佐々木ゆうき議員の奨学金条例案説明


― 2009.2.23 ―

写真 発議4号・千葉市大学奨学金支給条例の提案理由の説明を行ないます。
 この条例は、大学・短期大学に在学する学生で、能力があるにもかかわらず、経済的理由により、修学が困難な学生に対して、奨学金を1人月額15,000円支給することを目的としております。
 いま大学の学費は、国立大学で平均約82万円、私立大学で平均約131万円と、「世界一高い学費」が、大学生とその家庭に重くのしかかり、4年間の学生生活には、約900万円が必要になっています。
 こうした問題の根本に、高等教育予算の水準が、ОECD加盟国全体の平均1.0%に対して、日本は0.5%に過ぎず、加盟国中で最下位にあります。また、国際人権規約は、「高校や大学の教育を段階的に無償にする」と定められていますが、日本はこの規約に批准していないことに原因があります。
 若い世代が大学で新しい知識や技術を身につけることは、社会の発展にとって不可欠であり、それは社会全体にとっての貴重な財産となります。だからこそ、学費をできる限り、低い金額にとどめ、無償に近づけていくことが世界の大勢の認識となっています。
 ある私立大学に通う学生さんは、「自宅から1時間半かけて大学に通っています。自分の昼食代と交通費は自分で払いたいと思っていますが、通学時間がかかるためになかなか実現できない」。またある学生さんは、「学費が高いため、4年間しっかり払えるかわからない。日本学生支援機構の奨学金を借りているけど、返せるのか心配です。」と話します。
 さらに学生の実態に追い打ちをかけるように、日本学生支援機構(旧日本育英会)は、奨学金の取り立て強化の一環として、滞納者の情報を全国の金融機関でつくる個人信用情報機関に登録して不良債務者扱いする「ブラックリスト化」の準備を始めていることです。返還中の人に加え、奨学金を利用している現役学生にも、滞納時の情報機関登録の同意書を提出するよう求め、「同意しなければ奨学金を打ち切る」としています。
 国の奨学金制度が変質する一方で、自治体独自の奨学金制度の役割は、ますます重要になっています。
 政令市では、17政令市中9市に奨学金条例があり、給付または貸付を行ない、学生支援に取り組んでいます。首都圏ではさいたま市、川崎市、横浜市に同条例があり、千葉市のみ奨学金条例がありません。
 各自治体の条例には、その目的に、「教育の機会均等」かかげています。さらに、県内の香取市では、「もって次代の社会を担う有意な人材育成に資する」、神崎町では「21世紀を担う人材の育成」といったように、これからの社会の担い手として成長を保障するための奨学金制度があります。
 今回提案した条例は、教育の機会均等の保障し、経済的理由で進学や学業を断念する学生を出さないために、安心して学業に専念できるよう提案するものです。
みなさんの賛同をお願いし、提案理由の説明といたします。