佐々木ゆうき議員の一般質問

― 2009.3.12 ―

1. 国民健康保険制度について

佐々木ゆうき議員 はじめに、国民健康保険制度について伺います。

 第1に、資格証明書の交付についてです。

 2月から資格証明書世帯の中学生以下の子どもには、短期保険証が交付されましたが、2月現在で資格証が交付されている世帯は、11,853世帯に上り、滞納世帯の32.3%と高い水準にあります。

 先日、千葉市国保を考える会のみなさんと一緒に、国保料が払えない被保険者から国民健康保険証を取り上げないことを求める要請書を提出しました。国会でわが党の小池晃参院議員の国保証取り上げ問題の質問で、政府が質問主意書に対する答弁書を提出しました。答弁書では…、

 「世帯主が市町村の窓口において、当該世帯に属する被保険者が医療を受ける必要性が生じ、かつ、医療機関に対する医療費の一時払いが困難である旨の申出を行った場合には、当該世帯主は保険料を納付することができない特別な事情に準ずる」とし、「緊急的な対応」として短期保険証を発行できるというものです。この場合は、滞納している保険料の納付を条件にはしていません。

 また昨年、広島市では、「病気による特別な事情に該当するにも関わらず、本人と面談できず資格証明書を交付した結果、治療を躊躇し、結果的に亡くなられた人があった。現在は1年以上滞納している世帯に対し、これまで以上に生活状況や病気の有無について面談を通じて調査し、特別な事情に該当するか把握する。特別な事情が単に出ていないということで資格証明書を交付するのではなく、本人との面談を通じて判断する」としています。これによって、広島市は3,400世帯と面談をして、たった1世帯のみの資格証明書発行となっています。

 市内で一人暮らしし、登録型派遣で働いていたMさん、1日数千円の収入で、家賃も保険料も滞納せざるをえなくなり、結果、資格証明書交付によって受診を抑制していました。同様のことが起こっています。市内のある診療所にお聞きしますと、資格証明書となった世帯またはご本人は、定期的な治療が必要であるにも関わらず、治療を中断していることが共通していると言います。資格証明書が交付され、受診抑制の結果、生命を奪うことはあってはなりません。

 そこで伺います。

 1つは、政府の答弁書に基づき、千葉市において、滞納保険料の納付条件なしに、治療が必要な当該世帯の被保険者に対して、保険証を交付すべきではないですか。また、政府答弁書に基づく保険証の交付をおこなった事例はありますか。

 2つは、広島市など、発行を抑えている政令市に学び、悪質滞納者であると確認できない場合には、短期保険証を交付し、安心して医療を受けられるようにすべきではないですか。

 3つは、あらゆる手段を使い、早急に資格証明書が発行されている11,853世帯を訪問し、実態をつかむことを求めます。

 4つは、これまで、「保険料の支払いが困難な場合には、必ず窓口に納付相談に来ていただくようお知らせしている」としてきましたが、実態把握のため、すべての資格証交付世帯に対して申出書の添付、または区役所窓口に申出書を置くことを求めます。

 5つは、船橋市では、所得300万円以下の世帯には、保険証の取り上げをおこなっていません。こうした船橋市のような先進市と同様に、低所得世帯からの保険証取り上げをやめるよう求めます。

 6つは、資格証明書発行の義務付けをやめるよう、国に求めるべきだと考えますがどうですか。

 以上、お答えください。

 第2は、減免制度の周知についてです。

 千葉市は、07年度の国保加入世帯180,313世帯中わずか426世帯の減免0.24%となっています。さいたま市では23.49%、名古屋市は29.34%、北九州市は28.94%と比べ差がありすぎるのではないでしょうか。

 千葉市では、現年度所得が280万円以下、昨年度よりも30%以上収入が減った場合には保険料を軽減できる減免制度があります。07年度9月のわが党の中村きみえ議員が所得減少割合の緩和や減免基準所得の拡充を求めたのに対し、「横浜市、広島市、北九州市、京都市と同程度の水準にあり、拡充は考えていない」との答弁がされました。しかし、この現年所得基準280万以下規定が対象者を狭めて、保険料の減免の門戸を閉ざしています。また、他市と同水準の減免制度がありながら、減免世帯数・率ともに伸びないのは、こうした制度が知られていないということではないでしょうか。先進市に学び、現年所得基準を引き上げることが求められます。

 そこで伺います。

 1つは、減免基準所得を引き上げて、川崎市や大阪市などの500万円、600万円以下と受けやすくなっており、千葉市もせめてこの水準にまで引き上げることを求めます。

 2つは、現年度所得が生活保護基準の130%の世帯は減免の対象にすべきです。

 3つは、先ほど質問した資格証明書交付世帯への訪問時に、保険料減免等の制度の周知を行なうよう求めます。

 以上、お答えください。

 第3は、国民健康保険料の引き下げについてです。

 1961年に、国民健康保険制度は、国民皆保険としてスタートしましたが、1984年に、国庫負担金が実質で45%から38.5%へ切り下げられ、84年度当時の市民1人当たりの保険料は36,060円でしたが、07年度では8万4,069円となり、2倍以上の負担増となっています。保険料を払いたくても払えない状況をつくり出したのは国に責任があります。

 さらに現在の不況の下で、自治体独自が国保会計への繰入金の支出を増やし、市民の保険料負担の軽減を行なう財政支出が必要です。

 しかし千葉市は、再来年度から国保料の値上げを検討され、2年毎の保険料を改定するとしています。

 そこで伺います。

 1つは、1984年の国保法改定された当時の国庫負担に戻すよう国に求めるべきではないですか。

 2つは、一般会計からの繰入金を増やし、保険料を当面の間引き上げることを据え置き、保険料の負担を軽減するよう求めます。あわせて、政令市平均並みに、一般会計からの繰入を増やし、保険料を1世帯1万円引き下げることを求めます。

 以上、お答えください。

2. 奨学金制度の創設について

 次は、奨学金制度の創設についてです。

 第1は、高学費の実態についてです。

 異常なまでに学費が高騰しています。2008年度の国立大学の学費は、1970年と比較して51倍の約82万円。私立大学が6倍の約131万円にまで膨れ上がっています。この間の物価は2.9倍ですから異常な高騰をみせています。

 世帯の収入別進学者は、日本学生支援機構がおこなった調査では、500万円以下の世帯で04年度では23.8%だったのが、07年度の調査では、16.6%と進学者が減少しています。年収が200万円に満たない世帯では、初年度納付金を含めた100万円以上もの学費が払えず、高い学費によって子どもたちの大学進学という選択肢を奪う結果になっています。進学したとしても、その後の学生生活に困難が生じています。

 今年1月17日の読売新聞の報道によれば、市内の淑徳大学では、経済的な事情で進学を断念したり、大学を中退せざるをえない学生向けに緊急の学生支援制度を創りました。窓口に「学費の支払い期限を延ばしてほしい」「学費が払えなくなった」と、前年の2倍、約200件の相談が寄せられたようです。銚子市にある千葉科学大学でも学生支援に取り組み始めています。

 ある学生さんから、「自分は私立大学に入学できたが、親からは学費が安いところにしてほしいと言われ、兄弟の進路を狭めてしまった」と、「学費が高いのが親に本当に申し訳なく思っている。定期代や教科書代などがかかる時に、言い出しにくかった。」という声が寄せられています。高い学費が学生生活を送るうえで、学生自身とその世帯に大きな影響を与えています。

 そこで伺います。

 1つは、千葉市は、学生たちの教育の機会が、お金のあるなしで奪われていることについて、どのように考えているのか。

 2つは、高学費の実態や、学生のこうした実態のどのように把握し、認識していますか。

 3つは、国に対して、世界では常識となっている「学費の無償化」を要望すべきではないですか。

 以上、お答えください。

 第2は、大学生向け奨学金についてです。

 県内で、大学生むけの給付制奨学金は、習志野市、旭市、東金市、東庄町の4市町で導入され、今年度40名余りが支給を受けています。

 政令市の中で独自の奨学金制度があるのは、17政令市中9市がもっており、札幌市では、09年度から240名程度まで給付を国公立・私立合わせて50名に引き上げています。神戸市では、奨学金の給付をおこない、自宅外通学2万5千円・自宅通学1万5千円を給付しています。千葉市でも同様におこなった場合、予算は216万円、10名に引き上げても432万円と、少ない予算でも、奨学金支給は可能であります。

 各政令市の奨学金の目的は、「教育の機会均等を図る」「優秀な人材を育成する」などが掲げられており、自治体独自の努力で、学生を支援しています。

 一方、本来国がおこなうべき学生支援としての奨学金制度が後退しようとしています。日本学生支援機構は、奨学金の取り立てを強化し、個人信用情報機関に登録して不良債務者扱いする「ブラックリスト化」の準備を始めています。返還中の人と現役学生にも、滞納時の情報機関登録の同意書を提出するよう求めています。

 教育を受ける権利を保障するための奨学金を民間のローンと同様のものに変質させるものです。2008年度、日本学生支援機構の奨学金を利用する学生は全国で122万人。信用情報機関は全国1,400もの金融機関が会員で、ブラックリストは融資などの判断基準になるため、登録されればローンやクレジットカード利用が困難になります。

 奨学金の返還が遅れている理由では、低所得が、04年度の37%から、07年度45.1%に増加し、無職・失業を加えれば、経済的困窮が圧倒的となっています。国の奨学金制度が崩れようとしているときに、自治体の役割は重要です。

 そこで伺います。

 1つは、千葉市は、国に対し、給付制奨学金制度を創設することを求めるべきですが、どうですか。

 2つは、市内に住む学生や、進学しようとする者に教育の機会均等を保障するために、千葉市独自の奨学金制度を創設すべきです。

 3つは、返済に苦しむ奨学金滞納者の「ブラックリスト化」を行わないよう、国に求めるべきではないですか。

 以上、お答えください。

 第3は、高校生向け奨学金についてです。

 日本私立中学高等学校連合会の調査によれば、全国で、不況の影響から、授業料を滞納している私立高校の生徒は、昨年の12月末現在で2万4,490人に上ることが明らかになっています。昨年3月時点では7,827人なので、3倍にも増えています。

 文部科学省の学習費総額の調査によると、07年度で、公立高校は年間52万円、私立高校は104万円となっています。私立高校の学習費総額は、公立の2倍にもなっています。

 県の私立高校生一人あたりの予算は29万5千円で、47都道府県44番目で、授業料減免制度の利用条件も厳しいのが現実です。

 そこで伺います。

 1つは、市立高校の生徒には千葉市育英資金支給がありますが、他の公立高校や私立高校などの生徒は適用外です。公立と私立でも受けられるよう制度の拡充をすることを求めます。この際、公立と私立の高校生に適用した場合の予算は、どのくらいと推計していますか。

 2つは、市内の私立の経済的理由による高校中退を含めた学費滞納状況の把握を、千葉市として調査をおこなうよう求めます。

 以上、お答えください。

3. 雇用問題について

 次に雇用問題についてのうち、雇用を守ることについてです。

 千葉労働局が発表した非正規労働者の雇い止めの状況についてでは、今年3月末までに、派遣または請負の契約期間の満了、中途解除による雇用調整及び有期契約の非正規労働者の期間満了など、2月18日時点で、県内で2038人となっています。雇い止めをした企業は46社で、前回よりも24社増加。製造業が43社で大半を占めていますが、今回の調査では新たに卸売・小売業、サービス業、運輸業も各1社ずつ加わるという状況です。31社が50人以下の雇い止め、100人以上とする企業も5社にのぼっていると報道しています。内定取り消しについても合計で38人にのぼっています。この年度末には、派遣労働者・期間社員の契約期間終了時期をむかえることとなり、さらなる雇用悪化が進むものと思われます。

 こうした原因の根本は、1999年の労働者派遣法の原則自由化に伴い、2004年にはすべての業種で派遣を認める結果、正規雇用から非正規雇用の置き換えがおこなわれたことにあります。まさに、「派遣切り」や「雇い止め」は、政治が作り出した「政治災害」と言えます。

 先日、海浜幕張駅周辺のある企業2社に行き、雇用を守るよう申し入れをおこないました。担当者からは、「金融危機に端を発した不況が、経営に深刻な影響を与え、内需の冷え込みから、減産となり、雇用調整によって一層の内需の冷え込みが進む」とし、最後に「このマイナススパイラルを断ち切らないといけない。それには政治の責任が大きい」と語っています。

 千葉市の企業立地助成制度を利用する企業も、雇用の確保が求められるのではないでしょうか。

 そこで伺います。

 1つは、市長は、千葉市における「派遣切り」「雇い止め」の状況について、どのような影響が出ているのか。実態をつかんでいますか。

 2つは、千葉市は、市内の大手企業に対し調査をおこない、企業に対してリストラ等をやめるよう要望すべきではないですか。

 3つは、派遣元事業者や派遣先事業者に対して、連携して雇用を守るよう直ちに要請することを求めます。

 4つは、千葉市が独自に企業立地助成補助金を交付している企業と、過去に助成を受けた企業に対しては、千葉市として、前年度の水準の雇用を守る責任を果たすよう強く求めるべきだと考えますが、市長を先頭に申し入れを行なうよう求めます。

 5つは、市民の雇用の確保として、企業立地助成を受けた企業には、市内居住者の雇用を義務付けるよう制度改正を行なうべきではないですか。

 6つは、公共事業を受注している企業に対し、雇用を守るよう求めるべきではないですか。

 以上、お答えください。

 次に、雇用対策と雇用創出についてです。

 昨年の6月議会で、私は、正確に市民の雇用実態を把握できるようにし、常用雇用化の促進のためにも千葉市が雇用対策室を設置し、積極的に市民の声に応えていくよう求めました。今年度、調査が行なわれているようですが、京都市では、雇用担当部長を配置し、国や府との緊密な連携などを行い、雇用創出・就業支援につながる支援にのりだしています。

 千葉市はかつて、2001年から2004年まで、国の緊急地域雇用対策および少子化対策事業として、特別交付金を活用して、99年から67事業で、雇用人数は2,039人の雇用を拡大しました。国の第2次補正予算の活用で、千葉市は110人の雇用創出をすすめています。これ以上の雇用悪化を生まない取り組みと同時に、いっそうの支援策の強化が求められています。

 千葉市の職員の現状はどうでしょうか。08年4月1日現在の職員数は7,587人で、10年前は8,048人で、461人減少し、臨時・非常勤職員は同時期で731人増えています。07年度、正規職員の総時間外勤務時間は約91万時間、時間外手当は約32億円となっています。有給休暇の完全取得と残業なし、年間1,800時間勤務とした場合、週29時間勤務の非常勤職員を雇用すると758人、正規職員を採用したとすると635人の雇用を創出できる計算となります。千葉市における雇用対策と雇用創出を求め、以下質問いたします。

 1つは、雇用問題は、国や県との連携や、雇用情勢の変化にいち早く対応することが求められています。京都市のように雇用担当部長を配置し、責任ある雇用への対応を求めます。

 2つは、正規職員の中でも教育・保育・福祉現場の職員の時間外勤務が多いと伺っています。現在の正規職員の時間外勤務91万時間で、時間外手当が31億円も支払われています。時間外労働を軽減し、そこに使われる時間外手当を活用し、新規学卒者の採用や、経験者など中途採用をこうしたところに増やすべきではないですか。

 以上、お答えください。

4.地域の諸問題

 次に地域の諸問題、地区図書館についてです。

 少子・高齢化社会で、どの地域でも冊数の充実している地区図書館を利用する方が増えています。美浜区では毎年ごと登録者数が増え続けており、利用登録者数は07年度の美浜図書館の登録者数は約8万3千人となっています。それぞれ地区の図書館は、「情報の拠点」であり、「知ることや学びの拠点」としての役割を担っています。 

 こうした地区図書館の予算の面と内容の充実が必要になっています。

 先日、美浜図書館へ行き、利用されている方から要望を聞いてきました。

 「国民の祝日は休みとなり、こうした休日こそ、地区図書館を開館してほしい」という声や、「利用者で館内はいっぱいになり、利用したくてもできない状況がある」という声が寄せられています。を踏まえて、以下伺います。

 1つは、国民の祝日についても地区図書館の開館をするべきではないでしょうか。

 2つは、美浜図書館の利用者のため、コミュニティセンターの指定管理者と連携して、日中利用のない部屋を貸し出すなどの対応をするよう提案します。

以上で、1回目の質問を終わります。

(2回目)

1.国民健康保険制度について

(1)資格証明書の交付について

 2月1日から義務教育の子どもたちには、短期保険証が交付されましたが、世帯主の納付で判断するのではなく、子どもたちが等しく医療を受けられるようにすることが必要です。なお札幌市では、12月から一歩踏み込んで18歳未満の子どもに、正規の保険証を交付しています。

 資格証明書交付世帯については、10,993世帯に、「特別の事情等に関する申出書」の提出を勧奨する文書を郵送して、実態を把握するということでした。

 低所得者への資格証明書の交付については、一律に資格証の交付除外することは考えていないということですが、06年度の状況を見ても、国保料滞納世帯の約7割が年間所得200万以下の世帯となっています。同じく資格証明書が交付されている世帯も低所得世帯です。

 そこで伺います。

 1つは、千葉市においても、世帯主の滞納によって子どもが医療を受けられないことがないように、18歳未満の子どもには正規の保険証を交付すべきです。

 2つは、「特別な事情」が出ていないということで、資格証明書を交付するのではなく、世帯主または被保険者と面談できるまで、短期保険証を交付すべきではないですか。

(2)減免制度の周知について

 答弁では、所得減少による減免の基準所得は、横浜市、広島市、北九州市の各市と同程度の水準であり、減免対象の拡充は現時点では考えていないということでした。しかし、自営業者やこの間の急激な雇用環境の悪化から、所得の規定を引き上げることで、受けやすくなるのではないでしょうか。減免基準所得が、広島市と北九州市と同等であるのに、減免数、率ともに及びません。

 そこで伺います。

 1つは、広島市と北九州市と同程度の水準であるのなら、政令市平均並みの減免数、率ともに引き上げることができるのではないですか。

 2つは、減免制度について、国保のしおりの一部分にとどめるのではなく、誰もがわかるように、事例なども紹介しながら広く知らせることが必要ではないですか。

2.奨学金制度の創設について

 政府は、国立大学運営費交付金や私立大学一般補助など一律の基準で交付される基盤的経費を連続して削減し、その一方で、国の評価によって配分される競争的資金の獲得を各大学に競わせてきました。

 その結果、国立大学は法人化後4年間で、602億円の交付金が削減され、私立大学は経常費に占める補助の割合が10%にまで落ち込んでいます。大学の教育研究基盤の弱体化や、大学間格差のいっそうの拡大をもたらし、地方の大学や中小の大学、教育系大学などでは、教育・研究の維持に支障をきたす深刻な事態に直面しています。

 多くの大学で基盤的経費がさらに削減され、教育・研究が存立しえなくなるとともに、経済的に困難な学生の多くは放置されてしまいます。

 いまの不況のもとで、奨学金を貸与する日本学生支援機構には、「親が失業して学費が払えなくなった」「勤めていた企業が倒産し、奨学金の返済ができない」などの相談が寄せられているとのことです。また、この間、私ども日本共産党が大学に対しておこなった調査でも、経済的な理由で就学困難や、退学者が生まれていると聞いています。

 学生支援機構の緊急採用奨学金も、有利子の奨学金であり、将来の返済が不安で利用できないという学生の声もあります。

 昨年3月に、千葉市独自の奨学金制度の創設を求めました。その時は、「今後の課題」としていましたが、今回の答弁では、「創設については考えていない」としました。千葉市の将来を担う学生に対して、冷たい姿勢だと言わざるをえません。

 千葉市に在住している学生さんは、学生支援機構の有利子・無利子の奨学金を両方受け、卒業するまで630万円借りることになり、利子を含めれば、自分が借りた以上に、返済しなければなりません。朝4時に起き、バイト先まで自転車で通い、週5日入らなければならず、学生さんは、「返せるだけの収入が得られるか不安」と話しています。「学費が高いことで、1ヶ月のうちの食費を削らなければならないこともある」「バイト代をすべて学費に使い、自分の生活費さえもない」など、この間寄せられている学生の実態です。

 自分の学んだ学問を生かして、働きたいと願う学生の気持ちに応えるのが自治体の役割ではないですか。

3.雇用問題について

 市内の企業に対し調査とリストラをやめるよう、また、派遣元・派遣先事業者に対して、雇用を守るよう要請することを求めたのに対し、国が必要な対策を講じているから、その動向を見守っていくという答弁でした。

 この3月末までに、業界団体の試算では、製造業だけで全国で40万人の非正規労働者が失職するとされている。その多くが、違法な中途契約解除や、偽装請負などの違法行為によって本来なら派遣先企業に直接雇用されているはずの労働者です。

 そこで伺います。

 1つは、市内にも多数の事業があります。企業立地助成対象企業に対する雇用維持の要請を、昨年12月におこなったわけですから、雇用を守るための要請文等で申し入れるべきではないですか。

 2つは、「派遣切り」や「雇い止め」に遭い、ネットカフェを利用して何とか生活をしている方もいます。千葉市として直接足を運んで、実態を聞くなど、雇用がきっかけで生活に困った方への対応をするべきではないですか。

 雇用担当部長の配置についてですが、国や千葉県の所管であることは十分承知しているところですが、若者の就労支援、労働相談などを含めた総合的な雇用対策のため、また、雇用情勢の変化への対応のためにも、恒常的に責任ある担当の配置が必要だということを指摘しておきます。