野本信正議員の一般質問に対する答弁(要旨)

― 2009.7.14 ―

【熊谷市長】

○ 温暖化防止対策について

 政府の中期目標値は、新聞等でもEUやアメリカとほぼ同水準だが、達成するには産業界だけでなく家庭でも重い負担になるとか、野心的な削減目標を示さないと世界から共感は得られないなどの報道がされている。中期目標値は、多様な意見が出ているところであり、拙速に評価するのは難しい。これまで、八都県市首脳会議として「中期目標数値を京都議定書以降の温室効果ガス削減に向けた国際的枠組み作りをリードするような意欲的なものに」と、また大都市環境保全主管局長会議では「中期目標は世界の温暖化対策を牽引しうる高い水準に設定を」と国に要望している。

【都市局長】

○ 契約について

 公園等維持管理業務委託契約について、H18年度から20年度までの3年間に同一委託を同一業者が落札しているのは、58地区中48地区ある。同一業者が受注している理由は、受注意欲があり、企業努力で諸経費や利益率を考慮した見積りを行い応札した結果だと考える。58件の事業の指名業者の組み合わせは、地区・実績・地域性を勘案して毎年1件ごとに組み合わせを変えている。公平な受注機会の確保へ、同一地区の受注は連続3年までと制限し、3年ごとに前年度受注業者を含めない組み合わせになるよう選定している。
 穴川地区と小仲台地区は、2年度とも同一業者が落札していて、穴川地区は(有)和光園、小仲台地区は(株)徳受園だ。H20年度は、穴川地区は(株)小梛組、小仲台地区は泰伸建設(株)が落札している。この2業者は、H19年度以前は指名したことはない。H20年度で指名した理由は、両社とも入札資格者名簿「公園緑地等管理業委託」に登録されていて、実績があるなど指名業者の基準を満たしているからだ。H15年度から17年度の入札で、3年連続で同一地区の同一業者が入札したのは51地区ある。また、H15年度から17年度の間で同一地区を落札した業者のうちH18年度から20年間に他の地区で連続落札した業者は43社ある。
 落札業者が市造園緑化協同組合の加盟業者が多い理由は、市内業者で一定の実績がある66社のうち51社が同組合に加入していたためだ。同組合の加入者で落札した社は、H18年度で49社、19年度は50社、20年度は47社だ。組合への加入で区別することはない。
 組合の名簿では、H21年5月22日現在で加盟社数は51社だ。事業内容は、造園工事の共同受注や斡旋、造園用資材の共同購買、事業資金の貸付や借入等であり、組合員の自主的経済活動の促進と地位向上を図るとしている。役員は理事長に青木氏、副理事長に角田氏・佐藤氏のほか、理事5名、幹事2名がいる。顧問は宍倉清蔵氏・松戸敏雄氏だ。
 指名業者の組み合わせを毎年度変更したが、前年度の落札業者は実績を考慮し残すことにしている。市のルールで入札事務を適正に実施してきた。市が特定業者に受注を保証するものではない。受注機会の均等化のため、前年度の指名業者のうち半数を入れ替えた。競争性・透明性のため希望型指名競争入札を昨年度試行し、今年度から本格的に導入している。

【財政局長】

○ 契約について

 中央区役所・市美術館空調・熱源設備改修工事の入札で、資格業者2社しか参加しなかったのは、この工事が2社でのJV施工として、制限付一般競争入札だったもので、業者数は12のJVを想定したが、受注意欲が2社しかなかったものだ。辞退した1社は、1建設JVの構成員が見積もり期間中に破産申請したことから、参加資格を喪失し辞退したものだ。前回の落札業者は、施工業者は大気社・日比谷・石田建設JVだ。都市整備公社が制限付一般競争入札で実施したが、参加資格の業者を12社想定していたものの、結果的には1社の応札となったものだ。
 官製談合とは、国若しくは地方公共団体の職員等が入札談合等に関与する行為で、(1)業者等に入札談合を行なわせること。(2)契約者をあらかじめ指名し、契約の相手方に希望する旨の意向を教示し、示唆すること。(3)入札又は契約に関する情報のうち特定の事業者が知ることで、入札談合が容易になる情報を特定の者に教示し、示唆すること。(4)特定の入札談合等に関し、事業者の依頼を受け、又は事業者に自ら働きかけ、かつ当該入札談合等を容易にする目的で、職務に反し、入札に参加する者として特定の者を指名し、又はその方法で入札談合等を幇助すること。
 中央区役所・市美術館空調・熱源設備改修工事の談合情報は、5/11に報道機関から寄せられたため、都市整備公社では直ちに公正入札調査委員会を開催、審議の結果、調査に値する情報と判断した。入札参加者及び参加辞退者の建設共同事業体を構成する4社の責任者から事情聴取したが、談合の事実は確認できなかった。5/13に再度調査委員会を開催し、業者の不正は認められず談合情報の信憑性はないと判断したものだ。このことは公正取引委員会にも通報してある。

○ 固定資産税について

 今年度の固定資産税評価額は、基準となる20年1月1日の地価公示価格を踏まえ、7月1日までの地価下落状況を勘案したもので税額への影響はない。来年度の評価は、今年7月1日時点の地価動向を調査中であり、下落が確認されたら修正措置を講ずる。
 商工会議所の景気動向調査では、建設業の業況・売上げ景気判断指数は、H18年5月から今年5月の調査時点まで下降傾向が続き、県内の新設マンション着工戸数も昨年12月以降、前年比を下回る傾向が続いている。今年5月の同調査では、市内産業の業況で上昇の先行き見通しはあるが、地域経済は依然厳しいと認識している。
 H21年度に創設した住宅用地等に係る条例減額制度は、地価が急激に上昇したことで税負担が大幅に増加する土地に対応するため、条例で税額の上昇を抑制する制度だ。具体的には、適用対象となる住宅用地や商業地等を21年度から23年度までの固定資産税等を、その年度分の税額が前年度の税額を超える場合は、超える部分の税額を減額できるものだ。千葉市では、評価替えで平均評価上昇率が1.076倍であり、最大上昇地域でも3年続けて税額が1.1倍以上上昇する地域がないのでこの制度の適用にはならない。
 対象のケースは評価額が1.8倍以上となる土地であり、千葉市には存在しないがH20年度の評価額1千万円の商業地をモデルに試算すると、21年度の減税額は3千円程度だ。

○ 徴収率向上と納税困難者への対応について

 H20年度の差し押さえ件数が18年度・19年度に比べ増加しているのは、滞納者の納付資力ある方に交渉に応じてもらう必要があり、滞納者の財政調査を組織的に行なった結果、件数が増えたものだ。特に中央区が多い理由は、滞納者68,000人のうち25%の17,000人が中央区だったので差し押さえ件数が多くなった。
 高額滞納整理質の徴収担当職員は、H18年度65人、19年度69人、20年度76人だ。資産調査の内容は、滞納者との納税交渉の際に相手の資産状況を把握する必要があり、昨年度から預貯金や生命保険、給与等を調査している。徴収担当職員には、研修等で納税者には公平・公正な態度で接するよう指導している。財産調査で、預貯金を差し押さえ、納税を働きかけるが、応じてもらえない場合は生活状況・経営状況を勘案し、国税徴収法に基づき預貯金や生命保険解約金を引き上げ滞納税に充当する場合がある。
 滞納者が病気や失業中で納付困難な場合は、分割納付や徴収猶予など個々の事案に応ずることにしている。国税徴収法は、生活必需品の差し押さえ禁止、一定基準の給与の差し押さえ禁止、社会保険制度に基づく給付の差し押さえ禁止、事業の継続に必要な機械などの条件付差し押さえ財産の禁止を定めている。地方税法では、病気や失業等で納付困難になり、滞納市税の一括納付が困難な場合、徴収猶予など分割納付ができることになっている。
 今年度より公的年金等からの特別徴収制度が導入され、普通徴収分と特別徴収分の2通、納税通知書を同封したことで、「二重ではないか」「分かりにくい」などの意見があった。今後は、基本的な税の仕組みや重要な情報等は、大きな文字で簡易な資料にするなど、見やすく分りやすい通知書になるよう検討したい。
 中央区の行き過ぎた差し押さえへの苦情は把握していない。今年度の差し押さえ件数が前年度同期より減っているのは、昨年50万円以上の高額滞納事案に積極的な差し押さえを行なったが、今年度は50万円未満の滞納事案と滞納者への財産調査等を中心に行なっているので件数が減ったものだ。

【環境局長】

○ 地球温暖化防止対策について

 「環境モデル都市」に選定された4政令市では、意欲的な目標を掲げ取り組んでおり、参考にしながら今年度からの次期実行計画の検討の中で、中期・長期の目標設定や効果的な対策を検討する。
 エコポイント制度で使用する「統一省エネラベル」の記載内容は、経済産業大臣の諮問機関「総合資源エネルギー調査会」が定めた測定法で、製造事業者が測定、小売事業者が表示しているものだ。液晶テレビ等の消費電力量は、使用状況で変化するもので、ラベルに記載された消費電力量と実際とが一致しないことは考えられる。「統一省エネラベル」の記載内容の信頼性は国で確保すべきものだ。消費生活センターに相談があれば適切に対応する。