野本信正議員の代表質問に対する答弁(要旨)

― 2008.12.5 ―

【鶴岡市長】

○ 市政運営の基本方針について
 政界経済の減速で先行き不透明な経済状況や円高などで、中小企業や市民生活への影響が考えられ、地方自治体としての役割を認識し、適切に取り組むのが市長の責務だ。国が、雇用対策を盛り込んだ第2次補正予算を提出し、対策が講じられるものと考えている。
 社会保障は、国民生活を支えるセーフティーネットとしての機能を強化し、持続可能性を高める必要がある。国では2200億円の抑制見直しの議論もあり、その動向を注視したい。長寿医療制度は、世代間の負担の公平を図り、国民会保険制度を将来にわたり堅持するため創設されたもの。その後、低所得者等への見直しなどを行なっており、廃止は求めない。
 消費税は、国政の場で論議されるものだ。低額給付金は、景気後退下で生活者の不安に対処するため緊急支援策として実施するもので、市民に喜ばれるよう対応していく。 
 H21年度予算は、厳しい収支状況が見込まれる中で編成されるが、限られた財源を効果的に活用し、市民サービスの維持向上に可能な限り意を用いる。公共料金は、市民負担の公平性や受益者負担の原則で適切に対応する。
 国保料は低所得で一定基準を下回る世帯は、応益分保険料軽減や非保険者の負担軽減のため一般会計から繰り入れを行っており、引き下げは考えていない。
 「ちば市民便利帳」や「市政だより」「市のコールセンター」「ホームページ」などで、市民生活支援の制度を周知するよう努めている。
 雇用対策法の規定で事業主は1か月30人以上の事業主都合による離職がある場合は職業安定所に届出が義務付けられている。その会社の従業員には再就職の支援や職業訓練など、公共職業安定所を通じて対策が講じられている。市としても労働相談など必要な支援を行なっていく。
 公共事業の地元業者への発注は、法律に基づいて、中小企業の受注機会増大に努めている。分割・分離発注は、H20年6月閣議決定された「国等の契約方針」に基づき、本市でも分割・分離発注に努める。小規模工事登録制度は、「物品等入札参加資格者名簿」に「インテリア・施設の軽微な修繕」登録業種を設定し、参加機会の拡大に努めてきたところだ。引き続き、他都市の状況を研究し、可能な限り受注機会確保に努める。千葉市は、中小企業資金融資制度で経営安定資金をセーフティネット保証対象外の業種にも融資対象とし、融資利率に対する利子補給も実施している。今後も、資金面から市内中小企業者の経営を支えていくので、無利子融資は考えていない。取り扱い金融機関を担当職員が直接訪問し、ヒアリング等を通じて中小企業への適切な融資を求めていく。緊急雇用対策については、いま国は、第2次補正予算を予定しており、その動向を注視したい。
 H16年の地方自治法施行令の改正で随意契約が可能になり、毎年2回全庁へセンターの積極的活用を促している。外郭団体にもセンターの活用を依頼するなど委託業務の拡大と会員の就労機会確保に努めていく。 
 地方分権改革では、住民に身近な行政はできる限り地方自治体が担うべきだ。第2次地方分権改革で、自主的・自立的な行財政運営が可能な地方分権となるよう期待している。
 生活保護費の国庫負担率引き下げに反対するため、指定都市市長会等で生活保護制度の抜本改革への提案を行ったもの。現在、生保に関する国と地方の協議が開催され、議論されているので動向を見守る。
 財政健全化への取り組みは、「新行革推進計画」や財政健全化プランを通じ、簡素で効率的な行政運営を目指し、行政サービスの維持向上が図られるよう、持続可能な財政運営実現へ努力していく。
 私の引退理由については、昨日の自民党の代表質問に答えた通りだ。
 20年度予算が大幅な減額となったのは、「きぼーる」など大規模事業が完了し、財政健全化の取り組みで市債発行額を抑制、事業の重点化を図ったからだ。しかし、学校や保育所の耐震化のほか、歩道改良や駅舎のエレベーター設置など市民生活に身近な施策への対応を図っている。
 H18年度普通会計が赤字だったのは、厳しい財政状況を反映し、一般会計の実質収支は約2億円の黒字だったのに、普通会計の調整の際、翌年度へ繰り越すべき財源の統計上の処理で赤字になったもので、財政運営上支障はなかった。千葉市が実質公債費比率や将来負担比率が高いのは、市債を活用し市民生活の質的向上に資する都市基盤整備を積極的に推進した結果、高い数値となったもの。今後の将来負担の軽減には、公債費負担比率適正化計画で対応することになっている。
 大型開発事業は、都市機能の増進につながるものであり、今後も計画的に進める。幕張メッセ建設負担金も県と協議し受益の範囲内で負担していく。 

【林副市長】

○ 鶴岡市政の8年間について
 千葉駅西口再開発や中央港地区区画整理など都市基盤整備は、生活環境や都市機能の向上など魅力ある都市づくりと雇用創出、税源の涵養につながり、長期的視点で計画的に進めてきた。保健福祉・環境・教育など市民生活に密着した施策もしっかり取り組んできた。昨年度の5か年計画の見直しでも、市民生活に影響が出ないよう、やるべき課題は適切に対応できるよう配慮した。「きぼーる」の公共公益施設では、予想を上回り1年間で91万人が来館、中央区の賑わい創出に寄与した。
 蘇我特定地区整備は、本市の重要なプロジェクトだ。臨海部の整備や土地利用転換は、生活環境の向上、都市機能の増進、税源の涵養、雇用創出など大きな効果があるまちづくりで、一企業への支援ではない。
 環境保全部の予算額減少の主な要因は、地下水汚染対策の上水道布設事業の進捗で補助要望が減少し、大気・水質監視測定事業の機器使用年限見直しとテレメータシステムのリース契約、公害健康被害者救援事業の対象者減少によるものだ。

○ 環境行政について
 CO2の発生量の公表は、JFEスチールに対し公表の確認をしたら、事業所ごとの公表について検討中とのことだった。法律に基づき、燃料使用量が一定規模以上の事業所は、国に温室効果ガス排出量の報告が義務化され、国が全国の排出量を集計・公表している。内訳は誰でも開示請求できる。排出量削減は、国が排出量取引制度を思考中であり、推移を見守りたい。

○ 経済農政について
 商店街への助成金は、商店街の取り組みのきっかけ作りが目的で、補助機関中に得たノウハウや地域との連携等の実績を活かし、人的・経費的に自立した事業を継続実施することが商店街の活性化になると考えている。予算の計上は、今年度は既存の補助事業に加え、「元気商店街手引書」を作成した。限られた予算の中で、効果的な施策に努める。商店街が販売する商品券への補助は、発行経費に対し、既存の補助事業の活用で実施が可能で、商店街からの申し出で予算の範囲内で対応していく。 
 農業価格補償制度は、千葉市中央卸売市場に出荷される市内農産物の90%以上が、野菜価格安定対策事業の対象になっている。この事業は、H18〜20年度はホウレンソウなど20品を対象にしているが、H21〜23年度の対象品目・数量等の見直し作業を行なっており、今後も農業経営の安定確保へ事業の充実を図る。若い農業後継者が農業技術や経営感覚向上へ支援や経営規模拡大等に要する農業後継者対策資金の利子補給を行なっている。新規就農希望者へは、新規就農研修の農家研修・実地研修の期間中に、農業の勉強会などの活用に研修奨励金を交付している。農政センターでの機械貸与や技術指導・相談で、若い農業への参加を支援していく。農家への支援は、苗の供給・土壌診断・栽培等の生産指導、市場出荷や直売所等の有利販売指導、農業施設や機械導入など専業・兼業問わず支援している。家族経営が円滑にいくよう経営方針、家族内の役割分担、報酬、労働時間等を定めた家族経営協定締結を推進している。

○ 都市行政について
 市営住宅の入居基準改定は、公営住宅を住宅困窮者に公平・的確に供給することを目的としており、国の施行令の一部改正に基づくものだ。この改正で、家賃が従前より値上がる既存入居者には、負担軽減を図るため5年間で段階的に上げる激変緩和措置を講じる。現在の入居基準は、世帯所得や民間賃貸住宅家賃水準の変化で、自分で民間住宅が確保できるような人もいるので、入居制度を改正するもの。新たに収入基準を超過する入居者には、5年間の猶予期間を経過後明け渡しの努力義務が発生する。
 モノレール「ときめきフリー切符」は、敬老の日を記念し65才以上の方を対象に販売したもの。1か月で約6,300枚売り上げたと聞く。再販売の件は、モノレール会社へ要請していく。

○ 建設行政について
 休日・夜間の緊急連絡には土木事務所に職員が24時間体制で待機し対応している。今後も現体制を継続し、市民への周知を図っていく。厳しい財政状況の下だが、現況を把握しコストの縮減や施工方法の工夫などで予算の効率的執行に努める。生活道路の整備は、必要性に応じて効果の高いところから優先的に整備している。

【藤代副市長】

○ 鶴岡市政の8年間について
 敬老祝い金や老人医療費助成などは、制度創設時と時代背景が変化し目的と実態が乖離、他事業との整合性や代替、他都市の状況を踏まえ見直したものだ。
 第2次5か年計画の見直しは、計画目標の基本的な考えを踏襲しつつ、厳しい財政状況や公債費負担適正化計画を踏まえ、各事業を精査し、市民生活に影響が及ばないよう、また耐震対策やごみ減量化など取り組むべき課題に適切に対応できるよう配慮したもの。
 耐震診断の結果、改修が必要な保育所5か所はH9年度から計画的に進め、今年度完了予定だ。改築を要する7か所は、民営化を検討していたので財政事情もあり改築が遅れたが、花見川第一、幕張第二、蘇我の3保育所は既に完了、新たな施設で保育を開始している。残り4保育所は、設置か所で保護者の了解が得られたので、順次工事に着手する。
 保育は市が責任を負っている。運営主体にかかわらず、法令等に基づく基準や保育指針に則って実施している。民営化については、「審議会専門部会」で「公立保育所のあり方案」を審議しており、審議終了後、具体化は入所児童に悪影響が生じないよう、引継ぎ期間を設け関係者への説明を行うなど、政令市を参考にしながら進めていく。
 資格証明書の発行は、国保法の規定に基づき、被保険者間の公平性確保に配慮しながら取り組んでいる。今後、職員や徴収員が滞納世帯の訪問の際、納付相談で各世帯の状況を把握し、きめ細かな執行に努めていく。
 小・中学生には、国の指針を踏まえ、子育て支援を推進する観点から、H21年2月から資格書に替え短期保険証を交付する。
 生活困窮者への市の対応について、滞納者には納付交渉を行い、それでも納付されない場合、財産調査し支払い能力を確認する。しかし、失業等で納付困難な方には分割納付相談を行うなど、個々の実情に即して徴収の猶予や滞納処分停止などの対応を図っている。負担をお願いする市民に対して、市のホームページや市政だより、区役所等に説明パンフを置き、納税通知書などに資料を同封し周知に努めている。
 法人市民税の均等割は、市内の法人に資本金等の額に応じて一定額を課税するもの。超過課税を行なった場合、欠損法人に課税することになり、過度の負担を強いることになる。東京都や近隣政令市など多くの自治体では超過課税をやっていない状況で、導入の考えはない。

○ 総務行政について
 臨時・非常勤職員は、市の業務の必要な担い手である。待遇は、他政令市や県内他都市の状況、職員給与の改定状況などを勘案し設定しており、他団体の状況をみて改善に努める。

○ 市民行政について
 区役所の土日開庁は、市民視点・納税者視点で効果的・効率的なサービス実現へ、年末の繁忙期に休日開庁した実績や他政令市を参考に実施方法を検討していく。

○ 保健福祉行政について
 平均寿命の延伸や社会保障制度の整備、福祉サービスの充実など環境が変化しており、他政令市や近隣市の状況を考慮し見直したもの。復活は考えていない。
 家具転倒防止金具は、家庭でできる防災対策についてた都市の状況を調査研究していく。

【教育長】

○ 鶴岡市政の8年間について
 屋内運動場の耐震化は、老朽化した施設が多く費用対効果を考慮し改築で対応してきた。H16年の新潟県中越地震の際、現地視察し屋内運動場の倒壊はないが、窓ガラスの飛散があったので、安全面から全ての窓ガラスを強化ガラスに交換し落下物対策を実施した。H18年1月の改正耐震改修促進法で、学校施設の耐震化率をH27年度までに9割にする方針が出され、改築から補強へ計画を変更し、千葉市の耐震改修促進計画で、整備目標や整備優先度に基づいて補強工事を行うこととした。 

○ 学校適正配置について
 
統廃合問題は、現在地元代表者協議会で「子どもたちのより良い教育環境をいかにすべきか」の観点で、真剣に議論を交わしており、あくまで合意形成を目指すものだ。
 地元説明会は、夕方や休日開催にもかかわらず多くの市民が参加している。地元代表者協議会にも仕事で多忙なところを毎夜遅くまで子どもたちのために真剣に論議している。深く感謝する。単にアリバイ作りでは開催できない。PTA・地元関係者への事前説明会は、H16・17年度の第1次の取り組みで、十分周知すべきとの多くの市民意見をもとに実施しているもの。地元代表協議会の委員は、実施方針で示すとおり、地域や保護者等の意見を幅広く吸い上げられるよう、自治会・PTA・保護者会・青少年育成委員等の代表者で、千葉市が人選に関与できない。公選制は、設置の主旨からなじまない。教育基本法で国が策定した教育振興基本計画では、それぞれの地域の実情に応じた教育を実施するとともに、その教育の質を高めていく責務を負うとしており、教育環境整備と教育の質の充実を目指す学校適正配置は、この趣旨に沿うものだ。