佐々木ゆうき議員の一般質問

2009.7.14

1.平和行政と平和教育について

(1)平和行政について

写真 はじめに、平和行政についてです。去る4月5日、オバマ米大統領は、チェコ・プラハで、「何千という核兵器の存在は最も危険な冷戦の産物。核兵器を使ったことのある唯一の核保有国としてアメリカには行動する責任がある。アメリカは核兵器のない平和で安全な世界を追求する」と、演説しています。
 唯一の被爆国である日本が、核兵器廃絶という目標にむけてイニシアチブをとることが必要ですが、その前提となるのが地域、地方自治体からの声であります。
 質問に先立って、被爆地である広島市を視察しました。広島市は、核兵器のない平和な世界の実現を願う市民意識の喚起を目的に、1982年から「平和市長会議」を主宰しています。2020年までに核兵器廃絶を目指す「2020ビジョン(核兵器廃絶のための緊急行動)」を2003年に打ち出し、各国の加盟都市と連携を図り、キャンペーンを展開しています。日本の都市の核兵器廃絶に向けた連携も呼びかけています。2008年2月から、平和市長会議への加盟が、各都市にも呼びかけられています。政令市では、主宰する広島市をはじめ、札幌市、京都市、堺市、新潟市が加盟しています。加盟についての年会費などの負担は一切ありません。
 また1989年、ちょうど20年前に千葉市において、平和都市宣言がおこなわれました。
 言うまでもなく、核兵器廃絶と世界の恒久平和は市民の共通の願いです。原爆の被爆者は、いまも身体や心の傷とたたかいながら、2度と核兵器は使わせてはならないと願っています。
 広島市と長崎市では、原爆展の開催に活用できるパネルなどの被爆資料を、自治体など非営利団体に貸し出しを行なっています。
 千葉市における平和行政は、千葉空襲写真パネル展や平和について語る会など、平和啓発事業に取り組まれています。
 千葉空襲から60年余りが過ぎ、戦争の悲惨さなど語り継ぐことが難しくなっている状況の下、被爆や空襲の実相を学ぶとともに、次世代へ語り継ぐ取り組みを強化させることが必要です。今後の平和に関する市民意識の向上と、平和啓発事業の充実を求め、以下、伺います。
 1つは、オバマ米大統領の、チェコ・プラハで行なった演説に対する、市長の見解を伺います。
 2つは、これまで、平和市長会議に「参加」という形で、局長が参加しているようですが、今度は、市長に平和市長会議への加盟をすることを求めるがどうですか。
 3つは、「平和都市宣言」を、「非核平和都市宣言」へ改め、核兵器廃絶の流れをひろげる先頭に、千葉市も立つべきではないですか。
 4つは、原爆症認定集団訴訟が、高裁や地裁で勝訴していますが、全面解決が急がれます。市長としての原爆症認定訴訟について、どのような見解をお持ちでしょうか。
 5つは、千葉空襲被災者を語り部として、千葉空襲写真パネル展開催期間中に派遣するなど、戦争の悲惨さを語り継ぐ取り組みを進めてはどうですか。
 6つは、千葉空襲や原爆の実相などを語り継ぐためボランティアを育成したり、被災者・被爆者団体へ、企画展や講習会に派遣要請をするなど、平和啓発事業の内容の充実を図るべきだと考えますが、どうでしょうか。
 7つは、市役所や各区役所で毎年おこなわれる空襲写真展で、毎年2カ所程度、輪番で戦災資料の企画展示をして、より平和啓発に結びつく取り組みを進めるよう提案いたします。
 8つは、広島市と長崎市から、被爆資料を借り、千葉空襲写真パネル展と合わせて、原爆展も開くよう提案いたします。
 9つは、戦争遺産・戦跡などを被災者や、市民のみなさんに情報提供をお願いし、掘り起こしを行なって、戦跡めぐりの充実を求めます。

(2)平和教育について

 次に平和教育についてです。平和教育とは、「国際理解を深め、戦争を防ぎ、平和を維持するための教育活動で、学校教育の一領域として扱われるが、広く家庭教育・社会教育にもつながり、平和の実現という観点から、教育の内容や方法を問い直す機能を持っている」とされています。
 教育基本法第1条・教育の目的として、「教育は、人格の完成を目指し、平和で民主的な国家及び社会の形成者として、必要な資質を備えた心身ともに健康な国民の育成を期して行われなければならない。」としています。これは過去の歴史、特に戦前の悲惨な戦争や教育などの教訓から考えて、大事な部分であります。
 千葉市の年間指導計画では、千葉市の空襲や戦時下の市民生活の様子等を、小学校では3時間、中学校では9時間程度学習することとなっており、地域の歴史から戦争の実態と平和の意義について考える学習を進めています。
 広島における平和教育について、教育委員会として子どもたちに対して行なった平和に関する意識調査から、被爆体験を「継承」の最重要課題として位置づけ、平和教育を推進している。悲惨な空襲を体験した千葉市としても、平和教育に力を入れていくことが必要です。
 また、広島市では、市内の小学校6年生を対象に「平和」についての作文を募集・選考し、入賞した20名による意見発表会・学習会をおこなっています。そして、平和祈念式典で、代表者2名が「平和への誓い」を世界に発信しています。
 また、中学生と高校生については、「平和」に関するプレゼンテーションや文化芸術活動の発表を開催しています。
 千葉市もこうした努力が必要だと考えます。そこで伺います。
 1つは、教育委員会として、千葉空襲を風化させないために、悲惨な戦争や平和の尊さをどう後世に伝えていくのか。教育委員会の考えや対応を示してください。
 2つは、千葉市として、子どもたちへの平和に関する意識調査の実施をして、子どもたちの「平和」に関する意識状況をつかんではどうか。
 3つは、千葉空襲の体験者を講師に、各小学校、中学校、高校で年1回の行事として直接体験者から空襲体験を聞く会の実施をしてはどうか。例えば7月7日の七夕空襲を中心に、平和の集いを開催して、千葉市に空襲があったことを伝え、平和の意義を理解するための努力を、千葉市として取り組むよう求めます。
 4つは、千葉空襲についての理解を深めるのと合わせた「平和」の作文の実施をおこなってはどうか。
 5つは、8月6日広島市と、8月9日長崎市の平和祈念式典への児童・生徒の派遣を行なうよう求めます。

2.土地の利活用について

(1)稲毛海岸5丁目公務員宿舎跡地について

 次に稲毛海岸5丁目公務員宿舎跡地についてです。跡地約11.8ヘクタールのうち、約4ヘクタールは、2011年3月までにPFI事業によって、公務員宿舎の建て替えを行なう予定です。今年2月に落札者が決定し、整備事業の中身も明らかになってきています。世帯用・単身者用など合計で970戸の戸数が整備されるようです。
 また、一般競争入札の用地7.8ヘクタールについては、昨年12月に入札が行われましたが応札者はありませんでした。再度、今年の5月に再公示されたところです。
 近隣住民や、美浜区全体にとっても貴重な土地であることから、稲毛海岸5丁目公務員宿舎跡地の活用への関心が高まっています。
 1つは、公務員宿舎の建て替え部分について、取り壊す際のアスベスト対策は、どのように取り組まれているのか。
 2つは、公務員宿舎のアスベスト含有量などの公表は行われたのか。
 3つは、周辺には、小学校や保育所など、子どもや地域住民がいる場所であり、アスベストの飛散について、どのような説明が行われたのか。
 4つは、建て替え部分内の付帯的事業として、千葉市の要望していた高齢者施設はどのように反映されたのか。また、一般競争入札部分についてはどのように事業計画に盛り込まれたのでしょうか。
 5つは、稲毛海岸公務員宿舎の建て替え部分を含め、跡地全体の経過について住民懇談会や説明会を千葉市として行なうべきではないですか。また、PFI事業者や財務省にたいして求めるべきではないですか。
 6つは、私どもは、これまで稲毛海岸5丁目公務員宿舎跡地を、千葉市として、市民から寄せられている要望に沿って活用をするよう求めてきました。改めて、この土地について、国から払い下げを求めるべきではないですか。

3.定住外国人の支援策について

 次に、定住外国人の支援策についてです。第1は、外国人住民の登録制度についてです。千葉市内の外国人登録者数は、22,209人です。現在、日本に90日以上滞在する外国人は、「出入国管理及び難民認定法」、いわゆる入管法と外国人登録法で管理されています。入国時や在留期間の更新時は入管法が適用され、外国人登録証については市町村が交付します。このため「二元管理」と言われています。
 「出入国管理及び難民認定法」と「住民基本台帳法」を改正する法案が7月8日に、参議院本会議で賛成多数で可決されました。今回の改定では、外国人登録法が廃止され、新たな「在留管理制度」と「外国人住民基本台帳制度」に再編されます。
 新しい制度では、永住者を含む在留資格を有し3ヶ月以上滞在する外国人を、新しく「中長期滞在者」と区分し、顔写真、氏名、居住地などの個人情報を入力した在留カードを、法務省が交付します。在留カードは、常時携帯も義務付けられ、違反すれば刑罰の対象となるものです。
 新制度には、問題点があります。新設される外国人住民台帳に記載される対象者は、在留カードを交付された人や、特別永住者などに限定されています。
 外国人に保障された人権と、在留カードによる個人情報の管理もプライバシーの侵害となり、問題であります。また、「不法滞在」の外国人は、全国で約13万人とも言われています。この方々への丁寧な対応も求められています。
 現在の制度では、在留資格の有無にかかわらず、仮に不法滞在でも、居住実態があれば、市町村は外国人登録証を交付し、国民健康保険や生活保護などの住民サービスを実施しています。
 千葉市における外国人との共生を願い、以下伺います。
 1つは、「出入国管理及び難民認定法」と「住民基本台帳法」の改正による、外国人住民の登録制度の変更内容と、今後のスケジュールはどのようになるのか。
 2つは、新制度によって「在留期間」を超えて滞在する外国人住民は、住民票に記載されず各種行政サービスが受けられなくなりますが、市の見解を伺います。
 3つは、外国人住民として登録されている方ではなく、いわゆる「不法滞在」の外国人について、現在、千葉市としてどのような対応を行なっているのか。
 お答え下さい。

 第2は、外国人住民への支援についてです。千葉市では、国際交流課や千葉市国際交流協会が中心となって、生活相談や無料法律相談など、支援をおこなっています。昨年度の外国人生活相談の件数は、1,950件寄せられています。5年前は、787件ですから、相談件数は増加傾向にあります。
 外国人の風習などが違うために、近隣住民とのトラブルは絶えません。外国人法律相談は、昨年度12件という状況は、氷山の一角であり、そのまわりの多くの外国人の相談をしたくてもできない状況にあるのではないでしょうか。
 また、外国人市民との共生では、学習支援も欠かせないものとなっています。
 浜松市では、緊急経済対策の一環として、ハローワーク、労働基準監督署、国際交流協会と連携して、職業相談、生活相談などワンストップでおこなう窓口を浜松多文化共生センター内に開設しています。
 そこで、伺います。
 1つは、外国人支援について、区役所窓口など身近な公共機関での生活・法律相談各種を受けられるよう、体制の強化を図るよう提案します。
 2つは、市内の大学で、国際学部・外国語学科等と連携しながら、公共機関での外国人学習支援センターの設置について検討してはどうですか。
 以上、お答え下さい。

4.学校における部活指導について

 次に、学校における部活指導についてです。08年9月に出された「中学校学習指導要領解説・保健体育編」では、部活動の意義について、「生徒の自主的、自発的な参加により行われる部活動については、スポーツや文化及び科学等に親しませ、学習意欲の向上や責任感、連帯感の涵養等に資するものであり、学校教育の一環として、教育課程との関連が図られるよう留意すること。その際、地域や学校の実情に応じ、地域の人々の協力、社会体育施設や社会教育関係団体等の各種団体との連携などの運営上の工夫をおこなうようにすること。」としています。
 千葉市では、運動部活動については、顧問の人数が960名おり、複数の部活動顧問を兼任している方は18名います。
 課題は、顧問の高齢化や指導者の不足。また、教員が会議等で部活指導につけないなどの状況があります。
 文部科学省が2006年度に委託調査でおこなった「教員勤務実態調査(小・中学校)報告書」があります。この中では、特に運動部活動の顧問をしている場合、勤務日では平均3時間5分、休日では平均4時間19分にのぼるとされています。部活動による教員の負担が大きく、それ以外にも授業の準備などもありますから、さらに負担となっている状況にあると思います。
 今年の1月1日、部活動指導業務を含めた千葉県の中学校費における特殊勤務手当が改善されたようです。
 1つは、教員の多忙化、負担軽減から、地域によって複数校など共同して、クラブ方式にするところも検討してはどうか。
 2つは、スポーツボランティアの育成、または地域のスポーツクラブへ顧問の要請をするべきではないですか。
 以上で1回目の質問を終わります。

(2回目)

 まず、平和行政についてです。平和市長会議への加盟に対する市長の答弁は、「前向きに検討する」とのことでした。同じ若い世代としても、この平和問題については、議論していきたいと思います。平和市長会議への加盟以外の答弁は、今までの市長が行なっていた範囲を脱していないように感じます。
 戦争の悲惨さや原爆の実相を語れる方は、あと10数年もすればいなくなるのです。平和は、教育だけでなく、市民のみなさんの活動など、あらゆる活動の前提条件であります。改めて、市長自らの平和に対する考えを求めます。
 核兵器廃絶はいまや世界の流れです。アメリカとロシアが7月6日に、核弾頭の削減を合意しました。こうした流れがあるにもかかわらず、被爆国の日本国民にとって重大な問題は日本政府の態度です。相変わらず「日米安全保障体制の下における核抑止力を含む拡大抑止が重要」と、「核の傘」の維持を繰り返しています。
 日本共産党千葉市議団が1984年に、非核平和都市宣言を求める質問を行なって以降、市民からは「非核平和都市宣言」を求める請願署名が取り組まれ、10万人の署名が集まりましたが、賛成少数で否決。88年には、ヒロシマ・ナガサキアピール署名が、24万人分の署名が集まり、その後の「平和都市宣言」につながっていった経緯があります。いまの宣言のおおもとは、「空襲による被災、核兵器による被爆と悲惨な戦争を繰り返さない」という市民の願いです。そこで伺います。
 1つは、政令市で、一番若い市長が加盟することで、戦争を知らない世代の意見を反映できると思います。市長は、平和都市宣言に基づくならば、日本の都市の力を結集して、国際政治を動かす先頭に立とうという、その平和市長会議への「加盟」を、この議場で表明すべきではないですか。
 2つは、「核兵器の脅威をなくし」という宣言文の内容をふまえて、被爆者の方にも体験を聞く会などへの参加を依頼し、宣言文に沿った原爆被爆者を含む平和啓発事業の充実を図るよう求めますが、見解を伺います。
 3つは、被爆資料の借用について、展示スペースを問題にしていますが、区役所によっては広いホールに空襲パネルを展示していて、スペースは十分あります。展示スペースの確保は、やる気の問題です。最大限、空きスペースを活用するよう求めます。
 お答え下さい。

 次に、平和教育についてです。
 千葉市では、小学校6年生の社会科、中学校の社会科歴史的分野などの学習において、独自に作成した社会科副読本等を用いて、戦争の悲惨さや平和の尊さについて実感できるように指導しているとの答弁でした。また、こうした時間の中で、平和について学ぶ機会を設けるなどして、平和教育をすすめているとのことでした。
 6月21日付の沖縄の琉球新報によると、戦争体験者と連携して、語り部の派遣をする取り組みや、演劇を通して平和と人権を考える授業を実践する学校などがあると報道され、小中学校の平和教育について、2008年度小学校で94.9%、中学校で91.6%が、何らかの取り組みをしているということでした。講演会、戦跡めぐり、平和集会など様々です。一方で、教員の多忙化のなかで、カリキュラムに取り入れるのは困難な場合もあります。
 「平和に関する意識調査」「平和の集い」「平和の作文」「平和祈念式典への派遣」
については、「他の自治体の動向等も勘案して、関係部局と協議するなど研究してまいります」との答弁でした。
 戦後64年も経ち、空襲の被災者や市内の原爆被爆者も高齢化し、語れる方も減っていきます。答弁では、あまり深刻に受け止めていないように感じます。語り継ぐ問題は急がなければなりません。また、「今後、郷土博物館において平和資料を展示するとし、学校の校外学習等でも活用を図る」としています。平和教育の充実が必要です。
 1つは、各学校で取り組まれているボランティア団体や戦争体験者の取り組みを、各小・中学校、市立高校などに知らせ、こうした経験を広げていくべきではないでしょうか。
 2つは、千葉市で悲惨な戦争を体験された方、原爆の被爆者が元気でいる間に、語り継いでもらうという考えはないのでしょうか。
 3つは、郷土博物館の平和資料展示にあわせて、ボランティア団体や戦争体験者、原爆被爆者を招くなどの検討をしてはどうでしょうか。お答え下さい。

 次に、定住外国人の支援策についてです。
 外国人住民の登録制度についてです。法改正の中で「住民登録されない不法滞在者も義務教育などの一定の行政サービスが受けられるための配慮を附則に盛り込んでいる」とのことでした。
 今回、住民基本台帳改正法によって、外国人登録証明書が廃止され、法務大臣が「適正」と判断した外国人に在留カード置き換えられます。オーバーステイなどの理由から在留カードが交付されない外国人は、現行で受けられている行政サービスから排除される可能性も含んでいます。
 オーバーステイでも、長年この日本に定住し、働き、税金も納め、日本の産業を支えてきた方もいます。国の議論において外国籍の住民の声を聞かないまま、法案を通されたことは残念であります。
 伺いますが、外国人との共生の観点から、国に対して、自治体の裁量によって、国民健康保険や生活保護など、今まで行っていたものについては、継続してできるように国に要望すべきではないですか。
 相談体制の強化についてですが、「日本語の理解が十分可能な外国人の方については、各区役所地域振興課の相談窓口で、家事相談や法律相談を受けることができる」と答弁がありました。
 1つは、身近な場所にある区役所における相談窓口の利用について、国際交流協会と連携して広報誌などにも掲載し、広く外国人住民への周知を図るよう求めますが、見解を伺います。
 2つは、外国人住民の状況を千葉市としても把握するため、国際交流課が、国際交流協会のボランティアの協力を受けて、外国人住民を定期的に訪問し、生活相談等に乗ることを求めますが、どうでしょうか。
 以上で、2回目の質問とします。