中村きみえ議員の条例案への質疑に対する答弁

2009.12.2

 千葉市多重債務者対策検討協議会設置条例の制定について、民主党・富田議員の1回目の質問にお答えします。

<本条例の法益は「協議会の設置」でいいのか>
<「多重債務問題の解決」とはどんな状態を言うのか>

 まず第1に、条例の法益についての質問ですが、本条例の目的は多重債務者の債務整理や生活再建のために、可能な限りの対策を検討する協議会を設置するというものです。

<協議会に20名も委員が必要なのか、協議会開催の頻度と委員の日当は>
<債務整理業務の専門家に弁護士や司法書士が記載されていないがなぜか>
<機関や期限がないのはなぜか、個人情報に関わる情報も調査検討されるのか>

 第2に、検討協議会は、弁護士など学識経験者、行政関係者、中央ろうきんなど金融機関関係者などで構成することを想定しており、20人以内が妥当であると考えております。
 協議会の開催の頻度は必要に応じて開催し、委員の日当は千葉市の委員会などを参考にし、13,000円程度を想定しております。
 委員の職種について、債務整理業務の専門家である弁護士や司法書士等は、学識経験者の中に含まれます。
 次に委員の任期の期限を設けていないのは、深刻な多重債務問題を解決するには、継続性が必要であり、目的を達成する状況になるまで委員会を続けていただくとの考えです。
 委員の守秘義務についてですが、協議会については一般的には多重債務者問題全体の解決に取り組むことが主な目的ですが場合によって、個人情報や債権者に関する情報についても報告や討論をする場合も当然考えられます。

<協議会や専門部会への意見を求める「関係者」とはどのような人か>
<「関係者」と「当事者」の定義を明確に>
<「資料」とは多重債務者と債権者の取引履歴などをいうのか>

 第3に、第6条及び第7条についてお答えいたします。
 第6条の関係者の出席とはどのような人を指すのかという質問ですが、多重債務の解決に向けてワーキングチームで専門的に取り組む場合、それぞれの分野での関係者を指しますが、チームに応じて学識経験者や市の税関係者、社会福祉協議会といった行政関係者や中央ろうきんなどといった金融機関関係者など幅広く考えております。が、具体的には検討協議会で詳細については検討すべきはないかと考えられます。
 また、第7条の専門部会での関係者についてはご指摘通り、当事者にも参加してもらい、検討、協議することも提案しているものです。この場合の関係者は当事者だけでなく他にも当事者の生活再建などで関わる関係機関の方なども想定しています。
 さらに「資料」についての解釈ですが、債務者と債権者との取引履歴のみでなく、多重債務者問題を先進的に行っている自治体での取り組み状況や、当事者にかかわる課題をまとめたものなど、多重債務の解決や生活再建に必要な資料などを考えております。

<「協議会」を設置している自治体はあるのか>

 第4に、今回提案したような検討協議会を設置している自治体は、特にはないようです。

<行政機関同士の調査検討機関の設置では直接の問題解決にならないのでは>

 第5に、多重債務問題は今日では、債務整理だけを行えばよいというのではなく、生活再建を行わなければ同じことを繰り返してしまったり、精神的に落ち込み命を落としかねないことが憂慮されます。
 多重債務を総合的、根本的解決を目指すには法テラスを含めた法律の専門家や行政の関係者なども必要な団体と考えております。ヤミ金の被害をなくさなければならないでしょうし、多重債務者問題の解決のためには、子ども達に対しても金融経済教育などをすることが求められ、金融制度のPRをもっと強化しなければならないのではないでしょうか。
 現在、千葉市の消費生活センターでも多重債務問題に取り組み、千葉県や、市民団体や中央ろうきんなどそれぞれ取り組んでいます。それぞれの立場で関係者が奮闘されているところですが、多重債務問題を市役所が窓口になることで、市民が相談しやすくなり、市民の信頼も高まります。その必要性が積極的に求められています。行政機関も含めて関係者が組織的に連携することで、最終的に生活再建に取り組むなど総合的な対処ができると考えます。

<試算根拠を数式にして示してほしい>

 第6に、提案理由にて債務整理した場合の、金利分約211億4,900万円の試算の根拠についてですが、金融庁のホームページで平成21年3月現在、消費者向無担保貸付残高7兆2,853億円、クレジットカード会社貸付残高2兆4,635億円、信販会社貸付残高5兆4,434億円に流通・メーカー系会社貸付残高4,317億円を足した合計の貸付残高が15兆6,239億円です。それを、日本の人口1億2,700万人で割ると一人当たりの借入残高が約12万3千円。それを平成21年10月1日現在の千葉市の人口95万5,279人で乗じます。そうすると、借りに千葉市民が全国平均の借入をしている場合の借入残高は、約1,174億9,931万円となります。これに、最も借入件数の多い10万円から100万円の利息制限法の上限金利18%を乗じますと、約211億4,900万円となります。

<経済的な効果を指摘している「関係者」とは誰か>

 最後に、市内の経済効果の指摘については、行政や弁護士などの関係者から債務整理など行うことによって、市内の経済効果を生むことにつながるとされています。