野本信正議員の「信頼回復決議」に対する討論

2009.9.7

 日本共産党市議団を代表して、「議会と市政の信頼回復に関する決議」に対する討論を行います。

 9月3日、千葉市議会小梛輝信議長が恐喝未遂容疑で千葉県警に逮捕された事件は、議長として議員として絶対に許せない行為であり、前代未聞の由々しき事態であります。鶴岡前市長の逮捕起訴に続いて、市政と議会のトップによる相次ぐ不祥事として、市民初め関係者から「千葉市はどうなっているのか」の激しい怒りと追及が起っています。市議会の信頼が大きく失墜した事に対して、千葉市議会全体が市民への説明を行う事は当然です。真相を究明して市民に公表する責任があります。

 しかし、提案された決議は、小梛容疑者の反社会的行為を議会全体が謝罪するようなニュアンスとなっている事には違和感があります。反省しなければならないのは、小梛容疑者を議長に推挙した議員ではないでしょうか。

 小梛容疑者の日頃からの議員活動において、公共工事を巡る疑惑がたえないなど様々な問題があったことを同僚議員の多くは承知していたはずであります。

 そんな人物を市議会議長に推挙したのは、自民党、公明党、新政ちばの3会派の議員であったと思います。議長選挙で共産党は独自候補を立てましたし、市民ネットワークも独自候補を立てました。

 議長選挙の投票結果は、投票票数53票、有効投票46票、無効投票7票。有効投票中、小梛議員32票、長谷川弘美議員8票、中村公江議員6票でありました。

 以上のように共産党市議団は、小梛議員は議長にふさわしくないとして投票をしていません。市民ネットワークも同じと思います。

 32人の議員が投票しなければ、小梛輝信議長は誕生しなかったのであります。 市民に謝罪し、襟を正すとすれば、議長選挙で小梛議員に投票した議員・会派であると思います。

 次に、小梛容疑者は従来から公共工事を巡る疑惑があり、議長にはふさわしくない議員であることを、多くの同僚議員も承知していたはずです。

 これまで共産党市議団は、小梛議員の公共工事を巡る問題点を議会で一貫して追及してきました。

 その1は、06年度の市立千葉高校改築工事を一括発注するよう、市職員を脅しかた事件ですが、総額44億円の工事の分割発注を決めた市当局に対して、「一括発注をした方が経費節減になる」といって一括発注を迫り、関係者を大きな声で脅かしながら変更を迫りました。06年6月23日の本会議質問で質しましたが、市役所局長室に当時の局長部長、課長などを缶詰状態にして、「なめてはいかんぞ、引掛けるぞこれをてめえの頭に」「この野郎一括で発注しろといってるんだ」「絶対に許さねえから、俺はよ。襟首をつかむからな」「つっつくぞ、本当に頭を」などと脅したときの収録テープを私は聴きました。

 その上で、その内容を明らかにして、小梛議員の言動を厳しく正すよう要求しました。その結果、当時の助役が異例の申し入れを行い、本人が陳謝しました。

 その時、共産党が提出した「小梛議運委員長辞職動議」が24対25で否決されたことも、当時の全議員が承知していた問題です。当時の新聞は「釈明なし、身内をかばう自民党」と報道しています。

 その2は、小梛議員は親族の経営する小梛組と泰伸建設に、公共工事を受注させるため議員バッチを光らしていましたが、その一例として、県道稲毛停車場穴川線電線共同溝工事が8年間に9回発注され、その全部を小梛組と泰伸建設が連続して落札・受注していたことは、談合以外に考えられない事で、小梛議員の動いた結果です。

 その3は、指名競争入札の最低制限価格が、事前公表されていなかった02年度ごろ、最低制限価格を1円でも下回れば失格になる入札で、小梛組と泰伸建設は最低制限価格より、1円とか61円高い価格で落札していました。これは、事前に価格が漏れていなければ成し得ないことであり、小梛議員と市役所職員の癒着が疑われる問題です。

 さらに、小梛議員は、花見川・稲毛土木事務所はじめ、建設局・下水道局などの部課に出かけたり、自分の事務所に職員を呼び付けて、大きな声で脅かしてきたことはこの議場でも明らかにしてきた事実であります。

 以上の問題は、本会議場で明らかにされてきたことであります。整理してみましたら、日本共産党市議団が、これまで、小梛議員が公共工事に介在している問題を質問し、追及したのは、現在までの調査では、02年から09年の間に7回、私は質問を行ってきています。

 このように、議会質問で何回も指摘されて、問題だらけの議員であることを承知の上で、議長に選んだ議員・会派の道義的責任は極めて重大であります。

 次に、今回のような不祥事を生まないためにも、議会改革や政治倫理条例制定が急がれています。

 共産党市議団は、議会人事を行う議会の際に毎年、議会運営に関する提案を行い、議長選出に当たっては、議会運営に精通した識見豊かな人、政治姿勢においても清潔で、千葉市議会を代表するにふさわしい人を、会派の大小にかかわらず選出することを求めてきました。この提案が益々重要になっています。

 また、政治家の立場を利用して、私腹を肥やすようなことがあってはならないと、政治倫理条例の制定をかねてより求めてきましたが、小梛事件の再発防止のためにも速やかな制定に向けて協議を始めることです。

 さらに、議会の全面公開をただちに行うべきです。議会運営委員会は、一部しか公開していません。議会改革検討協議会は非公開です。これらは、ただちに全面公開すべきであります。 最後に、これまでの小梛議員の談合事件は、市職員の協力なしには出来ないといわれていて、その調査も必要です。市議会は、与えられた権能を十分活用して、小梛容疑者の恐喝問題を調査する「100条委員会」の設置が急がれます。また、前市長の収賄事件も合わせての真相究明を徹底し、市民に公表するため全力を尽くすべきであることを表明して賛成討論を終わります。

 「信頼回復決議」は全会一致で採択されました。

 採択された決議は以下の通りです。

平成21年第3回定例会
 (提出年月日)平成21年9月7日

議会と市政の信頼回復に関する決議

 このたび、現職議長が恐喝未遂容疑で逮捕されるという不祥事を引き起こしたことは、議会に対する市民の不信を招き、本市議会の信頼を著しく失墜させたものであり、まことに遺憾きわまりないことである。

 本市議会は、まず市民の皆様に対し深くおわび申し上げますとともに、この事件を一議員の不祥事としてとどめることなく、真摯に受けとめ、再発防止に向けて今回の課題を明確にするとともに深く反省し、襟を正して市民の皆様に明らかにしていくことを誓うものである。

 今後、本市議会は、みずからが市民の負託を受けた議員であるという地方自治の本旨に返って、法令遵守を初め政治倫理条例の制定や議長選出方法の見直しなど、積極的に議会改革の推進に取り組むとともに市議会と市政に対する市民の信頼を回復するために全力を尽くすものである。

 以上、決議する。

 平成21年  月  日

千 葉 市 議 会