千葉市多重債務者対策検討協議会設置条例の提案理由

09.11.27 中村

 発議第17号千葉市多重債務者対策検討協議会設置条例の提案理由をのべます。
 バブル経済崩壊以後、リーマンショックが追い打ちをかけ、経営難の中小業者、リストラや収入減となった勤労者の方が増加し、金融機関は不良債権処理のための貸しはがしを行い、貸し渋りが行われてきました。そのような環境のもとで、事業の資金繰りに苦しみ、家族の病気や冠婚葬祭、子どもの進学などで、やむなくサラ金の融資に頼らざるを得ない方が増えました。
 一度サラ金に手を出してしまうと、返済できる見通しもなく、別のサラ金から借り入れをして、それを返済に充てるなどの悪循環となり多重債務に陥ってしまいます。
 しかし、当事者は日々の生活に追われ、自分がどうしたら生活再建ができるのかどうか相談できずにいるケースも少なくありません。
 警視庁によると08年に年間自殺者3万人のうち、経済・生活問題を理由にした自殺は7,404人とそのうちの約4分の1をしめ、中でも1,733人が多重債務者だと報告されています。多重債務問題を解決することで、自殺を食い止めることができると言われています。
 政府も9月から消費者庁が開設され、多重債務をはじめとした金融問題でのトラブル解決は個人の問題として済ますことではなく、組織的に取り組むことが求められています。
 多重債務者の中には、法定金利を超えて過払いをしていたり、自己破産をすれば生活を建て直すことができる方もいます。
 千葉市では消費生活センターの相談員が、随時多重債務の相談に乗り、必要に応じて月に2回の弁護士による多重債務者の無料法律相談を行うなど対応されていますが、さらに充実させることが必要です。
 千葉市が多重債務者対策検討協議会の設置を条例化することによって多重債務問題を抱える市民に抜本的かつ総合的な対策を検討することができるために設置することを目的としているものです。
 協議会で検討する内容は、多重債務問題解決のための取り組みの推進に関することや、解決に向けた体制作りに関すること、その他多重債務者対策の推進に関することを掲げております。
 協議会の組織は、学識経験者や関係機関や団体関係者、市職員などで構成します。また専門部会を設置して当事者の声を反映することも条例として提案しております。 鹿児島県奄美市は、多重債務の問題を熱心に取り組んでいる自治体です。
 「行政の役割は、市民が安心して生活できる状況をつくること。多重債務者を法律家の元へスムーズに導き、救済の手助けをすることも、やはり行政の大事な仕事」と借金を個人の問題と片付けずに、債務整理などを行った後も生活再建できるまでの取り組みが行われています。相談者は弁護士事務所などには敷居が高く、行政の窓口で対応すれば気軽に相談できると言われています。また行政が関わることでサラ金会社の態度も変わり、相談者だけで悩まずに解決させることができます。
 日本信用情報機構によれば10月末に全国で約290万人がサラ金利用者となっています。多重債務者の9割は相談窓口に訪れないとの指摘もされていました。多重債務の解決をし、借金で自殺させないように市民の命を守ることと多重債務から解放されて安心して生活できるための支援が求められています。行政としても市民が安心して生活できる環境を確保すれば、仮に全国の貸付残高で千葉市民が全国平均の借入をし、千葉市の人口で換算し、債務整理をした場合、市内には金利分の約211億円4,900万円が試算されています。
 この支払う金利分の約211億円4,900万円が、地域から流出せずに消費されることになれば、市内の経済効果を生むことにもつながると関係者から指摘されています。
 このように市民が生活再建でき、地域経済への貢献にもつながる多重債務者対策の協議会設置を提案致します。またオレオレ詐欺や悪質商法への撃退法など未然防止につなげられるように様々な機関が行っていることを組織的に連携し解決が図れるようにしてまいります。ぜひともご賛同いただきますようよろしくお願いいたします。