小関としゆき議員の代表質問に対する答弁(要旨)

2009.12.8

【熊谷市長】

○ 雇用確保と緊急支援策について

 最近の経済雇用情勢の悪化で、失業者や派遣労働者など貧困・困窮状態の人達への支援緊急を要している。国では、貧困・困窮状態の失業者等に雇用保険の失業給付の相談や雇用・住居・生活支援の相談を1つの窓口でできるワンストップ・サービスなどの支援措置に取り組んで知る。派遣法も厚労省・労政審に対し「派遣法の在り方について」諮問されている。千葉市としては、11月30日のワンストップ・サービス・デイに職員を派遣し協力してきた。今後も国や県と連携・協力していく。国の「緊急雇用対策」で雇用調整助成金の支給要件緩和が示されており、推移を見守りたい。

○ 後期高齢者医療制度の廃止について

 国は後期高齢者医療制度を廃止し、医療保険制度の一元的運用で国民会保険制度を守るとしており、新たな制度について「高齢者医療制度改革会議」を設置し、検討が開始されているので今後の動向を注視したい。75歳以上の医療費無料化は、他の年齢層の負担増になり国には求めない。

○ 来年度予算編成について

 交付税や国庫支出金の増額要望は機会あるごとに強く求めてきている。千葉県にも「県市間の協議の場」で求めていく。政令市との比較は、移譲事務が同じではなく、年度の普通建設事業費の多寡も影響するので単純比較はできないが、千葉市が受ける県単独補助金が少ないのは事実であり、県へ求めていく。指定都市市長会でも「不利な道府県補助」は検討課題に取り上げられている。県事業負担は国直轄事業負担金と同様に廃止を求め、あり方の見直しを求めていく。
 大規模公共工事の見直しは、マニフェスト工程表でモノレール延伸の見直しや蘇我スポーツ公園整備の縮小など6事業を見直すことにしている。見直す事業の有無も含め、策定を進めている基本計画と実施計画で議会や市民の意見を聞きながら検討していくので、「見直し委員会」の設置は考えていない。事務事業評価は外部評価も含め事務事業の必要性や有効性を評価するもので、経費節減を目標にしたものではない。滞納者が増えているのは市税だけで、要因は経済状況や雇用情勢の悪化が影響していると考える。市税や各種料金の減免や猶予制度については、年間を通じてホームページ・しおり・チラシ・窓口への張り紙などで周知している。また、納付指導の際に個々に減免制度を知らせている。税負担の公平性の下で、滞納者への財産調査を行なったが、納付資力がないと判断した時は地方税法での処分停止を適正・的確に実施している。職員OBからの寄付は、後輩である現職員への支援・協力がお願いできる人を対象にしており、決して強制ではない。問い合せにもあくまで、善意の寄付をお願いしている。
 外郭団体は、公益法人制度改革や指定管理者制度など、取り巻く環境が大きく変わる中、各団体の設立意義に立ち返って見直すものだ。見直しに当たり、市民視点で事業の効率性や市民サービス向上など、あらゆる観点で検討する必要がある。

○ 不正経理問題について

 不適切な経理処理は、公金を扱う市の事務処理であってはならないものであり、遺憾だ。今後も調査を進め、年内に中間発表する。年明けには公認会計士など外部専門家の検証を受け、再発防止について取りまとめ、最終的な結果を公表する。調査結果には、厳正に対処し市民の信頼に応えていく。再発防止策は、不適正な経理処理の背景・原因を踏まえ、職員の意識改革・物品納品時の検収など物品調達の見直しを検討していく。市独自調査の進捗は、調査対象28,249件中24,870件の突合作業を終了し、進捗は88%だ。調査対象と期間は、約1100社以上ある納品業者全ての調査を実施すれば膨大な時間が要るので、取引金額が多い112業者を調査している。不適正経理は、市の担当者が頻繁に接触し働きかけやすい業者間で起こりやすく、112業者を抽出することで対象金額の72%をカバーすることになり、調査には合理性があるものだ。今回の調査は、納品業者の協力が不可欠であり、極力業者側の負担を軽減するため調査年度は19年度分にした。千葉県のような私的流用や裏金作りは、会計検査院の調査分でも千葉市での事実は判明しておらず、市独自調査でも見つかっていないが、突合作業や内容の精査を予断なく進めていく。会計検査院分と市独自調査分を合わせて、公金支出の適否の観点から内容を分類し、職員負担での返還も決めていく。ただし国庫返還での加算金は全額職員に負担を求める。不適正な経理処理は市民の信頼を損なうものであり、申し訳ない。引き続き調査し年内に中間公表、年明けに公認会計士など外部専門家の検証を受けてから再発防止策をまとめ、最終結果を公表し、結果には厳正に対処する。再発防止策は不適正処理が行われた背景、原因を踏まえ、職員の意識改革、物品納品児の検収など調達のあり方を見直す。

○ 稲毛区補選での違法文書について

 事務所の正式名称は「くまがい俊人後援会」だ。文書を出すことは承知していたが、詳細はわからない。公選法に違反する意図はなかったが、後援会が出した文書を告発されている事実を真摯に受け止め推移を見守る。今回の問題は、意図はないが結果的に迷惑をかけており、今後は注意する。

○ 新行革大綱の見直しについて

 スリムで効果的・効率的な行政運営や市政への市民満足度を高めるため、これまでの仕組みや発想・手法を見直すことを「行革」と位置づけている。行革に取り組む基本方針は「大綱」と「推進計画」を一体に整理し、市民にわかりやすい「推進プラン」を策定する。計画策定にあたり、タウンミーティングでのアンケートやパブリックコメントで市民の意見を聞き、議会の議論や有識者の意見を聞いて策定していきたい。

○ 千葉市新基本計画策定について

 現計画の策定時はH11年6月に、100人の委員で審議会を設置したが、1部会20人程度で5部会に分け短期間に集中的な審議を行ない、全員が一同に会した全体会を3回開催した。今回の予定は、審議会委員を40人以内とし、2部会に分け、1部会20人程度で論議したい。このほかタウンミーティングや市民ワークショップ、中高生座談会のほか、区基本計画の区民検討会など新たな取り組みも組み込み、より広い意見を反映できるものにしたい。この度実施した政策評価結果で、第3部「健康福祉のまち創り」の指標で、高齢施策・子育て支援策・医療体制は「あまり向上していない」との結果だった。これまでも保健福祉・医療サービスの充実へ取り組んできたが、少子・高齢化や経済情勢の悪化で市民ニーズが一層高まり、取り組みの効果が現れなかったものだ。この状況を認識した上で、入所希望の多い特養ホームの設置など介護サービス基盤の充実、保育所待機児童解消へ民間保育園の整備、乳幼児医療費助成の拡充、ハイリスク出産への対応へ周産期母子医療センター設置など一層の充実を図るよう、新たな期本計画を策定する。

○ 社会福祉協議会のヘルパー事業廃止問題について

 社協では、事業廃止を事前に全利用者に説明し、市も利用者団体と協議して意見を聞いている。また、社協の事業廃止で新たなサービス提供者が見つからない場合は、市の援助も視野に入れていたが、他の事業者の受入状況から支援の必要性はないと考えている。今回のヘルパー事業廃止は、介護報酬引き下げなどで事業会計の収支不足が続き、赤字補填してきた内部留保資金が底をついたからだ。民間事業者のサービス提供体制が整備されているなどから判断した結果だ。11月1日時点での他事業者への移行状況から、今年度内で全利用者の移行が見込めている。今回の移行では、利用者の要望を最大限尊重して進めている。セーフティネットは、各区の障害者相談窓口の充実で対応し、利用者の利便性を考えた体制の整備に努める。

○ 国保問題について

 今年3月と7月、資格証明書交付している世帯に、医療を必要とし一時的な医療費支払が困難な場合は、一部負担が3割の短期保険証を交付する旨を文書で通知したが、今後も滞納世帯の実態把握に努めていく。千葉市は、災害や仕事の廃止などで一定期間収入が著しく減少した場合は、一部負担金を減免することにしており、現行の国保制度では負担と給付の公平の観点から、一定以下の収入の人を一律に免除するのは難しい。国保事業は厳しい財政状況で、収入の改善には適正な財源確保が重要だが、低所得の人の負担軽減には配慮が必要だ。

○ 新型インフルエンザ対策について

 個々の医療機関でも集団的予防接種は可能であり、千葉市医師会では12月7日から順次、1歳から就学前の幼児への接種を各医療機関で実施する。接種医療機関は、市ホームページやインフル相談センター、各区相談窓口で情報提供している。今後も医療関係団体等との協議・連携で市民の感染拡大防止に努める。

○ 農政について

 日米間でFTA交渉を促進し自由化を進めているが、食の安全・安定供給、食料自給率向上、国内農業・農村の振興を損なうことはしないとされており、今後の交渉を注視する。ミニマムアクセス米は、千葉県農協中央会が国に要望書を提出し要請中であり、動向を注視していく。生産緑地は、市街化区域内の農地等の保全を目的に、都市計画に位置づけるもので、今後も一定の指定基準で農業従事者の意向を聞き追加指定に努めていく。固定資産税は、評価の均衡と統一を図る観点で全国一律の評価基準に基づき適正な課税が求められており、独自に軽減することは困難だ。新規就農者には現在、月5万円交付し農業機械の無償貸し出しや、栽培技術・経営指導の支援を行っている。就農後も定期的に巡回指導や施設・機会導入への助成、制度資金の利子補給などの支援体制がある。今年度は研修修了生にイチゴ栽培施設の整備補助を行い、栽培技術・販売指導して自立支援している。定年帰農者には基礎的な農業知識や栽培実習研修、さらに販売指導等を行い円滑な帰農へ支援している。

○ 土木事務所予算について

 土木事務所は市民生活に欠かせない道路の維持管理や整備を行う重要な部署なので、効果的・適切な維持管理ができるよう必要な予算確保に努める。

【藤代副市長】

○ 緊急経済対策について

 住宅手当緊急特別措置事業は、市政だよりに掲載し、市のホームページ掲載し周知を図っている。また、総合支援資金と臨時特例つなぎ資金は、県社会福祉協議会が事業主体なので、市政だよりには掲載していないが、生活福祉資金同様に市民便利長や市のホームページで知らせていきたい。制度の利用状況は、「住宅手当緊急特別措置」は11月末で12件支給を決定した。「総合支援資金」は11月末で19件貸付された。「臨時特例つなぎ資金」は県内で11月2日からの運用で2件が貸し付けられている。
 無料低額宿泊所や無届施設は、現行法制度では調査指導に限界がある。様々な問題が生じており、国には昨年度から法的規制強化を要望しているところだ。国は、今年10月に無届施設を含め無料低額宿泊所のあり方についての検討チームを設置し、許可制にする法改正など本年度中に一定の結論が出ると聞いているので、推移を見守りたい。
 介護職員の離職率が高く、職員の確保・定着が課題で、市としても国の緊急雇用創出事業を活用し、介護事業所への就業機会創出やヘルパー2級資格取得の支援を検討している。

○ 指定管理者制度について

 中央と長沼のコミュニティセンターの支出の差は、施設の規模や形態が違い単純に比較できないが、利用料収入の多寡や職員の人件費の差が影響していると考える。基本的に、再度の公募は行わず「適切な管理を行う法人その他団体」を市が選出し、同意の上で指定することになる。最適なものがいない場合は市の直接運営となる。再選定にあたっては、選定過程の透明性は重要であり、選定委員の過半数を外部委員とし、選定の議事要旨を詳細に議事録化し公表する。市民サービス向上へ、これまでの管理実態を踏まえ、施設の効用を発揮できる指定管理者が選定されるよう、基準の見直しなどを行い、管理状況をモニタリングできる仕組みを検討する。

○ 公契約条例の制定について

 公契約条例の制定は、適用する業種の範囲や賃金水準の設定、地域経済への影響など総合的に勘案する必要がある。H22年度からの野田市の条例の実施状況などを見極めていく。

○ 派遣切りへの対策について

 11月30日のハローワークでのワンストップ・サビービス・デイには、市として生活保護、住宅手当、心の健康相談に関わる職員を派遣し対応した。この結果を踏まえ、課題を整理しているが、国は自治体と連携しながら年末年始の対応を検討中であり、国の動向を見ながら市の対応を検討したい。市独自の取り組みは、若葉区・美浜区の区役所で、原則毎週月曜日に就職相談を実施し、求職者の相談に応じている。年末年始は生活困窮者の増加が予想されるので、昨年同様に緊急労働相談窓口を検討していく。

○ 介護保険について

 特養ホームの整備は、事業計画に沿って進めてきている。今回の追加整備は入所希望者が多く、国の経済危機対策の一環である介護基盤の特別対策事業を活用し、緊急に整備するものだ。今後も入所希望者の増加が見込まれており、整備促進に努める。

○ 保育所待機児童の解消について

 老朽化した保育施設の改築は、「公立保育所のあり方」の中で検討してきたが、今後、抜本的に見直すことにしており、リース方式も含め検討していく。

【徳永副市長】

○ PM2.5対策について

 PM2.5の実態は、国が実態把握のモニタリング調査を実施中で、千葉市も市役所自動車排出ガス測定局に測定器設置場所を提供し調査に協力しているが、データは公表されていない。具体的な取り組みは、国での測定器の認定作業、機器の設置基準作りなどを行っているので、国の動向を踏まえ早期に測定器を整備したい。市独自の対策としては、ディーゼル車からの粒子状物質の排出を減らすため、路線バスやトラックを対象に低公害車導入費の補助を行っている。また、法での排出ガス規制と広域的な取り組みが重要であり、八都県市共同でディーゼル車の運行規制を行なっていることから、SPMの環境基準は市内全測定局で達成している。PM2.5対策は国の動向を注視しながら都県市の連携が必要だ。

○ 耐震診断、改修工事・住宅リフォーム助成制度について

 住宅の耐震診断や改修は、震災から市民の生命・財産を守り、被害の拡大防止を図るため、その費用の一部を助成しているもの。今のところ診断、改修の補助申請には全て助成している。今後もホームページや住民説明会等で助成制度のPRに努める。住宅リフォームには、耐震改修助成や住宅建築資金利子補給の制度で支援している。

○ 私道助成制度のPRについて

 毎年5月に「市政だより」で市民に知らせている。助成制度で舗装道路になるのは生活環境の向上に資するものであり、PRに努めていく。

○ 放置自転車対策について

 今年度は緊急雇用対策事業を活用し、自転車誘導指導員を千葉駅・稲毛駅など7駅に28人配置している。来年度は、西千葉駅・千城台駅を加え9駅34人配置する計画を県に提出した。駐輪場の適正管理は経費が必要であり、無料化は難しいが、駐輪場の確保・放置自転車等の撤去、利用マナー向上など必要な対策を講じていく。

【総務局長】

○ 稲毛区補選での違法文書について

 当該文書は私信であり、市の公文書ではないので読み上げは差し控える。配布先は市としては把握していない。公文書ではないので、総務局としてどこが問題なのか指摘する立場にない。 

【選挙管理委員会事務局長】

○ 稲毛区補選での違法文書について

 当該文書での見解は、インターネットに掲載された文書で言うと、立候補の届出を終えた後出なければ選挙運動は禁止されている。この文書は、「10月25日に補欠選挙が行われる」「小田・金田の二人が名を上げている」「二人にご支援を」等の記載があることから、選挙運動ともとられるもので、公選法129条、142条に該当する恐れがある。

【経済農政局長】

○ 中小企業への営業支援について

 中小企業者の資金繰りの安定化へ、以前から返済が厳しい利用者には期間延長など、融資条件変更に弾力的に対応している。今年4月からは借換え制度を導入した。またセーフティネット保証指定業種を対象に経営安定資金への借換えを7日から、時限的に返済期間を7年から10年に延長し、中小企業者の返済月額負担の一層の軽減を図った。経済産業省は12月4日、指定業種の見直しで12業種増加し、現在793業種が指定されている。これで、全業種比で業種数の87%、企業数の82%、売上高の95%がカバーされる。保障制度の拡充を求める中小企業のほぼ全てが指定されている。

【市民局長】

○ 地震豪雨対策について

 千葉市の見舞金の額は、他政令市や近隣と市と比べてほぼ同額だ。災害見舞金は災害時の応急援護策であり、現在の財政状況から増額はできない。

【教育長】

○ 緊急経済対策について

 耐震改修事業は、H22年度の校舎棟の補強工事を今年度9月補正で5棟の前倒しが認められた。屋内運動場も「耐震改修促進計画」で、H22年度に本年度以上の棟数を補強工事する見込みで、今後も耐震化の早期推進に努める。

○ 学校適正配置について

 学校適正配置は、子どものよりよい教育環境整備と教育の質の充実のための視点で考えるべきだ。地域や保護者の理解を得て進める必要がある。地元代表者協議会では、期限を決めて行っているものではなく、保護者や地域の人に納得いくまで議論した上で、結論を出すことにしている。パンフレットは、学校適正配置を分りやすく説明するため、説明会等で多く出た質問等をもとに作成したもので、改定の考えはない。