ふくなが洋議員の一般質問に対する答弁(要旨)

― 2008.12.11 ―

【保健福祉局長】

○ 薬物依存症問題について
 こころの健康センターへの薬物依存に関する相談は、H18年度68件、19年度72件で、保健所への通報件数も18年度15件、19年度27件といずれも増加傾向にある。市の対応は、センターで精神科医が「アルコール・薬物依存相談」など、薬物乱用防止の啓発を図り、市民向け講演会などを実施している。また、保健所や保健福祉センター等でも薬物依存に関する相談に応じている。
 薬物依存症は、本人の精神的・身体的健康を損ない、社会への適応力を低下させ、家族や周囲に深刻な影響を与える。市民への理解を促進するため、こころの健康センターでは薬物依存に関し、市民や関係職員対象に講演会を開催。また、薬物依存者の家族向けに啓発冊子を配布している。さらに県と連携し「ダメ。ゼッタイ。」普及運動や薬物乱用防止街頭啓発活動を実施している。今後の課題は、薬物依存に陥る前の防止策強化や依存者家族や自助グループ等に支援が必要と考える。
 市の補導センターでは、過去3年間シンナー等の乱用での補導事例はない。来所相談はH19年度に1件あった。警察の統計(H20.1月〜10月末)では、市内の20歳未満の青少年で覚せい剤取締法での検挙数は1人、大麻取締法での検挙数は4人となっている。
 ダルクは、覚せい剤等の薬物依存症からの回復を目的に、全国規模で活動を展開する民間のリハビリテーション施設だ。薬物依存者の社会復帰に一定の役割を果たしている。市の支援は、こころの健康センターでダルクのパンフを配布し、センターの行事にダルクが参画するなど連携している。今後は保健福祉センター等にもパンフを配布し周知に努めていく。

【市民局長】

○ 住基ネットについて
 本市の住基カードの発行は、H19年3月末で約16,000枚、住民基本台帳登録者数の1.76%だ。全国的に普及していない原因を総務省は、意義が浸透していないとし、本年からインターネットを活用した確定申告が可能となるなど利便性が向上し、住基カードの交付数は増加している。今後、総務省と厚労省で検討している「社会保障カード」との一体化がされたら飛躍的に増加すると考える。
 住基ネットは、情報提供を行う行政機関の範囲・利用目的の限定、操作者の限定など内部の不正利用防止対策、専用回線の利用、通信データの暗号化やファイアウォール設置など外部からの侵入防止対策と、制度面や技術面でセキュリティ確保の様々な措置が講じられている。その結果、総務省ではH14年のシステム稼動後、情報漏えいなどの事件や障害は一度もない。

【経済農政局長】

○ 蘇我特定地区の事業について
 ハーバーシティへの来場者は、H17年4月オープン後、ウォーク蘇我、アリオ蘇我、ホームズ蘇我の3施設で、1年目は1,800万人、2年目1,734万人、3年目1,650万人と聞いている。売上額は把握していない。
 税収効果は、事業所税と法人市民税で約3億4,000万円となっている。地元との共生は、H19年度に地元商店街、町内会、大学で実行委員会をつくり「フクダ電子アリーナ」でのJリーグの試合開催に合わせ、蘇我駅周辺の活性化へイベントを開催している。雇用は、H20年11月末で約2,800人と聞いている。

○ 千葉市の森林事業について
 千葉市の林業は、林業従事者がH18年10月の事業所企業統計ではゼロとなっている。経営は、伐倒、搬出、製材費等が木材価格を大きく上回るため採算がとれない状況だ。市内の国有林1haを含む森林面積5,100haのうち、市の森林整備計画に基づく地域森林計画対象民有林は4,523haで、その割合は公有林110haで2.4%、私有林4,413haで97.6%となっている。
 市の森林の特徴は、人工林40.8%、天然林43.6%、その他15.6%で、人工林の樹種は主に杉・檜で、天然林はイヌシデ等雑木となっている。課題は、サンブスギ溝腐病がみられ、木材価格の低迷で下刈や間伐など整備されていないことがある。H20年度の森林予算は、2,518万3,000円で、下刈や間伐、枝打ち、溝腐病対策等の整備に対するものと組合に対する育成補助だ。職員体制は、農業振興課に林務係を設け、4人体制で森林に係わる指導や補助、組合の育成・指導、森林ボランティアの育成、里山の保全推進、みどりの少年団育成、林業体験教室の開催、林地開発の指導などを行っている。
 市の役割は、H11年度に代替法での評価調査の結果、洪水調節機能は1億8,600万円、水資源の涵養機能2,300万円、土壌浸食防止機能26億6,500万円、大気浄化機能7億2,200万円、観光保健休養機能24億2,300万円、生態系保全機能31億600万円、合計評価額は91億2,500万円だ。その後の評価調査はやっていない。
 市林業活性化には、市の計画は、森林・林業基本法と森林法に基づき県計画との整合性を図って策定しており、今後県とも連携を図って取り組んでいく。市民に林業の理解を深めるためのハンドブックは作成していないが、ボランティアの育成や支援、林業体験教室など実践を踏まえて理解を深めている。
 森林組合の現状は、H20年11月現在の組合員数は626人だが高齢化が進み、自ら下刈や枝打ち作業は困難であり、サンブスギ溝腐病被害の森林では、補助事業で業者に委託している状況だ。組合の収益事業が少なく、新たな加入者は見込めず、他市町村との広域合併が課題だ。

【都市局長】

○ 市内大型開発事業について
 蘇我特定地区の当該商業施設は、H20年7月にオープンし、スポーツショップ、自動車用品、雑貨店、飲食店など27店舗の複合商業施設だ。現在、空き店舗が一部見られるが、施設内のフットサルコートでジェフ千葉と連携したフットサル大会の開催など、スポーツタウンに立地する特色を活かし、活性化に努めている。フクダ電子アリーナの入場者数は、H17年度は14万2,987人、H18年度は31万4,469人、H19年度は30万7,673人、H20年10月末で22万9,496人だ。
 「きぼーる」は、来館者のアンケートで、千葉駅周辺のデパートに立ち寄るなど回遊性向上がある。モノレール葭川公園駅の利用者数は、「きぼーる」オ-プン前より1か月当り1,900人増えた。さらに、周辺に大型マンションや商業施設の開発が続いており、「きぼーる」効果とあわせて中心市街地活性化に寄与すると考える。アトリウム利用状況は、H20年4月〜11月末でイベント数は65件、利用日数は141日、稼働率は57.8%となっている。今後も屋内イベントスペースとしての特性をPRし賑わい創出や回遊性向上につながるよう魅力あるイベント開催に向け地元商店街と相談しながら取り組む。改善点は、駐車場から各公共公益施設への案内がわかりにくいと言われており、分り易い案内表示に改善するなど検討していく。
 西口再開発でのA棟再開発ビルは、市の顔としての駅前地区にふさわしく、景観や機能性を考慮した施設になる計画だ。キーテナントは、事務所やホテルになる予定だ。A棟再開発ビルの雇用は、約900人、A2棟のホテル・店舗従事者が約100人と予測している。再開発事業は、都市機能の更新で中心市街地活性化を図るものであり、雇用も含め周辺地域への経済的波及効果が大きいと考える。A棟再開発ビルには公共施設はない。事業の情報公開は、事業の進捗にあわせ地元説明会やホームページ等で提供している。事業の見直しは、先般道路などの計画変更を行ったところだ。駅ビルの建て替えを行なうJRに、利用者の意見を聞き使いやすい計画にするよう要望していく。日程は、報道によるとH22年度末に駅舎の工事に着工する予定で、完成時期は未定とされている。
 千葉中央港土地区画整理事業では、従業員数の実態は把握してないが、地域内に21棟の建築物があり、そのうち業務・商業専用建築物は15棟ある。居住者数は、H20年9月現在で住民基本台帳により約1,100人と推計できる。今後の事業展開と市民参加では、土地区画整理事業はH19年8月、換地処分を行い、事業は完了している。港湾緑地や旅客船埠頭等の港湾施設と、周辺の県立美術館やポートタワーなどと一体的なまちづくりをめざしていく。そのため、モニターツアーや市民アンケートなどを実施し、市民ニーズの把握を行っている。

【環境局長】

○ 産業廃棄物・残土問題について
 緑区小山町の最終処分場の教訓から、最終処分場の設置にあたっては、関係法令に基づき全庁的な対応で厳正な審査を行なっている。
 産廃や残土埋立場の許可には、事前協議を行なう中で事業者には関係各課の指示事項や事業計画への審査指示を行い、調整事項があれば関係各課の間で協議している。
 若葉区富田町の残土埋立場予定地に関し、H20年12月に事業者から土砂等の埋立事業許可申請書が提出されたので、関係各課と連携し厳正に審査していく。
 花見川区長作町の堆積場の改善は、すでに行為者へ場外搬出等の改善勧告を行っている。引き続き作為者と土地所有者に粘り強く指導していく。
 産業廃棄物の不適正処理現場は22件、残土埋立現場2件の計24件ある。現行の土砂条例でも適切に土砂等の埋立事業が履行されると考えるが、新たな制度については、県・他市との協調が必要であり、情報収集に努めていく。

【教育次長】

○ 薬物依存症問題について
 小中学校では、保健学習の中で飲酒や喫煙はじめ、薬物使用の恐ろしさも理解させ、特別活動や道徳でも、生命の尊重等を指導している。高校では、疾病との関連や社会への影響についてまで総合的に指導している。薬物使用のきっかけが、友人等の誘いから始ることが多く、警察職員などの外部指導者が、薬物乱用防止教室の中で誘いの断り方などを指導し、予防対策に努めている。

○ 千葉市の森林事業について
 小学校では、5年生の社会科で「森林資源の働き」を学習し、市独自に農山村留学や移動教室で樹林の伐採、枝打ちなど林業体験を行なっている学校がある。中学では、社会科で「日本の地域的特色」の一つに、世界有数の木材輸入国の日本の現状と課題を学習している。