中村きみえ議員の代表質疑に対する答弁(要旨)

― 2009.3.3 ―

【鶴岡市長】

○ 国政が市政に及ぼす影響について

 これまで国が進めた構造改革は、小さくて効率的な政府を実現し、安定的な経済成長を目指したもので、長期的な課題として取り組む必要がある。
 現在の世界的な景気後退は、経済のグローバル化で米国の景気後退の影響が世界に波及したものと認識している。
 企業の一方的な雇い止めについては、必要な対策を国が講じているのでその動向を見守る。後期高齢者医療制度は、長寿医療制度として高齢者が安心して医療が受けるために必要なものだ。
 消費税に引き上げは、持続可能な社会保障制度のために検討されているもので、国政の場で決めること。

○ 新年度予算について
 景気後退の影響を受け、市税が大きく減収するため、市民福祉増進の財政を賄う必要があり、市債や基金から借り入れて活用した。
 市債発行額が20年・21年度とも「公債費負担適正化計画」額を上回る。これは減収補填債や臨時財政対策債が増加したもので、総務省には充分に市の状況を説明していく。 
 マスコミに「悔いが残る」と言ったのは、必要な財源の一部を基金から借り入れたからで、「行革」によって2年連続で市債残高を減らし、財政健全化に向けた取り組みはできている。新年度予算では、厳しい財政状況でも効率的・効果的に配分し、経済対策や市民生活関連の施策充実に用いた。
 大型開発事業は、都市機能の増進につながるもので、計画的に進めていく。

○ 緊急経済対策について
 緊急雇用創出事業の活用のため、県と協議しながら追加事業の検討や掘り起こしで、雇用確保に取り組みたい。地元業者のために、学校図書室へのエアコン整備、市営住宅や小中学校への地上波デジタル化対応、駅・学校・公民館へのエレベーター設置、小中学校の耐震補強など補正予算と新年度予算で地元企業への発注事業を計上した。計画した公共事業は切れ目なく執行に務めるとともに、分割発注などで受注機会を広げるよう努める。
 国保料未納世帯への保険証交付は、国の指針が出ており短期保険証交付に配慮していく。保険料は、医療費が増加して厳しい財政状況で、一般会計から多額の繰り入れを行っており、引き下げはできない。
 緊急経済・生活対策本部は、副市長を本部長に随時状況の報告を受けていて、私も適宜指示しているので、迅速・的確に対策を打ち出せる。

○ 新年度予算を市民生活優先に転換を
 高齢化が進み、給付費の増大が見込まれ、介護保険料の設定では保険料段階を所得に応じて、7段階から9段階に細分化し、介護給付準備基金を活用して保険料の上昇を極力抑えた。
 高齢者インフルエンザ予防ワクチン相当額の千円を負担してもらったが、高齢化の進行で事業の費用が増加しており、安定的に継続するため千五百円負担いただく。生保受給者や市民税非課税世帯は従来どおり無料でできる。福祉手当は、在宅福祉サービスが充実し手当額が他都市と比べ高額なため、額を見直した。太陽光発電設備助成は、国がH17年度で助成制度を廃止したが、本市は地球温暖化防止の観点から助成を継続、普及に努めている。国がH20年度補正で助成策を復活したので、市民に周知しながら太陽光発電の普及に努める。
 市営住宅家賃は、収入が前年度と変わらない場合、100円から1万7千円増額することになる。平均的な団地の3DKで、収入の低い階層では概ね1500円程度増額する。5年間の段階的な緩和措置で、21年度は5分の1の増加となる。駐車場料金は、近傍同種の駐車場金を参考に設定したが、傾斜料金を採用し負担の軽減に配慮している。
 子育て応援特別手当は、対象者に支給案内を送付し、市政だより・ポスター・リーフレット等で周知を図っている。効果は、厳しい経済情勢で1人当たり3万6千円交付するので、生活支援として効果がある。

○ 公共事業の見直しと財政のあり方について
 蘇我特定地区整備などは都市機能の増進につながるもので引き続き進めていく。幕張メッセ負担金や国直轄事業負担金も受益の範囲内で負担していく。
 法人市民税均等割超過課税は、超過課税をすれば欠損法人にも課税することになり、過度な負担を強いるし、多くの自治体は実施していない状況で導入はできない。
 公共事業の見直しは、これまでも計画策定や見直しの際には、財政フレームを作り、有効性や緊急性を考慮し、事業を位置づけてきた。5か年計画の見直しでも同様の検討を行っている。また、国の補助事業では、学識経験者等で構成する「再評価監視委員会」で、費用対効果分析データ等を基に再評価し、結果は公表している。さらに、毎年度の予算編成では、全事務事業を対象に評価システムを活用してきた。このシステムは現在見直し中だが、今後も事業評価を行い、適切に判断していく。
 行政運営には、市民視点・納税者視点に立ち、行政の役割や受益と負担の公平確保、行政効率や効果など多角的視点から、市民に必要なサービス向上を図ることが重要だ。地方自治の本旨に基づき住民福祉の向上に努める。

○ 定額給付金について
 国では、総額2兆円はGDPの0.4%に相当し、給付金の4割が消費に回り、実質成長率を0.2%押し上げるとしている。景気後退の下で住民の不安に対処するため、住民の生活支援を目的に、広く給付することで地域の経済に資する有効なものと考える。

○ 総務行政について
 指定管理者制度を導入したことで、施設の開館日・開館時間の拡充や利用料金の引き下げが実施され、市民サービス向上が図られた。管理運営コストも縮減され、概ね順調に推移している。多くの施設がH22年度で指定期間が終わるため、時期選定に向け検討を進めて行きたい。指定管理事業者では、関係法令を遵守し適切な対応がされている。市乳牛育成牧場の事業評価は、年毎に指定管理者評価シートを作成しHPで公開している。サービス向上では、入牧牛の育成状況を酪農家へ定期報告するなどの改善がされ、コストも近年の飼料高騰での影響を、事務費等の圧縮で増加を抑えている。
市税の減免措置は、HPや市政だよりに掲載し、納税通知書への記載やチラシの同封で周知している。担税力がなく市税負担が困難な方には、条例の規定で課税額の全額や一部減免している。課税後の納付困難な方には速やかに納税相談を行い、分割納付や徴収の猶予など的確に対応している。正規職員の増員は、事務量に見合った適正な職員配置に努めていく。

○ 企画行政について
 東大緑地植物実験場は、昨年の定例会で存続を求める請願が全会一致で採択され、3万人の署名を集めた地元の思いは市として重く受け止めており、今後も国への重点要望などの機会に要望していく。

○ 市民行政について
 音楽等の文化芸術活動は、人々を元気にし、地域社会全体を活性化させる力を持っている。本市では「文化芸術振興計画」で計画的に推進しており、市民音楽祭など市民主体に展開している。

○ 環境行政について
 リサイクルの促進は、焼却ごみ1/3削減と循環型社会の形成、公共施設への古紙回収庫の設置、区役所にリサイクル情報コーナーを設けるなど不用品の有効利用を図っている。粗大ごみのうち再生可能な家具・自転車を修理し、北リサイクルプラザやリサイクルバンクで市民に提供する。

【藤代副市長】

○ 緊急経済対策について
 中小業者への融資制度は、近年、融資残高などの増加で利子補給金などの財政負担が急増しているので、融資限度額の拡大や融資期間の延長を行い、利便性を図っている。増加する財政負担の抑制しながら持続可能な制度に改正したい。低利子融資や利子補給を実施しているので、無利子融資制度はできない。税金の分割納付者への融資も取り扱っている。
 商店街のプレミア付商品券は、関係商工団体と協議しているが商品券導入の要望はほとんどなく、課題も多いので事業化は困難だ。
 農業支援は、機械・施設整備への助成や市単独の野菜価格安定対策を実施している。新規就農希望者や後継者への生活支援等の制度創設は考えていない。
 シルバー人材センター整備は、旧花見川第5小を改修し、活動拠点を増設で入会促進と就業機会拡大を図るものだ。市の発注業務の拡大は、定期的に業務発注を全庁的に促しているが、新たに他の外郭団体にも依頼している。高齢者への健康維持や負担の軽減に配慮し、特養の整備など必要な事業にバランスよく配分した。

○ 企画行政について
 弁天地区複合施設整備は、土地所有者からの申し出を受けて、この土地がJR千葉駅に近く、三方が道路に面していて、隣の市有地との一体的活用で将来幅広く公共利用が見込め、区画整理事業地内で公共施設の整備によって、まちづくりを先導する必要があることから取得したものだ。
 複合施設の内容は、土地の立地条件を活かし「子育て支援」「高齢者の生きがい支援」「市民公益活動支援」機能を有機的に展開し、子どもから高齢者までがふれあい・交流できる相乗効果を狙ったもの。この時期に取得するのは、「第2次5計」で位置づけ、土地開発公社の経営健全化計画で処分を予定していたもの。公有地の拡大に関し法律に基づき先行取得したもので、適正に業務を執行したものだ。

○ 市民行政について
 性的マイノリティーについては、女性センターのハーモニー相談室、こころの健康センター等で相談を受け入れている。今後は、人権啓発の一環としてHPの活用を検討している。また男女共同参画社会の形成へ、性別に関わらず個性と能力が発揮できるよう取り組んでいく。

○ 保健福祉行政について
 両市立病院は、かかりつけ医のない妊婦も救急で受け入れている。差額ベッド代は、特別室を希望しない限り、患者への負担はない。
 民間保育園への指導監査は、定めに基づき年1回実地監査を行い、施設運営・処遇状況・会計処理を確認している。H20年度は、32施設を監査した結果、17施設に42件の文書指摘を行い、今年1月末で11施設22件の改善報告を受けている。今後も改善状況を確認しながら適切に指導していく。直接契約方式は、厚労省の特別部会で第1次報告が出されたところであり、国の動向を注視していく。公立保育所の運営上必要な改修等は、緊急を要するものを優先しながら計画的に実施している。改築は今後の5か年計画での中で検討される。
 子どもルームは、ルーム事業の円滑な実施に支障が生じないよう対応していく。斯道員の賃金は、現状では同様の勤務形態である他政令市と比較しても遜色ないが、国の動向も踏まえ対応していく。本市は、従来より子どもルームの父母会と指導員が参加する「協議会」と協議しており、各ルームでは指導員と保護者の懇談会を定期的に実施していて、このような機会を通じて意見を聞いていきたい。
 子どもの医療費助成は、現在小学校就学前の児童は医療費を助成しており、対象拡大は今後の他の政令市の状況を見て検討する。
 75歳以上の医療費無料化は、後期高齢者医療制度で原則1割の自己負担となっており、独自の助成での無料化は考えていない。保険証の扱いは、昨年政府の決定で「保険料未納で悪質な者以外は保険証を交付する」としており、広域連合が基準を作成中なので、それに基づき適切に対応していく。
 千葉市では父子家庭への手当支給制度の予定はないが、父子家庭には児童扶養手当が支給されないため、大都市民生主管局長会議では毎年国へ要望している。今年からは市独自でも要望していく。
 介護保険料は、所得に応じた保険料段階や利用者負担の上限設定など、低所得者に配慮している。特養ホームの整備は、第2次5か年計画や高齢者保健福祉計画で整備しており、入所者や希望者の状況を踏まえ計画的に整備していく。介護労働者の報酬引き上げは、国が介護従事者の処遇改善のためH21年度に介護報酬を3%増額し、報酬改定効果を検証する予定で、市としてはその動向を注視したい。介護予防など生きがい対策や在宅福祉サービスなど、高齢福祉の充実に努めている。要介護認定制度は、H21年4月から見直し、より的確な認定になるよう調査項目を見直し、判断基準の明確化を図るとしている。要介護認定は、保健・医療・福祉の専門家で構成する審査会で判定する仕組みで、制度の公正・公平な運用の上で欠かせないものだ。

○ 経済農政について
 商店街活性化予算は、市内の全商店街を対象に補助金交付に係る要望調査を実施し、それに基づき予算を計上した。昨年11月作成の「手引書」で、2月から年度末にかけ、産業振興財団マネージャーと全商店街を訪問し相談・助言を行った。商店街を実施主体とする取り組みには「活動事業補助金」が可能であり、商店街の申請で予算内で対応する。継続補助については、新たな取り組みのきっかけ作りが目的のため、補助期間中のノウハウや地域との連携を活かして自立した事業を行うことが必要だと考える。
 地産地消事業は、指針に基づき生産者認証制度の普及や食と農について、理解を深めるキャンペーンや小学校で生産者出張授業などを充実させ、落花生のブランド化に取り組んでいる。新鮮で安全・安心な農産物の安定供給に努めていく。農道の整備は、農産物の搬出や農村の生活環境向上のため関係者の要望で整備している。土地改良区域内の整備進捗率は約74%で、今後も道路補修財の提供・砂利路盤利用など、現場に即して整備していく。

○ 都市行政について
 高さ規制には、地区住民の発意に基づく地区計画で対応するが、高度地区の絶対高さ規制は他市の事例を参考に検討している。本市は、住環境を守るため高度地区を指定し、条例で建築に係る紛争の未然予防と安全で快適な住環境保全に努めている。まちづくりを誘導する手法として、地区計画や建築条例での規制のほか、宅地開発指導要綱等が制定されており、新たな条例化は必要ない。高さの規制にあたり、既存建築物の建て替えや指定容積率との整合性を考慮し、検討を行う必要があり、時間を要している。まちづくりの住民の活動を支援する「支援制度」で、出前講座・アドバイザー派遣・補助金交付を行っている。この制度でまちづくりの活動を支援していく。

【教育長】

○ 緊急経済対策について
 学校施設の耐震補強は、市の「耐震改修促進計画」で実施しており、毎年補正予算で可能な限り前倒ししている。公民館の整備は、未設置地区を優先して進め、H21年度は真砂地区での設置を図るため用地取得を予定している。建て替えは、新宿公民館・白井公民館などの建て替えに取り組んでいて、今後も緊急性など状況を勘案し検討していく。

○ 市民行政について
 性的マイノリティーは、学校で道徳をはじめ全教育活動を通じて、児童生徒に「正義を重んじ、公正・公平で差別や偏見のない社会実現に努める」など、人間としての行き方 を指導している。

○ 学校適正配置について
 地元代表協議会は、統合校の決定や開校時期など統合の方向性等を「要望書」にまとめ、これを受けて教育委員会が決めることになる。この結果は、地元代表協議会から地元住民に説明していく。統合後の教員配置は、県の基準で配置されるが、今回の適正配置では統合の環境変化に対応するため、統合前の教職員を配置し、市費負担の非常勤講師を小学校では、31人以上の学級が生じた学年に1人、中学校では学級の人数に関らず2人を3年間配置していく。「推進計画」の達成目標は、大規模校と小規模校を適正規模にする目標値だ。統合だけでなく、通学区域の調整・新設校の検討等も含んでいる。保護者からは、統合時期の問い合せや早く統合してほしいなどの意見や要望が寄せられている。学校適正配置は、より良い教育環境の整備と教育の質の充実が目的に取り組んでいる。

○ 就学援助について
 世帯の年齢構成等で認定基準額が違うので目安額は表示していないが、学校では入学説明会、日本語・英語・中国語等5か国語での「制度のお知らせ」の配布、市政だより・教育だより・ホームページ等で周知している。手続きは、学校が児童生徒や家庭の状況を把握しており、制度の趣旨を適切に反映させるために学校が窓口になって申請を受け付け、学事課で事務を行っている。

○ 子どもの携帯について
 本市では、携帯電話を含め学習に不必要なものは持ち込まない指導が行われているが、登下校時の安全確保など一定の理由・事情に限り家庭からの申請で持ち込を認め、下校まで預かるなどの対応をしている。これまでの取り扱い方針について児童生徒・保護者に周知し適切に対応していく。中学の技術家庭科で情報とコンピュータや情報モラル育成を図っている。携帯電話問題では市独自にDVD教材を活用しており、自己の判断で責任ある行動が取れる能力育成に努めていく。