もりた真弓議員の反対討論

09.10.5

写真 日本共産党千葉市議団を代表して、決算議案19件中6件に不認定の立場から討論を行います。
 不認定の理由の第1ですが、鶴岡前市長は、政府が構造改革路線に沿って行ってきた、分権改革・三位一体改革などによる地方財政を切り下げや、毎年2,200億円の社会保障費を削り、後期高齢者医療制度導入など福祉を大幅に後退させてきたことに対して、「必要な改革だ」と評価して無条件で受け入れてきました。この基本姿勢は、市民が望む真の分権改革の願いに反するものです。
 第2の理由は、鶴岡前市長が8年間に、大型開発を優先させて莫大な借金をつくり、敬老乗車券廃止など高齢者福祉を16億円余り削ったことをはじめ、市民生活を大幅に後退させ、政令市最悪の財政危機をつくったことです。
 第3の理由は、恐喝未遂事件で逮捕された前議長の事件は、脅された職員から08年中一回の報告もなく、公共事業の受注で特定の業者に便宜を図り賄賂を受け取る不正を、市長自らが行ったとして逮捕起訴された事件が、08年度決算の中で進行していた疑いがあることです。

 次に、その内容について明らかにします。

 08年度決算は、実質収支が3億6,626万円と僅かな金額で黒字を保ちましたが、健全化判断比率の将来負担比率は309.6%、実質公債費比率は20.1%と、政令市ワースト1とワースト2の、政令市最悪の財政危機に陥っています。
 原因は冒頭明らかにしたとおり、1つは、政府が三位一体改革などで地方財政を切り下げてきたことです。2つは、鶴岡市長8年間で蘇我臨海開発、中央港地区区画整理、きぼーる、千葉駅西口再開発、新港横戸町線の5事業に約1,300億円も投資した大型開発優先によるものです。
 5事業のうち2事業は終了、1事業はまもなく終わる予定ですが、継続中の蘇我臨海開発は、総事業費1,601億円中、08年度決算までの合計で約666億円ですから、残事業費は935億円あります。千葉駅西口再開発も残事業費が207億円あります。この2事業などを思い切って見直すことなしに、深刻な財政危機を切り抜けることはできません。
 熊谷市長が、モノレール延伸事業凍結など、大型開発の一部抑制を進めていることは評価できますが、前市政が残した「負の遺産」、政令市最悪の財政危機を改善し、市民のくらしを守るには、さらに進んで、その原因である大型開発優先の市政を抜本的に見直すことが必要となります。
 これまでの市政を運営してきた大元の千葉市基本構想と基本計画、その背景にある業務核都市制度や都市再生整備方針など、国の上位計画に沿って進めてきた千葉都心開発、蘇我副都心開発を中止して、千葉市独自の街づくりを進めていくことが求められます。そのためにも、市民や有識者が参加する「大規模公共事業見直し委員会」の設置を改めて提案しておきます。

 次に、財政の健全化についてです。

 財政健全化法による方向性は、国が新たな指標で起債の制限を強め、一律に地方財政の自由度を縛ることにより、歳出削減と住民サービスの切り下げが基本になっています。私どもは、この本質を明らかにし、住民サービスを維持・向上させていく財政健全化を提案しましたが、市長は「一律に地方財政の自由度を縛ることには疑問がある」と言いながら「健全化法には的確に対応する」と答弁していることは矛盾があり、遺憾であります。

 次に、経常収支比率についてです。

 08年度96.3%は、政令市比較で高い方から8番目と厳しい数値でありますが、内訳を見ますと、維持補修費が1996年の5.3%から08年度は3.3%になり、金額で約29億円の減額になっています。その内容を質問したところ、道路・橋梁維持費が約22億円、公園の維持費が約5億円減額とのことでした。
 財政の硬直化を押さえることは必要であっても、市民が安心して暮らしていくうえで、欠くことのできない維持補修費を毎年毎年減らし続けていくことは、安全・安心の街づくりを後退させるものであり認められません。

 次に、県支出金収入についてです。

 08年度決算の県支出金合計73億2,967万円は、市民一人当たり約7,800円で、政令市平均約12,650円を大きく下回り、最下位です。せめて、政令市平均の歳入があれば約120億円になります。そうすれば、千葉市の歳入は差し引き約47億円、毎年増額となるのに、千葉県に対する取組みがなされてきませんでした。こんな異常な事態が、政令市移行後17年間も続いている理由を分科会で質したところ、「政令市に移行する際に、当時の知事と市長の間で、『千葉市も政令市で県並みにだから』ということで、県単独補助金が引き下げられたままになっているようだ」と説明しています。
 一方で、幕張メッセ負担金など県事業負担金は県の要求通り払い続け、08年度は8億8,000万円負担しています。ちなみに、政令市移行後の17年間、政令市平均並みの歳入と県への正常支出がされていれば、およそ800億円近い財源が確保できた計算になります。
 共産党市議団は以前から、正常な県支出金の確保を求めてきましたが、08年度決算でも実現していないことは極めて遺憾であり、認めることはできません。
 千葉県との不平等な関係を解消し、毎年約47億円近い県支出金を確保するよう強く求めます。
 次に、来年度予算編成について、歳入見込みが厳しいことを理由に、歳出を大幅に抑制することを示唆していますが、安易に公共料金を値上げしたり、福祉などの予算を削り、市民生活を後退させることは認められません。
 シーリングを一律にかけて、歳出を削減する弊害を無くすことです。命や健康を守る医療福祉関係の予算や、子どもの未来に関わる教育などの予算、市民の安全を守る道路や橋梁の維持管理はじめ、絶対削れない分野の予算は確保しなければなりません。
 深刻な財政危機のもと、予算の使い方には創意工夫を凝らし、多いに知恵を使うことが大事です。職員や市民からもアイデアも出してもらうことが必要です。
 その一端として共産党市議団が提案した、10分の1の予算で可能なリース方式での木造保育所の建て替え。震災から命を守る、家具転倒防止金具の取付けの普及と災害弱者への補助制度。商店街の活性化へ意欲のある団体には、繰り返し制度が利用できるように改善。困窮者が入居できるよう、市営住宅の新築15戸分の予算で222戸の空き家を修繕。数人の技能職員を増やして緊急な道路維持管理に迅速に対応など、わずかな予算で大きな効果が期待できる施策を取り入れて、市民生活を向上させるよう強く求めておきます。

 次に、決算と「マニフェストに関する取組事業工程表」との関係についてです。

 84項目の中で、政治倫理条例制定など賛成できる項目もありますが、国民健康保険滞納対策は、高すぎる保険料引き下げの視点がないなど、少なくない項目に問題点があります。農業、中小企業対策など、不足している内容もあります。決算に見る深刻な財政危機や議会が疑問に思う項目もかなり見られますので、市長及び執行部だけで進めることなく、議会と相談し、市民の理解の上で工程を決めることを求めておきます。

 次に、公正な市政についてです。

 08年度決算の中では、小梛輝信前議員に脅され圧力をかけられていた職員から、「不当要求行為等対応マニアル」に基づく報告が、一件もなかったことは信じられないことです。正常に運営されるべき行政の歪みであり、認めることはできません。
 9月3日に小梛輝信議長が恐喝未遂容疑で千葉県警に逮捕され、鶴岡前市長の逮捕起訴に続いて、市政と議会のトップの相次ぐ不祥事として、市民に大きな衝撃を与えました。
 小梛容疑者には、従来より公共工事を巡る黒い噂がたえず、市立千葉高校改築工事の一括発注を求め、市職員を脅した事件。親族の経営する会社に公共工事を受注させてきたことに加え、公共工事、民間工事に首を突っ込み、今回の事件のように脅迫したり、親族の会社から、工事に必要な建設資材を購入させ、警備員の派遣を押しつけて利権をあさっていたことが明らかになりました。鶴岡前市長の事件も08年度決算中に進行していた疑いがあります。
 以上、行政と議会のトップが関わる不祥事件が発生した決算でもあり、認めるわけにはいきません。
 この際申し上げますが、前市長・前議長の不祥事で失った市民の信頼を取り戻すため、両事件の真相究明と公共工事に関わる談合疑惑を解明して再発防止対策を強めるとともに、政治倫理条例の速やかな制定を求めます。
 また、千葉県庁の30億円もの裏金問題に続いて、一部新聞が千葉市と取引のある業者の話として「『預け』は昔から当たり前にやってきた」と報じ、取材に応じた熊谷市長も不正経理の「存在を認めた」とされています。徹底的に調査し、一点の曇りも無く市民に公表することを強く求めます。
 次に、各局の指摘事項を申し上げます。

 最初に、財政についてです。

(1)市税徴収について

 歳入の根幹を成す市税収入の確保は、適切・公正に取り組み、税収を確保することが必要です。市税徴収のあり方については、応能負担の原則に基づき、担税力のある滞納者には積極的に納税を求めること。また、仕事がない、営業不振、生活苦や病気などにより、払いたくても払えない納税者が増えていますが、このような納税者には強制徴収ではなく、親身に相談に乗って、個別事情を十分調査・聴取し、その上に立って、個々の事情に即応した納税方法や滞納整理・徴収行政を行うことが必要です。
 08年度決算では、前市長が徴収率向上を強く求めたことを受けて、滞納者に対し行き過ぎた取り立てが行われていました。差し押さえ件数が06年度の167件から08年度には3,880件へ激増し、資産調査も徹底されています。その中で、分割納付の誓約をした納税者に対し、「生命保険を解約して納税を迫る」などの強権的徴税がされていたことは遺憾です。議会からの指摘にも反省がないのは議会軽視です。「強権的処分は『最悪』を想定したもの」と位置づけている国税徴収法の基本を学び直して、適切で公正な徴税を行うことを求めます。

(2)契約について

 公契約条例を制定し、公共工事の適正な労働条件の確保と工事の品質を確保すること。公正な契約で競争性・透明性を確保するために、常に制度の改善に努めること。前市長・前議長の事件の真相究明を急ぐとともに、首長や議員の介入を排除できるように改善することを求めます。

(3)小規模修繕工事発注制度新設について

 千葉市公共事業の契約に参加できない、市内3万人を超える町場の大工、建具、左官、造園業はじめ建設業者に、簡略な契約で受注できる「小規模修繕工事発注制度」を新設して、地域経済活性化につなげ、技術を継承していくことを求めます。
次に、総務行政についてです。
 職員の適正配置については、市民サービスの維持向上のため、福祉事務所のケースワーカーをはじめ、増員が必要な部門には思い切って職員の配置をすることです。
 各部局の仕事量と予算額の変化や社会情勢、市民ニーズの変化などにより、人員の増加が急がれる部門と、減員しても市民サービスが維持できる部門があります。
 長い間の慣例や既得権的な職員配置も見受けられます。これらを抜本的に改めて職員の適正配置を行うことです。その際、職員の希望をよく聞き、可能な限り応え、専門的知識や技術を有した職員の適切な配置も考慮し、公務員としての自覚と誇りを持って働く、生きいきとした職場環境を作ることを求めます。

 次に、企画行政について。

 地上デジタル放送問題についてです。平成20年度の予算でも指摘してきましたが、 総務省などが、「デジタル難視世帯は、全国で約35万世帯、新たな難視地区は8万2千世帯に及ぶこと」が判明しました。ビル陰など都市部の電波障害に対応した「受信障害対策共聴施設」の改修済みは、わずか11.4%。「計画なし・不明」が74%にのぼっています。これは高層建造物が林立し、障害を起こす「原因者」を特定するのが困難で、マンションが施設を管理している場合、改修方法や費用負担の合意をまとめるのが困難なためです。日本共産党は、アナログ放送終了時期の決め方を「地デジ電波のカバー率や受信機の普及率の達成条件によって決めるべきだ」と主張し、弱者対策や共聴施設への助成などを要求しています。
 企画調整局でも千葉市での難視地区について実態を調査し、市民が被害を被ることの無いよう対応を求めるものです。

 次に、市民行政について。

 日本共産党市議団はかねてより、平和行政の充実を訴えてきました。アメリカのオバマ大統領が核のない世界を呼びかけ、核兵器廃絶にむけて世界の国々が動き始めています。日本は唯一の被爆国として、実体験を聞く機会を、今充実させなければ、次代を担う若者が、平和を学ぶ尊さと意義を、後世に伝えていくことができなくなるのではないでしょうか。
 昨年度、市民参加条例は設置されましたが、計画策定段階で市民が参画できるように、実効性のあるものに変えていく必要があると考えます。市民への情報公開、説明責任、市民参加は欠かせないという立場を貫いて、市政運営を行うことを求めておきます。
 雇用対策では、近年派遣切りが急速に広がり、ハローワークでは市民が職探しに必死になっています。特に、若者の雇用は深刻で、千葉市で相談をして、就職できたのは4名です。
 市として企業なども訪問し、雇用対策に取り組み、もっと若者を雇用できるように政策を充実することを求めます。

 次に、保健福祉行政についてです。

(1) 新型インフルエンザについて

 小・中学校の学年・学級閉鎖が広がっています。保育所・保育園・幼稚園、高齢者施設などでの集団感染も心配されます。季節性インフルエンザや新型インフルエンザの本格的な流行は避けられません。特に、新型インフルエンザ対策として、ワクチン接種の対象、規模、費用負担など、行政が責任を持って取り組むよう強く求めます。
 また、新型インフルエンザ流行のなか、厚生労働省が9月25日付けで都道府県宛に、保険証を取り上げられ資格証明書にされた人が医療機関を受診した場合、速やかに短期保険証を交付するよう通知されていたことが明らかになりました。
 先進自治体ではすでに始めていますが、緊急を要する問題であり、感染を最小限にくい止めるためにも、千葉市でも短期保険証の交付を早急に行うべきです。
 国民健康保険事業特別会計についてですが、国保会計は繰上充用に頼らず、一般会計から繰り入れし、保険料の引き下げをおこなうべきです。

(2) 両市立病院の経営について

 「公立病院改革ガイドライン」が出されています。全国の約1,000か所の自治体病院には、国民が医療を受ける権利を保障する役割があります。そのために高度医療、救急医療、小児、産科など不採算医療を担っています。赤字の原因は社会保障の改悪です。公費を投入するならば効率性・節約が求められます。自治体病院の基本に立ちかえり改善を図るべきです。

(3)生活困難者対策について

 無料低額宿泊施設についてですが、今や貧困ビジネスの象徴とも言われます。当面、施設の改善は急務です。施設の基準、入浴・食事の改善、消防計画の整備、施設長の資格要件などを明確にして、質的な改善を図るべきです。
 自治体は自立支援センターを設置して、公営住宅や民間住宅の借り上げなどで入所を促進するべきです。また、国に対して法的規制を求める時です。
 生活保護の問題では、母子・老齢加算の復活は急を要します。リバースモーゲージ制度は、自立の可能性が損なわれることや保護の決定が遅れるなどの様々な問題があります。
 生活保護法は、生活保障法として国が100%負担すべきです。また、保護基準は国会で決めることが必要です。ケースワーカーを国基準まで増やして、支援、自立ができるようにすべきです。

(4) 子どもの医療費助成について

 子どもの医療費助成の拡充は、他の自治体でどんどん進められています。千葉市でも来年度、小学校卒業までの入院医療費の無料化がようやく計画されました。今議会で可決された中学校卒業までの入院医療費助成は、ぜひ早く実現するよう要望します。

(5) 保育について

 待機児童対策の緊急3ヵ年整備計画で、入所枠を増やしていますが、保育所を必要とする世帯が増大し、保育所整備が追いつきません。働きながら子育てする家庭の、一番のよりどころである保育所・保育園には、量と質が求められます。公立保育所が民間保育所とともに、これからの子育て支援の要としてますます大きな役割を担うことは確実です。子どもたちの成長・発達を保障する、保育施設の整備・充実を求めます。

(6) 介護保険について

 介護保険の施設整備は、実態に見合ったものではありません。平成23年度末までの施設整備で619人分の増設を計画していますが、今年の7月1日現在の特養ホーム入所希望人数は、1893人です。状況を深刻に受け止め、計画を見直し、施設整備を早急に進めるべきです。
 また、利用料減免については、減免対象でありながら制度の周知が不徹底で、十分機能していません。収入が激減した場合でも、すぐに対応できるような、市独自の減免制度の設置を求めます。

 次に、水道行政についてです。

 水道事業は命にかかわる重要な事業です。水需要計画が、当初計画よりも乖離している原因は、全国的には、国によるダムを水源とした企業団方式や都道府県水道への統合をすすめた結果であり、自治体に過大な受水量が押し付けられたことにあります。今後の水需要のために、実態を調査し、将来需要の見直しが求められます。
 今後も負担する霞ヶ浦開発事業負担金、房総道水路建設事業負担金の総額約187億円については見直して、地下水源の確保を含めた多方面の検討を行い、千葉市での見通しのある水道事業を確立することが急務となっています。

 次に、環境行政についてです。

 ごみの減量では、10月より可燃ゴミ週3回収集を2回に減らすことや、焼却ごみ3分の1削減などのごみ問題は、当事者である市民の意見を聞き、理解のもとで、さらなる分別と生ごみの堆肥化を進めなければなりません。
 事業系ごみについては、その発生抑制を念頭においた生産に努めるよう、市として求めることが必要です。
 地球温暖化対策では、JFEがCO2排出量について、06年度は非公開としていたのが07年度分から公表されました。千葉市内の温室効果ガス排出量の大部分を占める産業部門での温室効果ガス削減目標を出させて、現政権が目指す1990年比25%削減にむけて、市内事業所への指導を積極的に行うよう求めます。
 また、新港清掃工場のスーパーごみ発電は、約20億もかけて導入しながら、08年度決算では6,700万円の赤字となりました。温暖化対策に逆行するだけでなく、赤字を生まないためにも中止を含めた検討がされるべきではないでしょうか。
 羽田空港再拡張については、再拡張に伴う騒音被害への対策、市民の不安に応えるための万全の対策を求めておきます。

 次に、経済農政ついてです。

(1)商工振興について

 商店街補助事業は、一店逸品創出事業などを継続して利用する意欲をもった商店会がある事業なのに、一回利用すると2回目は使えないため、事業自体が利用状況ゼロになっていることもあります。意欲のある商店街には、2回でも3回でも使えるように改善を求めます。
 商店街の街灯は、地域の防犯としての役割を果たしています。補助率を防犯街灯と同じにして、商店街の負担を減らすべきです。

(2)農業振興について

 千葉市農業を支える農業従事者の平均年齢は59.1歳で、そのうち16歳から35歳までの農業後継者は57人です。農業従事者全体の1.1%に過ぎません。
 今後、千葉市農業を支えていく後継者育成に力を入れないと、千葉市農業の振興は保障されません。そのためには、日本農業全体を採算が取れる農業に転換することであり、政府が価格保障、所得補償を行うことなどの抜本的改革が必要です。
 そのなかで、新規農業参加者に対して生活保障することも、従事者を増やす大切な施策です。このさい、新規農業参加者に1か月15万円の生活保障を3年間支給する制度の創設が必要です。
 農業委員会については、農業委員に、公選の女性の農業委員を加えて、地元農産物を学校給食に取り入れるなど、女性ならではの視点を生かすことを提案します。

 次に、都市行政についてです。

 市営住宅については、08年度の市営住宅の募集個数282戸に対して、応募者は6,717人でした。市営住宅の応募倍率は、平成10年度2.7倍、平成15年度15.9倍、平成20年度は23.8倍で、申し込んでもなかなか入居できずに困っている希望者が多数います。落選回数のトップは50回と聞いています。
 建て替えのテンポを早めて住宅戸数を増やすことが必要です。また、簡易耐火住宅は、一戸当たりのリフォーム代が100万円以下で済みます。新築10戸分の予算で130戸の募集が出来ます。222戸も空き家のまま放置しておくのを止めて、2〜3年でリフォームし、募集できる条件整備をすべきです。
 さらに、期限付き入居制度は、子育て支援になじまないので中止すべきです。
 公共交通については、民間のバス路線が、経営での採算が取れないからと撤退、縮小が相次いでいます。各区にコミュニティバスの路線を進出させ、市民の足の確保を図ることを求めます。
 緑地整備事業費は、07年から08年で約67%と大幅に削減し、さらに09年の予算は08年度の50%の削減です。いま、地球温暖化対策が急がれる時に、緑地を増やすことが求められているのですから、改善が必要です。
 また、身近な公園のリフレッシュの推進では、この事業も50%以上削られ、遊具等の整備も遅れています。これらの予算を増やして整備を進めることを求めます。

 次に、建設行政についてです。

 土木事務所の仕事量に見合った予算措置についてですが、土木事務所は市内道路や橋梁の維持管理を行い、市民の安全を守る極めて重要な仕事をしています。
 しかし、08年度の予算額は56億7,063万円で、04年度予算91億279万円の62%に落ち込んでいます。09年度予算はさらに5億円余り削られていて、現場では道路改修などが思うように進まない事態となっています。
 市民の安全を維持するための市内道路や橋梁の維持管理費用は、最低どのくらい必要なのかを科学的根拠に基づいて積算し、最低必要な予算は確保しなければなりません。
 4か所の土木事務所には、道路修繕など市民から直接要望される作業が多くあります。08年度決算では1万件を越えています。このほとんどの作業は、直営の技能労務職員によって速やかに処理されています。しかし、技能労務職員は04年度の46人から09年度は38人に減っていて、平均年齢は53歳です。しかも、新規採用は03年度の1名を最後に採用していないため、減るばかりです。技能労務職員を新規採用して、安全・安心の街づくりを進めるべきです。
 自転車の利用が見直されていますが、利用したくても駅前の駐輪場は、希望しても抽選で当らないとの声があがっており、対策と改善が必要です。
 放置自転車対策として、監視員を日中も対応できるように、人数も大幅増員して改善することを求めておきます。

 次に、下水道局についてです。

 毎年、大雨により被害が発生しています。10年に1回程度の大雨といわれる1時間に53.4ミリの雨量に対応できる整備は、2.2%と低いレベルにあることを認めています。今年8月には、1時間に70ミリ以上の雨量が記録されているわけですから、大雨への対策は計画を持って整備すべきです。

 最後に、教育行政についてです。

 (1)「学校適正配置」計画について
 熊谷市長の「学校適正配置」に関する見解は、市長選挙時の公開質問状での回答は、「賛成、反対どちらでもない。学校統廃合にはメリット・デメリットあるので適正配置対象地区の意向意見を聞いて慎重に対応する。」「教育は未来への投資であり、コストカットを主目的とする行政改革の対象とすべきではない。むしろこれまで削減され続けてきた教育教材費は増額すべきである。」と述べていて、前市長、前教育長の方針とは違っています。熊谷市長の回答には住民の意見を尊重する立場を感じ取れるものがあります。
 教育委員会の「学校適正配置」計画は、自民党・公明党政権時代の構造改革路線に沿って、行政改革の一貫として進められてきたものであり、今までの方針や計画はストップさせて、教育的観点からの計画にすべきです。
 (2)就学援助の必要性が益々高まっています。千葉市の利用率は08年度で7.61%、政令市最下位クラスで、大阪市の38.1%や新潟市の26.3%に格段の差があります。今回、代表質疑のなかで共産党市議団が長い間提案し続けた、家族構成による基準額の公表を示唆しましたが、これは当然です。
 わかりやすい心のこもった制度へと「お知らせ」も改善し、対象者のほとんどが受給できるようにすることを求めます。
 (3)世界各国で少人数学級が広がるもとで、日本ではいまだに40人学級です。一人ひとりの子どもたちに、きめ細かな丁寧な指導を行うための少人数学級の1日も早い実現が望まれます。千葉市での少人数学習は、現在3年生までですが、低学年に限らず高学年でも必要です。4年生以上の学年でも取り入れ、さらに充実させることが求められています。
 (4)小学校に続き、中学校での読書量が増えたのは、学校図書室に配置された図書館指導員の効果が大きいことの証明だといえます。現在ひとりが2校を受け持つようになり、手薄になった小学校でも、「一校に一人の学校図書館指導員」の配置を強く求めます。
 以上、述べまして討論を終わります。