ふくなが洋議員の一般質問に対する答弁(要旨)

2009.7.9

【熊谷市長】

○ 市政改革について

 憲法改正は様々な意見があり、議論を尽くし国民総意で決めるべきものだが、個人的意見としては9条の基本理念は変えるべきではないと考える。
 所信表明で述べたが、役所の論理ではなく市民の側の視点で市民サービス向上へ、市民要望や意見に誠実に耳を傾け、行政運営を図る。
女性登用は、H22年度までに管理監督職での女性比率を20%にする目標で、登用に努めている。現在、部長級2名だが局長級が誕生するよう人材育成に努める。
 意思形成過程の情報公開は、中立性が損なわれ、特定の者の不当な利益を与える問題以外は公開するよう取り組む。
 小泉内閣が進めた「三位一体改革」の結果、本市の普通交付税と臨時財政対策債を合わせた総額を「改革」前の15年度と「改革」後の19年度を比較すると約160億円の減額となっている。
 世界的な金融危機の影響で、日本経済と地域経済は以前厳しい状況だ。市内中小企業者の「経営安定資金」の利用増加が見込まれ、融資を着実に実施できるよう資金面の支援とともに、経営相談の充実で安定経営を支えていく。地域商店街活性化は、地域コミュニティの担い手で重要な役割を果たすことから、意向に合った支援策を実施していく。
 農業は、恵まれた立地条件を活かし、経営感覚に優れた農業者を育成し、新規就農者・定年帰農者支援、遊休農地解消などに取り組む。
 道州制を含め、地方分権のあり方を様々な視点から議論する必要があると考えている。

○ 財政状況について

 厳しい財政状況の原因は、政令指定市以降後、市民生活向上と各種生活関連施設・都市基盤整備を短期間で取り組んだ結果、市債残高の急激な増加の一方、償還財源の市税収入等が経済情勢で伸び悩んだことにある。今後は将来負担の軽減を考慮した財政運営が必要であり、新たな財政健全化プランで、建設事業債や基金借入金の抑制など財政健全化への工程を示していく。
 5大プロジェクトは、継続中の蘇我スポーツ公園と千葉駅西口再開発は、市民の意見を聞き事業の見直しをおこなう。すでに完了や終息期の第6地区市街地再開発、千葉中央港地区区画整理、新港横戸町線は、効率的な維持管理や利用促進を図るよう工夫し、有効に活用していく。
 国直轄事業負担金は、一方的に負担額が示され、積算根拠や使途明細が不明な問題の改善を求め、国と地方の役割分担の見直しで、国直轄事業負担金の廃止を求めている。しかし、制度が存続する間は、市の受益に見合う応分の負担は必要であり、事業内容・事業費等の協議を行い、合意形成を求めていく。県事業負担も同じだ。
 外郭団体の役割は、多様化する市民ニーズに、福祉・文化・教育・産業振興など各分野で、専門的なサービスを提供するもの。天下り団体とは、市のOB職員が再就職している団体を指す。市のOB職員の経験やノウハウ、市の事業との関連性から、OB職員の力が必要なケースは充分にあるが、市民の税金が投入されている外郭団体への補助金を減らすため、外郭団体の特性に応じ自主性・自立性を発揮できるように、必要な団体数・ポストは常に見直しが必要だ。
 不要不急の大型開発事業は見直し、市民が真に必要とする分野に重点的に予算配分するよう努力していく。
 消費税は地方に配分される地方消費税や地方交付税の原資で、市民生活に欠かせない財源だ。消費税は定率で広く公平な負担を求める租税だと認識している。

○ 市民参加について

 市民と行政がともに考え支える街づくりを行なうためには、市民参加・情報発信を進め、説明責任を果たし、市民に同様の情報を持ってもらうことが必要だと考える。庁内にプロジェクトチームを作り諸施策の実現への課題などを整理し、工程表作成を進めている。今後随時、進捗状況や内容を知らせていく。
 補助金については、補助目的の公益性や効果等を見直しているが、全補助金を対象に定期的な検証が必要と考える。今年度は、他団体の取り組みを参考に、補助金のガイドラインを検討し、H22年度に学識経験者や市民の意見を聞きながら見直していく。市民の参加方法も検討する。

○ 汚職腐敗の一掃について

 今般の事件を踏まえ、再発防止策を講ずることが必要で、政治倫理条例の策定や有力者からの口利きに関する制度化など検討する。
 今回の市長選挙費用は444万6356円で、公費負担を除く費用は私の後援会と確認団体からの収入で支出している。企業・団体献金はない。勤務実態のない私に、給与を支給された事実はない。
 民主・鳩山代表の「故人献金問題」は残念だ。説明責任を果たしてほしい。小沢前代表の問題は、本人が否定されているので今後の公判を見守りたい。
 仮に前市長の起訴内容が事実なら、入札制度の問題だ。同時に市のコンプライアンスの問題だと考える。今後、公益通報制度の充実や倫理条例・情報公開などで抑止力を高めたい。入札関係業務で不自然と思われるものを調査していく。

○ 大型開発について

 千葉駅北口、弁天地区複合施設整備は、西口再開発との関連性や周辺にある中央図書館・生涯学習センターとの機能連携などが検討されていない。この用地活用には、西口再開発ビルに公的施設の導入を考えて、予定した機能の一部を西口で対応する。またJR千葉駅に近く、周辺の公共施設との連携も検討の余地があるので、議会や市民の意見を聞いて見直しできるものは見直す。整備時点での財政状況も踏まえ、売却も1つの選択肢となる。
 蘇我スポーツ公園は、市初めての運動公園で、魅力あるスポーツの街を育成する核となる施設だ。また、地震等の災害時には広域防災拠点機能を備えており、整備は必要だが、厳しい財政状況からH21年・22年度で整備予定の第2工区のテニスコートは、管理棟や夜間照明を縮小し、H23年度以降の整備予定の第3・4工区は、広域防災拠点として必要な高潮対策の盛土や主園路の液状化対策に限定するよう見直す。蘇我副都心整備は、市の総合ビジョンで位置づけた重要なプロジェクトであり、特に臨海部の整備や土地利用転換は、都市機能の増進・税源涵養・雇用創出の効果があるものだ。
 市全体にとってJFEは基幹産業として継続的・安定的に発展することが重要だ。JFEが市に及ぼす影響・役割は、雇用・税収等で大きな役割を果たしているものだ。
 マニフェストでの大型開発の見直しは、今後プロジェクトチームで3事業以外のどの事業を対象にするか、市民等の意見を聴取し、どんな形で進めるのかなど検討していく。基本的に多額の投資を必要とする事業を対象にしたい。見直し委員会設置の提案は、1つの参考としたい。

○ 平和行政について

 千葉市は、核兵器による戦争のへの脅威をなくし、市民共通の願いの世界恒久平和を求めてH元年2月に「平和都市宣言」を行っており、この基本理念で今後も取り組んでいく。
 「核兵器のない世界を」求める署名は、行政の中立・平等の立場から市民団体が掲げる宣言文等への署名は行なわないことにしている。
 悲惨な戦争は二度とあってはならないもので、戦争を知らない世代への戦争体験の伝承などは重要だ。平和の大切さを語り継ぐ事業を進めていく。

○ 高齢者・障害者問題について

 社協に安易に補助を行なうのは困難だ。一方、社協のサービスを利用する方々やヘルパー等の職員が、事業廃止で不利益のないようにするのが前提だ。社協の移行作業を慎重に見守りたい。

【総務局長】

○ 市民参加について

 付属機関の委員の選任は、当該付属機関等の設置目的に照らし、幅広い人材の中から選任することにしている。市の市民参加と協働に関する条例で、市民の意見を反映するため公募で選ばれた者を含めるよう努め、公平・民主的に行っている。
 第三者を交えた調査委員会の構成は、市職員・弁護士等の学識経験者を考えている。概ね半年から1年かけて、当時の入札制度や過去の指名競争入札案件を検証し、結果を報告してもらう。

【保健福祉局長】

○ 高齢者問題について

 75歳以上の医療費無料化は、後期高齢者医療制度で原則1割負担となっており、給付と負担の公平性から市独自の助成で無料化することはできない。75歳以上を対象に健康診査を無料で実施しており、受診の勧奨で早期発見・早期治療につなげていく。後期高齢者医療制度は、老人医療費を中心に国民医療費が増大する中で、現役世代と高齢者世帯間の負担を明確化したが、公費負担の問題もあり、制度の見直しを国に要望していく。
 計老乗車券の復活は、市内の民間バス会社13社が高齢者対象に、割安の年間共通定期券を販売している。仮に75歳以上に敬老乗車券を配布した場合の市の経費は約8億9千万円となり、復活や新たな無料化は考えていない。
 無届の高齢者施設は、1/1時点で市内に8施設ある。生活保護受給者は178人入居し、市外の施設には入所していない。無届施設には、県への届出を指導し、防災安全体制や入所者への処遇の確認が必要だ。指導は4/6から4/10にかけ、県と市の関係部局が合同で緊急点検を実施した。その結果、消防法上問題があるのは8施設、建築基準法の問題施設は5施設あり、改善を指導した。人件費や運営費の補助は考えていない。
 特養ホームは、H21年度から23年度の3年間で239人分の整備を予定している。低所得高齢者が利用する養護老人ホーム等は、必要性を見極めたい。
 無料低額宿泊所は、5月末現在で市内に17施設あり、入所者964人中で生保受給者は902人いる。65歳以上の入所者数は昨年5/1時点で277人、80歳以上は2人いる。派遣村実行委員会による申し入れへの対応は、調査した結果、市の事務処理で口座開設の際、被保護者本人の意思確認が不十分な点があり、今後は本人確認を徹底していく。施設側には、市外から連れて来るなど市のガイドラインに反する点があり、改善を指導していく。被保護者の金銭管理の際の本人の同意確認を徹底していく。毎年1回、市内の全施設への立入調査で施設の設備や運営面を確認し、必要な改善指導している。被保護者には、担当ケースワーカーが定期的に訪問して健康面や生活状況を確認しているが、今後も詳細に聞き取り調査を行っていく。

○ 障害者問題について

 利用者負担は、国がこれまでの応益負担から応能負担に改める改正法を国会へ提出している。市では、国の特別対策の対象外である補装具、日常生活具を独自に利用者負担の激変緩和策を実施しているので、更なる軽減策は考えていない。
 施設職員の報酬を国は4月より5.1%改定した。またH21年度の補正予算で報酬とは別に、障害福祉サービス等の各事業所の福祉・介護職員処遇改善へ総額1070億円の助成金が盛り込んでいる。10月サービス分から実施の予定であり今後の動向を注視したい。H21年度当初予算や補正予算で、経営基盤の安定化・職員の処遇改善、障害福祉サービスの質向上などの取り組みが盛り込まれている。
 療護施設への身障者の入所待機者数は、H20年12月現在68人だ。施設建設は、「2次5計」で障害者支援施設建設を2か所予定し、社会福祉法人の施設整備に建設費を助成することになる。
 社協の居宅介護事業の廃止は、社協でH17年度に策定した経営改善計画に居宅事業見直しを位置づけ、事業経営の適正化を検討してきた。しかし、介護報酬の引き下げ等で事業継続が困難なことから、現利用者を他の事業者に移行して今年度末で事業廃止する事を決定したもの。
 市の社協への財政支援は、同様の事業者との間で差別が生じるので難しい。利用者の同意を得て他の事業者へ移行することになっているので、市は状況を見守りたい。非常勤ヘルパーの雇用については、社協が事業廃止を今年5月に訪問介護事業者等に事業の廃止を知らせ、利用者やヘルパーの受入調査を実施した。その結果、223事業所でヘルパー受入が可能とされており、今後事業所と協議し、雇用を確保していくよう指導したい。

○ 国民健康保険について

 資格証明書を交付された世帯でも医療が必要で、しかも医療費の支払いが困難な場合、世帯主の申し出で短期保険証を交付している。資格書の交付は、資力がありながら滞納する世帯には、接触の機会を設けるために有効だ。
 現在、中学生以下には資格書交付対象から除外しているが、医療が必要でかつ医療費の支払が困難な場合は「特別な事情」に準ずると考え、中学生以下に限らず短期証を交付している。
 新型インフルエンザは秋以降、患者数が大幅に拡大すると予想されており、保健所のサーベイランス体制等の強化を図り、初期医療体制の強化・重症患者等への医療確保を医療関係団体と連携し強化する。
 国保事業は極めて厳しい状況にあり、一般会計から多額の繰り入れを行なっている。高齢者の人口が増える中、医療費も増加が見込まれており、引き下げは困難だ。

○ 保育所問題について

 待機児童の解消は重要課題だ。H20年度から「緊急3か年整備計画」で重点的に整備しているが、この進捗状況や待機児童状況を踏まえ、新たな対策等を検討していく。「保育所のあり方」案は、「民営化ありきだ」の声があったり、策定から時間が経過している。また、国で保育の仕組みを大きく変える検討がされており、見直しの必要性を国の動向を見ながら検討していく。
 子どもの医療費無料化は、千葉市は単独の国への要望で、補助制度の創設を要望している。中学卒業までの無料化は、県などの動向を踏まえつつ、入院費については来年度から小学卒業までの実施を検討する。

【市民局長】

○ 消費者行政について

 消費生活センター等への多重債務に関する相談件数の推移は、H18年度377件、H19年度482件、H20年度435件だ。市は、H19年12月から「多重債務者支援庁内連絡会議」を設置し、関係部局の担当課長の連携で対応している。H19年度からは弁護士の特別相談を実施、H20年度は月1回、今年度から月2回実施している。市政だよりやくらしの情報などで広報啓発に努め、街頭キャンペーンをJR駅2か所で実施した。
 相談窓口の充実について、多重債務問題を抱える関係部局による「連絡会議」を活用し、弁護士会等とも連携して市民に知らせていく。消費生活センターでは、緊急を要する相談を迅速に対応するため、今年度から毎月第2・4土曜日の午前9時から午後4時まで電話相談を実施している。

【都市局長】

○ 千葉都市モノレールについて

 延伸は、市財政状況が好転するまで凍結する。今後、有識者を交えて千葉市都市交通政策の検討の中で議論する。経営改革は、モノレール(株)の社長を公募し、大胆な経営改革と積極的な営業・広報活動を展開してもらう。市民に親しまれるモノレールへ愛称の公募も考えたい。
 安全運行のために欠かせない新型車両の導入や運行管理システムなどの設備更新に必要な費用確保のため、増収・経費削減に努めていく。駅のバリアフリー化は、H22年度を目標に全駅にエレベーター整備を進める。

○ 千葉駅西口再開発事業

 当初の計画は、戦後からの右肩上がりの経済成長を前提に、1990年代のバブル経済崩壊に伴う地価下落局面で、収支が厳しくなったものだ。
 購入した用地の大半は、駅前広場や都市計画道路の敷地に活用する市民の貴重な財産だ。建物計画は地区内権利者の生活再建に必要な床を確保し、利便性を活かした駅前にふさわしい施設とすることが不可欠だ。A棟は、厳しい経済状況だが現計画を基本に、特定建築者を早期に公募する。千葉駅と駅ビルを建て替えるJRに、利用者の声や利便性を高める計画になること。東口と西口の動線を確保するよう要望していく。

○ 弁天地区複合施設整備

 市が保有する公有財産の土地面積は、道路・水路、企業会計に属するものを除き、全体で1538平方メートルある。内、利用計画がなく売り払い可能な用地はH21年6月末で約3万6千平方メートルあり、内訳は公募処分予定地が約9千平方メートル、事業残地など隣接者処分予定地が約2万7千平方メートルある。土地開発公社保有の土地は約5万平方メートルあるが、全て市の事業に供する予定で計画的に買い戻していきたい。

【教育次長】

○ 教育問題について

 経済的理由で学用品費や給食費等を援助する就学援助制度の申請状況から、過去3年間で小・中合わせて、各年概ね6千人程度で横ばい状況だ。H20年度の就学援助制度の申請者数は小学校3705人、中学校2189人、合計5894人、認定者数は小学校3601人、中学校2137人、合計5738人だ。子どもの教育環境整備と質の充実には、学校の適正配置は必要であり、保護者や地域の意見を聞きながら取り組んでいく。少人数学級や線化教員配置は、県の学級編成基準と教職員の定員配置基準で実施している。専科教員は統廃合で適正規模の13学級になれば配置される。
 地震で倒壊の危険性の高い学校名、診断結果、及び改修時期等を市のホームページで公表している。最も危険な震度6以上で倒壊の危険があるIs値0.3未満の学校は、安全性を確認しつつH22年度までに耐震化工事を完了する予定だ。