佐々木ゆうき議員の反対討論

― 2008.12.12 ―

写真 日本共産党千葉市議団の佐々木ゆうきです。会派を代表して、議案第137号・平成20年度千葉市一般会計補正予算中、税務オンラインシステム改修について、議案第143号について反対し、発議28号と請願第16号、17号、18号が不採択になったことについて、討論をおこないます。

 議案第137号・平成20年度千葉市一般会計補正予算・税務オンラインシステム改修についてです。
 補正予算に計上された税務オンラインシステム改修費は、今年4月の地方税法改正に伴うものです。平成21年10月から65歳以上で課税されている公的年金受給者を対象として、市・県民税を公的年金から特別徴収する、いわゆる年金からの天引きをおこなうため、5,300万円かけてシステム改修する費用であります。
 問題点を指摘します。
 第1に、そもそも年金天引きは、納税者である国民の権利を侵害するものだということです。納税者の意思や事情を無視し、本人の届出はおろか、事前の申請や本人の同意を行わず、一方的に天引きする、まさに強制徴収です。国民は納税の義務を負うとともに、主権者として自らの税額を申告し、確定し、どのような方法で納税するか、自らの意思で決められる「納税者としての権利」を持っています。このようなことを通して、市の税金の使途について、監視し、発言し、是正する権利も保障されることになります。
 議案質疑で、天引きが優先されることについての質問に対し、「金融機関等に出向かなくてもすむようにする」「納税の利便性の向上に効果がある」と強調されました。このような態度は、2重3重に納税者を愚弄するものです。「利便性」というのであれば、「口座振替」をよびかけることで事足りるのではないでしょうか。
 第2に、天引きによって、年金生活の高齢者の生活に打撃をあたえるという問題であります。千葉市の公的年金からの住民税天引きの対象となるのは、10月現在で約7万1千人、来年10月から天引きされるのは、このうち1万4千人、年額18万円以上で月額1万5千円以上の公的年金を受け取る方となります。
 徴収する側の論理で、所得税、介護保険料、そして後期高齢者医療制度の保険料、さらに住民税までも天引きすることは、生活実態を見ないもので、許されるものではありません。年金からの天引きは中止すべきです。
 以上のことから、税務オンラインシステム改修のための補正予算は認められません。市民の立場にたって天引きをやめるよう国に働きかけることこそ行うべきであります。

 次に、議案第143号・千葉市中央卸売市場業務規定の一部改正についてです。
 反対の主な理由は、委託手数料の弾力化であります。平成16年の「卸売市場法の一部を改正する法律」によって、業務規定を定めることにより、卸売業者が委託手数料の率を設定することが可能となり、5年の経過措置が終わり、来年4月から施行となるわけであります。
 また、「生鮮食料品流通改善対策要綱」で、全国一律の委託手数料が示されていましたが、今回の改正で卸売業者が自由に委託手数料を設定できるようになります。卸売業者の収入のうち、委託手数料の占める割合は、青果部で73%、水産物部で31%です。収入の大半を委託手数料に依存する卸売業者にとって、委託手数料の弾力化いわゆる自由化は、卸売市場間だけでなく、卸売業者間の引き下げ競争をまねくことにつながります。
 国内産・外国産青果と水産物の流通量のうち、全国にある卸売市場を通さず、生産者と大型小売店が直接契約を結ぶ割合が、37%を占めている状況から、中小の卸売業者はいっそう集荷競争で不利になり、経営を脅かされることになります。
 このおおもとには、当時の小泉内閣で行なわれた規制緩和にあります。経営悪化に苦しむ卸売業者の淘汰をすすめる危険性があります。卸売業者が廃業となれば、卸売市場の廃止につながりかねず、結果として、地域の商店街の衰退をまねき、消費者への影響もまぬがれません。

 次に、発議28号・千葉都市モノレール事業あり方検討委員会設置条例の制定についてです。この条例は、民主党千葉市議会議員団、市民ネットワーク、無所属議員および日本共産党千葉市議団で共同提案しました。
 千葉都市モノレール事業は、スタートして20年になり、現在、1日平均約4万5千人の利用する公共交通として大きな役割を担っています。
 しかし、この20年間の運営は赤字続きで、多額の累積損失で破綻状態となり、その損失を千葉県と千葉市などが出資金の減資によって解消せざるをえませんでした。そのもとで、2006年度決算で黒字となりましたが、今後の運営にあたっては、多額の市の負担が予想されることから、今後の千葉都市モノレールのあり方については、運営、延伸も含めた市民参加による議論が必要であります。
 学識経験者や関係団体など、委員20名で十分な意見交換と住民合意のもとで進めるべきとして提案しましたが、委員会では、市民参加条例や総合交通ビジョンに基づく計画の策定が予定されているから、賛成しかねるとの意見で、自民、公明、新政ちばの反対で否決されたことは残念です。
 千葉都市モノレールは、千葉市が資本金の91.4%を出資していることから、千葉市モノレールと言っても過言ではありません。市財政に多大な影響があり、市民の参加でモノレール事業のあり方を検討するのは当然のことではないでしょうか。当局は、民主党、市民ネット、無所属および日本共産党の4会派で提出したことを重く受け止めるべきではないでしょうか。

 次に、請願第16号・こども医療費無料制度の見直しについての請願についてです。
 子どもの医療費の無料化は、全国的にも広がり、9月議会では全会一致で、乳幼児医療費の助成制度を国の制度として創設するよう求める意見書が採択されました。子育て世帯への直接の支援となり、必要性も明らかです。
 それにもかかわらず、請願の主旨に無い200円の窓口負担で、2億円の費用がかかるとの当局の意図的な参考説明は問題です。自民党は「完全無料化は議論がある」、公明党は「200円の自己負担をなくすことは厳しい」との意見で不採択となったのは、請願の主旨とは違う論点での反対理由であり、問題です。市民の強い願いと期待を裏切るもので残念です。

 また、請願第17号・妊婦健診の14回無料(全額公費負担)を求める請願についてですが、この4月から5回まで無料化され、国の追加経済対策でも、残り9回を国と自治体で実施するとしています。そのため地方自治体は、準備をすでにおこなっています。その中で、自民党、公明党は「国の動向を見守る」という反対理由で、市民の願いを先送りにするのは、全く理解ができません。
 安心して出産するための妊婦健診の無料回数を増やし、県内の自治体で検診内容に入っている子宮がん細胞診とC型肝炎を、千葉市でも取り入れて、検診内容を充実させるべきです。

 最後に、請願第18号・子どもへの国保「資格証明書」発行をやめるよう求める請願ですが、この請願の主旨は、国保料滞納であっても、義務教育の子どもには保険証の交付を求めるものです。厚生労働省も、無保険の中学生以下の子どもが約3万3千人おり、受診を控える可能性を指摘して、地方自治体にたいして、保険証の交付を求めています。
 また、一昨日、12月10日、衆議院厚生労働委員会において、資格証明書発行世帯のうち、中学生以下の子どもがいる「世帯」には、一律に6ヵ月の短期保険証を交付する国民健康保険法改正案が、全会一致で可決されました。
 国も動かざるを得ない深刻な状況があることは明らかです。こうした動きがありながら、この請願を否決することは、市議会の見識が問われる問題で、厳しく指摘をしておきます。
 以上述べて、討論を終わります。