ふくなが洋議員の反対討論

2008.6.16

議案 件中4件について、発議9号が否決をされたことについて、反対討論を行います。

議案71号専決処分、国民健康保険事業特別会計補正予算についてです。
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 被保険者数や徴収率が予算を下回り、平成20度予算から繰り上げ充用するとのことです。千葉市新行政改革推進計画において、特別会計の健全化で一般会計の厳しい財政状況などを踏まえての繰上げ充用との答弁は認められません。
 昭和39年から、一般会計からの繰り入れでこれまで対応してきました。現在でも17政令市中9市が繰り上げ充用ではなく、一般会計からの繰り入れでまかなっています。これまで通り、一般会計からの繰り入れで処理をすべきです。
 それは、繰り上げ充用の財源を滞納繰越分の徴収でまかなうことは、必要以上に厳しく徴収される心配も指摘されるところです。
 今日、国保財政は危機的状況です。非常に高い国保料、そして保険証の取り上げをわが党はずっと問題にしてきました。
 大きな問題は、保健下水委員会でも明らかになりましたが、国保の財源は公費が50%、保険料が50%になっています。国保の制度は複雑ですが、「三位一体改革」で千葉市は、国庫負担の割合が平成19年度で33%にしかなりません。このことが国保料を高くする元凶です。
 国保財政を考えるとき、こうした国の負担軽減に加えて、国庫負担の50%のうち16%が調整交付金となり、本来所得の格差を是正するためのものですが、実際には自治体に「徴収を強化、医療費の削減」を押し付けるものになっていることを議会・市民に対して明らかにすべきです。
 日本の医療制度をどうするのか、国民的に議論するときに来ていますが、当面国保に徹底的に国庫負担を入れて、国保をいい制度にしていくしかないと考えます。
 そのことを申し上げて、皆保険制度を守るために、千葉市として最大限の努力をするべきです。

議案83号 工事請負契約についてです。

 新港横戸町線2工区擁壁外築造工事の入札にかかわる問題です。
 予定価格の10億円に対して入札が26の共同企業体が応札して、10社が低入札調査対象になり、2社が特別重点調査対象、1社が失格、1社は辞退という異例な入札になっています。
 結果は、錢高・丸善建設共同事業体が68.24%で落札しましたが、低入札については「受注意欲の表れとしています」が、一番札で入札したのは清水・天台建設共同企業体で、6億8,218万7,500円で応札しながら、低入札価格調査書類を未提出のために失格。他の4社も同じ理由で失格。1社は誓約書未提出で失格です。
 この結果を見れば、不自然であり、本当に受注意欲があったのか疑われます。日本のゼネコンがそろって参加しながら、理解に苦しむ入札結果は公共事業の公正な入札を汚すものといわざるを得ません。
適正な入札とは残念ながら遠いものになっています。そのことで、「2次・3次の下請け業者にしわ寄せが行くのではないか」との心配も寄せられています。
 また、鉄筋、鉄骨の大幅な値上がりは、2年前に比べても80%もの異常な値上がりです。「低入札で安全な工事ができるのか」との懸念もあります。千葉市の入札案件の中でも、市民理解が得られない入札です。

議案84号 工事委託契約についてです。

 都市計画道路・新港横戸町線京成電鉄千葉線交差部工事についてです。これについては、一般の入札とは違い、千葉市は京成電鉄と平成14年から工委託契約で工事を行ってきました。
 予定額と契約額について、この8年間の合計で、予定額が58億5,073万8,000円です。契約額が56億5,534万1,000円で、比率は96.7%になります。特殊な問題があることは理解しますが、これは市民には理解できない委託契約ではないでしょうか。
 JRに関する工事も同様の契約になっていますが、隋契に近い契約方法は、もっと内容を市民に明らかにしていくべきではないでしょうか。
 こうした不透明な契約は改善をすべきです。

議案85号 千葉市民ゴルフ場の指定管理者の指定についてです。

 先の第1回定例会で、提出議案を33年ぶりに撤回をした案件です。それは、当時から疑惑につつまれていた議案であったといえます。市民と議会に大きな迷惑をかけたことは疑いのないところです。
 PGAは、公益法人でゴルフの研究や指導普及、国民の心身の向上を目的とするものであり、スポーツの振興と健康の増進を図る立場の団体であり、それが「特定の指定管理者を推薦することはおかしい」との声がもともとあります。
 市民ゴルフ場は「スポーツの振興」「市民の健康増進」を図る公の施設です。そこの施設が、フェアーでなく決められることは許せません。
 これだけ問題点が出されながら、最初から「結論ありき」で進められたのではないでしょうか。いくら説明しても、説明をすればするほど問題が広がる議案です。印鑑の偽造、PGA職員の関与、関心表明書など、どれも市民理解は得られません。
 公共事業だからこそ、公正な審査が求められます。疑惑が生じてはなりません。再評価前と再評価後の選定委員会の委員の評価点が資料として出されました。
 これも更なる疑惑につつまれています。内部委員が市の関係者6名、外部委員は弁護士、公認会計士、ゴルフ場関係者の3名の構成です。これでは最初から、市の関係者の意見が通ることになり、結果もそうなりました。
 造成費、土地代、指定管理費など、合計で38億2,700万円も市民の税金を投入する施設です。その点からも、大切な税金を使っているとの姿勢はまったく見えてきません。
 さらに、指定管理制度のあり方が問われる案件でもあります。公正なはずが、ますます混乱をさせています。指定管理者制度は、見かけは公正に見えますが、恣意的に事業者が選ばれていることが明らかになりました。
 この際、他の指定管理者についても、この案件を見るかぎり再調査が必要です。
 最初から「結論あり」きで公正さには遠い、不透明な案件には賛成できません。

発議第9号 千葉市の食の安全・安心推進委員会設置条例についてです。

 千葉市での中国産冷凍ギョーザ問題は、全国な問題となりましたが、いまだに解決はされていません。
 市内中央区のホテルでの食中毒問題などがあいついでいます。食の安全・安心への市民の信頼が揺らぐなかで、千葉市が食の安全・安心のために、千葉市独自の推進委員会を設置していくことが求められています。
 千葉県では「千葉県食品等の安全・安心の確保に関する条例」が、平成18年3月30日に交付されています。
 それを踏まえて、この条例は千葉県の条例とともに、消費者の食生活を支え、事業者や消費者・千葉市がシステムを作ろうとするものです。
 千葉市が独自に行うことはたくさんあります。消費者、業者、専門家など関係者などが連携して、千葉市の食の安全・安心のための具体的な対策を行うことは、緊急の課題ではないでしょうか。
 先日も飛騨牛の偽装が問題になりました。JAS違反とのことですが、それ以前に社長の偽装指示があったといわれますが、格下の肉を混ぜていたそうです。こうした偽装が相次ぐ中、条例の必要性は明らかです。
 保健下水委員会では、BSEや外国産野菜の情報などで、「千葉市の対応を求めたい」との賛成も意見もありました。
 一方、「大切なことではあるが、条例の内容のイメージがわかない」「消費者庁も設置されるので、それを待つ」とのことで、賛成少数により否決されたことは大変残念です。
 一言申し上げますが、「何のために条例提案をしたのか」との質問は、条例提案に対する基本的認識が問われる発言ではないでしょうか。
 議会は、行政のチェツクと条例提案の2つが期待をされています。議会改革を進めるためにも議員相互の意見交換、自由な討議を保障していくべきであるとことを申し上げておきたいと思います。
 条例提案は否決をされましたが、市民は食の安全確保のために、速やかに施策を充実されることを求めるものです。
 最後に、請願について申し上げます。

請願第4号・平成20年度「在宅高齢者等おむつ給付等事業」の改善を求める請願についてです。

 市はこれまで、常時失禁状態にある在宅の高齢者に対し、おむつの現物給付をしてきました。この4月から、要支援者の新規申請ができなくなり、昨年度からの継続利用者も7月より制度の対象外となります。
 アルツハイマーなど介護度が軽度でも、オムツは頻繁に使います。オムツの利用は自立にも役立っています。今やオムツは、日常生活に欠かせないものです。
 おむつ代は、かなり高価でも削れません。そのため、食事代を削るしかない悲惨な事態なのです。
 オムツを必要とする人には、必要に応じて支給することが必要ではないでしょうか。
 保健下水委員会では、「オムツは余っている。財政のことを考えると、削らなければならない」と、不採択になりました。オムツは、今や市民の命にかかわる問題になっています。不採択になったことは残念です。

請願第5号・妊産婦健診の無料受診回数を増やすことを求める請願についてです。

 昨年度、厚生労働省は妊婦健診を誰もが受けられるように、「妊産婦検診の公費負担は5回、できれば14回が望ましい」との通知を出したことは御承知の通りです。
 保健下水委員会では、「無料健診の前にやることがある。5回にしたばかり。国の重要課題」との理由で「賛成しかねる」とのことでした。
 基本的に反対すべきものではないことは、全会派の一致を見ました。市も「努力をする」との答弁もありました。今後速やかに公費で14回、妊産婦健康診査を受診できるように強く求めておきます。

請願第7号・国民健康保険料の引き下げを求める請願についてです。

 国民健康保険法はその第1条で、「この法律は国民健康保険事業の健全な運営を確保しもって社会保障及び国民保険の向上に寄与することを目的とする」と書かれています。しかし、現実は個人の支払能力を超えた高すぎる保険料が全国的に問題になっています。千葉市でもそうですが、保険料を払えない人が多数生み出され「国民皆保険」の理念は崩壊の危機にひんしています。
 今や被保険者に、これ以上の負担を求めることは現状ではできません。大幅に国庫負担を増やすべきです。
 同時に、千葉市としては命にかかわる国保制度維持のためにも資格証明書の発行をやめて、無保険者を作らないことです。そのためには、一般会計から繰り入れを増やし、国民健康保険料を引き下げることです。
 6月16日、福岡市では国民健康保険料を引き下げました。いのちは平等です。国民健康保険によって命が救われているのです。最優先して、国保へ一般会計からの繰り入れを増やし、払える国民健康保険料にすべきではないでしょうか。
 厚労省は、地方公共団体財政健全化法の施行により、市町村の国保会計の赤字克服が強調されて、収納率の向上を至上命題として追及していることからも、生活状況に配慮することなく保険料を聴取することになり、問題といわねばなりません。
 わが党と無所属議員以外が、不採択との対応は極めて残念です。
 以上で討論を終わります。