野本信正議員の代表質疑に対する答弁(要旨)

2009.9.16

【熊谷市長】

○ 新型インフルエンザ対策について
 私を本部長に健康危機管理対策本部を設置し全庁的な対策を図っている。感染拡大への対応は、保健師・薬剤師など専門職員の流動的配置や、必要に応じ一部業務の縮小や局内・区健康課の医師等の応援体制などを行う。今回の新型インフルエンザは、一般病棟への入院も可能であり、市内の医療機関に協力要請し病床の確保に努める。妊婦など重症化リスクが高い人には、感染予防策や医療機関での受診方法など、市政だよりやホームページで情報提供し、母親学級や糖尿病教室など各種教室、訪問指導等で周知や指導を行っている。千葉医師会は、独自に市民向けリーフレットをつくり、各医療機関で患者に指導・啓発している。国が入院医療機関に人工呼吸器や個人防護具等へ補助し、外来協力医療機関の院内感染防止設備を補助対象とした。本市では、院内感染防止へ市内医療機関に10万枚のマスクを配布し、現在備蓄の10万枚プラス54万枚のマスクを確保予定だ。福祉施設には、8000枚のマスクを活用し、マスク確保が困難な施設には配布する予定だ。国に対して、指定都市市長会議や全国衛生部長会議などを通じて要望しているが、さらに八都県市首脳会議で、より具体的な内容をまとめ要望する予定だ。

○ 衆議院選挙後の情勢認識について
 市長選では「千葉市を変えたい」市民の思いが表れた結果だった。総選挙もマスコミのアンケート結果にもあるが、市長選と同様に民主党の政策への期待より現状の政治・社会システムなどへの不満の高まりから「国の政治を変えたい」国民の意思が、今回の結果をもたらしたもの。
 「社会保障費削減」や「後期医療制度の廃止」などが民主党のマニフェストにあるので、今後の動向を注視し具体的内容が出れば必要に応じて指定都市市長会などを通じ要望していく。FTA交渉の促進は、国内農業・農村振興を損なわないとされており、今後の交渉を中止する。
 真の地方分権の実現へ今後も機会を捉え国に要望していく。国庫補助負担金は、むしろ廃止・縮減して財源を移譲することを求め、地方の自由度拡大を図る必要がある。道州制は、住民に身近な基礎自治体が、自主的・自立的に行財政運営ができる体制づくりが必要であり、様々な視点で議論する必要がある。

○ 公正な市政について
 千葉県の30億円の不正経理は、私的流用が疑われる使途不明金1億1千万円、業者への預け金4億円、その他現金・クーポン券4千万円とのことで、内部規制やコンプライアンス意識の欠如の問題が浮き彫りになった。長年の組織的な慣行に職員の自浄作用が働かなかったことに驚くが、信頼回復への取り組みを注視したい。本市の状況は、組織的裏金作りなどはないと信じているが、経理適正化推進本部・経理処理調査委員会を立ち上げ、消耗品費・旅費・賃金を独自調査した。消耗品費は、市と取引の多い110社に協力を依頼し、19年度分の消耗品費支出を市の支出書類と業者の帳簿を照合し、適否を確認する。調査の透明性と客観性の確保へ公認会計士など外部の専門家での検証で、私的流用がないか合わせて確認していく。調査結果は年内の公表を予定しているが、業者の都合もあり若干遅れることもある。

○ 決算の特徴について
 昨年秋以降の景気悪化で、市税収入や税外収入が予算額を大きく下回り、やむなく市債管理基金への償還を先送りする厳しい決算だった。実質公債費比率は、H24年度まで上昇が予想されており、当面厳しい財政運営となるが、一層財政の健全化へ取り組みを強め自立した財政運営ができるよう努めていく。H20年度は普通建設事業費を大幅に削減し、市債発行額は前年比42.5%減で、財政健全化へ一定評価できるものとなった。しかし、政令市移行後、短期間に市債活用で投資したため市債残高は急増、20年度決算では実質公債費比率と将来負担比率が前年度同様、政令市中ワースト2、ワースト1で危機的状況は明確だ。財政健全化へ徹底的な事業の厳選で、市債発行を抑制し市民が真に必要とする分野に予算配分して市民生活向上に努める。
 大規模開発の見直しは、マニフェストの工程表で千葉都市モノレール延伸見直しや蘇我スポーツ公園整備縮小など6事業の方向性を示し見直した。見直す事業の有無は、予定している新たな基本計画と実施計画策定の中で、議会や市民の意見を聞きながら検討していく。現時点では見直し委員会の設置は考えていない。
 財政健全化法は、地方公共団体の規模に応じ、財政需要が違うのに一律の早期健全化基準を適用するのには疑問を持っているが、法の目的は議会や住民に財政状況を明らかにしながら、負債を低減し財政破綻の防止と財政構造の弾力性回復にあり、本市も対応する必要がある。そのため市債活用の抑制や基金の計画的返済に取り組み、必要な歳出削減は不要不急の事務事業見直しで対応していきたい。基本構想と基本計画で構成する現在の「新総合ビジョン」の策定は、幅広く市民の意見を聞きながら素案を作成し、100人の委員による審議会での検討を経て答申、策定したもの。基本構想も議会で議決されたものだ。内容は、市民生活優先を第一にし、将来のあるべき姿を示し、その実現へ市の特性を活かし独自の街づくりとなっているものだ。しかし、策定後9年経過して、人口構造や市財政状況など社会経済情勢が急速に変化しており、的確に対応するため新たに策定することにした。

○ マニフェストの工程表について
 マニフェストは厳しい財政状況を前提に、市政のあるべき姿を示したものだ。実現へ工程表で示したスケジュールや取り組み手法で進めていく。そのための財源確保は、経費削減の取り組みで策定中の財政健全化プランや新行革推進プラン、事務事業評価の取り組みとして実施する。その結果を反映させ毎年度の予算編成の財源確保に努めていく。具体的に実施していくには、議会や市民の理解が必要であり、示しているスケジュールで適宜・適切に対応したい。指摘の個別事業への意見は参考にしたい。マニフェストは限られた時間の中で、市民にわかりやすく作成したので、課題すべてを網羅したものではない。指摘の分野は記述されていないが、今後的確に取り組んでいく。千葉市の進むべき方向性は、新たな基本計画策定で示していく。

○ ゴミ収集回数の見直しについて
 廃棄物適正化推進員の役割は、市との密接な連携で廃棄物の適正処理、減量・再資源化の普及、啓発、分別排出の指導、不法投棄の防止等、地域の環境美化に努めることだ。7月30日に町内自治会連絡協議会の専門部会「ごみ問題検討委員会」へ説明し、8月上旬に町内自治会連絡協議会の役員に順次説明、その後廃棄物適正化推進員への説明はお盆過ぎに開催したもの。説明会での意見で、地域事情で準備期間が必要だと思うが、あらゆる手法で変更目的と内容の周知に努めて理解を願っている。見直しで、不法投棄が増えるとは思っていないが、その場合は速やかに処理する体制を作る。古紙・布類の収集回数増は、焼却ゴミ3分の1削減へ町内自治会への説明の中で要望されたもの。再検討については、様々な意見・要望があり、地域の実情に応じて対応していく。自治会連絡協議会へ説明したほか、全自治会に回覧文で知らせ、自治会からの要請で説明にも行っている。市民には、姿勢だより・ホームページ、ごみ出し一覧表の全戸配布、ポスター掲示、ごみステーションへの貼付などで周知を図っている。市民の理解を得るためのあらゆる機会を活用し、周知に努めていく。予想される混乱は、長年の習慣から変更前の収集日に出してしまうこと、収集時間帯の変更で収集後に出してしまうことなどが考えられる。市民への周知は、説明会等の実施や市政だより、テレビやラジオ等で知らせているが、さらに周知に努めていく。収集後のごみは別途収集するなどの対策を講じる。延期することは、更に混乱を招きかねない。地球環境への負荷、財政的不担軽減など将来を見据え、今、取り組むことが必要であり、残された期間の中での徹底で、円滑な移行へ万全を期す。

○ 土木事務所への予算処置について
 道路や橋梁の維持管理に要する予算は、対象施設の経過年数や損傷度合いなどから編成しており、最低必要額の算出は難しいが、効果的で適切な維持管理ができる予算確保に努めていく。
 土木事務所は市民生活に欠かせない道路の維持管理や整備を行う部署であり、必要な予算確保に努める。H20年度の道路や側溝の維持補修など市民要望の8割を技能労務職員が処理し、道路の安全確保に努めている。緊急の作業は技能労務職員に、規模が大きく日数を要する場合は外部委託になど、作業内容や現場状況で効率的・効果的な維持管理に努めている。技能労務職員の在り方を検討しているが、土木事務所は原則で退職者不補充としてきたが、道路の安全確保を図る役割から業務執行体制の検討を行う。

【藤代副市長】

○ 公正な市政について
 小梛前議長が職員を呼びつけ、圧力をかけたことについての事例を調査していく。対応マニュアルでは、行政を狙う不当要求行為者の手口を紹介し、不当要求行為者には複数の職員で対応するなど、不当要求行為者への具体的対応方法・情報の共有化・組織的対応などの目的に、事案の報告方法や必要に応じて設置される対策委員会に付議することなどを定めている。不当要求行為には、新任課長研修などで、対策要綱やマニュアルの周知徹底を図っており、職員はマニュアルに沿って対応している。要綱が策定されたH15年10月以降、計8件の不当要求行為が報告されているが、小梛前議長に関しては1件も報告はないし、対策委員会も開催されていない。
 鶴岡前市長事件の真相究明は司直に委ねている。内部調査の結果も参考に、入札制度検証委員会で入札制度に不正が入らないよう仕組みの検討を行う。小梛前議長に関する調査は今後実施する。小梛前議長の関係で公共工事受注会社からの訴えは把握していない。親族会社も事実関係が明らかではなく、把握していない。

○ 緊急経済対策について
 市内の大工・建具・左官・造園業など建設業者の技術は、千葉市の発展に寄与してきた。これらの技術は今後も継承されるべきだ。これまでも地元中小企業者への発注を優先してきたが、小規模修繕は物品等競争入札参加資格者名簿の「インテリア・施設の軽微な修繕」業種に登録される業者に発注することになっており、町場の業者も登録するよう促し、各所管部局から小規模修繕の発注の際は、その名簿を利用するよう指導していく。他市の制度や運用等を調査し、本市の登録制度との整合や申請書類の簡素化・手法など、新たな制度への課題整理を行う。

○ 保育行政について
 保育行政は、法令等の基準や保育指針で実施しており、公立・民間を問わず保育の質やサービススに差はない。公立保育所の役割は、国の動向を踏まえながら、現在の「あり方」案の見直しを図ることにしている。今後、しかるべき時期に社会福祉審議会の専門分科会で審議してもらうことになる。保育所の改築に際して、リース方式も一つの手法だが、「あり方」案の見直しの中で検討していく。

○ 商工振興について
 5年間の事業利用状況は、商店街活性化対策事業に係る利用件数、H16年は33件で決算額、4,509万1千円、17年27件4,462万6千円、18年27件1,664万9千円、19年28件1838万3千円、20年27件1810万2千円となっている。現支援制度は、商店街の課題解決へ他都市の先進例を参考に、H18年に大幅に改正した。今後も商店街の意向を踏まえ、活用しやすい制度になるよう見直す。商店街への補助金は、新たな取り組みへの「きっかけ」を目的にし、単年度の事業が対象だが、事業の目的・効果等を考慮し、一店逸品創出事業と商学連携型の空き店舗対策事業、地域連携活動事業は、3年間にしている。今後、利用回数の検討を含め既存補助制度の見直しなど、意欲的な商店街を支援していく。

○ 農業振興について
 新規就農希望者には、市単独事業で農家研修・実地研修期間中の研修奨励金、月5万円交付している。また、農政センターで機械貸与や技術指導・相談などの支援を実施している。更なる制度の創設は、国の動向等を注視していく。

【市民局長】

○ 災害時の避難困難者対策について
 家具転倒防止金具の取り付けは、震度6弱を超える大地震発生時に固定していない家具のほとんどが移動・転倒し生命を奪う凶器にもなるといわれ、金具の取り付けは被害軽減に効果があると認識している。金具の普及は、市政だよりや地震ハザードマップで建物自体の耐震化と合わせて啓発し、市政出前講座や研修会等で説明しているが、効果的PR方法を調査研究していく。

【都市局長】

○ 市営住宅について
 一戸当たりの建設費はH14年に建て替えた星久喜町第2団地、仁戸名町団地、宮野木町第1団地の建築、設備工事費の平均は、1,354万円だ。簡易耐火住宅のリフォーム費用は、H18年の平均は44万5千円、19年度の平均は58万8千円、20年度の平均は損傷の激しい住宅の修繕のため、平均で99万5千円だった。応募倍率が高く希望者が多いことから、募集戸数を増やす必要性は認識している。ストックの有効活用の観点から修繕の推進は重要だと思う。修繕の効率的で具体的な実施計画を検討していく。

【保健福祉局長】

○ 災害時の避難困難者対策について
 災害弱者への家具転倒防止金具取り付けへの補助は、取り付けが困難なケースも考えられるので、補助制度の実施は他政令市の事例を踏まえ検討していく。

【教育長】

○ 学校適正配置計画について
 学校適正配置方針は、有識者を含めた第2次学校適正配置検討委員会からの答申を受けて策定したもので、すでに2年間推進しており、本方針を尊重して進めたい。合意形成に努め理解を得られるよう、地元の意見・要望を聞きながら協議していく。推進する上で様々な意見があることは承知しており、柔軟な対応をしてきた。具体的には、通学区域と地域コミュニティ等の整合を図るため、話し合いの枠組みを見直した。統合の話し合いは開発状況を考慮し先送りした。統合後の環境の変化に対応するため非常勤教員等の配置基準を定めたなどがある。今後も地元代表協議会で様々な議論を行い慎重に対応していく。いじめや不登校、学力低下問題の解決には、教員が子ども一人ひとりに向き合う時間の核が必要であり、報告義務の軽減や少人数学級の推進は一つの方策だ。また、適正な学校規模にすることで教員数が増え事務負担の軽減につながり、多くの目で子どもたちを見守る環境ができる。教材教具費は、義務教育の根幹であり。教育水準の維持向上の上で必要不可欠な経費だ。厳しい財政状況だが、学校運営に支障がないよう予算確保に努める。
 教員が一人ひとりに目を向けられる教育環境の整備は重要であり、これまでも小学校低学年は少人数学習指導を推進している。今後も子どもたちの個性や特性に応じた教育活動をすすめ、少人数学習などに積極的に取り組んでいく。学校適正配置の推進にあたり、保護者や地域住民の声を反映させながら柔軟に対応してきた。合意形成を基本に地域住民・保護者の意見・要望を聞きながら協議し、明らかになった課題や提案は計画に反映していく。