。千葉市の目標を達成するには、JFEや東京電力の排出削減が特に重要だと考えますが、千葉市としてはどのように認識していますか。

 2は、市は対策として、廃棄物の焼却を3分の1に減らす計画ですが、市民の協力得ながら、なんとしても達成しなければなりません。
 紙類の分別をすすめながらも、さらに「生ごみ」「プラスチック類」の分別が必要です。そのためには、生ごみの堆肥化などを先進市の経験に学び、積極的に取り入れるべきではないか。同時に、家庭用のコンポストに対する補助金を増額するよう求めます。

 3は、事業系ゴミの削減は、全体を大きく左右するものであり、事業者の目標達成へ指導を強めるよう求める。

 4は、新エネルギーの導入では、家庭発電の燃料化・バイオマスなどの研究と実用化。風力発電の増設。さらに、太陽光発電の公共施設への増設ならびに一般家庭での設置に対する助成戸数を増やすことと、国に補助制度復活を求めるべきです。

 5は、ヒートアイランド対策として、屋上緑化の推進計画を持つよう求める。

3、地震対策について
 中国四川大地震は、死者・行方不明者を合わせて約9万人、被災者約4,550万人、学校施設の倒壊6,900棟など、大変な被害をもたらしました。
 この地震を受けて日本政府は5月22日、公立小中学校の耐震化を促進するため、地方自治体への国庫補助率を原則2分の1から3分の2に引き上げ、震度6強以上で倒壊の危険性が高い小中学校から優先的に耐震化を図る。実施期間を5年から3年に短縮することを検討するとしています。これは当然のことです。
 千葉県が4月24日に公表した、マグニチュード7.3を想定する「東京湾北部地震」の場合、最悪のケースとして、22万棟を超す建物が全半壊し、44,000人の死傷者が出ると予測しています。そこで、うかがいます。
 1は、地震発生を市民に知らせる国の「緊急地震速報」は、どのように改善を図られるのか。

 2は、住宅の耐震化を2015年までに90%にするには約4,600戸、年間約580戸の改修が必要だとしています。しかし、改修への補助はわずか16戸です。
 2015年度までには、建て替えによる自然更新などで、42,000戸まで減少すると予測していますが、現在の経済情勢で、そこまで本当に進むのでしょうか。
 改修に対する補助戸数をもっと増やし、大地震に備えるべきではないでしょうか。

 3は、家具転倒防止金具取り付けへの補助とマンションの耐震ドア取替えに補助すべきです。

 4は、マンションに対する耐震対策ですが、千葉市内には1981年以前に建設されたマンションは956棟ありますが、耐震改修に対する助成はなく、診断だけの助成です。しかも1棟だけで、現に1981年以前に建設されたほとんどのマンションの管理組合では、費用のことを考えるととても改修に踏み切れないのが実態です。
 マンションの耐震改修への助成制度については、わが党の佐々木議員のへの答弁で「検討する」とのことでしたが、住民の強い要望でもあり、実施するよう求めます。

 5は、特定建築物、特に災害時の避難場所となる学校施設の改修については、先に述べた国の見通しに基づいて、市の促進計画の見直を行うのか。

4、硫化水素による自殺対策について
 家庭用洗剤などで硫化水素を発生させた自殺や事件が続発し、巻き添え被害も出るなど深刻な事態が相次いでいます。一連の自殺が、青年を中心に連鎖的に広がっていることは見逃せません。
 5月31日現在、全国で151件の硫化水素による自殺事件が起きています。3月に神戸市内で男性が自殺を図り、それを助けようとした父親が死亡、4月に高知県香南市で起きた女性の自殺によって付近の住民90人が病院で治療を受け、14人が入院、ガスが付近に広がったため75人が避難所で不安な一夜を過ごしています。また、乳幼児がガスを吸った場合の後遺症を心配する声もあります。
 関係者からは、「学校には硫化水素を発生させる危険がある薬品が置かれているが、管理は大丈夫なのか」との不安の声も聞いています。そこで、うかがいます。
 1に、厚生労働省は4月25日、日本薬剤師会や日本チェーンドラッグストアー協会など医薬品関係4団体に対し、硫化水素ガスを発生させる入浴剤や洗剤の使用目的が不審、又はあいまいな場合は販売を中止するよう通知を出し、注意を喚起しています。千葉市内の販売店には、徹底されているか調査しているか。

 2に、学校にある硫化水素を発生させる薬品の管理体制は、どのようになっているのか。

 3に、学校では「命の大切さ」の指導は、どのように行われていますか。

 4に、柏市では警察署・消防局・市役所の3者で「市硫化水素連絡会議」を設置し、地震などの災害時に硫化水素のような2次災害を想定し、避難誘導など必要な対策が不十分だったことから、新たな組織を発足させています。千葉市では硫化水素問題でどんな対策を講じているのか。

 5に、自殺を未然に防ぐため販売する側と自治体が協力し、「心の健康センター」や「いのちの電話」など相談窓口との適切な連携プレーが求められていますが、その体制はどうなっているのか。

(2回目)

1、農政について
 千葉市農業の役割について、「市民に安全・安心で新鮮な農産物を提供し、防災や環境保全などの役割を持っている」との答弁でした。
 だとすれば、もっと千葉市農業の振興に力を入れ、農業経営が成り立つように支援すべきではないですか。
 市の昨年の農業予算を見ますと、生産地育成、環境保全型推進、地産地消推進、流通体制確立、都市農業対策、水田農業振興など農業経営に係る農政部の予算が約5億8,700万も削減されています。これでは千葉市の思いとは裏腹に、農業は衰退するばかりです。持続可能な農業経営ができるよう、予算を大幅に増額すべきです。
 そこで1つは、「市独自の保障制度は国や政令市の動向を注視する」とのことでした。しかし、昨今の食料自給率低下や食の安全問題、待ったなしのCO2削減問題をどれだけ深刻に受け止めているのかが問われています。「様子眺め」ではなく、先進市の役割を千葉市が果たすべきことを求めます。
 2つは、異常な原油高騰によって「農業経営が圧迫され、生産の抑制も」表れ、「市民生活への波及」を千葉市は懸念しているとのことでした。今年度「見直す」という野菜の価格補償制度は品目・数量・補償金額ともに、「希望を持ち安心して農業に取り組める」よう大幅に改善すべきではないですか。
 3つは、新規就農研修生への支援費について「生活費ではないから増額しない」とのことですが、新規就農研修生といえども生活があります。農業技術を身に付け、減少しつづける千葉市農業の後継者にと頑張る方々を、経済的に応援するのは必要なことです。再度増額を求めます。
 4つは、学校給食への地元農産物の活用についてですが、フードマイレージの観点から「地産地消」は大変重要だと思います。学校での「食育推進」と合わせ「環境教育」の上からも、位置づけて消費向上を図るべきです。地元農産物の比率をさらに引き上げ、千葉市農業の振興にも地球環境の保全にも貢献するよう求めます。
 以上、お答えください。

2、食の安全について
 1つは、4月以降、検査項目を増やすなど前進もあるようですが、衛生監視員が増えていないため、検査が大変だと聞いています。
 市民の食の安全を保障するために、もっと監視員を増員すべきです。
 2つは、「食の安全・安心の条例は考えない」との答弁でした。ギョウザ中毒事件は、危機管理体制の不備が露呈したものであり、市民に不安を広げる事になりました。その反省に立つなら、条例の制定は必要不可欠ではないのか。

3、地球温暖化対策について
 1に、温室効果ガス削減の施策では、市内産業部門の排出量73%をいかに削減するかが大きな課題です。千葉市は、産業部門の排出量を公開し、削減目標を明確にするよう要請すべきです。
 2に、「生ごみの堆肥需要には限界がある」とのことですが、具体的にはどんな問題があるのか。紙類の分別リサイクル中心で「焼却ごみ3分の1削減」は達成できると考えているのか。廃プラの分別にも取り組む必要があると思うがどうか。
 3に、新エネルギーの導入は、「慎重に検討」するとしていますが、大胆な取り組みが求められています。福田首相は「包括提案」で、太陽光発電を2020年までには現在の10倍に、2030年には40倍にするとしています。千葉市は、それに見合った設置計画を持つ予定はあるのか。また、この間くり返し求めてきた、家畜のふん尿発酵によるバイオマス燃料の実用化に向けた研究を行なうよう求めます。
 4に、「千葉市ヒートアイランド対策指針」はありますが、市内の緑地は年々減少しているのが現実です。自然環境の保全はもとより屋上緑化にも補助制度をつくって緑化推進に取り組むよう求めます。

4、地震対策について
 私は、千葉県の「東京湾北部地震」による最悪の被害予測を紹介しました。このような地震は発生しない事を願っていますが、もし起きた場合には大変な被害となります。その被害に対する救援費用から見れば、今のうちに対策を講じて、被害を最小限に食い止めることができれば、災害時の費用も少なくて済むのではないでしょうか。
 1に、住宅の耐震改修の補助戸数を増やすよう求めましたが、「住宅の所有者の自己責任で」との答弁でした。高齢者世帯や経済的に困難な世帯にも、「自己責任」を求めるのでしょうか。このような答弁を認める訳には行きません。改めて、耐震改修の補助戸数を増やすことを求めます。
 2に、マンションに対する耐震診断と改修については、1981年以前に建設されたマンション956棟中、耐震診断を実施したのは3棟だけ、改修はどこもやられていません。「引き続き検討する」では、大型地震に対する対策の考え方が甘いのではないですか。横浜市では、予備診断は市が全額負担し、本診断と改修に補助制度があります。横浜市のように診断と改修に補助制度をつくるよう求めます。
 3に、避難場所となる学校体育館の改修は、IS値0.6未満についても前倒しで改修するよう求めます。