ふくなが洋議員の反対討論

2009.3.18

写真 日本共産党千葉市議会議員団を代表して、提案された議案53議案中15議案に反対し、発議第1号から4号までが否決されたことに対して討論を行います。

 民主党が提案した予算組み換え動議には、同じく市民ネットワーク提案の予算組み換え動議には、意見を異にするものもありますが、蘇我特定地区整備事業、千葉都市モノレール整備事業、そして、千葉駅西口地区市街地再開発事業の見直しについては、財政の組み替えの大きな流れの中では、市民の利益を守る立場から賛同します。

 新年度予算は第1に、国の新自由主義「構造改革」を認めた予算をそのまま受け入れ、市民の生活悪化を食い止める予算ではないことや、緊急経済対策への取り組みが極めて弱い予算です。第2に、引き続く大型開発予算であり、市民福祉、雇用、中小企業をあたためる予算にはなっていないことです。

 第3に、政令市ワースト1の財政危機の責任を認めず、財政の民主化が行われていない予算です。第4に、市民の苦しみに応えず増税への道を認める予算であることです。以上の4点から、平成21年度の予算に反対することを明らかにして、以下反対する理由や意見を述べるものです。

 最初に、新自由主義「構造改革」路線が破たんしているにもかかわらず、人を幸せにしないシステムである「構造改革」を評価しています。構造改革路線そしてグローバル資本主義は、大きな金融危機を招き、貧困や医療の破壊、深刻な地球環境の破壊を進めており、千葉市の財政、市民生活に大きな負担になっています。

 「構造改革」の影響で、新年度は70億円、補正で50億円の法人市民税等が大幅に落ち込みました。

 市長は「これまで経験したことのない財政状況」としながら、緊急経済・生活対策本部の本部長につくことなく、副市長まかせで「迅速かつ的確に緊急経済・生活対策を打ち出す」といっても市民の理解は得られません。

 市場原理主義は、医療や福祉がコスト抑制・競争原理が優先され、自己責任を市民に押し付けています。その中で、高齢者を年齢で差別する後期高齢者医療制度を「安心して医療を受けるために必要である」との姿勢は認められません。

 第2に、引き続く大型開発予算であり、社会的弱者への配慮に欠ける予算です。

 新年度予算は一般会計が3,350億円、前年度比4.3%の増です。しかし、その中身は、市税においては過去最大の70億円の減収となっています。220億円の歳入不足を禁じ手の市債管理基金から70億円の借り入れを行うなど、過去最大の借り入れを行う予算です。こうした厳しい財政状況の下では、モノレールの延伸事業は凍結すべきにもかかわらず、見通しのないまま延伸を強引に進めています。千葉駅西口再開発事業、蘇我特定地区、新港横戸線などの大型開発の見直しもしない予算です。

 企業立地促進事業補助金に、本年度は17社分4億6,188万円の予算を組んでいます。制度が平成10年からスタートして、20年までで12社8億4,625万円の補助を行っています。自治体が企業を誘致して地域経済が活性化し、住民の暮らしが向上するのであれば、住民としても歓迎すべきことです。住民にとって本当に有益なのかどうか、住民の目線にたって冷静に検証することが必要です。

 この間「都市間競争」のもとで企業誘致合戦が繰り広げられています。それが必ずしも、地元の新規雇用や中小企業の取引拡大に結びついていないこともあります。

 私どもは、企業誘致に対するインセンティブを準備することは否定しないものです。しかし、そのためには、(1)税の減免など赤字にならない範囲で行う。(2)財政支援の対象を地域経済、市民生活に対する貢献度を重視する。(3)千葉市の街づくりの計画に合ったものにする。(4)減免期間中は進出企業と千葉市とで定期的な協議を行う。(5)一定期間内に撤退した場合や重大な変化が生じた場合は補助金などの返還を求める。などが必要です。

 その一方で、65歳以上の高齢者に対するインフルエンザの予防接種の自己負担の引き上げ、介護保険料の値上げ、小学生の医療費無料化は時代の流れでもあるにもかかわらず先送りです。市単独補助の幼稚園就園奨励費の大幅引き下げなど、弱者いじめの予算といわなければなりません。

 緊急経済対策事業は、4月から9月まで110人の雇用では、深刻な雇用不安に応えた予算ではありません。市独自の新たな雇用を創出すべきではないでしょうか。

 中小企業支援では、緊急の無利子融資制度を創設する予算になっていません。地域を支える中小企業は深刻な事態です。経済危機から中小企業を守るために、公共事業の前倒し発注、分割発注をスピードを持って行うことが必要です。

 第3に、政令市ワースト1の財政危機にありながら、その原因でもある大型開発について責任を認めようとせず、さらに財政の民主化を図ろうとしない予算です。

 将来支払う支出である「将来負担比率」は、その自治体の財政を考える上で最も重要な指標ですが、政令市ワースト1であることは重大な問題です。さらに「実質公債費比率」は政令市ワースト2であり、新年度の多額の借金で、健全化指標はさらに悪化することは必至です。借金依存の予算は認められません。

 さらに、国発注の公共事業は、地方財政法で関係自治体が一定の「国直轄事業負担金」が、不当にも「義務」づけられていましたが、今日、自治体の中で国と地方のあり方をめぐる議論が活発化しており、政府は追加経済対策で「公共事業は地方に負担を求めず全額国費を投入する」との方向で検討中です。千葉市において、国直轄事業負担金については、これまで国の提示額をそのまま負担しており、私どもはその不透明性を厳しく批判して「負担の必要はない」と言い続けてきました。そのことに対する改善・改革を求める姿勢がないことは問題です。

 また、県事業負担金についても、国直轄事業負担金同様の問題や負担義務がないにもかかわらず、負担することの見直しを求めてきましたが、その気配もありません。

 県支出金は、市民一人当たり7,838円で政令市の中で最下位です。千葉市を除く政令市の一人当たりの平均は12,906円ですから、大きな開きがあります。

 同じ県民として県支出金の少なさは、市民の福祉・医療に大きな犠牲を強いているものであり、認められるものではありません。しかも、政令市移行と同時に不当ともいえる形で続けられてきたことも問題です。千葉県の千葉市に対する公正な支出金のあり方に、改善を求めない姿勢は認められません。この際、国や千葉県との財政のあり方を市民の立場で抜本的に見直すべきです。

 また、予算の編成における市民参加が全く不十分です。財政民主主義を実質化するためには、議会だけの予算審議ではなく、予算編成過程での市民参加の制度化が必要です。また、中・長期的な計画とリンクした予算説明を行うこと。予算全体をわかりやすくするために、計画・執行・評価などについて十分検討をすべきです。

 その点から見ても、今回提案されている弁天地区複合施設整備費16億397万円の予算計上は、財政の民主化に逆行するもので許されません。

 第4に、市民の切実な願いに背を向けて、消費税増税に道を開く予算になっています。麻生内閣の景気対策の目玉は定額給付金です。経済効果もはっきりしない定額給付金ですが、はっきりしていることは、将来消費税の大増税で定額給付金の何倍もの税金を取り戻すのが自民・公明政権の狙いです。そのことについても「消費税の引き上げに持続可能な社会保障制度の構築の実現のため議論が国政の場でなされている」との対応は無責任な姿勢です。

 定額給付金のような一過性の対策ではなくて、雇用の確保や社会保障の充実、購買力の拡大など恒久的な施策で対応をする予算にすべきです。

 学校、保育所の耐震化のさらなる充実、保育所の運営を市場任せにすることではなく、公的サービスを保障し・待機児の解消を図る。社会福祉協議会での居宅介護等事業の廃止は撤回して、セーフティネットとしての社会福祉協議会の介護事業は、市民にとって欠かせない事業であり、赤字を理由にした撤退は認められるものではありません。

 第2次補正予算では、住民の切実な要求実現に生かさなければなりません。新たな解雇を生まないために、市長を先頭にした地元企業への要請行動が求められますが、「国において必要な対策を講じているので国の動向を」見守るとの姿勢です。

 全国の首長が必死になって雇用の確保を求めている時に、国の動向を見守るとの対応は認められません。「緊急雇用創出事業交付金」についても、知事選があるとはいえ、自治体の直接雇用を念頭において、学校や通学路・公園・駅などの警備員による防犯パトロール、教員補助者の教科指導などについては具体化を図るべきではないでしょうか。また、働く人たちについては常勤雇用、正規雇用へつなげることになっていません。

 市長は、緊急経済対策で「学校体育館などの耐震工事を補正予算で前倒しした」と言いますが、新年度予算では事業化されていません。補正と新年度と連動して、前倒しすべきです。雇用創出では、国の事業だけでなく、市独自に10億円位を予算化し、2,000人の雇用創出を図るよう改めて求めます。また、市民の生命と健康を守るために、高すぎる国民健康保険料の1万円の引き下げを求めます。

 以上のように、経済不況のもとで市民の深刻な生活をあたためる予算になっていません。ますます拡がる貧困と格差拡大の社会のなかで、市民の暮らし・福祉第1の予算へ、先に日本共産党市議団が提案した動議に沿って、予算を組み替えるよう強く求めるものです。

 次に、雇用について重大な事態が発生していることを指摘します。モノレールサービス株式会社がパート職員4名に対し、3月末で「雇い止め」を通告していたことが明らかになりました。いま、「派遣切り」や「雇い止め」などが社会問題となり、雇用の確保や雇用の創出に千葉市が取り組みを強めている時に、千葉市がそのほとんどを出資する千葉都市モノレール株式会社の子会社であり、役員全員が親会社の役員で構成する会社が、理由の如何に関わらず、パート職員を「雇い止め」にすることは重大な問題です。日本共産党千葉市議団は昨日、鶴岡市長に対して申し入れを行いましたが、あらためて、市の説明責任を求めるとともに、「雇い止め」の撤回を強く要求するものです。

 続いて各部局の問題点や意見を述べさせていただきます。

最初は、総務行政です

 官製ワーキングプアーは許されません。千葉市も市職員を削減し、非正規職員が増加の一途です。図書館指導員などの収入は月額14万円程度で、自立して生活できる金額ではありません。子どもルーム指導員・非常勤保育士など、福祉や教育に携わる人の待遇を改善して、働き続けられる職場にするべきです。

企画行政について

 弁天地区複合施設の16億394万円についてです。この土地の購入目的が不明である上に、保育園、子供ルームなどの施設の建設を予定していますが、そのことも不自然です。土地購入のあり方にも疑問が残ります。街づくり計画が不明なまま、平成6年に土地を購入して、平成16年まで10年も放置をしておいて、今年予算に計上するのは、土地開発公社経営健全化計画の中で、千葉市が再取得することになったものです。議会にも公開しないで、秘密裏に進めてきたとしか言いようがありません。さらに、土地購入当時の土地開発公社の理事長であった鶴岡市長、理事であった林前副市長の責任は重いといわねばなりません。

財政局についてです

 税金の徴収員が7人から14人に倍増しますが、徴収については収納率向上ありきで、表彰制度による徴収率の強化を行ない、職員をあおるのではなく、実態に即した対応を行なうよう求めます。

市民行政についてです

 第二日曜日の午前中に休日開庁を実施するというのは一歩前進ですが、派遣切りなどで住居や経済的に困窮した人に、直ちに対応するためには、社会援護課なども対応できるよう改善する事を求めます。

 消費者対策では、さまざまな相談に対応できるようになっていますが、さらに多発する振り込め詐欺対策の重視や多重債務対策など、きめ細かな相談で自立できるよう、親身になった相談が必要です。

保健福祉行政についてです

 居宅介護等事業の見直し(廃止)が、社会福祉協議会から平成21年2月20日に提案されました。居宅介護の廃止の理由は、赤字のためとされています。社会福祉協議会が介護サービスを開始したのは、介護保険がスタートしたとき、公的な責任を千葉市に変わり社会福祉協議会が担うことになったのです。介護を受けたくても受けられなかったり、障害に応じたサービスなど困難なケースに応えてきました。単純に赤字だから廃止をすることは絶対に認められません。

 介護難民を生まないためにも、これまで通り社会福祉協議会に千葉市が支援して、居宅介護等事業を継続することを求めるものです。

 福祉施設の問題についてです。

 保育所では、2月1日現在1,060人、子どもルームでは3月1日現在67人になり、待機児童の解消は深刻です。緊急3か年計画で待機児童対策の駅前小規模保育所がスタートしますが、追いつきません。今回、保育ルームから認定保育所へと変更になる保育園のある地域では、退所を余儀なくされる子どもたちの受け入れ先が決まらず、新たな待機児童が生み出されたとの意見もあります。

 また、子どもルームでは指導員の補充が進まず、募集しても集まらない状況で毎日の保育が行なわれています。保育時間が延長されても指導員の人数は変わらず、給料も低く働き続けられる労働条件ではないことが理由ではないでしょうか。

 保育所も子どもルームも、市が責任を持って増設し、あわせて施設改善・補修を早急に行なうことが求められています。

 特別養護老人ホームは今年度予算で2施設の整備助成がついていますが、待機者は1月1日現在1,863人です。「保険あって介護なし」という状況で半数が在宅での待機者です。今、施設に入れなくて待機している方は、入居者が亡くなるのを待っていることになるわけで、施設にいる方にとっても待っている方にとってもこんな残酷なことはありません。

 また、予算委員会の場で、青葉・海浜の両市立病院について、経営難だから民間に売却するという乱暴な議論がありました。公的医療機関は、民間病院ではできない救急・救命や感染症治療、災害医療などの不採算医療など重要な部門を担っています。全国の全病床の約15%を占める自治体病院は、地域に深く密着しており、市民が健康で安心して暮らし、住み続けられる街づくりにとって欠かせない存在です。

 医師不足と赤字経営に追い込まれる経営難の大きな原因は、これまでの国レベルでの社会保障予算の削減にあります。これによる患者の医療費負担増と受診抑制、医療機関に支払われる診療報酬の引き下げによって、病院の経営悪化が加速しているのです。自治体は、地域医療を守る責任を果たして、公立病院が産科や小児科、救急医療を充実させることなど、必要な手立てをとって医師の確保を進めるべきです。

環境行政についてです

 地球温暖化対策は緊急の課題です。市内の温室効果ガスの排出量の73%は産業部門です。CО2削減目標を持たせ、真剣に取り組むよう指導すべきです。また、太陽光発電設置数も増やすべきです。

 ごみの収集において、委託業者の入札を予定していますが、このことについては、先行した自治体では、叩きあいの入札で、民間清掃労働者の暮らしが成り立たないと裁判にまでなっています。

 ごみの減量をすすめるなら、現場清掃労働者の意見をよく聞いて、コスト面だけではなく環境を保全する立場で、公共サービスとして事業を展開すべきです。

経済農政についてです

 千葉市の農業は、毎年予算が減額され深刻な事態です。就農者は減少し続け、耕作面積も減少しています。耕作放置面積は293ヘクタールになっており、農業再生は待ったなしの課題です。農道整備予算は希望があるにもかかわらず45%もカットです。予算を前倒しして、農業環境整備を行うべきです。

 千葉市が開設する中央卸市場の千葉青果が債務超過になり、千葉市が増資分3,500万円を出資することになりました。千葉市が監督をきちんとしていない問題があります。以前から指摘しているように、今日の流通業界のなかで、地域の業者の育成と市場が機能する責任は千葉市にあります。一層の改善改革を求めます。

都市行政についてです

 モノレールの延伸問題では、この不況の時、千葉市モノレール事業の延伸は凍結をすべきです。先の12月議会で、民主党、市民ネット、無所属、そして日本共産党の4会派の議員が「千葉市モノレール事業のあり方検討委員会設置条例」を提案しました。その方向で、モノレール問題を考えるべきです。

 格差と貧困が拡大する中で、市営住宅の入居を希望する市民が増えています。市営住宅の入居倍率は高く、住宅困窮者がなかなか入れません。空家の修繕を大幅に増やすことは急務です。しかし老朽化した市営住宅の建て替え3億4,750万円は前年度比の74%と削減されています。政令市の中でも人口比で最低クラスの設置数であり、また16年間も空家を放置したままでは市民は納得できません。

 家賃減免を徹底するとともに、空き家の修繕や改築を行い市民の入居を一層促進するべきです。

 マンション建設では、市民とのトラブルが絶えません。船橋市のように、千葉市でも低層住宅地などに、絶対高さを制限する高度地区指定を設けるなど、住民本位の街づくりに取り組むことを求めます。

 身近な公園リフレッシュなど3事業の予算の合計2億8,424万円は、前年の7億415万円に比べて4億1991万円、6割もカットされていては、公園の安心・安全確保は困難です。

 身近な公園の整備費が大幅に削減される一方で、蘇我スポーツ公園には今後も多額の投資がされます。身近な公園の安全・安心を確保するよう求めておきます。

下水道行政についてです

 千葉市下水道条例の一部改正が行われます。強制的に接続命令を視野に入れて指導できるようにするものです。罰則を振りかざすのではなく、あくまで合意と納得で接続を進めることを大原則にするよう求めるものです。 

建設行政についてです

 市役所前の国道357号線は、総事業費約220億円で事業が行われています。そして毎年度、千葉市は事業費の3分の1を自動的に支払うことになります。多額の負担を行う事業であり、工事方法・費用の見直しや事業の公開も不十分なままの事業に、負担を行うことは問題です。

 市民に一番身近な交通安全対策や生活道路の維持管理を行う土木事務所の事業費が年々削減され、新年度は51億円です。H16年度の80億円と比較すると63%にまで減らされています。市内の中小業者の仕事がなく、かなり厳しい状況となっています。土木事務所の予算を大幅に増やして生活道路の安全確保をはかるべきです。そうすれば、市内業者も活性化し、市民の安心安全を進めることができます。新港横戸町線などの大型道路より、生活道路の整備を優先するよう求めます。

選挙管理委員会についてです

 国民投票システムの整備についてです。国民投票が平成22年から施行されるための予算です。これは「改憲手続き法」と呼ばれるもので、2007年に自民・公明の与党の賛成で成立したものです。しかし、世論調査では「憲法を変えるな」の声が過半数を大きく超えています。そして、憲法9条を守る流れは圧倒的に多くなっています。こうした状況の中、国民投票システムには賛成はできません。

水道行政についてです

 霞ヶ浦開発事業金5億7,900万円、房総導水路建設事業負担金6億1,400万円は負担をすべきではありません。

 今日、1人当たりの水の消費量は減っています。人口推計や給水量の見直しなどを行うべきです。関係者にすべての情報を公開して、明るい見通しのある水道ビジョンを確立すべきです。

教育行政についてです

 「千葉市民ゴルフ場」の指定管理者である京葉カントリークラブが、敷地や隣接地に大量の廃棄物を投棄して、千葉市の行政指導の改善勧告を受けました。また、同じ企業体である造園工事業の「内山緑地建設」が、大分のキャノン工事で脱税に協力したとして、取締役を含め2人が逮捕されたことがマスコミで広く報道されました。市民ゴルフ場の指定管理を行う共同企業体の2社が、不正を働いたのでは市民に説明ができません。

 京葉カントリー倶楽部、内山緑地建設は、H20年2月議会で指定管理者としての疑問がもたれ、当局の議案としては異例の撤回議案となりました。

 続く20年6月議会でも、この2つの業者ありきで指定管理者にすることへの不信が広がりました。そして8か月もたたないのに、この2つの業者が一緒に不正を行うことは、指定管理者に選定した教育委員会の責任は重大です。三度市民の不信を払拭するためにも、指定管理のやり方も含め管理の方法を直ちに見直すべきです。

 学校適正配置については、学校の適正規模について、学級数が少ないことを問題にしていますが、学級規模は、教員の目が子どもに行き届くなどの教育効果があり、少人数学級の実現は待ったなしです。不登校やいじめなどの教育問題に応える教育環境の整備が必要です。子どもの学力向上と、教員の過重負担軽減のため、市独自の講師の採用を増やす取り組みも進めなければなりません。学校は、地域で子どもを育てる場所であり、どんな学校が望ましいのか、学校関係者や住民、保護者で、子どもたちの教育をどうするのか、十分に話し合うことが求められます。

最後に発議1号から4号までについて申し上げます。

 発議1号の千葉市身体障害児童福祉手当支給条例の一部改正については、福祉手当の支給対象者に精神障害者を加えるとともに、20歳未満の児童に対する条例の統合を図るために、千葉市知的障害児童福祉手当条例の廃止及び千葉市身体障害児童福祉手当支給条例の一部を改正するものです。

 発議2号は、千葉市心身障害者福祉手当支給条例の一部改正についての条例提案で、福祉手当の支給対象者に精神障害を加えるために、千葉市障害者福祉手当支給条例の一部を改正しようとするものです。

 これまで精神障害者は、法律で身体障害、知的障害と同様に位置づけられながら、制度の上で差別的な扱いがされていました。こうした状況を改善するために条例提案をしたものです。

 この2つの条例については、民主党、市民ネットの賛同をいただきましたが否決されました。

 発議3号は、心身障害者の医療費の助成に関する条例の一部改正で、医療費の助成対象者に精神障害を加えるために条例の一部を改正しようとするものです。「食事の負担は仕方ない」「所得制限を設けるのは仕方ない」などとして、わが会派以外全て反対でした。

 精神障害者が身体、知的障害者と同様の手当や医療費助成を受けられることは、障害者基本法の精神から考えても当然のことです。当局からも同様の議案が提出され、一括審議となりました。当局の議案は福祉手当の額を減額するものであり、賛成はできません。また、医療費助成においても所得制限を導入して、食事療養費を助成から除くものであり、認めることはできません。

 今議会に提案した発議1号から3号までが、当局の議案とほぼ同じ発議・条例議案となったことについて経過を申し上げます。

 わが党は今年の1月13日に、当局に対して完成した発議の条例を示し、内容の説明を行いました。その時、当局はわが党の発議に対して、コメントは全くありませんでした。その後の当局との発議に対するやり取りの中で、私どもは当局の条例議案を知りました。それは、わが党が条例案を示してから1か月以上も後の2月18日の代表者会議の場でした。つまり、当局は当局案を作成していた過程で、日本共産党市議団も同じような提案をしようとしている事を知っていたにもかかわらず、当局は何の説明もしなかったのです。私どもは、条例の制作過程からオープンにし、提案をしてきています。当局は条例を提案した経過について、今議会の常任委員会当日、初めて「新年度予算は08年10月には案を財政局には出していたが、1月下旬にならないと決定しない」からだったと説明しています。しかしこれは、政策立案過程について当局は、議員にも市民にもひた隠しする、極めて閉鎖的な対応を行っていたことの表れです。

 このことは、議員の条例提案権への重大な侵害であり、議会制民主主義を踏みにじる行為だといわなければなりません。

 これでは、どんな条例提案を議員が行ったとしても、市長が同じ主旨の提案をしたら「一事不再議」として扱われ、議論すら行われないことになります。他会派も「フェアではない」と指摘するのも当然です。

 条例提案は、会派が市民の切実な要望を条例にして提案するものであり、それを否定するような今回の当局の態度は許せません。市民のための条例ですから、提出会派に対して、当局は少なくとも情報を一定開示して、スムーズに議案の審議が行えるようにすべきでした。

 今後、代表者会議、議会改革協議会で議論を深めたいと思いますが、二度と同じような対応をしないよう強く求めるものです。

発議4号は、千葉市大学奨学金支給条例についてです。

 大学・短期大学に在学する学生で、能力があるにもかかわらず、経済的理由により、修学が困難な学生に対して、奨学金を支給しようとするものです。

 高学費が、学生とその家庭にとって重い負担となり、学生生活への影響があります。修学の断念、中途退学を余儀なくされる状況もあります。

 委員から、「条例の趣旨や、教育の機会均等については賛同する」という意見はあったものの、「支給よりも貸与でおこなったほうがいい」「働きながら返していくのが当たり前」「導入については時期尚早」という意見がありました。また一方で、「お金を与えてはいけない」という意見がありました。これは、まじめに学問を身につけようと努力している学生の思いを踏みにじるものです。

 誰もがお金の心配なしに教育を受けられる条件を整えることは、千葉市の将来を支える安定した基盤ともなります。教育を受けることは、基本的人権の一つであり、経済的理由で妨げられるものではありません。

 09年度予算は、鶴岡市長が編成した最後の予算でした。今議会での市長答弁の中で、気になる発言がありました。

 1つは、「今後につきましては、新たに選出される市長の考えによるべきものであります」。いま1つは、「今後の課題は、新たに市民の皆様の負託を受けられる市長の考えに委ねるべきもの」という答弁です。まるで「自分はもう辞めるから、後のことは知らないよ」と言っているように聞こえました。

 とりわけ、私どもが何回も指摘してきた、蘇我臨海開発はじめ大型公共事業に8年間で約1,300億円も注ぎ込み、政令市ワースト1の借金都市にした責任は、市長を辞めても免れるものではありません。

 日本共産党市議団が一貫して追及してきた、大型開発を優先して財政危機を深刻にした事実について、今議会では、民主党市議団や市民ネットワークも指摘し、予算組み替えを求めたように、市議会の共通認識になっています。

来る市長選挙に、鶴岡市長が立候補しないそうですが、私たちは6月の市長選挙を通じて選出される新しい市長のもとで、大型開発優先から市民生活優先の千葉市政をつくるために努力することを申し上げ、討論を終わります。