小関としゆき議員の一般質問

― 2008.12.5 ―

1、食の安全について

写真 コメの卸売加工業者「三笠フーズ」が、農薬やカビに汚染された「事故米」を工業用と偽って購入し、食用として不正に転売していた事件は、和菓子や焼酎などに混入されたほか、保育園や学校、病院、福祉施設の給食に使われ、コンビニのおにぎりとしても販売されていたことが判明。さらに、千葉市の学校給食にも混入していたことが明らかになりました。
 また、中国から輸入した冷凍インゲンからも殺虫剤ジクロルボスが検出され、食べた東京の女性が一時入院し、千葉県の男女も同じ商品を食べて異常を訴えました。
 乳製品への有害物質メラミンの混入で、国内でもピザの生地やパン・タルト・たこ焼きなどの20製品から検出されています。「健康に影響はない」としていますが、中国では粉ミルクにより、腎結石などで入院している乳幼児は、10月29日現在で2,390人に上っています。また、犬・猫などのペットフードや養鶏や鰻などの飼料にも混入し、ペットが死ぬ事態も起きています。
 特に、輸入汚染米の不正転売を告発されながら、農水省は汚染米を三笠フーズに売り続けていただけでなく、厚労省に通報せず疑惑を闇に葬っていたことで、国の責任は逃れられません。
 そもそも最大の原因は、日本政府が枠いっぱいの年間77万トンものミニマムアクセス米を、需要もないのに輸入していることです。
 ミニマムアクセス米は、輸入の義務はありません。ミニマムアクセス米が膨大な在庫となって国内産米を圧迫し、米価下落の大きな要因となっていることです。
 そこで伺います。

 1つは、汚染米の流出した直接の原因は、自民党農政の下で日本のコメ作り農家に減反を押し付け、減産を続ける一方で、ミニマムアクセス米を輸入してきたことによるものです。ミニマムアクセス米の輸入の義務はないわけですから、輸入は中止し、日本で100%自給できるコメを作らせるよう国に求めるべきです。
 2つは、学校給食の厚焼き玉子に混入されていた可能性のある汚染米粉の流出先・製造会社は明らかにされましたが、どこで生産されたものなのか。ギョーザ事件の教訓は生かされたのか。このような事態を受けて、今後の対策についてどう考えているのか。
 3つは、千葉市も交流センターで米粉を利用した、パンや菓子などが作られています。安全な地元食材や製品を学校給食に活用すべきだがどうか。
 4つは、メラミンが混入していた「サイゼリヤ」店は、市内にも何店舗かありますが、この調査は行なわれたのか。実施したのならその結果はどうだったのか。
 5つは、千葉市民の食の安全を守るには、何が必要だと考えているのか。検査の品目は増えましたが、汚染米・メラミン・ジクロルボスなどが発見されたときには、消費者の口に入っています。今議会に提案されている千葉市食品衛生法に基づく公衆衛生上講ずべき措置の基準に関する条例の一部改正案は、公衆衛生上講ずべき措置基準に、健康被害等に関する情報についての義務を加えただけです。これでは、市民の食の安全は守れません。私ども共産党市議団が、本年第2回定例会に条例提案した「食の安全安心推進委員会」の設置が今こそ必要だと考えます。この条令の設置を強く求めます。

2、地球温暖化対策について

 地球温暖化対策については、議会で何度も質問してきました。日本共産党は、今年6月に地球温暖化の抑止に日本はどのようにして国際的責任を果たすべきかの基本的な見解を明らかにしました。
 その内容は、国際協定である「京都議定書」が定めた温室効果ガス削減の「第一約束期間(2008年〜2012年)」が今年スタートしていますが、気温上昇を2度以内に抑え込むために、(1)先送りせず、直ちに温室効果ガスを大幅に削減する中間目標を明確にすること。(2)最大の排出源である産業界の実質的な削減を実現すること。(3)エネルギー政策の重点を自然エネルギーの開発で利用転換を図ることを提起しています。
 千葉市の現状はどうでしょうか。2010年度までの温室効果ガス削減目標は6.1%ですが、05年度までの実態は2.7%も増加しており、毎年削減どころか増加しているのが現状です。そこで伺います。

 1つは、千葉市地球温暖化対策地域協議会が2004年に設立されていますが、その推進計画アクションプランに基づく取り組み状況はどうか。
 2つは、地域協議会はどのような活動を行なっているのか。その効果についてうかがいます。
 3つは、「ゴミ3分の1減量」では、市民と事業者の分別の取り組みが重要です。紙類などの分別で一定減少しましたが、最もCO2が発生するプラスチック類の分別の今後の取り組みについてうかがいます。
 4つは、生ゴミの減量について、先の第2回定例会でも提案しましたが、家庭用コンポストと生ゴミ減量処理機をさらに普及するため、補助金の拡大を行なうべきですが、どうか。
 5つは、現在、生ゴミのほとんどは、一般廃棄物として焼却されています。モデル事業として行っている「生ゴミ再資源化」の今後の展望とコストの見通しについて、お答えください。

3、自然エネルギーの取り組みについて

 地球温暖化の抑止に日本の果たす国際的役割があると思います。EUが2020年までにエネルギーの20%を自然エネルギーでまかなう計画を決めたのをはじめ、世界的に見ても太陽光・熱・風力・小水力・バイオマスエネルギーなどの普及が本格的な流れになっています。こうした中で、日本では大規模水力発電を除くと、わずか2%に留まっています。ドイツでは、自然エネルギーの普及によって年間1億トンのCO2を削減するとともに、21万4千人の雇用と年間3兆7千億円の売り上げなど、雇用や技術・資金の流れを地元に生み出し、自然エネルギーの普及は地域経済対策としても大きな役割を果たしています。
 日本での太陽電池導入は第1次オイル危機後で、技術開発をリードし、94年に住宅への設置補助を開始し、国内市場をつくり「生産量でも導入量も世界一」の時代がありましたが、現在はドイツに抜かれてしまいました。
 しかし、05年度に政府からの補助が打ち切られると、07年には導入量が約35%減少しました。太陽電池の発電コストは、日本では1キロワット当たり46円ほどです。経済産業省が今年3月にまとめた計画では、技術開発とコスト削減が進めば、10年後には一般家庭電気料金並みの23円に下がり、さらに20年後には14円、30年後には7円までになるとしています。
 6月には当時の福田首相が、温暖化対策の包括提案として太陽光発電を2020年までに現在の10倍、2030年までには40倍に引き上げると宣言し、補助金も復活させるといいました。そこでうかがいます。

 1つは、地球温暖化対策で、千葉市の役割として自然エネルギー導入についての見解は。
 2つは、福田元首相が発表した、太陽光発電設置への補助金の復活について、その後の状況はどうか。
 3つは、現在、千葉市内の市有施設や一般住宅の太陽光発電設置状況はどうか。市有施設と一般住宅の設置について、千葉市の今後の計画はどうか。
 4つは、市有施設への太陽光発電導入による効果は。また、電力会社への売電はどの位あるのか。
 5つは、マンションなど集合住宅への太陽光発電設置に対する助成制度が、京都・福岡・横浜市では作られています。千葉市でも助成制度を創設し、普及を促進すべきではないですか。
 6つは、太陽光発電以外の自然エネルギー導入の研究と実用化は、どこまで進んでいるのか。

4、テレビの地上デジタル化について

 地上アナログ放送から地上デジタル放送に完全移行する2011年7月まで残り2年と8ヶ月となり、専門家は「テレビを見られない家が出る」と警告しています。
 その理由の1は、現在、アナログテレビは1億2千万台から1億3千万台あるといわれていますが、電子情報技術産業協会の予測では、2011年7月までの地デジ対応テレビの普及台数は6,115万台で、アナログテレビの約半分しか置き換わらないことになります。それは、地デジテレビがアナログテレビより数倍高額だからです。2つ目の理由は、アナログテレビで地デジを受信するには、専用チューナーを取り付けることになりますが、チューナーさえ取り付ければテレビが映るわけではなく、アンテナやコードなどの付属品も必要で、取り付け工事費もプラスすると5万〜6万円はかかり、低所得者にとっては大きな負担です。テレビを見るための新たな費用が負担できなければ「テレビ難民」となるのです。
 総務省や放送局・テレビメーカーが「地上デジタル放送完全移行」の宣伝に力を入れていることから、「テレビが見られなくなる」との不安をあおり、無理やりテレビ契約させるなどのトラブルも相次ぎ発生しています。そこで伺います。

 1は、千葉市では、地デジ移行を知らせる取り組みは、どのように行なわれていますか。
 2は、地デジ化にあたり、消費生活センターには「強引な勧誘や契約」などの相談はどれくらいあるか。
 3は、低所得者で地デジ切り替えで、国は生活保護世帯への支援を考えているようですが、生活弱者などへの支援についても国に求めるべきです。
 4は、市内にはアナログから地デジへの切り替え対象台数は何台か。切り替えに費用がかさみ、古いテレビの不法投棄も考えられます。どのような対策を考えているのか。
 5は、総務省の試算では、2011年7月時点でデジタル放送の電波が届かない世帯は、30万から60万世帯あるとしています。千葉市内の電波の届かない地域への対策はどうか。
 6は、2011年7月までに「地デジ普及率100%は無理」と言われるなかで、「テレビ難民」を生まないよう、千葉市独自に障害者や高齢者など生活弱者への支援策を求めるがどうか。
 7は、地上デジタル波の送信・受信のための諸準備、行政の支援策などが整わないなかでは、アナログ停波の延期を国に求めるべきです。

5、救急医療について

 10月4日、東京都で出産間近の女性が吐き気と下痢、激しい頭痛におそわれ、救急車でかかりつけの産科医院から救急指定病院へ搬送されましたが、7病院で受入を断わられつづけ、1時間後ようやく最初に断わった病院で受け入れましたが、母親は赤ちゃんを出産し、3日後に脳内出血で亡くなりました。
 この問題は、首都東京で発生したのであり、日本の医療崩壊の深刻さを浮き彫りにしました。そして、各自治体でも周産期医療や救急医療体制の見直し、改善の努力が始まっています。
 千葉市での救急患者の受け入れ状況も深刻です。先日消防局から頂いた資料でも、2005年から2007年で搬送した人員は年平均約42,500人、搬送から受け入れまでに交渉する件数は、1〜5回が約96%、6〜10回が約3%、11〜15回が約0.3%ありました。16回以上も受け入れの交渉をしたケースは、05年度で8件、06年度は19件、07年度は16件で、2008年にはなんと最高で25回断られたケースもありました。幸に死亡事故はありませんが、東京のような事態は充分に考えられます。千葉市も対策を急がなければなりません。
 今回は千葉市内での救急について、特に産科をめぐる状況についてうかがいます。

 1つは、東京都で発生したような、救急患者を受け入れられない事態をどう受け止めているか。
 2つは、千葉市内での出生数と両市立病院で取り扱う分娩数について。
 3つは、市内でお産を扱う医療機関についてですが、病院、診療所、助産院などそれぞれどれくらいあるのか。
 4つは、産科開業医の医師の年齢について、世代ごとの医師数は何人いるのかうかがいます。
 5つは、青葉・海浜両市立病院の産婦人科の医師は、常勤・非常勤それぞれ何名か。研修医の予定はあるのか。医師確保の対策はどうしているのか。
 6つは、各政令市にある地域周産期母子医療センターはそれぞれいくつですか。千葉市内にはあるのか。
 7つは、妊婦が救急車を依頼し、病院などに受け入れを拒否されたケースは、最高で何回ですか。この3年間の実態をお示しください。
 8つは、なぜそれだけ妊婦の受け入れを断られたのか。その原因は何だと分析していますか。そして、その対策についてはどう考えていますか。

 以上、お答えください。

(2回目)

1 食の安全について

 輸入汚染米の流通について、その後も農林水産省の対応のズサンさが明らかになっています。保管中の汚染米の有害性を認識しながら「食の安全」を確保するよりも安価早期処分を優先させ、汚染米の食用への流通防止のための有効な手段を何ひとつ講じなかったことです。このように農水省の対応は断じて許されません。
 連日のように、食べ物に関し「偽装」や汚染物質の混入が報道され、市民から「何を信じて食べればいいのか」と不安の声を聞きます。うかがいます。

 1つに、食に対する安全対策は当然国が責任を持たねばなりませんが、千葉市での安全対策も欠くことはできません。その対策として検査体制の強化が求められます。特に、輸入食品の検査は小売店に出回る前に実施することが必要ではないか。
 2つに、大切なのは輸入農産物や輸入加工食品に依存した食生活の見直しです。国産農産物を食べる割合を高めることです。その点では、学校給食などは最大限に国産農産物や地場産農産物を使用し、輸入食品を減らすことこそ食の安全を向上させ、食料自給率を高めることができます。改善を求めます。
 3つに、学校給食などの安全対策は、「給食用食材納入業者に対し、検査体制の強化を求めている」との事ですが、これで充分だと考えているのでしょうか。食の安全に対して、未然防止のために市が責任を持って取り組むよう求めます。

2 地球温暖化対策について

 CO2をもっとも発生するプラスチック類の分別は、2010年度から収集を開始するとの事です。家庭から出る廃プラは年間約24,000トンであり、2010年度に実施するまでには約32,000トン焼却することになります。
 「実施には費用がかかる」といいますが、分別時期を遅らせてもかかる費用は同じだと思います。早期に分別を実施するよう求めます。

3 自然エネルギーの取り組みについて

 自然エネルギー発電の普及には、長期的採算の見通しが重要であり、電力の固定価格買取制度の導入がカギです。この制度は、再生可能エネルギーの整備を導入した時点で、その設備から供給される電力を買い上げ、価格を市場任せにせず、一定期間保障する方式です。この制度を導入しているドイツ、デンマーク、スペインでは自然エネルギーの普及が急速に進んでいます。そこでうかがいます。

 1つは、国が廃止した住宅用太陽光発電設置への補助について、政府は7月に復活を決めましたが、具体的には明らかにされていないようです。国に復活を強く求めるとともに、国の計画では2020年までに10倍にするとしており、この計画に基づけば千葉市では年間683件の設置目標となるが、見通しはどうか。
 2つに、他の自然エネルギーの活用も地球温暖化対策として重要です。千葉市で導入可能な風力、小水力、バイオマスなどの普及に本格的に取り組むよう求めます。
 3つに、京葉ガスでは、都市ガスの圧力エネルギーを活用した発電システムを導入し、一般家庭1,000世帯分の年間平均消費電力量に相当する発電を供給する事業を柏市で行なっています。この発電システムはCO2排出が極めて少ないと言われていますが、千葉市の都市ガスの約78%を占める東京ガスに、システムの研究を要請してはどうか。

4 テレビ地上デジタル化について

 十分に知られていない状況に付け込み「テレビが映らなくなる」と不安をあおってケーブルテレビへの加入を契約させる例も起きています。07年度には全国で2517件あったことが、10月30日付の毎日新聞が報じていました。
 千葉市の地デジに対する被害相談はないが、関連の相談は16件寄せられているとの事でした。今後、このような相談が増えると予測されます。うかがいますが

 1つに、今後、一人暮らしの高齢者などへの、詐欺商法が予想されますが、それに対する対策はあるのか。
 2つに、買い替えには費用がかかります。必要なくなったアナログテレビの不法投棄について、関係省庁が対策を講じるので千葉市独自には考えていないとの事だが、買い替えは市内でも大量の台数となり、短期間に業者が大量に処理できるとは思えません。不法投棄は千葉市内で発生するのであり、しっかり対応すべきです。
 3つに、「テレビ難民」を生んではなりません。財政的援助も含めて、全ての市民が受信できる対策を講じるよう求めます。

5 救急医療について

 12月3日の朝日新聞は、札幌市で新生児集中治療室の空がないため、未熟児の受け入れを次々拒否され、結局、新生児室のない病院で亡くなったという痛ましい事故を報じ、全国に新生児集中治療室が圧倒的に足りないと指摘していました。
 千葉市では、昨年度の年間の出生数8,094人中の1,057人を両市立病院で担っていますが、圧倒的多数は民間病院や産科開業医に支えられています。
 しかし、開業医の年齢は40歳台・50歳台合わせて6人、60歳台以上が9人と高齢化が進んでおり、「10年後には医師として続けることが困難になる」と深刻な声が上がっています。産婦人科医は小児科医同様、医師1人当たりの負担が多く、医療訴訟も多く行なわれていて、全国的にも「なり手」が不足しています。将来的に千葉市で「お産難民」が発生しないよう取り組むことが必要です。
 千葉市を除く他の政令市では、すべての地域周産期母子医療センターが設置されています。しかし、千葉市にはありません。
 海浜病院には、新生児集中治療室があるものの、基本的に脳疾患など合併症がある母体を受け入れる体制がありません。本来は母と子ども一体で入院することが必要ですが、海浜病院には受け入れの限界があるようです。
 先日も、出産予定日より1ヶ月も早く、熱を出した妊婦さんが受診しようとしたところ、10か所の病院に問い合せして、ようやく八千代市の女子医大総合周産期医療センターへ搬送された例を聞きました。この際、国に医師不足解消の抜本策を講じるよう求めるとともに、千葉市の両市立病院が産科の救急を担える拠点となれるよう、医師確保に努めるべきです。しかし、医師を他の病院からの「引き抜き」では問題は解決しません。当面の問題解決へ、県内はもとより近隣都市の関係機関が協議し、どんな事態のもとでも妊産婦を受け入れられるような手立てを講じるよう求めます。