日本共産党が提出した意見書

平成21年第3回定例会
Y1

 (提出年月日)平成21年8月24日
 (提出会派名)日本共産党千葉市議会議員団

所得税法第56条の廃止を求める意見書(案)

 中小零細業者は、地域経済の担い手として日本経済の発展に大きく貢献してきた。しかし、その中小零細業者を支えている家族従業者の「働き分」(自家労賃)は、所得税法第56条で「配偶者とその他の親族が事業に従事したとき、対価の支払いは必要経費に算入しない」(条文要旨)とされ、必要経費として認められていないのである。
 事業主の所得から控除される金額は、配偶者の場合は86万円、家族の場合は50万円で、家族従業者はこのわずかな控除が所得とみなされるため、社会的にも経済的にも自立できないことから、他の職業を求めるなど、後継者不足に拍車をかける原因ともなっている。
 税法上は、青色申告にすれば賃金を経費とすることができるが、同じ労働に対して、青色や白色の申告の仕方で働き分を認めたり、認めなかったりする制度自体、大きな矛盾であり、ドイツ、フランス、アメリカなど世界の主要国では、「自家労賃を必要経費」として認めているのである。
 さらに、この問題は税法上の問題だけではなく、一人の人間として、働いていることを認めるのかどうかという人権の問題でもある。
 よって、本市議会は国に対し、所得税法第56条の廃止を強く求めるものである。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

平成21年  月  日

千 葉 市 議 会


平成21年第3回定例会
Y2

 (提出年月日)平成21年8月24日
 (提出会派名)日本共産党千葉市議会議員団

生活保護の「母子加算」の復活を求める意見書(案)

 政府は、ひとり親の生活保護世帯を対象に支給されてきた母子加算を2005年度から段階的に減額し、今年度から全廃した。このことによって、全国では約10万500世帯、本市でも約600世帯が影響を受けることとなった。
 厚生労働省は、母子加算の廃止理由に一般の母子家庭とのバランスを挙げているが、そもそも母子家庭の平均年収は一般家庭の4割未満となっており、その暮らしは深刻な現状である。母子家庭の生活の安定を図るには、生活保護世帯への支給額を引き下げるのではなく、母子家庭全体の生活水準の底上げこそが求められているのである。
 よって、本市議会は国に対し、憲法第25条の「健康で文化的な最低限度の生活」を保障するために、生活保護の「母子加算」の復活に必要な措置を講ずるよう強く求めるものである。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

平成21年  月  日

千 葉 市 議 会


平成21年第3回定例会
Y3

 (提出年月日)平成21年8月24日
 (提出会派名)日本共産党千葉市議会議員団

新型インフルエンザ対策の強化を求める意見書(案)

 厚生労働省は8月21日、新型インフルエンザが全国的に「流行入り」したと発表した。
 国立感染症研究所によれば、8月10日から16日までの1週間で、推計約11万人がインフルエンザに感染したとされている。
 今まで、日本では夏期にインフルエンザが流行することなど考えられなかったが、沖縄を初め全国で急速に患者数はふえており、今後さらに感染が拡大すれば、多くの重症者や死者が出るおそれがある。
 しかし、「大流行への備えがない」、「重症者が出た際の対応はどうするのか」など、医療関係者からも不安の声が上がるほど、十分な対応策が確立されていないのが現状である。
 重症化の危険性が高いとされる、ぜんそくや心疾患などの持病がある人、免疫が低下している妊婦、透析患者などが感染した場合の対処法や子供への爆発的感染の防止策、大流行に対応できる検査体制やワクチン・治療薬の確保など、国・地方自治体・医療機関の情報交換を強化しながら、万全を尽くす必要がある。
 同時に、国民の不安をなくすための正確で迅速な情報提供や負担軽減策も速やかに確立すべきである。
 よって、本市議会は国に対し、感染拡大を続けている新型インフルエンザへの対策を強化するよう強く求めるものである。 
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

平成21年  月  日

千 葉 市 議 会


平成21年第3回定例会
Y4

 (提出年月日)平成21年8月24日
 (提出会派名)日本共産党千葉市議会議員団

現行保育制度に基づく保育施策の拡充を求める意見書(案)

 少子化の進行にもかかわらず保育所の待機児童の増加が深刻な事態になっている。次世代育成支援に対する国と地方自治体の責任はこれまでにも増して大きくなっており、中でも保育・学童保育・子育て支援施策の拡充に対する国民の期待は、2006年以降、第165回臨時国会、第166回通常国会、第169回通常国会、第170回臨時国会において「保育・学童保育・子育て支援施策の拡充と予算の大幅増額を求める請願」等が衆参両院で引き続いて採択されていることからも明らかである。
 しかし、この間、保育制度を含む次世代育成支援のあり方については、経済財政諮問会議、地方分権改革推進委員会や規制改革会議などの議論を受けて、社会保障審議会少子化対策特別部会で保育制度改革論議が進められ、本年2月24日にまとめられた「第1次報告」では直接契約・直接補助方式の導入を基本とした保育制度の抜本的「改革案」が提案された。これらは、今後の議論の課題である保育要件の見直しや費用負担、事業者参入のあり方なども含めて、保育の公的責任を後退させる市場原理に基づく「改革論」であり、国会で採択された請願内容に逆行するものと言わざるを得ない。こうした「改革」は、これまで保育所が担ってきた子供の発達保障の機能を揺るがし、保育の地域格差が広がるだけでなく、家庭の経済状況により子供が受ける保育の水準にも格差が生じることになり、容認できるものではない。
 保育需要の増大が進む中、緊急に求められているのは、現行保育制度を改変し混乱を引き起こすことではなく、国と地方自治体が責任を負う現行制度のもとで、希望するすべての子供の保育所入所を保障する待機児童対策を至急具体化し、保育・学童保育・子育て支援施策の拡充と予算の大幅増額を図ることである。
 よって、本市議会は国に対し、下記の事項の実施を強く求めるものである。 


  1. 認可保育所の新設・増設で待機児童を解消する緊急保育所整備計画を策定し、特別な予算措置を行うこと。
  2. 児童福祉法第24条に基づく現行保育制度を堅持・拡充し、直接契約・直接補助方式、保育料の応益負担導入は行わないこと。また、保育制度改革の論議では、現行保育制度が果たしてきた役割を踏まえ、保育の実施責任を負う地方自治体や保護者、保育団体との意見交換を行うこと。
  3. 児童福祉施設最低基準(保育所の職員配置基準、施設設備基準)の規制緩和は行わず、抜本的改善を図ること。
  4. 保育所、幼稚園、学童保育、子育て支援施策関連予算を大幅に増額すること。
  5. 子育てにかかわる保護者負担を軽減し、雇用の安定や労働時間の短縮など、仕事と子育てが両立できる環境整備を進めること。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

平成21年  月  日

千 葉 市 議 会


平成21年第3回定例会
Y5

 (提出年月日)平成21年8月24日
 (提出会派名)日本共産党千葉市議会議員団

高校教育の学費を無償化するよう求める意見書(案)

 今日、高校卒業は多くの職業につくための必要条件となっており、進学率は97%を超えている。
 ところが、昨年来の経済危機に伴う収入の減少や「派遣切り」による親の失業などで、「学費が払えない」、「通学費がない」と退学せざるを得ない深刻な事態が進行している。
 こうした経済的な理由で高校を退学に追い込まれる若者が生まれることは、本人の心に大きな傷を残すとともに、教育の格差・経済的格差をつくり出し、社会の健全な発展を阻害する重大な問題なのである。
 憲法第26条は、国民に「ひとしく教育を受ける権利」を保障しており、国の責任において対策を講ずるべきである。
 しかし、日本政府は、いわゆる国際人権規約のA規約第13条の「高校と大学の学費無償化」を定めた条項を留保し続けている。このような国は、2009年5月現在、条約加盟国の160か国中、マダガスカルと日本だけである。こうした政府の姿勢を反映して、日本の学費は世界的に見ても異常に高額となっていると言わざるを得ない。
 今や、高校と大学の学費無償化は世界の流れであり、国際人権A規約の無償化条項への留保を撤回し、格差をつくり出す高額な学費の負担軽減に力を注ぐ必要がある。
よって、本市議会は国に対し、家庭の経済状況で就学の機会が奪われることがないよう、高校教育の学費を無償化するよう強く求めるものである。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

平成21年  月  日

千 葉 市 議 会