中村きみえ議員の反対討論

2009.12.16

写真 議案第125号から128号、及び130号に反対し、発議17号が不採択されたことについて討論を行います。

議案第125号・平成21年度千葉市一般会計補正予算について
 その1は、税務オンラインシステムについてです。総務常任委員会では、このシステムの主な目的は、効率的な徴税で新年度は10億円と0.5%アップを目指しているとの説明がありました。東と西に税務事務所を設け、他の区役所を出張所にし、職員をローテーションで派遣することは、親切な納税相談や福祉的対応が不十分になる懸念があります。各出張所や各税務事務所で徴税競争になれば強権的な徴税が心配されます。事前に議会へは相談、報告もなく、今回突然示され、いきなり賛否を問うというのは議会軽視ではないでしょうか。自民党の委員も「唐突の感がする。閉会中所管事務調査などで説明するべきだったのでは」と指摘もされています。
 滞納者や納税困難者に親身になって相談をすることが必要です。しかし、多重債務者を「千葉市多重債務者支援庁内連絡会議設置要綱」に基づき消費生活相談窓口に誘導した件数は、平成20年度13件と少なく、今後も市民の立場で丁寧な対応が求められています。

 その2は、蘇我スポーツ公園の整備のための用地費5億円の取得予定を3億3,600万円で8,084.68平方メートルを都市再生機構から取得するとのことですが、「千葉市蘇我臨海地区防災公園街区整備事業に関する基本協定書」では土地の取得について述べられています。甲は千葉市、乙は都市基盤整備公団、現在のURですが、第4条に「土地の位置、価格については甲乙協議の上決定するものとする。」とし、第12条に整備に要する費用の支払方法については「約20年間の無利子割賦による返済を予定する」としています。しかし、第14条には「この協定に定めのない事項または疑義の生じた事項については甲乙協議して定めることとする」と記されています。これによると、土地代を払うことができない場合、罰則やペナルティがないというふうに考えます。
 市長は、千葉市が来年度予算編成で270億円も不足していると深刻な財政状態だと発信していますが、もともと旧川鉄に土地代を市が無償譲渡するより安くしてきた経緯があります。緊急で買戻しする必要はないのです。
 市長とのタウンミーティングでも市民から「なぜ公共事業への見直しを行わないのですか」と質問がありましたが、これが市民の率直な声ではないかと思います。蘇我臨海地区の残事業を見直すことが必要です。私ども日本共産党市議団はかねてより蘇我臨海地区の整備については、千葉市の財政悪化を招くと反対の立場をとってきました。よって、この議案には賛成できません。

 その3は、新型インフルエンザ予防接種についてです。これは、流行発生警報基準値が30点を超えたものが目安とされていますが、2009年44週から35.10と30点を超え、依然として30点以上となり、小学校9校10学級、中学校1校1学級で学級閉鎖も行われ、まだ目が離せない状況となっています。インフルエンザの予防接種によって、重症化を防ぎ、罹患せずにすむこともできますので必要な人が受けられるようにするためにも接種費用を安くするように国に求め、市が独自に減免をし、何よりも市民の命を守ることと万全の対策を講じるよう求めます。

 生活保護のケースワーカーが、1人で100人も担当していることは負担も多く、1人に関わる手続きの書類への対応に遅れが出て、それへの苦情もあるようです。きめ細かな対応を行えるように、早急にケースワーカーの増員を求めます。

議案第131号・千葉市新港清掃工場長期責任委託審査委員会設置条例の制定について
 新港清掃工場の維持管理、運営業務を複数年同一民間業者に委託をするために、民間業者を選定する委員会を設置すると言うものですが、新港清掃工場に関わる管理・運営について、情報公開・説明責任・市民参加を保障することを強く求めておきます。

議案第141号・指定管理者の指定について
 千葉市斎場の指定管理者の再選定については市民の声を吸い上げ,心静かに人生最後を送ることができるよう市が責任を持ち、指定管理者制度のあり方を改善することも重要です。なお働く職員の給与も正当に保障されるよう求めておきます。

議案第135号から第140号までの財産の取得について
 地上デジタル放送対応テレビの購入についてですが、地元経済の活性化するように更なる工夫を行えるよう求めます。

議案第126号・平成21年度千葉市国民健康保険事業特別会計補正予算、議案第127号・平成21年度千葉市中央卸売市場事業特別会計補正予算、議案第128号・平成21年度千葉市病院事業会計補正予算について
 官民格差により公務員給与の引き下げを人事院勧告を受けて先に条例が可決され、給与引き下げが提案されたものです。しかし、市職員の給与引き下げはここ数年続き、住宅ローンや子どもの学費などの工面にあてて影響を受ける職員も少なくありません。すでにモチベーションが下がると言う声も伺っています。官民格差を作り出した原因は、構造改革路線に沿って、大企業が派遣労働を自由化させ低賃金で働かせ使い捨ての労働を行い、中小企業へのコストカットをしてきた結果から来るものです。民間準拠と言うことで公務員賃金を引き下げる悪循環を断ち切ることが求められるものであり反対です。

議案第130号・千葉市コミュニティセンター設置管理条例の一部改正について
 これは、蘇我、畑、幕張の3つのコミュニティセンターでは昭和54年から開始し、近隣地域の利用者には長く親しまれてきました。単に浴室を開放するというだけにとどまらず、中止になっている畑の利用者も幕張コミュニティセンターまで通っていると伺っています。
 浴室廃止後は、公衆浴場を紹介するとしていますが、幕張などはすぐ近くに県営住宅もあり独り暮らしの高齢者が歩いて利用するのに大変喜ばれていました。閉じこもりがちの高齢者の励みになっていたと思います。畑町周辺も花園まで行かなければ公衆浴場はありません。
 それぞれのコミュニティセンターから銭湯までは近くて1.4キロ遠くて2.7キロにもなります。これでは自転車・バス・自家用車などを利用しなければ不可能となってしまいます。シルバーカーを押して利用している高齢者のささやかな楽しみを奪うのですか。
 お風呂での交流・ふれあい・健康保持などコミュニティセンターで果たしてきた役割は大きく、行革の名の下で高齢者福祉を削るのは、到底認められません。

発議第17号・千葉市多重債務者対策検討協議会設置条例の制定について
 最後に発議第17号千葉市多重債務者対策検討協議会設置条例の制定についてです。議案質疑では、鹿児島県の奄美市では協議会を設置していないのに、なぜ行っているのか、また総務常任委員会でも消費生活センターが行っているから新たに協議会を設置するのは屋上屋ではないかと自民党や民主党が指摘されたようです。
 この条例では、貧困がいっそう進む中で多重債務者は病気や失業などによってやむを得ずサラ金などでの借金を繰り返し、思いつめて自殺する人が後を絶たないのです。そのためには多重債務者の債務整理を行い、自己責任で終わらせるのではなく、生活再建できるまで行政が世話焼きをすることで命を救い行政が横断的な対応ができるように提案し、結果として借金の返済額が納税や消費に回り市内に約211億4,900万円もの経済効果につながることも示しました。
 昨日12月15日付の朝日新聞の夕刊には「3万人の命に」という連載で「多重債務独りで悩むな」と題して自民党の森雅子参院議員が自ら借金の取立てにあい、「一家心中」のニュースを見るたび、「うちはいつだろう」との思いを打ち明け、幸い弁護士が無償で仲裁し無理な取立てを止めたことが紹介され、奄美市の取り組みや「多重債務による自死をなく会」の記事が紹介されています。弁護士でもある森さんは、「弁護士の数は限られている。役所、市民、皆さんの力が必要です」と結んでいます。
 このように多重債務問題の解決には、大都市では担当者だけの対応では限界があるとの指摘があります。
 幸い、千葉市では消費生活センターをはじめ法テラス事務所や弁護士会・司法書士会などもあり、中央ろうきんをはじめ、多重債務に取り組む団体はいくつもあります。
 専門家の手を借りて、解決の方向性が見えたとしても、相談者はそこに行きつくまでに精神的に参っている人も多く、「一体、どこが最終的に解決してくれるのか分からない」と戸惑う声が上がっているそうです。
 相談者と専門家を確実につなぐ工夫と知恵が求められており、千葉県消費生活センターが多重債務について「生活再建ができるまで」支援する必要性について強調するのは、ここに根拠があるからです。
 また中央ろうきんについては、多重債務問題の解決のために相談や広報活動などを行っております。県の消費生活センターの多重債務問題でのシンポジウムのパネラーとして出席をして尽力をしております。
 政府の多重債務者対策本部有識者会議メンバーである弁護士の宇都宮健児氏は、自治体に多重債務相談の充実が自治体にとってもメリットのあることを理解し、推進することが必要であると指摘し、見守り貸付資金を行っている宮城栗の原ろうきんや静岡ろうきんを評価しています。メガバンクと違い、多重債務者解決のために活動している金融機関なのです。
 千葉市消費生活センターは、相談員をはじめ多重債務解決のために尽力していただいておりますが、年間の取り扱い件数は平成20年度435件であり、盛岡市が人口約30万人弱で年間1,000人と比較すれば、3,000件以上掘り起こすことが必要ではないでしょうか。
 多重債務者支援庁内連絡会議では、各課からの消費生活相談窓口への誘導が極めて少ないものであり、この徹底をすることが必要です。
 共産党とネット以外の反対で不採択となったことは残念です。多重債務者問題を早期に解決できるよう採択送付を求めておきます。