(提出年月日)平成21年11月17日
(提出会派名)日本共産党千葉市議会議員団
八ッ場ダム建設中止と住民合意による
生活再建・地域振興の促進を求める意見書(案)
政権交代による新しい状況下で、八ッ場ダム建設が無駄な公共事業として見直されることになり、大きな転換が図られようとしている。
そもそも八ッ場ダム建設は、歴代自民党政府によって「首都圏の利水と治水に不可欠である」として推進されてきたものである。しかし、今でさえ水余りが起きているのに過大な水の需要予測が行われ、また、治水効果どころかダム予定地の地盤のもろさから、ダム本体が崩壊する危険性さえ指摘されるなど、ダム建設の根拠が根本から覆されている。このままダム建設を続ければ、自然豊かな吾妻渓谷の多くが水没することになり、美しい環境が破壊されるばかりか、東京電力への補償費やダム本体工事のための地盤対策など、今後の事業費はさらに膨大な増額が必至となる。ダム建設は中止し、自然環境を守るのは今や時代の趨勢である。
同時に、半世紀近くにわたり、ダム建設問題に翻弄されてきた地元住民の苦悩ははかり知れないものがある。強引に建設計画を住民に押しつけ、多大な犠牲と痛苦をもたらした国の責任は重大である。今度もまた、住民の理解や合意のないまま国の方針を押しつけるようなことは、決してあってはならない。住民の声を真摯に受けとめながら、ダム建設を中止してこそ住民が希望の持てる生活再建策・地域振興策が実現できるということが地域全体の合意となるまで、国は全力を尽くすべきである。
よって、本市議会は国に対し、下記の事項について早急に実施するよう求めるものである。
- 情報公開を徹底し、ダム建設の中止理由や住民の生活再建策・地域振興策について、住民の意見を聞きながら十分に説明し、住民合意・国民的理解を得ることに全力を尽くすこと。
- 地元住民が納得できる謝罪と補償を行い、必要な法整備や予算確保・体制の確立を図ること。
- 「流域住民が主人公」に河川行政を転換し、当面、削減されてきた河川や堤防整備予算を増額するなど、住民参加による洪水対策を推進すること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成21年 月 日
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