佐々木ゆうき議員の反対討論

2009.9.17

 日本共産党千葉市議団の佐々木ゆうきです。会派を代表して、提案されました平成21年度千葉市一般会計補正予算について、発議第15号について、請願第4号・5号・6号・7号・8号について討論を行ないます。
 まず、議案第78号・平成21年度千葉市一般会計補正予算中、次期基本計画策定に係る経費についてです。
 基本計画策定の構成は、基本構想、基本計画、実施計画となっています。この過程で議会の議決を要するものは基本構想のみであり、基本計画、実施計画は執行部の専决事項となっています。
 今回は、次期基本計画策定に係る経費として、1,230万円が計上されたものですが、議会として計画策定への基本的考えを質し、意見を述べ、賛否を明らかにできる機会であるため、より真剣な検討と質疑を行いましたが、市民生活優先の計画作りにならないと判断したので反対を致します。
 その理由ですが、当局の説明は、基本計画策定から9年経過し、状況の変化に適格に対応するため見直すということで、千葉市基本構想の理念を引継ぎ、新たな基本計画の策定をするというものです。新しい計画を策定するにあたっては、今までの計画事業から成果と、反省を深く検証し問題点を明らかにして、これからの街づくりの方針を決めなければなりません。
 しかし当局の、「計画は概ね順調に進んだ」という説明には、大きな疑問があります。基本計画の9年間は、文字通り鶴岡市政8年間そのものであり、蘇我臨海開発をはじめ大型開発5事業に、1,300億円も投資した結果、千葉市財政を政令市ワースト1、ワースト2という厳しい財政危機にした8年間であったわけです。
 このことへの深い反省と転換なしには、新しい計画策定は考えられません。千葉市財政を危機的状況にしてきた千葉駅西口再開発などの千葉都心開発は、千葉市基本構想と基本計画に明記されている、国の上位計画・業務核都市制度に基づいて実施されているものです。蘇我臨海開発についても、都市再生推進事業制度要綱に基づいて進められてきました。熊谷市長の「モノレール延伸の見直しなど6事業の見直しをする」という方針は、一歩前進ですが、大型開発の全面的な見直しのためには業務核都市構想や都市再生推進計画と手を切って、千葉市独自の街づくりへ転換することが求められます。
 そのためには、おおもとの千葉市基本構想そのものを破棄して、作り変えることなしには、大型開発優先のゆがんだ街づくりを転換することができません。日本共産党市議団は、新しい基本計画策定は、業務核都市構想や都市再生推進計画が元になっている基本構想を新しく作り変えることと同時進行するように提案しましたが、市長がこれを拒否したことは、市民福祉優先の市政への転換に反しますので認められません。

 次に、騒音振動対策事業(可搬型航空機騒音自動測定装置及びデータ収集管理システム整備)についてです。
 羽田空港の再拡張事業によって、2010年10月から飛行ルートが変更され、南風の時に千葉市上空を通過する便数の増加が見込まれることから、補正予算で騒音測定機材を整備して、航空機騒音の測定体制を強化するというものです。
 再拡張問題は、2004年3月5日付で発行された「ちば県民だより」で、千葉県は「国土交通省の飛行ルート案は受け入れることはできません」としながら、同年7月5日付では、「飛行ルート修正案を了承」とされました。受け入れることができないとしながら、3か月余りで「了承する」というのは、国の妥協した案を受け入れることであって、根本的におかしいと言わざるをえません。市民への説明も不十分です。
 羽田空港の再拡張では、現在の年間発着数の1.4倍の約40万回になり、深夜早朝発着は1日112回になるとされています。熊谷市長も国土交通省から新たな飛行ルート案が示された際に、申し入れを行なって、国土交通省は、深夜早朝便については、千葉市上空は通過しないということを明らかにしました。市長は、「国任せにせず市としても騒音問題に主体的に取り組んでいく」としています。
 しかし、羽田空港は、東京の横田基地や茨城の百里基地などの影響を受け、極端な飛行ルートを通らなければなりません。また、今回の飛行ルートについて、現在の3,000フィートから、4,000、5,000フィートになるとしても、気象条件により、騒音レベルが変わってきます。
 飛行ルートの変更に対する説明会は、1回しか行われず、騒音等の苦情も寄せられています。市民の合意も得られず、ルート変更を一方的に決定するは認めるわけにはいきません。
 飛行ルートのたらい回しでは、騒音問題の根本的解決になりません。市民に「羽田空港の再拡張事業」について十分周知することと、国に対して飛行ルートの分散を求めていくことがまず必要ではないでしょうか。深夜早朝便の変更はできたとしても、2010年10月から供用開始となるD滑走路の整備に伴う飛行ルート変更は、国の方針通りに進みます。それに追随することは市民の理解は得られません。よって、この補正予算については反対せざるをえません。

 次に、発議第15号千葉市精神障害者に係る千葉都市モノレールの運賃の助成に関する条例の制定についてです。
 「三障害は共通」という立場で、知的障害・身体障害と並んで、精神障害者も同じように福祉サービスが受けられるようにする事は当然の流れです。日本共産党市議団は、これまでも精神障害者のモノレール運賃の割引について求めてきました。今回、条例提案後に、千葉都市モノレール会社から、「早ければ来年1月から、遅くても4月までには精神障害者の運賃割引を実施」する旨が報告され、審議の後、実施の意向は汲み取られました。本来であれば、千葉都市モノレール会社が独自に割引をすれば解決する問題であることも申し上げ、千葉市でできる事は運賃助成であると提案していました。条例案の主旨が認められたことは、障害者の自立を図り、活動を支援する一歩として、歓迎するものです。

 次に、請願第4号千葉市社会福祉協議会の居宅介護事業の廃止に係る利用者とヘルパー等の他事業者への移行の中止を求める請願についてです。
 この問題は、介護事業を必要としている利用者、特に障害をお持ちの方に多大な負担と、精神的苦痛を押し付けるもので、自民・公明・民主の反対で否決されたことは断じて許されることではありません。6月から利用者の他事業者への移行が強行され、8月にはさらに本格的に進められているなかで、不安や混乱を広げ、障害者や家族からも移行に戸惑い、困惑する声が多数届いているとの訴えでした。
 傍聴に見えた方からは「なぜ、障害者の思いをわかってくれないのか。」「千葉市にこんなに冷たい仕打ちをされるとは思わなかった。」こうした意見が出るのは当然です。社協が採算に合わない困難なケースをひきうけて、事業に取り組んできたことは大変喜ばれていました。千葉市が社会福祉の充実のために、支援を行えば事業の継続は可能ではないのですか。もう決まったことだからと受け流さず、現場の声を正面から受け止めて今からでも民間委託を中止して、千葉市が公的事業として継続するよう改善を求めます。

 次に、請願第5号・6号・7号についてです。
 6号については、賛成全員で採択されました。子育て中の世帯にとって、大変力強い結果だと言えます。子どもの医療費助成に関わるこの3本の請願は、少子化対策にいかに千葉市が真剣なのか、市長選後、どう変わったのかが問われるものです。厳しい財政状況を理由に、様々な条件をつけて制限するのではなく、市民の立場で必要な事業には予算をまわしていく事が求められています。今後も、多くの市民が期待を持って見守っている子育て支援の充実に、全庁あげて取り組むべきです。

 請願第8号・ゴミ回収の改定は市民の意向を十分聞いて行うことを求める請願についてです。
 この問題は市民に対して重要な事業なのに、7月30日に町内自治会連絡協議会で説明し、8月上旬に自治会連絡協議会の役員に説明し、8月22日に廃棄物適正化推進員への説明会が行われました。しかし、この間、市民からは意見や要望を十分聞かずに、「市政だより」などで知らせているからと10月からの実施を進めようとしています。市民の中には、収集回数の変更は知らなかったという方がたくさんいます。
 請願は、10月からの実施を延期し、市民の意見をよく聞くことを求めています。環境建設委員会では、他の委員からは「請願者の言っていることは理解できる」「市当局の説明が欠けている」「市政だよりの知らせは一方的」との発言がありましたが、市民の願いに応えず、不採択になったことは残念です。ゴミ問題は十分に議論し、市民の理解を得ながら進めなければなりません。

 以上で、討論を終わります。