もりた真弓議員の条例提案説明

2009.9.8

写真 発議第19号・千葉市生活保護受給世帯に対する通塾等に係る経費の助成に関する提案理由の説明をおこないます。
 この条例は、福祉的な観点から子どもたちの高校就学が十分保償されるように、生活保護世帯に対して塾代を支給するものです。
 貧困の世代間の連鎖は、今大きな問題となっています。大阪府堺市においての調査では、生活保護受給者が育った家庭の25.1%が生活保護を受けていたとの報告です。また、母子世帯では40.6%が親子2代で生活保護を受けており、中学校卒業までの教育、あるいは高校中退という世帯が72.6%を占めています。生まれ育った家庭の貧困が子どもの学歴にも影を落としています。
現在、大学卒業までの子育ての費用は、子ども一人あたり平均2,370万円かかるとされています。公立高校に通うのにも、学習費総額で年平均52万円が必要です。年収400万円未満の低所得世帯でも、年間43.4万円支出していることが、文部科学省の2006年度の調査でも明らかになっています。
 お金がなければ高い教育を受けられない、親の財布の大きさで子どもの将来が決まる状況です。
 貧困家庭の子どもは低学歴で、社会に出たスタートラインからハンデを背負い、不利益を受けるのではないでしょうか。
 国はこの間、2004年度に生活保護の在り方に関する専門委員会の報告書で、「生活保護基準の妥当性の検証・評価、及び自立支援等生活保護の制度・運用の在り方に関する検討を踏まえ、その改善の方向」を示しています。
 特に「自立支援プログラムの導入」の中では、「被保護世帯と直接接している」「地方自治体が、地域の被保護世帯の抱える問題を把握した上で、自主的・独創性を活かして重層的かつ多様な支援メニューを整備し、被保護世帯の問題に応じた自立支援プログラムを策定する」と書かれています。
 今回の条例提案と同様の、こうした取り組みを、都道府県では東京都が全国で初めて、「新年度から生活保護受給世帯の中学生以下の子どもに、学習塾に通う費用を援助する方針」を決めました。所得格差が教育格差につながらないように、高校進学支援で「貧困の連鎖」を抑止しようとするものです。
 その中で、東京の小金井市では、「被保護者自立促進事業」を、そして武蔵野市では「高校進学支援プログラム」を、他にも、西東京市、板橋区、北区の3市2区が事業をスタートさせています。
 千葉市でも、すでに実施している他都市の先進例を参考に、貧困の連鎖をなくすため、生活保護世帯の子どもたちに自立促進事業を行なうべきです。
 今日、学費の高さが世界一のわが国において、生活保護世帯の高校進学は、一層厳しい状況です。「学びたい」と願う生活保護世帯の子どもに対して、塾代を支援していくことは、大きな行政効果があると思います。地方自治体としての役割が求められています。
 今回提案した条例案は、子どもの未来に関わる問題です。次世代につながる貧困の連鎖を断ち切るためにも、学ぶ機会を保障して将来に希望が持てるように提案するものです。
 条例の内容をご理解いただいて、みなさまのご賛同を求めるものです。