もりた真弓議員の一般質問

2009.7.10

1.「定額給付金」について

写真 はじめに、「定額給付金」についてうかがいます。
 「定額給付金」は、「目的が生活対策でも景気対策でもなく公金を使った選挙対策だ」と国民の7割から8割が反対していたにもかかわらず、再議決までして強行されました。しかも、1回限りの給付金の後には何十倍もの消費税増税が待ち構えていることも、多くの国民は見抜いています。
 まず初めに、この「定額給付金」についての市長の見解を伺います。
 つぎに、千葉市の申請状況と給付についてうかがいます。
 「定額給付金」は問題はあっても、国民の税金ですから、やるからには徹底して、すべての人に渡るように手立てを尽くすべきです。うかがいますが、
 1つに、市全体の申請書の発送世帯数と、申請済み数、申請をしていない世帯数はいくつかお示し下さい。また、郵送してあて先不明で返送されてきた申請書はいくつか、お尋ねします。
 2つに、今回の制度は申請方式です。周知も含め、高齢者世帯など特別の配慮はされたのでしょうか。
 3つに、この「定額給付金」で千葉市に何らかの経済的効果はあったのか、うかがいます。また、調査など予定しているか、お尋ねします。
 4つに、未申請の方への今後の働きかけとしてどんな工夫をする予定かお尋ねします。

 国会では、DVなどの被害で、同一世帯に住んでいない方への支援策として、定額給付金と子育て応援支援金に相当する予算が組まれ、今回の議案で提案されました。
 「定額給付金」は、当初から住所の確定していない方に、申請書が送れないなど、給付の対象にならないことが問題とされました。今回、DV被害者など、世帯として受け取ることが困難な方に、手立てが取られたことは、評価できると思います。
 しかし、路上生活者やネットカフェなどで生活している、本当に給付金を必要とする人には申請書が届かない仕組みです。こうした状況で暮らしている人が、給付金の申請をできるように、行政が責任を持って働きかけることが必要と考えます。
 5つに、路上生活者が寝泊りしている公園や駅周辺、ネットカフェなどに市職員が足を運んで、制度を知らせる事を提案しますが、いかがですか。
 6つに、今回の「定額給付金」について、他の自治体では早くから、独自の支援策を検討し準備していたようですが、今後、国が進める政策の不備で、不利益をこうむる人が発生する恐れのあるときは、住民に公平な制度運用になるよう、すみやかに千葉市独自で対策を行うべきと考えます。市長の見解を伺います。

2.民生委員について

 つぎに、民生委員についてうかがいます。
現在、全国には22万人の民生委員・児童委員がいます。そして千葉市では、2009年6月時点で1,408人の民生委員、児童委員が、活躍しています。
 民生委員は、「援助を必要としている」住民と同じ地域で生活をしているため、土日、休日にかかわらず、いつでも気軽に相談できるなど、地域の状況にあわせて柔軟に対応することが可能です。
 こうした特徴を生かして、民生委員は行政と車の両輪のように支えあい、連携して、地域住民の福祉ニーズの解決に当たる重要な仕事を担っています。
 そんな中、現在の社会状況は、この間、自公政権がすすめた「構造改革」で貧困と格差をひろげ、住民が抱えている生活上の問題も、複雑さや深刻さを増しています。ひとつひとつのケースに合わせた、きめ細かな対応が求められています。
 誰にも見取られずにたった一人で亡くなられる孤独死の問題や、年間3万人にもおよぶ自殺者は増え続けています。不安定な雇用が広がり、突然仕事や住まいを失うひとが後を絶ちません。地域の見守りがさらに大切になっています。
 ところが、民生委員の定員割れは全国でも見られ、千葉市でも1,440人の定員に対し、32人が欠員です。「前任者の退任時に後継者が見つからない」「適任だけれど年齢制限に合わない」「大変な仕事なので引き受けられない」など理由はいくつかあります。そこでうかがいます。
 1つに、千葉市の民生委員の欠員状況について、H19年12月の一斉改選時と、その後の人数の推移をお示し下さい。
 2つに、H19年12月の一斉改選時以降欠員の続いている地区数とそのおもな理由は何かお尋ねします。
 3つに、欠員解消のために必要なことは何と考えるか、見解を伺います。
 4つに、民生委員を取り巻く状況を考慮して、負担を減らすことも必要と考えますが、見解をうかがいます。

3.保育について

 つぎに、保育についてです。
 子どもルームについてうかがいます。
 子どもルームは、放課後の子どもの生活をまるごと受けとめる場所であり、働きながら子育てをする世帯にとって、さらに充実することがもとめられています。今回の議会には、学童保育連絡協議会から、陳情が3本提出されています。予算の増額、指導員確保、施設や定員の適正化などです。以下、子どもルームの改善を進める立場でうかがいます。
 いま現在の子どもルームの待機児童数は   人です。この間、財政難を理由に、第2次5カ年計画で全小学校に子どもルームを整備する計画は先送りされています。
 1つに、必要としながら子どもルームに入れない子どもたちがいる深刻な実態を、市長はどう受け止めていますか。遅れている計画は、前倒しで予算化し、待機児童の解消を進めるべきではないのか、見解をうかがいます。
 2つに、指導員についてです。
 現在の子どもルームの指導員の置かれた状況ですが、2007年6月に子どもルームの利用時間が延長されて、丸2年たちました。指導員の人数は増やさず、時間だけ延長になったため、細切れの休憩時間や変則勤務など、指導員の負担増につながりました。また、2008年4月からの受け入れ定員は、「子どもルームの活動面積に対して、児童一人当たり1.5平方メートルと算定」されていたものが、「施設の総面積に対して、児童一人当たり1.65平方メートルで定員を算定」することになりました。さらに、弾力枠が設けられ、「総面積に対して1.5平方メートルまでは児童を受け入れる」とした運用に変更され、広さは変わらないのに児童の受け入れが増やされ、過密ルームとなっています。
 「指導員は増えないのに、時間は延長され、児童の受け入れ人数は増える。」こうした、仕事の大変さに加えて、雇用は単年度契約、給与は低いまま変わらず、ルームには休養をとる休憩室も設けられていないという、待遇の低い実態が、指導員不足の要因ではないでしょうか。子どもたちの健やかな成長に関わる人たちの待遇改善を真剣に考えるべきです。
 1つに、この間、それぞれの子どもルームの指導員等不足の実態調査は行っていますか。
 2つに、欠員状態のルームについて、指導員確保のための対策は検討されていますか。
 3つに、指導員からの待遇改善を求める切実な要望が出ています。声をしっかり聞いて、待遇改善を図ることを求めます。お答えください。
 4つに、施設の改善についてです。
 今回、学校の空き教室を利用したルームをいくつか見学させていただきました。
 子どもルームは、それぞれの立ち上げからの経過があって、施設の形体もさまざまですが、どんな形体でも、子どもたちが毎日利用する施設ですから、日常の保育が支障なく行なえるよう、快適な生活の場としての整備が必要です。
 そこで、今回は、学校の空き教室を利用しているルームについてお尋ねします。
 1つに、学校の空き教室を子どもルームとして使用する場合の、改修項目は何で、どんな基準で改修するのか、うかがいます。
 2つに、施設の改善について、花見川区のある子どもルームで伺ったようすとあわせてお尋ねします。
 ルームの床はPタイルで、私が見た他のルームでは多少の差はありましたが、子どもたちがはだしで歩いても冷たくないように、リフォームされていました。また、手洗いのシンクも1つしかなく、おやつ前には、手を洗うために40人前後の子どもたちが長蛇の列になるとのことでした。
 市内の空き教室利用のルームで、床がPタイルのルームは、他にもあるのか、また、手洗い場の数が一つだけしかないルームもあわせてうかがいます。
 3つに、雨天時の遊びのスペースなど、複数の空き教室をルームに開放している学校はあるか、うかがいます。

 つぎに、保育所についてうかがいます。
 2009年3月1日現在の保育所の待機児童は1,130人で過去最高の数字となりました。2008年の4月の待機児童は335人でしたから、一年間で795人も増えたことになります。そして、今年度2009年4月は318人でしたが、6月1日ですでに359人が待機児童となっています。年度末にはさらに多くの子どもたちが保育所に入れないことになると予想されます。そこで伺います。
 1つに、今後の待機児童解消の方法についてお尋ねします。
 2つに、待機児童対策の緊急3カ年計画に関連して、今年4月開所の6ヶ所の小規模保育所の保育状況についてうかがいます。
 先日、それぞれの保育園を見学させていただきました。
 小規模保育所として、30人から45人の定数で整備された保育所ですが、定員はさほど違わないのに、建物の広さには、ずいぶんと差がありました。
 1つに、千葉市の認可保育所として、基準を満たしていると思いますが、面積で比較して5倍の違いがあることについて見解を伺います。
 また、6ヶ所の保育園は、近くの公園を園庭として利用することにしていますが、でこぼこした石があり、せっかくある水辺も子どもには危険で遊べないなど、保育所の園庭としては利用しにくいとの意見も聞きました。
 2つに、乳児でも安全に使える公園として、環境整備をする責任は、千葉市にあると思いますが、見解をうかがいます。
 3つに、2010年、来年4月からスタートする駅前小規模保育所4ヶ所の募集結果と、今後のスケジュールについてうかがいます。
 4つに、保育所の改築についてうかがいます。
 大森保育所と千城台西保育所は、新5カ年計画で改築予定でしたが、第2次5カ年計画でも取り上げられずそのままの状態です。改築を先送りし、そのまま放置しているのは、「公立保育所のあり方(案)」が出されたためとのことでした。
 今回の市長選挙で、市長は、千葉市の保育をよりよくする会の公開質問状への回答に、「公立保育所のあり方(案)」については「いったん白紙撤回」と答えています。そこでうかがいます
 1つに、「公立保育所のあり方(案)」についての、市長の見解を伺います。
 2つに、あらためて、新5ヵ年で大森保育所と千城台西保育所を改築するとしていた理由と、今後この2つの保育所についてどうするのか、お示し下さい。

4.地域の諸問題について

 こてはし保健センターについて
来年4月の花見川保健福祉センターへの移転後の施設利用の方法について伺います。
 1つに、地域の住民からはどんな利用方法が寄せられていますか。
 2つに、跡施設利用はいつまでにどこで決定するのか、お示し下さい。
 3つに、広く地域の住民などと意見を交わしあって進めることが不可欠と考えますが、見解をうかがいます。
 以上で1回目の質問をおわります。

<2回目>

 1、定額給付金についてです。
 市長も、「高所得者にも給付することで、配ったお金が市場に回らない」と定額給付金の問題点を指摘していますが、決まった以上、「地方自治体の首長としては、その効果を最大限に高めるために全力で取り組む必要がある」とのお考えでした。
 そうであれば、給付金を受け取る権利がありながら、個々の事情で申請書が手元に届いていない市民に、最後まで徹底して届ける努力をしていただきたいと思います。

 つぎに、未申請の方への手立てですが、返送されてきた申請書については、再度郵送し、路上生活者等への対応は、公園等の巡回をするとのお答えでした。公園だけではなく、ネットカフェ等についても同様に、巡回し徹底して周知していただきたいと思います。お尋ねしますが、10月1日が申請〆切ですが、再配達や巡回の回数など、具体的にお示し下さい。

 2、民生委員についてです。
 一斉改選以降、欠員が埋まらない地区は、大規模住宅地やマンション建設で、これから世帯数が増えるだろうと予測して定員を増加したけれど、その地域で民生委員を引き受ける方がいないため、とのことです。
 年齢要件が緩和されて、68歳未満の方にまで対象を広げたけれど、欠員の解消はなかなかされていない現実もあるようです。
 市からの業務依頼などの負担軽減を行うことも、改善につながる1つの方法だと思いますが、そう単純ではないと感じます。
 ある民生委員さんのお話では、周りの目を気にして「困っていても自分からは相談してこない」という傾向があって、尋ねていっても対面できないことがあるとのことでした。また、最近は個人情報保護法の関係か、学校からも子どもたちに関わる問題で、必要なことの詳しい情報が入らなくなったとおききしました。
 以前は、民生委員といえば、名誉職と捉えられていましたが、時代が変わり人の関わり方も変わっています。
 市の依頼する業務を大幅に減らし、民生委員が本来の役割に専念できるように、民生委員の役割をわかりやすく説明したパンフレットなども使って、活動への理解を深め、協力しやすい環境づくりにつなげるなど、民生委員の仕事がやりやすくなる工夫が必要ではないかと思います。

 3、子どもルームについてです。
 市長の、「待機児童の解消は重要な課題と考えていること」そして、「早期の施設整備に努める」との答弁は、子どもルームの充実を願う関係者に期待を持って受けとめられるものです。
 子どもルームの実態は深刻です。今議会に提出されている3本の陳情は、何よりも子どもたちの放課後の生活を豊かにし、健やかな成長を保障するために、どうしても取り組まなければならないものです。保健下水委員会では、自民・公明の反対で不採択になりましたが、千葉市の子どもたちのこれからがかかった重い陳情であることを、強調しておきます。

 つぎに、指導員についてです。
 待遇改善について「指導員の声を聞きながら、給与水準・職場環境を含め、改善の必要性について検討」とのことですが、指導員の声はいままでも届いていたはずです。欠員の補充をハローワークやホームページで募集をしても、応募がないのは、労働条件に見合った賃金ではないからです。検討をするまでもなく、改善の必要性があると、認めませんか。お答え下さい。

 つぎに、施設の改善についてです。
 空き教室利用のルームの改修項目と基準についてお尋ねしました。
 活動スペースの床は、フローリング又はビニール床シート張りとの基準のようです。市内の24ヶ所のルームのうち4ヶ所だけリフォームされていない理由は何ですか。
 冷たい床に座って食事やお昼寝をすることを、市長はご存知ですか。もうすぐ夏休みです。夏休みの間、朝から夕方までの長時間、ルームで過ごす子どもたちの生活の場の改善に、今すぐ取り組んでいただきたいと思いますが、いかがですか。
 トイレや洗面・手洗い場については、あまりにも漠然とした基準で、「あればいいといった」印象を受けました。空き教室利用の子どもルームは40名程度の定員です。集団生活を送る上では、感染症防止や衛生面でも定員に見合った数を揃えなければいけないのではないでしょうか。現状で十分だという認識なのか、お尋ねします。

 つぎに、保育所についてです。
 待機児童対策についてうかがいました。
 4月スタートの小規模保育所とそのほか1ヶ所の定員枠の変更で、全体で231人の子どもたちが今年度入所し、4月の待機児童は318人とのことでした。それがなければ、549人の待機児童が生まれていたことになります。
 待機児童は、今後もまだ増えることが確実です。
 22年4月開園予定の小規模保育所4ヶ所の募集は、3ヶ所に5法人から申請があり選考中とのことですが、応募数も少なく募集のなかった地域もありました。再度募集するとのことですが、民間で引き受けるのも簡単ではないということでしょうか。
 今回、6ヶ所の小規模保育所を見学させていただきましたが、限られた条件の中で、保育の質を保ちながら、子どもたちの生活をどう充実させようかと、園ごとに大変工夫をされていました。毎日、公園にもお散歩にもでかけているとのことでした。
 小規模保育所の場合は、近隣の公園を園庭の代用として認める条件ですから、公園整備と安全対策には千葉市が責任を持つべきではないですか。あらためて、うかがいます。
 大森保育所・千城台西保育所は新5ヵ年から数えてもう10年が経過します。
 5年前にわが会派の野本議員が、千城台西保育所の施設状況の聞き取りをした資料があるのですが、「トイレは、自宅で洋式のため和式を知らないので最初は和式に座ってしまう。洋式は幼児室に一ヶ所だけなので行列になる。乳児室などは和式のまま。保育室とトイレの段差が15センチあり幼児室だけスロープ状にしたが他はそのまま。」とか、「給食室は新しい保育所では床がドライだけどコンクリートのまま。床の上に電気のパイプなどがはわしてあるためつまずきやすい。食器棚の一番下の引き出しは湿気のため全部開かない。」などなど、
 面談の結果にあります。必要な修繕はそのつど保育課に伝えて、修繕はしてもらっているとのことですが、大規模な改修にはなかなか応えられずに、ずいぶんと時間がたっています。
 こうした現実があっても施設の改築は必要ないとの判断でいるのか、うかがいます。

 最後に、「公立保育所のあり方(案)」は白紙撤回するとのことです。待機児童の問題は深刻ですが、それだけを進めていれば良い訳ではありません。保育は人を育てはぐくむ仕事です。
 千葉市が、国で検討している、「保育の仕組みを大きく変える」動きに同調しているとすれば、重大です。
 いま検討されている「新保育制度」は、自治体の保育実施義務がなくなり、保育所への入所は父母と保育施設との直接契約になり、入れなくても自治体の責任はなく、父母の自己責任にされるとんでもない制度です。
 保育を競争原理のもとに市場化・自由化するもので、経済分野ではすでに否定されている制度を持ち込むものです。父母・行政・保育士が、長い間かけて練り上げ、築き上げた保育環境や、保育の質は、かけがえのない千葉市の財産です。
 ハッピースマイルやエムケイグループのように、利益のためなら子どもを犠牲にしても省みないような、不安定な制度にさせてはなりません。
 これまで「公立保育所のあり方(案)」をめぐって出された「千葉市の保育をよりよくする会」をはじめ、市民の意見や要望など、きちんと踏まえた上で、検討することは当然です。見解をうかがいます。