佐々木ゆうき議員の一般質問 

2008.9.29

1.教育問題について
写真 まず、はじめに学校教育について伺います。
 今後の学校教育に大きな影響を及ぼす学校適正配置についてです。千葉市だけではなく全国的な規模で、学校適正配置という名で進められる学校の統廃合問題が広がっています。政府の「骨太方針2006」の中で、2010年までの「1万人の教員削減」が、閣議決定されています。また、今年に入って政府は閣議で、「骨太方針2008」で「学校の適正配置」を決定しています。
 中央教育審議会の専門部会でも、今年の6月15日に、文部科学省から示された要請事項、学校規模の目安、地域に受け入れやすい統合のすすめ方など、来年を目途に結論を出すため、学校統廃合の基準づくりを開始しています。
 千葉市においても昨年の10月に、学校適正配置実施方針を策定していますが、学校の統廃合が、子どもたちの教育にとって影響はないのか見る必要があります。「学校の適正規模」について、千葉市では、小学校・中学校とも12学級〜24学級が「適正規模」としています。12学級以下は「適正」ではないから、統廃合の対象とするのは問題があるのではないでしょうか。
 地域の中で育ち、学校では一人ひとりの子どもに目が行き届き、教員と子どもの人間的にあたたかい関係がつくられる、こういう学校規模こそが「適正」であると考えます。地域との関連では、学校は単に子どもの教育にとどまらず、地域にとっての独自の役割があります。学校は、運動会やお祭りなどを含め、「地域の核」として役割を担っています。近くに学校があるからこそ、地域に残って子育てができるという点で、地域を維持するために欠かせない施設となっています。
 学校規模が小さく、財政効率が悪いと言われても、憲法26条の「教育を受ける権利」の保障に必要な経費を支出し、教育条件を整え、その利点や可能性を最大限追求するのが、国や自治体の役割です。
 今は、代表協議会という場で、議論が進められていますが、具体的な統廃合が問題になった時に、第1次学校適正配置の時のように、地域の動揺や不安、理解が十分得られないまま進む結果となります。「統合しない」という現状維持の選択も必要だと考えます。そこで、伺います。
 1つは、先日の経済教育委員会において、私から「地元代表協議会で議論を尽くした結果、「統合しない」という代表委員の総意となった場合は、どう対応するのか」という問いに、教育委員会は「統合しないという想定はしていない」と答弁されましたが、今年の6月2日の美浜区磯辺の地元代表協議会では、協議会の議長から「統合するという結果があってそこへ向かうものではなく、今後の学校のあり方について、自分たちがどうしていきたいか話し合う場である。「統合しない」という結果もありうる」と発言しています。この発言をどう思いますか。
 2つは、学校適正配置実施方針に掲げられているAパターンの対象校で、46校から22校になった場合、今年度の予算との比較で、教育関係の予算はどうなるのか、示していただきたい。
 3つは、学校適正配置実施方針および地元代表協議会の審議内容を、未就学児童の保護者に知らせるべきではないかと地元代表協議会で意見が出され、教育委員会も準備をしているということでしたが、具体的に検討されている内容を示していただきたい。
 4つは、「学校の主役は子ども」であり、そして教員がいて成り立っています。子どもと教員に対し、学校適正配置実施方針を説明し、意見を聞くべきではないですか。見解を伺います。
 5つは、2005年8月の「平成の大合併」向け全国都道府県教育長協議会『教育委員会のための市町村合併マニュアル』において確認している、1973年の「公立小中学校の統合について」の通達の中身は、どういうものなのか明らかにしてください。
 6つは、国に対して千葉市は、統合後の施設整備のための補助金の創設を要望していると伺っています。教育委員会は、地元代表協議会で補助金を示して、統廃合への理解を得ようとするのは、順序が違うのではないのでしょうか。まずは、子どもの教育予算を増やすべきではないですか。見解を伺います。
 以上、お答えください。

 つぎは、学校施設についてです。
 今年の夏は、以前にも増して記録的な猛暑の日が続きました。学校体育施設開放事業として、学校のプールを開放されてきました。昭和52年の5校で、4,762人で、19年度で、2万35人の方が利用されていました。1校平均で、445人であり、多くの方々に利用されておりました。15年度は703万9,492円で、19年度は、663万8,630円で、プール開放事業への支出も、5年前と比べると減っていきています。
 地域にある学校で、子どもたちが地域住民や保護者の目が行き届く場所における学校のプールは、必要ではないでしょうか。子どもルームや子ども会で、「夏の楽しみの一つであったのに、それがなくなってしまった」「稲毛海浜公園プールのチケットを渡されても、子どもだけでは行けない」「なぜやめたのか」という不満と疑問の声が寄せられました。そこで、伺います。
 1つは、昭和52年から続けてきた学校のプール開放事業をなぜやめたのか、具体的な説明を示していただきたい。
2つは、市政だよりや各種広報誌を活用し、学校プールの開放事業のボランティアを募集し、管理指導員を育成した上で、プール開放にむけてメドが立てば、事業の再開を提案しますが、どうですか。

2.街の活性化対策について(ストリートパフォーマンス事業について)
 街の活性化につながるものとして市民文化・芸術文化の向上によって、街の賑わいを取り戻したり、活性化させることが必要です。今年3月に策定された「千葉市文化振興計画」で、鶴岡市長は、「文化芸術は、人々の心をつなぎ、日々の暮らしにやすらぎと活力をもたらすとともに、(中略)。特に近年では、地域の文化資源を発見し、連携・協力の仕組みをつくり、地域の「文化力」をいかに結集させるかが、活力ある社会を構築するために欠かせないものとなっている」と述べられています。
 千葉市は、中心市街地の活性化の一環である、「ちば大道芸の日」を毎月第4日曜と、毎年3月の第4日曜日に、実行委員会形式で、「大道芸フェスティバルinちば」を開催しています。
 また、同計画では、基本施策として「創造活動を支える場の確保」が掲げられています。これは、「公共文化施設だけでなく他の公共施設も視野に入れながら、継続的に活動できる場所や、新しい活動に対応できる場の提供を検討し、創造活動を支援します」というものです。
 千葉市の玄関口である千葉駅では、クリスタルドームを中心に、多数のストリートミュージシャンが集まり、個々にファンができるなど、若者があつまるきっかけにもなっていることが伺えます。先日、ストリートミュージシャンから話を聞きました。「ミュージシャンは個々がバラバラで、演奏についてはお互いを気にしながら、演奏をしている」「どこに行っても偏見の目で見られる」「ミュージシャン同士で、お互いの情報交換したい」「みんなに自分の曲を聴いてもらいたい」という率直な思いが寄せられました。
 ストリートミュージシャンからプロを目指す、または千葉市から活躍するミュージシャンを輩出するためにも、ストリートパフォーマンス支援を創設、または、充実させることが必要であると考えます。
 福岡市では、一般の音楽やダンスなどのパフォーマーの方々に、公共的空間を発表の場として提供し、活動を支援して、音楽や文化、芸術の振興、都市の賑わいと魅力の向上させるストリートパフォーマンス支援事業を展開しています。土日や祝日を中心に、年間通して実施。実施場所についても、市役所ふれあい広場や緑地などの公共的な空間以外に、民間の公開空地についても施設管理者に協力を求めていくとしています。この事業への登録制度もあり、今年4月時点で90名の方が登録されています。
 県内では、柏市がストリートミュージシャン認定制度を導入し、安心して活動できる環境にしていくことが、街の活性化につながるとしています。そこで、伺います。
 1つは、提案ですが、ストリートミュージシャン、ストリートダンス、大道芸人への支援事業の創設をしてはどうですか。
 2つは、特に人通りの多い千葉駅、千葉そごう前などの民間事業者等と協力し、ストリートパフォーマーの活動の場を確保することを検討してはどうですか。
 3つは、ストリートパフォーマンス事業と合わせて、公共的な施設の開放をおこなう一環として、千葉駅前の地下道の有効活用を提案します。人通りが少ないことから、民間事業者や、文化振興・経済振興の関係団体等との協議の上、進めていくことを提案しますが、どうですか。

3.地域の諸問題について
 まず、海辺のバリアフリー化についてです。
 海辺のバリアフリー化について伺います。千葉市美浜区は、海岸線に面していることから、休日・祭日関わらず、ジョギングやウォーキングを楽しめる地域として、近隣の住民に親しまれています。私もいなげの浜から幕張の浜まで、ジョギング等で利用させていただいています。2007年度から2009年度までに、階段や通路の拡張、スロープ化、幕張の浜からいなげの浜の約6キロを整備することとしています。
 先日、車椅子の障がい者の方から、お話を聞いてきました。花見川区に住まわれている方ですが、ご夫婦で、天気の良い日は、花見川のサイクリングロードから検見川の浜まで散歩に行かれるそうです。「お弁当をもって浜まで行って、海を眺めたいと思っているのに、少しの段差で、休憩所に降りることができない」ということでした。
 私は、実際に現地を見ているので、感じる点がいくつかあります。いなげの浜については、検見川の浜と違い、稲毛海浜公園の園路と浜辺の境に、松などの針葉樹林が植樹されており、海を眺めることができません。また、木製の階段が設置され、段差があるために、障がい者や高齢者にとって、利用しづらい浜となっているのが現状です。そうした点を踏まえて、砂浜プロムナードの整備に関連して、質問します。
 1つは、砂浜プロムナードの進捗状況と、バリアフリー化に向けての整備計画を示して下さい。
 2つは、検見川の浜、幕張の浜については千葉県の管轄と聞いております。スロープが設置されるなど、整備が進められていますが、各箇所に設置された休憩所へは段差があるために車イスで降りるのは困難になっています。こうした場所の改善が検討されていますか。
 3つは、海浜病院から検見川の浜へ向かう途中の横断歩道前の柵を改善し、車椅子でも通り易くし、浜への階段とスロープを改善することを求めるが、どうか。
 4つは、千葉ポートパーク内の人工海浜についても、千葉県に対してバリアフリー化を要望してはどうですか。

 つぎに、商業施設を利用する市民の利便性の向上についてです。
 商業施設を利用する市民の利便性の向上について伺います。マンション建設が著しく、幕張西・新港・千葉みなと地域では、近隣に生鮮食品を扱う店舗なく、幕張西地域の方から、「近くにコンビニエンスストアしかないので、生活協同組合等を使って、食品を買っている。区役所などの公共施設を利用するときにも、不便です。」という声が寄せられています。
 また、幸町地域においても、特に幸町2丁目の西側の地域の高齢者の方からも、「自宅の近くにお店がなく、京葉線の高架下を越えたミハマニューポートリゾートを利用しているが、高齢者にとって、交通量が多く、大型車が頻繁に行き交う道を、自転車ないし徒歩で行かなければなりません」という声が寄せられました。
 私も実際に現地に行ってみましたが、勝又自動車学校の入り口前を通り、リゾート方面へ向かう途中には、歩道もなく、安全性に欠けています。誰もが安心して、商業施設等を利用できるよう以下、質問致します。
 1つは、幕張西地域からの商業施設等へのアクセスのために、コミュニティバスの運行についてどうなったのか、民間バス会社との調整についての進捗状況を示していただきたい。
 2つは、幸町2丁目の地域住民の方の、商業施設へのアクセスのために、京葉線高架下の活用を考えてはどうですか。
 以上で、1回目の質問を終ります。

<2回目>

1、学校施設について
 学校のプール開放事業ですが、事業をやめた理由として、答弁では、民間のプールが整備されてきたこと、国が策定した「プール安全標準指針」において、管理責任者、衛生管理者、監視員等の管理体制を整備することが、必要であることから多額の費用がかかり、確保が難しいということ」で判断されたとのことです。そこで伺います。
 1つは、学校のプール開放事業を今年度からやめることになりましたが、学校体育施設開放事業の目的として、市民に開放し、もって市民の体力づくり、コミュニティ活動を図るとされています。これを続けることは、子どもから高齢者までの生涯学習の観点からも大切なことではないですか。
 2つは、管理責任者、衛生管理者、監視員等の確保については、多額の費用がかかるとしていますが、生涯学習の観点とコミュニティ活動を図る費用については確保すべきではないですか。
 3つは、いまある施設を有効活用するとともに、市民の要望に応えて、復活すべきではないですか。
 以上、お答えください。

2、学校適正配置について
 教育予算の問題については意見を言わせていただきます。学校適正配置実施方針に掲げられているAパターンの対象校で、46校から22校になった場合、今年度の予算との比較についてですが、答弁では、「学校の状況が異なるため算定はできない」「花見川第4小学校と第5小学校の統合による実績では、管理運営費等市費で、約2,800万円の削減」とされました。校舎のリニューアルについての経費については、統廃合をしなくとも当然必要な経費であります。
 そもそも日本は、教育への公的支出があまりにも少なすぎます。日本の教育への公的支出の対GDP比が3.5%でOECD(経済協力開発機構)に加盟する30カ国の平均5%より少ないことです。しかし国は、少子化が進んでいるから、国の教育予算が少ないのは当然だというのです。
 千葉市においては、「千葉市新行政改革大綱」の中の「公共施設の設置及び管理運営の合理化」の項目において、学校の統廃合が掲げられております。子どもたちの教育を「行政改革」という名で、財政的な効率化を求めるべきではありません。

 保護者への周知について
 次に「実施方針」と地元代表協議会の審議内容を未就学児童の保護者に知らせることについては、答弁では「市内全幼稚園・保育所・保育園・保育施設にポスターの掲示を依頼するとともに、美浜区内の幼稚園・保育所等にチラシの配布をお願いした」とのことでした。また、先日の経済教育委員会で委員から、広報でお知らせするのには経費がかかるので、ニュースなどの経費を補助してはどうかという意見が出されました。先日、美浜区の方から配布をお願いしたというチラシを取り寄せ、見させていただきました。ポスターの中身も同じ中身であると伺っています。この文面を見ると、まず「学校適正配置(小中学校の統合等)について」とされ、中身についても統合が前提となっています。「ご意見等、お気軽にお寄せください」については小さく、見ただけではわかりません。また、インターネットや学校での閲覧では、見れる方が限られてしまいます。そこで伺います。
 1つは、ポスターやチラシの中身について、保護者のご意見を聞くことを前提とした文面に改めるべきです。
 2つは、自治会やPTA、保護者会などが発行する審議内容等のニュース作成の費用等を、千葉市が補助すべきではないでしょうか。
 以上 お答えください。

 子どもと教員の意見について
 次に、子どもと教員に対して「実施方針」について、説明し、意見を聞くべきではないかと質問したのに対して、答弁では、「第1次の取り組みでの保護者、地域の方々、学校関係者から多くの意見や、花島小学校での児童や教員を対象にしたアンケートを基に策定したとのことです。しかし、これは花見川第4小、第5小の例をあげて策定したものであって、隣接した学校同士の統合です。現在、対象校となっている子どもと教員の意見を聞くべきであります。
 また答弁では、教職員にその趣旨を説明し、意見を聴取しながら進めているとのことでした。現場の教員の方から、実施方針が出されて以降、「この方針の中身を全くしらなかった」と伺っています。そこで伺います。
 1つは、子どもの権利条約第12条では、「締約国は、自己の意見を形成する能力のある児童がその児童に影響を及ぼすすべての事項について自由に自己の意見を表明する権利を確保する。この場合において、児童の意見は、その児童の年齢及び成熟度に従って相応に考慮されるものとする」とされています。これに照らし、現在の対象校についても、子どもたちの意見を聞くことを求めるが、どうか。
 2つは、教員に対しては、すべての教員に対して、保護者や地域住民におこなったように、「実施方針」を説明するよう求めるが、どうか。
 以上、お答えください。

 協議会について
 それから、協議会の議長の「統合しない結果もありうる」という発言についてどう思うのかと求めたところ、「子どもたちのよりよい教育環境をどのように創っていくべきか、協議会の中で、合意形成にむけて十分話し合ってほしい」という趣旨であると、教育委員会としての受け止めが答弁されました。そうであっても統合への合意形成に至らない場合もあるはずです。
 私どもに、ある方から、「『学校適正配置』について、地元代表委員による議論が進められていますが、一般論として、さまざまな改革には、必ず賛否両論もあり、協議会でも意見が分かれています。児童・生徒数の規模、教育費、教員の数や質など、どれが「適正」であるかは明確には出来ないものばかりです」という意見が寄せられました。率直な意見だと私は思います。
 また、地元代表委員の発言の中で、「統合を納得させるための会議なのか」という意見に対し、「統合しないこともありうる」と、議長が発言したものであります。そういう「統合しないこともありうる」という方向もあるならと、参加している代表委員もいらっしゃるはずであります。教育委員会の答弁では、統廃合が先にありきの考え方で、協議会をすすめているようにしか受け取れません。1973年の「公立小中学校の統合について」の国の通達では、「総合的に判断した場合、小規模校として存置する場合もある」としています。結果として「統合しない」ということも認めているのではないでしょうか。
 最後に、1点伺います。教育委員会は、地元代表協議会で、代表委員の総意によって「統合しない」という結果が出るということを、想定していますか。想定していませんか。お答えください。
 以上で2回目の質問とします。