小関としゆき議員の討論

2008.9.19

 議案第89号・一般会計補正予算中、蘇我スポーツ公園、新港横戸町線、小規模保育所整備についてと、一般議案105号、106号について反対し、発議19号が否決、請願12号、13号、14号、15号が不採択になったことについて討論を行います。
 まず、蘇我スポーツ公園の目的は、本市のスポーツ振興の拠点として、レクリエーション需要に対応した運動公園と、大規模な災害時の広域防災拠点となる公園として整備するとの事でした。
 しかし、溶鉱炉を抱えたJFE近くの公園を、防災拠点として位置づけるのは問題です。隣接地には工場が稼動していますが、この用地のほとんどが埋立地です。安心して避難する市民がいるでしょうか。
 多目的広場は、フクダ電子アリーナが指定管理者になるということですが、サッカー場は、入場者は07年目標の約95%で、972万円の赤字を出し経営的に安定するのか疑問です。
 今回の補正で5億3,200万円、総事業費350億円、しかもその事業費は国費を除いて90%は市債とのことです。いま、千葉市は深刻な財政危機に陥っているのです。他に優先して整備を進めるべきではありません。見直すべきです。

 次に、新港横戸町線(6工区本線切土外工事)と106号についてです。
 この議案は、材料の値上げによる補正であり、当然のことだとは思います。
 しかし、これまで日本共産党は穴川インターから市役所まで、わずか4分間の短縮のために700億円もの費用を注ぎ込むのは、市の借金を増大させるもの。また、この道路建設に当たっては、周辺住民の理解が十分得られないまま進めているなど、多くの問題をくり返し議会で取り上げ、指摘してきたものです。よってこの予算と106号については賛成できません。

 次に、小規模保育所整備についてです。
 保育所待機児童解消は、当然の課題です。この議案は、保育所待機児解消へ緊急に3か年で駅周辺に整備する計画で、今年度中に6か所整備する予定です。議案質疑でも保育所の理念についての認識をうかがいました。その中で、保育所は子どもの最善の利益を考慮し、その健全な心身の発達を図るため「明日を生きる力」と「豊かな人間性」の基礎を培うにふさわしい生活の場だと認識しているとの答弁でした。
 しかし、このたび進めようとしている計画では、どこに設置するのか、園庭の問題、運営に営利企業が参入する問題など、具体的に示されないままの計画です。
 委員会での議論でも、「議会への提案として急ぎすぎる」「川崎や横浜で実施しているとのことだが具体的なことが何も示されない」「なぜ情報公開しないのか」などの疑問が出されました。この議案は、国の方針でもある「官から民へ」の方向を強め、地方自治体の役割を放棄することになるものであり、賛成できません。

 次に、議案105号・新港学校給食センターPFI特定事業についてです。
 「より豊で安全な学校給食の実現」を目標に「学校給食センターの再編整備計画」の一環として、新港に学校給食センターをPFI方式で整備し、その導入効果は「コスト削減や安全面で十分期待できる」といっています。食材の調達や献立作成、検収、給食費の徴収は千葉市が行なうようです。
 しかし、そもそも「ハサップだから安全」と言うのは危険ではないですか。あのギョーザ事件では、その安全性が損なわれました。
 「食を通じて生きる力の原点を学ぶ」という学校給食の基本がないがしろにされています。いま食育が強調されていながら、その観点が欠けています。
 教育の公的責任を放棄してはなりません。コスト優先では、子どもたちの健やかな発達は保障できません。教育委員会が責任を持って行なうことを求めます。

 発議19号・千葉市生活保護受給世帯に対する通塾等に係る経費の助成に関する条例についてです。
 この条例は、福祉的観点から子どもたちの高校進学が保障されるよう、生活保護世帯に対し塾代を支援し、「学びたい」と願う子どもたちに、学ぶ機会を保障し将来に希望が持てるようにしようとする提案です。生保世帯で塾に通っているのは3.1%です。年間300万から500万円の予算で、生保世帯の子どもたちの教育を受ける機会が広がることになります。そして、その行政効果は大きいと考えます。
 委員会では、「ただお金をばらまくのでは、子どものためにならない」「生保世帯だけにというのはどうか」「思いとしてはわかるが賛成できない」の理由で、自民・公明・民主などの反対で否決されたのは、きわめて残念です。

 請願12号・学校適正配置(統廃合)の慎重審議を求める請願についてです。
 市教育委員会は、「よりよい教育環境のため」「教育の充実のため」と強調し、小中学校を大幅に統廃合し、打瀬・幕張西を除く美浜区、花見川団地地域、若葉区・千城台地域だけでも46校から22校に半減、24校が廃校となります。その他の行政区でも廃校となる学校が生まれます。
 このような子どもや地域住民に大きな影響を与える計画でもあり、保護者や地域住民の意見を十分踏まえ、慎重に審議するよう求める請願です。
 地域説明会に参加された方からは、「適正配置で掲げている地域活性化には疑問だ」「美浜区では4つの小学校を2つにし、2つの中学校を1つにする方針だが、校区内のコミュニティを児童・生徒数が少ないからと統合してしまうのか」「地域意識を無視したやり方だ」「子どもたちの教育をどう進めていくのかが大前提であり、学校適正配置という重要問題は広く地域を巻き込んで問題にすべきだ」などの意見が出されています。また委員会でも、代表協議会の内容について周知すべきだなどの意見が出されましたが、不採択となったのは遺憾です。

 請願13号・14号・15号「子どもの医療費無料制度に係る窓口自己負担金完全無料化」「中学卒業までの入院費、小学校3年までの通院費の助成を求める請願」についてです。
 これまで、子どもの医療費無料化を求める運動によって、小学校就学前までの無料化が実施され、多くの子育て世代に歓迎されています。
 しかし、窓口無料化になったものの1回200円の負担があります。「中耳炎で何度も通院すれば、かなりの負担です。これでは無料化とはいえない」などの声が寄せられています。
 委員会では、「他政令市を見ても中学校卒業まで助成しているところもある」「200円の出費が厳しい家庭もあることを考えるべきだ」などの意見がありました。
 「医療を荒削りにしないという意味でも自己負担は必要だ」とか、「自己負担金は他の自治体も実施している」、また「入院費については行政側でも検討している」などと請願に反対、不採択となったことは遺憾です。

 以上で討論を終わります。